社会問題小説・評論板

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教えてあげるわ、人間の格差を。
日時: 2015/07/30 20:03
名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)

掛け持ちです。
これは、醜い醜い女王様のお話。

※自分を使っています。

Re: 教えてあげるわ、人間の格差を。 ( No.7 )
日時: 2015/08/07 14:40
名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)

鏡の前に立って、いつもの美しい笑顔を浮かべる。幼い頃からずっと褒められた、自慢の笑顔。それを、笑美莉は見破った。
等身大の鏡に映るのは、自分で作り上げた完璧な『金城えみか』。

…いえ、『えみか様』よ。

完璧であるために。

自分の地位を示すために。

自分を守るために、



───私はこの道を選んだのよ。




「あら、ごきげんよう」

翌朝、私は“彼女”を見つけたので、美しく挨拶をしてあげる。

「?えっ…えみか様!?おはようございます!!」

さっきまで不機嫌そうな表情だったのに、私を見た瞬間笑顔に変わる。…なんだか私みたい…。

「ふふ、おはよう。あ、貴女お名前は?」

「私ですか?私は月沢愛莉って言います!」

「…月沢?」

「はい!って…えみか様?どうされました?」

「いいえ、何でもないわ」

月沢という名字を、どこかで聞いたことがあったような…。
というより、今は…。

「貴女にだぁいじなお知らせがあるの」

「…え?」

「今に分かるでしょうけど」と告げて、私は去った。
後ろから…かすかに鼻で笑われたような気がした。

Re: 教えてあげるわ、人間の格差を。 ( No.8 )
日時: 2015/08/08 09:42
名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)

昼休み。

「面白いことになってますよ」と美玖と結香が言いに来たので、早速愛莉の教室に行く。
「なっに……!?これ…」
案の定、そこには自分のノートやら教科書やらを呆然と見つめる愛莉がいた。
「愛莉」
私が鈴のような声で彼女の名前を呼ぶと、愛莉はビクッと体を震わせた。
「………えみか様?」
愛莉は私を…女王を認識すると、カタカタと震え始めた。
「あ……あの…私…」
「これは何よ」
恐怖で言葉が出てこない愛莉を、美玖が冷たい声で遮った。そして例の動画を見せる。
「…………!?」
 「ほんとサイテーよね。それで…まだえみか様にも見せてなかったものがあるの。これの続き」
美玖の言葉を聞いた瞬間、愛莉は何かを察したように急いで顔を上げた。
「だ…だめっ!!」
「何かしら見せて」
私が焦らすと、美玖ははぁいと返事をして別の動画を見せてきた。
画面に映るのは、やはり愛莉。
『ほんと腹立つんだけど〜…ほんと金城さ』
画面の中の愛莉はニヤッと笑い、
『死んでくれないかなぁ』

Re: 教えてあげるわ、人間の格差を。 ( No.9 )
日時: 2015/08/11 10:04
名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)

「…そう」
私は態とらしくため息をつき、

「───死ぬのは貴女の方よ?」



放課後。

「やめて…っやめ」
「うるさいわねー!静かにしなさいよっ」
結香が愛莉の髪を引っ張り、愛莉が悲鳴を上げる。
「きゃあっ」
「ほら、これでもくらえ!」
美玖が自慢の脚力で愛莉の脇腹を蹴る。
うん、流石は陸上部。
「えみか様、こいつどうします?」
「とりあえず空き教室にでも運んで」
私が腕を組んだまま顎で指示すると、美玖と結香が愛莉を持ち上げ空き教室に向かった。
私は壁にもたれたまま、近くで愛莉への暴行を見ていた民衆に声をかけた。
「今回の玩具は面白そうね」
民衆はびくっと身を震わせながらも、「はい」と笑顔で返す。
「もちろん貴女達もやるのよ?」
私が美しい笑顔を向けると、「はい」と応える。
…人形なの?
「さっ、じゃあ行きましょうか」

