社会問題小説・評論板

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先生と生徒。〜先生いじめ〜
日時: 2016/08/13 11:08
名前: エミリ (ID: vehLH22f)

エミリです。

オリジナルキャラクター等の募集は致しません。
投稿されても無視します。
荒らしはやめてください。

〈主な登場人物〉

加藤 瑞希 Katou Mizuki 女 (14) 中学校3-2
クラスのいじめの元ターゲット。本来は明るい普通の中学生。

鳳 蓮華  Ootori Renge 女 (14) 中学校3-2
瑞希の親友。家は相当な金持ちで、クラスの地位も上。

鈴原 純  Suzuhara Jun 男 (15) 中学校3-2
いじめには関わりたくない。クラスの人気者。

安東 和樹 Ando Kazuki 男 (14) 中学校3-2
純の親友。頭がいい。落ち着いた性格。

石川 遥香 Isikawa Haruka 女 (15) 中学校3-2
クラスの権力者。気に入らない者は潰す。

阿澄 渚 Asumi nagisa/黒川 藍 Kurokawa Ai
遥香の取り巻き。スマホ片手に写真を撮りまくる。

天崎 凜華 Amazaki Rinka 女 (27) 中学校3-2担任
美人で、少々ぶりっこ? 男子に優しい面がよく見られる。数学担当。

Re: 先生と生徒。 ( No.3 )
日時: 2016/04/03 20:14
名前: エミリ (ID: vehLH22f)

3話 【天崎の涙】

え…

クラスメイトがそっちを振り返った。
先程の…最後の暴言を吐いたのは、瑞希だった。
「加藤さん…あなたまで」

言っちゃった…
瑞希は、
「謝る資格もねーよ、天崎凜華…贔屓教師」
と、本音を叫んでしまった時、正直自分でも驚いた。でも、気配は感じていた。
天崎の目を見て、分かってしまったのだ。
天崎凜華は、謝る気が無い。
ここで謝って、許してもらおうとしているだけ。
天崎もどこかで聞いたのだろう。日本でも有名な蓮華の父の鳳社長のことは。
蓮華には、社会人の姉がいる。現在22歳で、卒業して数ヶ月しか経っていない。
その姉がいじめられていたとき、電話一本で、相手の親が経営する医院を買収し、逆らえなくしたり、電話一本で、相手の親をクビにしたり、蓮華の姉が大学生の時は、電話一本で、その相手の就職の内定をもみ消したり。マンガみたいな出来事を、実際に起こしてしまうような父親。
その父親を、天崎は恐れていた。
自分の教師の資格をもみ消されたら…。
まあ、天崎が恐れている、というのは、瑞希の妄想。
だけど、彼女の目は、間違いなく嘘の目。
それは瑞希も知っていた。

「あなたには、謝る気がないと思います。謝るなら…本気で謝ってください」
瑞希が発言した。
「そんな、先生は本気…」
「信じられない。男子を贔屓している先生のことなんか」
すぐに藍も立ち上がる。
「その通りよ。本気で謝ってもらわなきゃ。本気で謝る方法、といえば…」
遥香、渚、藍が叫んだ。

「土・下・座!」

そして、他のクラスメイトも、
「そうだよ」
「土下座だよな、やっぱし」
「でも足りなくなーい? その後足蹴にしようよ」
と、口々に言い始めた。

「でもやりすぎたらやばいっしょ。」
「内申下げられたら困るけど、鳳さんと石川さんがいれば大丈夫じゃね?」
ざわざわするクラス。
遥香、渚、藍は、土下座コールを始めた。
そして、クラスメイトのほとんどがそれに加担して…。
「土・下・座! 土・下・座!」
土下座コールの嵐にもまれた天崎。
土下座はしなかったものの、彼女の目から、涙がこぼれた…。

Re: 先生と生徒。 ( No.4 )
日時: 2016/04/04 09:40
名前: エミリ (ID: vehLH22f)

4話【ネット】

その日、天崎は早退した。
理由は、腰痛ということだった。
「ねえねえ、天崎早退したってー」
「えー、悪いのは天崎じゃん」
クラスが騒々しい中、藍が片手を上げた。
「ウチさぁ、天崎が鳳さんのこと責めてるのも、今回のことも全部撮ってたんだー。これさ、ブログにあげたら、すごいんだよ」
クラスメイトは、どんなの、どんなの? とスマホで『アイ☆ギャラリー』のページを探した。藍がブログをやっていることはみんな知っていて、日常の写真をアップしていることも知っていた。
そのうちのひとつが、今日の記事。
『最低!ひいき教師です』というタイトルで始まっている。

『最低!ひいき教師です』
『6月9日。実は、私のクラスにはひいきする教師がいるのー(><)
前、クラスに鳳令嬢様がいる話を書いたんだけど、蓮華に容赦なく難問押し付けるの。ひどくなーい?しかも、男子にはカンタン問題!
間違いなくひ・い・き!
その映像がこちら』
『どーお?これに共感したらGood押してねー。』

