社会問題小説・評論板
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- 心に光がさすまで
- 日時: 2015/06/28 11:16
- 名前: 竜南 (ID: s4AxdT15)
もし私がこのまま自由を生きる中学生なら。
今、崖っぷち状態にならなくて済んだのかな。
彼女も同じ気持ちだったのかな。
去年。私が通う私立八神学院中学校の1年生、月又英梨が自殺した。
私たちはまだ小学6年生だった。
その事件があって、一瞬八神学院を諦めたが、やっぱり通いたかった。
それで合格して、今ここに居る。
なのに。
ーー憧れてたのに、そこは地獄だった。
藤川涼莉
八神学院中学校1-C いじめられている。
藤川寧莉
猫月第一小学校5-3 涼莉の妹。クラスの人気者。
月又英梨
元八神学院中学校1年 昨年自殺した生徒。
九条瑠璃
八神学院中学校1-C 学院の女王。理事長と財閥の娘。いじめリーダー。
秋坂海未
合宿で出会った女の子。
- Re: 心に光がさすまで ( No.1 )
- 日時: 2015/06/28 11:29
- 名前: 竜南 (ID: s4AxdT15)
朝、制服に袖を通す。
制服が心の鎖になる。
その鎖には大きな重りも付いている。
すなわち地獄を過ごすことになるのだ。
朝食。
妹が起きてくる。
妹は私の心の支え。
いつも一緒に遊んでくれた。
でも妹も五年生だ。
いつまでも一緒に居られる訳じゃないし、志望校も違う。
妹は血が繋がっているだけの存在に、変わってしまうのかな。
不安になって、大好きな朝食も、今日はあまり食べたくなかった。
登校中は、楽しいはずだった。
一つ年上の友達、月又英梨と一緒に登校しよう、と約束したのに。
一自殺。
悲しかった。寂しかった。守れなくて悔しかった。
涙が枯れるまで泣いた。
泣いて泣いて泣き続けて、一週間経った時、手紙が届いた。
英梨からだった。
- Re: 心に光がさすまで ( No.2 )
- 日時: 2015/06/28 11:43
- 名前: 竜南 (ID: s4AxdT15)
涼莉へ
突然姿を消してごめんね。
でも私、"楽"になりたかったの。
みんなに追い詰められて死ぬなんて情けない、ってことはわかってた。
だから、涼莉は私の分も幸せになってね。
月又 英梨
それを読んで私は立ち直った。
そして八神学院に通いたかった。
なのになのに。
今、私は幸せなの?
自分に問いかけた。
絶対違う。
そうじゃない。
私は今いじめられてるんだから、絶対幸せじゃないじゃん。
- Re: 心に光がさすまで ( No.3 )
- 日時: 2015/06/28 11:59
- 名前: 竜南 (ID: s4AxdT15)
教室に入ると、賑やかだったのが一瞬で静かになる。
そして冷たい視線が刺さる。
一人の女子がつかつかとこっちに来る。九条瑠璃だ。
瑠璃はスマホを持っている。
私の写真を撮ってSNSという第二の地獄にアップするのだろう。
「おはよう涼莉。3万は?」
そうだ3万円。
私の財布には…
3万円ちょうど。
「それが、忘れて来ちゃったの、ごめん…」
「そんなわけ無いでしょ。財布見せてよ」
ちょっと!
「入ってるじゃん3万。あたしらに嘘ついたワケ?」
「それは…」
偶然入ってた、なんて言えない。
「まぁいいわ。今日から酷い仕打ちが待っているわよ」
- Re: 心に光がさすまで ( No.4 )
- 日時: 2015/06/28 13:05
- 名前: 竜南 (ID: s4AxdT15)
昼休み。
うちの中学は入学したての頃お弁当は班で食べていたが
今は自由である。
なので当然一人だ。
瑠璃はグループの女子たちと食べている。
「ねぇ、食べる所ないのー?」
瑠璃。
「なら、とっておきの場所知ってるー!」
バシャン!
プールに沈むお弁当の包が解ける。
「お弁当とりに行けばぁ?」
バッシャァァァアン!
私も落とされた。
弁当を開けると、少し濡れていた。
「何これ今時そぼろ弁当?信じられないんだけどー!」
瑠璃たちが笑ってる。
私はびしょ濡れになった制服からジャージに着替え、コンビニ弁当を買って食べた。
帰り道。
私は部活をやってない分寄り道をする。
猫月児童公園。
ここで彼女は待っていると言っていた。
小学校の野外合宿で出会った、海未。
今は別の中学。
「海未!」
「涼莉!久しぶりだねっ!」
元気だね。海未。
幸せなんだね。
私と違って。
- Re: 心に光がさすまで ( No.5 )
- 日時: 2015/06/28 19:09
- 名前: 竜南 (ID: s4AxdT15)
「海未。あのさ「涼莉!」
えっ?
どうしたの、海未。
「涼莉……元気、ない?」
どうして。
なんで、解ったの……?
「そんなことないよっ!」
思わず私は嘘をついた。
心配をかけたくなかった。
笑顔で、海未に答えた。
「……嫌いだよ」
「えっ?」
「嘘の涼莉は…涼莉じゃないから」
嘘の私は、私じゃ…ないの?
「私さ、その気持ちわかるよ」
どうして?
言葉が出てこない。
「ごめん、私、もう帰らなきゃ!」
そう言って海未は帰った。
私はひとりぼっち。
悲しい毎日を過ごす忘れられた一輪の汚れた花。
汚れてしまった私は、もう、必要ないんだ……