私達が空き教室に着いた時には、もう愛莉は傷だらけだった。
「あ、えみか様」
私に気付いた美玖が愛莉を踏んでいた足を下ろす。
「お疲れ様、よくやったわ」
「ありがとうございます」
「う…うう…」
私はツカツカと愛莉に歩み寄ると、その顔を踏みつけた。
「ぐふっ」
「ねぇ愛莉?私、貴女に謝ってもらってないのだけど」
愛莉は苦しそうな表情で、
「ごめ…ん…なさ…」
「ごめんで済んだら警察はいらない、ってね」
私は尚も愛莉の顔を踏み続ける。
「ほら、ボーッと見てないでやりなさい?」
「…はっ!はい!」
民衆達が一気に動き出し、愛莉を攻撃する。
愛莉の身体の痣を、わざわざ攻める者もいた。
「ねえ愛莉」
私の玩具の楽しみ方は常識外れだ。

「その長い髪、鬱陶しいから切りましょうか」

Re: 教えてあげるわ、人間の格差を。 ( No.10 )
日時: 2015/08/13 00:16
名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)

「…え?」
愛莉の顔が絶望を表す。
「えみか様」
美玖がハサミを持ってきた。私はそれを上品に受け取ると、美しい笑顔のまま愛莉の長いツヤツヤの黒髪を手に取った。
「やぁっ!!」
「暴れるんじゃないわよ。…美玖、結香」
「承知しました」
美玖が肩を、結香が頭を抑える。愛莉は尚も抵抗するが、美玖に腹を蹴られ絶望に堕ちていた。
「さぁ、始めましょうか」
私は愛莉の髪にゆっくりハサミを入れていく。
「やだっ…やめてぇええっ!!!」
「あはははははっ!!」
…ザクリ。髪が一束、一気に落ちた。
「あぁああああああ!!!!」
「…よし、と」
私はハサミを愛莉に投げつけた。愛莉の頬をかする。
「うぅうう…ぁあああ…!!」
「無様ね愛莉」
「きゃあっ!!!」
私の裁きは、こんなところで終わらない。
私は女王なんだから、それなら。


…使ってあげましょう。

Re: 教えてあげるわ、人間の格差を。 ( No.11 )
日時: 2015/08/14 16:36
名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)

「皆さん聞いて」
私は美玖に愛莉を拘束させながら、透き通った声で民衆の注目を集める。
「今からあなた達が愛莉に制裁を下しなさい」
「えっ…」
「何よ嫌なの?」
思わず声を発した女を鋭い視線で見やる。
「嫌ならやらなくてもいいのよ?無理になんて言わないわ。…ただ」
私は無様な愛莉を見下しながら言った。
「それは玩具になりたいと認識するわ」
「!!」
「さぁ、やりなさい?」
合図を送ると、一気に民衆が愛莉に駆け寄り蹴ったり殴ったりの暴行を及ぼす。さっきの女も。
「もっとやりなさいよ」
結香がニタニタ笑いながら指図する。
愛莉は手足が拘束され、されるがままの状態だった。
叫び声だけが聞こえる。
「きゃあぁあああああああああ!!」
「ん、いいわ」
私が手をパンパンと叩くと民衆の動きが止まる。
「この先はどうしましょうか」
「あ、えみか様、それなら」
美玖が私にあるモノを渡す。
「あら…これは」
「なっ…何…?嫌…!!」
民衆達で私が見えない愛莉が困惑している。
私は愛莉に歩み寄り、
「これ、最高じゃないかしら?」
1つのライターを見せた。

「…!?」
「これをどう使うかよねぇ…」
考えは浮かんでいる。けど、それは初日にやりたくない。一大イベントだもの。
私が悩んでいると、1人の少女が何やらポーチを差し出した。
「えみか様、これ…」
「あら、これは何かしら?」
「愛莉の…大切にしてるものが入ってます」
「…へぇ」
愛莉を見ると、青ざめた表情で少女を凝視していた。
「の、乃愛…?なんで…」
「あら…お友達?」
「元、です。もうこんな奴論外ですよ」
見かけによらず毒舌なこの娘は、どうやら愛莉の友達“だった”らしい。
「へぇ…まぁ、ありがとう」
私はポーチを受け取ると、美玖が持ってきたバケツの上でライターをつける。
「え…えみ…か…様…!?」
「あなたのだぁいじなモノ、消してあげる」
私はポーチに火を点け、バケツに投げ込む。燃えるポーチ。
「いやぁああああああッ!!!」
結香が燃え尽き始めたところで水をかける。
バケツの中に浮かぶのは、原型が分からない物体。
「ぁ……あ………!?」
「ざまぁみろ」
「バーカ」
周りの民衆が罵声を浴びせる。馬鹿みたい。
私は無言でその場を去った。


……思い出させないで。


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