社会問題小説・評論板
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- ひとり。
- 日時: 2016/08/22 14:25
- 名前: 藍色 (ID: l8Wvg9Qa)
別に、ひとりでもいい。
それで特別困ることもないし、寧ろ楽だ。
……それなのに、どうして、こんなに苦しいのかな。
- Re: ひとり。 ( No.1 )
- 日時: 2016/08/22 14:38
- 名前: 藍色 (ID: l8Wvg9Qa)
私は今日も、教室の重いドアをゆっくりと開ける。
日が増すにつれて、どんどん重くなっている気がするのは気のせいだろうか。気分まで一気に落ちるので、私は小さくため息をついた。
「おはよーっ!」
私を押しのけ、教室に入るクラスの女子達。私は深呼吸をし、教室に入っていった。
自分の席に向かう途中はいつも、クラスメートの視線が痛い。でもこれはいつものことだ。特別気になるわけでもない。
「片桐さん、今日も学校きたの?」
「ほんとありえない。よく平気な顔で来れるもんだわ」
「マジどんな神経してんの?あいつ」
私への罵詈雑言が、突き刺さる。
それでも私は何も言わなかった。″日課″だから。
──私の名前は片桐もも。中学二年生。クラスでは、いわゆる″ぼっち″だ。
でも、私にも友達はいた。どちらかというと、たくさん。親友と呼べるほど信頼している友達もいたし、クラスでも割と良い意味で目立っていた方だ。
それが、あいつのせいで全部壊れた。
私が仲良くしていた友達のうちの1人、須山冬香が「小学生の頃、ももにいじめられていた」と公表したのだ。確かに私は冬香をいじめていた過去は持っていたけれど、自分なりに反省はしていたし、もう忘れかけていた。それなのに、奴は私が人気者になった瞬間、まるで計算していたかのように私を地獄へ突き落とした。
それから1週間。私の周りにこびりついていたハエ共は手のひらを返して私を攻撃した。いじめというほど過激な行動はしなかったものの、私に友達はいなくなり、毎日悪口を言われる日々。
親友だと思っていた佐藤結桜は、冬香の味方についた。
- Re: ひとり。 ( No.2 )
- 日時: 2016/08/25 12:39
- 名前: 藍色 (ID: l8Wvg9Qa)
それから私はいつもひとりだった。
でも、不思議でならないのは、何故冬香如きの一言によって私の生活が一変したか。私は成績もいい方だし、顔も決して悪くない。自画自賛したいわけじゃないけれど、学年で一番、とはいわずとも、トップ3には確実に入っていた。
それなのに、その私が、周りがどんどんと媚びを売ってくる状態からここまで落ちたのは、きっとなんらかの策略があったはずだ。あの冬香の発言なんて、普通なら嘘と見られるはずなのに。冬香が誰かと手を組んでいたなら、許さない。
その時、ゴッと固い音がし、考えごとに耽っていた私の意識が呼び戻された
「いった〜」
佐藤…結桜だった。
「結桜?」「どーしたのー」「大丈夫?」
以前の私の取り巻きが一斉に結桜に駆け寄る。
「あー、もう最悪。こいつのせいで」
結桜が鋭い眼差しを向け、私を指さす。わけがわからない。何故結桜は怒っている?
「…片桐かよ」
「ちょっと片桐さん、結桜に何したわけ」
「…私は、なにも」
言いかけた私を黙らせるように、取り巻きの1人が机を叩く。
「何したか聞いてんだけど!!」
何もしていない、が本音だった。ほんとうにそれだけだ。私は何もしていない。
「ねえ結桜、何されたの」
「こいつ、私が歩いてきたタイミングで足引っかけてきた。最悪」
デマだ。これは、結桜がでっちあげたウソ。
普段の悪口だけの攻撃に飽きた、というようなところだろうか。ひどいものだ。私は小さくため息をついた。