社会問題小説・評論板
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- 教えてあげるわ、人間の格差を。
- 日時: 2015/07/30 20:03
- 名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)
掛け持ちです。
これは、醜い醜い女王様のお話。
※自分を使っています。
- Re: 教えてあげるわ、人間の格差を。 ( No.1 )
- 日時: 2015/07/30 20:47
- 名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)
(自分をモデルにするだけで、すごく盛りますからね!?)
ここは私立神城学園。正真正銘、お嬢様学校…その頂点に君臨する私、金城えみかは世界でも注目の高い大企業の一人娘。
私のポイントといえば、まさに『立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花』と言われていた。それはそうだ。毎日ケアには手を抜かない。
そんな私だけど、初等部にいた頃はよくいじめられていた。理由としては特に何もなく、ただクラスメイトの気まぐれであった。
ーけれども、今は違う。
「えみか様!」
声をかけられ、振り向くと私の取り巻き…美玖と結香がいた。
「おはようございます!」
「おはよう。どうしたの?」
「えみか様に見ていただきたいものがありまして」
そう言うと美玖はガサゴソと鞄をあさり、携帯を取り出した。
「これなんですけどね」
美玖は何かの動画を見せてきた。隠し撮りしたのであろう、画質が悪い。
「……ふぅん」
そこに映っていたのは、私の悪口を言う1人の女。
画質は悪いが、美人だというのはわかる。
『金城さんってさぁ、威張りすぎだよね』
フレームアウトしている友人に話しかけているようだった。
可愛い口から、汚らしい言葉が次々と出てきた。
「…そう…ありがとう美玖」
「どうなさいますか?」
結香が期待の目で見つめてくる。
「これは彼女の行いの報いね」
私はしずかに、美しく呟いた。
「彼女を裁いてあげましょう」
- Re: 教えてあげるわ、人間の格差を。 ( No.3 )
- 日時: 2015/07/31 23:31
- 名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)
それらはすべて、彼女のもの。
あの私に対する態度を見た私は、名前も知らない彼女を『玩具』に任命した。私の玩具となった者は、私の気が済むまでこの学園内すべての人間に裁かれる。
「あ、どこへ行かれるのですか、えみか様?」
「帰るわ。今日はヴァイオリンのお稽古があるの」
「そうですか、それでは!」
私と一緒に彼女の私物をめちゃくちゃにした美玖と結香が頭を下げた。私はそれに優雅に手を振りながら「また明日」と告げ、学園を去った。
家に帰り、ベッドに横たわって一息つく。また、面倒なお稽古だ。
そして明日は、また『えみか様』を演じなくてはならない。かなりのく
- Re: 教えてあげるわ、人間の格差を。 ( No.4 )
- 日時: 2015/07/31 23:49
- 名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)
※ごめんなさい、勝手に送信されてしまうのだけど、お気になさらないで。
かなりの苦痛だった。
コンコンと、ノックの音が聞こえる。
私は体を起こさず、「どうぞ」とだけ言った。
「お嬢様…お茶でございます…」
召し使いの1人、笑美莉だった。
笑美莉は私と同い年の少女。孤児院にいたところを、優しい優しい私のお父様が雇ったそうで、この家に住んでいる。
名前に似合わず笑ったこともなく、どちらかと言うと真美莉の方がよかったんじゃないか、とつくづく思う。
「あら、ありがとう」
「…失礼致します」
「あ、待ちなさい」
私は部屋から出て行こうとする笑美莉を引き止めた。
「…なんでしょう?」
「あなた…なぜ笑わないの?」
「…?」
私はずっと聞きたかったことをぶつけた。
「笑ってみなさいよ、私みたいに」
「………大変失礼なのですが」
笑美莉は今までにないくらい嫌悪感のある真顔で、
「……………お嬢様のそのお顔は、笑ってらっしゃるのですか?」
「……は?」
「申し訳ありません、お嬢様」
笑美莉は冷たく、言い放った。
「お嬢様は、笑っていませんよ?」
「!!!」
「…大変失礼致しました、私はこれで…」
「待って」
私はカタカタと震えながらも、笑美莉の服の裾を掴んだ。
「私の笑顔……自然じゃないの…?」
「ええ、全く」
………そんな………?
笑美莉は困ったような表情をしつつも、はっきり言った。
「私は面白くないから笑えないんです。お嬢様は……どこからどう見ても、作り笑いですよ。……失礼します」
私は頭のなかが真っ白になった。
- Re: 教えてあげるわ、人間の格差を。 ( No.5 )
- 日時: 2015/08/01 09:06
- 名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)
*五年前のこと…
私は初等部にいた頃、友達がいなかった。
それは私が嫌われているから、ではなく、私がまわりを寄せ付けなかったから、の方が正しい。クラスメイト達は皆、そこまで大した金を所有していなかったからだった。
家に帰ればたくさんのお稽古。
学校では常に独りぼっち。
そんな、ある日。
「あんたさ、なんでいつも独りなの」
隣の席の女の子が嫌味ったらしく言った。
「…え?」
「何そんなお嬢様ぶってんのってこと」
そう言うと女の子は私を突き飛ばした。
「!?や、やめなさいよ!」
「何上品ぶってんの、きしょくわるい」
「!!!」
こんな汚い言葉を浴びたのは生まれて初めてだった。それでも私はお嬢様、落ち
着いて対応した。
「上品ぶる?お嬢様としては当たり前のこと。それとも何かしら、あなたの家はそんな汚らしい言葉を教えているの?あなた…金もないのにむりやり金持ちぶるんじゃないわよ」
女の子はびくっとし、
「な、な…!?」
口を開閉させるばかりだった。
「簡単なのよ?人の情報を手に入れるだなんて…」
「ッ!!!す、すみませんでしたっ!!」
女の子は走り去っていき、その様子を見ていたクラスメイト達を睨みつけると、
「あなた達も気をつけなさいよ」
大企業の社長は、学園を手に入れることだって可能。
その一人娘の私が、学園を操るだなんて可能なこと。
……私の中の2つのピースが繋がったのだった。
- Re: 教えてあげるわ、人間の格差を。 ( No.6 )
- 日時: 2015/08/02 20:34
- 名前: えみか (ID: l8Wvg9Qa)
…あれから私は、常に人の上に立ってきた。
逆らう輩もいなくなった。
…端から見れば『女王様』であろう。
清く正しく美しく、完璧な家系に育ったお嬢様だろう。
──けれど私は知っている。私が、上辺だけの『お嬢様』であることを。
*
笑美莉は、勘が鋭い。
私の笑顔が作られたかりそめの虚像であることも、…私の心にも。
私は、笑ったことがなかった。
と言っても周りから見れば普通に笑っているのであろう、…でも、私は。
「お嬢様は、笑っていませんよ?」
笑美莉の言葉が脳内を駆け巡る
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