この、こちら、の隣には、映像が張り付けられていた。
そこには、あのクラスの様子、しかも天崎の悪い所だけが写っている。
「あった! えーどれどれ…」
ひとりの女子生徒が読み始める。
「コメント欄! 『えーなにこれ、教師酷すぎ』『確かに贔屓だけど、やりすぎだよー笑』『石川さんて人凄すぎ』『生徒いじめじゃんw』『教師の年齢は? アラサーなら笑』…すごい!」
「だけどまずくね?」
「皆共感してくれたんだよ。Goodの総数、短時間で100超えたし」
「藍の力すげーな」

翌日には、Goodの総数は1万を超えた。
超人気の藍のブログは、これからもGoodの総数は伸び続けるだろう。
いじめに賛成するものは、増えるだろう。
彼女たちの自信につながることだろう…。

これが、天崎いじめ…先生いじめに繋がった。
遥香も渚も藍も、きっとやめないだろう。

Re: 先生と生徒。〜先生いじめ〜 ( No.5 )
日時: 2016/08/13 11:41
名前: エミリ (ID: vehLH22f)

5話 【クラスメイトの心境】

夜。遅くまで起きていた鳳蓮華は、大きな屋敷の自分の部屋で、クラスの現状について考えていた。
(私が悪いんだ。天崎先生がいじめられるのは)
難しい問題を手も上げていないのに当てた天崎。とても嫌な気分になったあの日の授業。
自分を嫌な気持ちにさせた人のことをよく思わない蓮華は、遥香に味方しようと考えていた。
しかし、まさか遥香が先生をいじめようと言い出し、泣かせる事態にまで至るとは思っていなかったのだ。
蓮華は自分を責めていた。
(私のせいだ。私がばかなせいで。天崎先生が可哀想…)
蓮華は、静かに泣いた。

同じころ。加藤瑞希はトイレに行きたくなって目を覚ました。
早々と用を足すと、なんと蓮華からメールが届いているではないか。
「なんだろ、こんな時間に…」
ベッドに入り、文面に目を通す。
『私は天崎先生に味方します。
 瑞希のあの発言を聞き、遥香に味方するんだなって思いました。
 何と言おうが私は先生派です。
 瑞希もそうなることを願います。おやすみなさい。』
そこで、蓮華からのメールは終わっていた。
(蓮華は…自分が嫌な思いをしたのに、その相手を許すんだ)
瑞希は返信のボタンを押し、文字を打ちはじめた。
『蓮華は優しいね。自分が嫌な思いをしたのに。
 天崎のことで嫌な思いをしているのは蓮華だけじゃない。
 私は遥香の味方よ。
 あの発言は、蓮華のために言っただけ。』
「送信っと」

さて、クラスの現状を考えていたのは二人だけではなかった。
加害者側の石川遥香も、いろいろ考えていたのである。
(天崎をもっと陥れたい……)
遥香には考えがあった。大きく勘違いした考えが。
天崎凜華を陥れれば、皆は感謝する。
もちろん蓮華も感謝して、自分はもっと女王の権力を手に入れる。
そうすればまず、調子に乗ってる加藤瑞希をターゲットにする。
それからどんどん人々を地獄へと……。
(考えれば考えるほど面白い)
そのために必要な事は……。
ネット。これは藍が実行済み。先生を直接攻撃、それは基本…。
使えるもの……あった。
女子の噂話は、風のように次から次へと伝わる。
ネットで知る人もいるだろうから、別のことを……。
そして遥香は答えを出した。
天崎を苦しめてやる方法を。
それは彼女自身が体験したものだった。

Re: 先生と生徒。〜先生いじめ〜 ( No.6 )
日時: 2016/08/15 12:08
名前: エミリ (ID: vehLH22f)

6話【遥香】

翌日、瑞希が教室に入ると、とんでもない光景を目にした。
黒板に、天崎の全裸や半裸の写真が張り付けられていたのだ。
(いい気味ね)
瑞希は思った。この位の制裁、受けて当たり前。
と、蓮華が入って来た。
「な、なに、これ」
蓮華は絶句した。天崎先生の全裸!?
しかしすぐにタネはわかった。
合成写真だ。
犯人はおそらく……。
(遥香だ)

遥香の作戦は、天崎の全裸写真を公開することだった。
しかし、天崎の風呂を覗くというわけにもいかないので、合成にしたのだ。
まずは天崎の写真を手に入れなければいけない。
藍のブログは更新され、天崎凜華の紹介がされていた。
顔写真も載っていたので、それをコピーする。
次に、二条桃花のブログを開いた。
桃花は同じ中学の女生徒で、藍と同じくブログをやっている。
そこからも別の写真を入手。
そのようにして沢山の天崎の写真をコピーした後、普段なら絶対に入らないようなサイトに入ると、全裸の女性の写真もコピーする。天崎のスタイルに似ているものを数枚選んだ。
それをパソコンに転送し合成、印刷する。
あとは朝一斉メールを送り、黒板を見るように指示して、誰もいない頃に教室に入り、黒板に写真を貼る……というものだ。

「この位当然だと思わない?」
遥香が言う。
「蓮華さんのこと傷つけたんだし、いいと思う」
「でもやりすぎじゃなーい?」
生徒たちは笑った。
しかし、ひとり笑っていない生徒が居た。
蓮華だ。
(なんでこんなことするの? 遥香だってやられたじゃない)

それは入学したての頃。
遥香は、入学早々男子生徒に告白された。
遥香はそれを断ったのだが、しつこく話しかけられ、メールアドレスまで探られたのだ。
それで嫌気がさし、クラス内の男子の権力者に頼み、いじめられるように仕向けた。
その男子生徒は転校したのだが、数日後。
『ねえ、石川さんヤバくない?』
『まだ中1でしょ?』
『うわ、変態』
クラスメイト達は、彼女の裸の合成写真を見たのだ。
その日から遥香はいじめられた。
しかし、遥香は決して屈せず、渚と藍という味方ができると、彼女もいじめを始めた。
中2の秋、加藤瑞希はいじめられるようになった。
遥香は瑞希をとことん苦しめた。
自分をいじめた同級生に対する怒りは、瑞希に対して爆発した。
(なんでこいつはいじめられないの?)
(なんでそんなに平凡な毎日を送れるの?)
遥香は瑞希をいじめ続けた。
そんな中進級し、遥香は女王まで上り詰めた。
そして、天崎がやってきた。
遥香は天崎の初日を見て、いらいらした。
蓮華の涙を見て、遥香は決めた。
天崎凜華をいじめよう、と。
クラスの半分以上が味方だった。
蓮華の敵討ちをするため。私より悪い女を貶める為。
遥香が夜、出した答え、それは、自分と同じ目に合わせることだった。
確実にダメージを与えられるからだ。

クラスを見て、遥香は思った。
(天崎凜華、お前はこのクラスから歓迎されてない。
傷つけ。蓮華と同じくらい)

Re: 先生と生徒。〜先生いじめ〜 ( No.7 )
日時: 2016/08/28 12:13
名前: エミリ (ID: vehLH22f)

7話【蓮華】

遥香たちが笑っていると、ひとりの女子生徒が遥香の所にやって来た。
「石川さん! あたしのブログの写真なんで勝手に使ってるの?」
二条桃花である。
「桃花、身の程を……」
「渚、下がって」
前に出た渚を、遥香が後ろへ引っ張る。
「二条さん、あたしが悪かった。だけど、二条さんも賛成でしょ? 天崎をいじめるの」
「っ、それは、そうだけど……」
「なら、いいじゃん」
桃花は、遥香とこれ以上言い合うと自分の立場が危うくなるのを感じ、自分の席へ戻って行った。

と、一斉にメールの着信音が鳴った。
「うるさっ」
「なにー?」
全員に二通届いていた。
一通目は遥香から。

『みんな、天崎の写真は、天崎が来たら片付けて!
なんでって思った人に教えるよ。
天崎が自分のエロい写真が出回ってるのを知らずに授業してるとこっておもしろくない?だから片付けるの。
その風景はAさんに録画してもらって、あとで一斉メールします!
希望者には、写真も送ります。てか、いるの?
それからイジメに協力する人は返信よろ』

二通目の送り主は……。
「うそっ、鳳さんから?」
鳳蓮華だった。

『みんなお願い!いじめとかしないでよ!
 天崎先生が何したっていうの?こんなくだらないことしないで!!』

「え、鳳さん反対なの?」
ひとりの女子生徒が言った。
「ていうか……賛成の人が有り得ない」
その瞬間、クラス全員が青ざめた。
潰される……。
自分の運命をあきらめかけていた。
「言いたいのはそれだけよ」
蓮華はスクールバッグから文庫本を取り出すと、読み始めた。

遥香は考えた。
被害者が気にしていないなら、いじめをやめようか、と。
しかしその考えは一瞬で消えた。
(別に、蓮華の為にいじめなくてもいいじゃん)
遥香はたった一日でいじめの「楽しさ」を知ってしまった。
絶対にいけない「楽しみ」を見つけてしまったのだ。
「だから何よ」
遥香が言った。
「鳳グループが何だっていうの? てか、権力そんな風に使っていいわけ?」
青ざめたクラスメイトの顔が、生気を取り戻す。
「そうよ」
「親が社長でも娘はただのJCじゃん」
「親の七光りなんて卑怯だわ」
蓮華は、文庫本を読むふりをして顔を隠す。
(私……権力使うなんて言ってないのに)
蓮華には、友達は瑞希のほかに居なかった。
瑞希の方をちらりと見ると、うっすら笑みを浮かべていた。
(みんな、バカ……)

と、瑞希が立ち上がった。
「遥香」
「なに?」
遥香の方へと歩いていく。
「私に対するいじめは、終わったの?」
遥香が瑞希の方を向いた。
「いじめ? 人聞き悪いなぁ。まあ、終わったよ。だから……

 グループに入れてやってもいいけど?」

「ほん、とう……?」
「ええ。でも、鳳さんは誘っちゃダメ」
遥香が瑞希の耳に、そっとつぶやいた。
「鳳蓮華さんも、イジメのターゲットになるの」


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