社会問題小説・評論板
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- 格差の中で生きている
- 日時: 2017/02/05 16:41
- 名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)
はじめまして!あくあです。
なんとなくのペースで投稿していきますっよろしくお願いします!
いじめの小説なので、不愉快な気分にしてしまったらすいません(;´Д`)
- Re: 格差の中で生きている ( No.6 )
- 日時: 2017/02/13 16:11
- 名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)
「──あかり」
隠れて聞いていたのだろう。美しい笑みを称えた女王はつかつかと佐伯の前に歩み寄る。
「…佐伯花さん。今日からあなたが私たちの玩具よ」
にっこりと微笑み、絶望的な表情を浮かべる佐伯を突き飛ばす。
橘はただ、無様に倒れた佐伯を見つめていた。そして全てを計画していたかのように、穏やかに女王は命令した。
「橘。こいつを踏みなさい」
一瞬、橘は目を大きく見開いたが、無理やり笑みを作って「はい」と従った。
そして思い切り、床に倒れている佐伯の背中を踏みつけた。
「ふふふ、いいわ、もっと。もっとよ」
あかりは心底楽しそうな調子で橘に命令し続ける。何か言われるたびに「はい」と答え、その通りに暴行を加える橘は醜い人形のようだった。
「あんた達もやってちょうだい」
女王の合図に合わせ、私たちも佐伯に暴力を振るい始めた。
腹を殴ったり、顔を蹴ったり。そして近くに置いてあった、トイレ清掃用の水をかけたり。私たちはもう慣れているから楽しんで暴行を加えたが、橘はまだ引きつった表情だった。
最初こそ悲鳴を上げていた佐伯も、ただ終わりを待つばかり。汚らしい顔をいっそう歪め、痛みに耐えていた。
- Re: 格差の中で生きている ( No.7 )
- 日時: 2017/02/13 16:18
- 名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)
そして、私が佐伯の顔を踏みつけたタイミングで、ちょうどよく予鈴が鳴った。
「あーあ、鳴っちゃった」
まだ物足りない、という表情で、Z+のメンバーは佐伯を痛めつけていた腕や足を離す。安堵の表情を浮かべた佐伯に、あかりは下品な笑みを浮かべて言い放った。
「昼休み、空き教室に来て?きっと楽しい遊びができるわ」
その言葉を聞いた瞬間、全てを悟ったように佐伯は泣き出した。
Z+のメンバーはクスクスと笑いながら佐伯を一蹴りして去って行く。もちろん私も。
「さ、急いで。そろそろ先生来ちゃう」
あかりの声に、急げーっとZ+が走り出す。
佐伯はただ泣きじゃくり、橘はそんな『元親友』を置いてトイレから出た。
- Re: 格差の中で生きている ( No.8 )
- 日時: 2017/02/13 16:30
- 名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)
一時間目の授業中、私はずっとあかりを見ていた。
あかりは私の斜め前の席で、その気品と絶対的なオーラは誰にも劣らない。近くにいるだけで自分が見劣りしている気がするくらい、このクラスでただ一人異質な存在だ。陰では嫌味と恐怖を交え、女王と呼ばれている。
噂によれば、あかりの父はとある大企業の社長らしい。最初はウソだと思っていたが、あかりと一緒にいればいるほどその話の信憑性は高まってくる。何せ、いつも愛用しているポーチなどの私物、その全てが高価なのだ。それもわざとらしいほどに。
何度かZ+のメンバーで遊んだこともある。そんな時、決まってあかりは上品で高そうなブランド物のワンピースを着てきたり、高価そうな財布から尋常じゃないほどの札束をちらつかせたりと、何かと“お金持ち”に繋がる情報を見せ付けてくる。それは私たちZ+でも羨ましい限り。
そして、いつも私の頭から離れない疑問が「なぜあかりはこの学校にいるのだろう」ということ。
あかりほどの金持ちなら、都会のお嬢様学校に通うことも可能だろう。それに、今人気のモデルよりも綺麗な顔立ちだし、こんな学校にいるよりよっぽど幸せなんじゃないだろうか。
あかりはZ+にいても知らないことが多いくらい、不思議な少女だ。
- Re: 格差の中で生きている ( No.9 )
- 日時: 2017/02/13 16:45
- 名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)
人をいじめる時、あかりの口調はまさしく女王様へと変貌する。普段からお嬢様らしい口調ではあるが、人をいたぶる時はその口調がいっそう栄える。
誰かに命令するのも、自分自身で暴行を加えるのも、全てが女王としての特権を伴っている。
刻々と時間は進み、あっという間に昼休み。
私たちZ+は、あかりに頼まれた道具を揃えて空き教室へと向かった。
「あれ−?来てないじゃん、あいつ!」
美月が木製バットを振り回しながらわざとらしく叫ぶ。それに同調して果穂も笑う。
「うちらとの約束すっぽかすとか、最悪」
昼休みが始まってからもう2分は経過しているので、あかりの表情が曇り始めた。
その時。
「おっ遅れてすみませんっ…!!」
私たちの会話を聞いていたのか、真っ青な顔をした佐伯が飛び込んできた。
「遅いじゃん、佐伯」
私が言って睨むと、佐伯は慌てて頭を下げる。
「すみませんでしたっほんとに…」
「そんな謝り方でいいわけないわよね」
冷たい声に、佐伯は顔を上げられないまま震えていた。
「土下座くらいしなさいよ」
あかりの命令を聞くなり、慌てて佐伯は膝から崩れ落ちて額を床に押し付ける。
それを見て、待ってましたと言わんばかりにあかりは手を叩いて笑う。そして佐伯が頭を上げる前に「やっちゃって!」と叫んだ。
たちまち、美月が用意していたロープで佐伯を縛る。土下座した姿勢のまま縛られ始め、変に抵抗したせいで腕も足もきっちりと縛られてしまった哀れな豚。そしてすかさず、りりが佐伯の頭にビニール袋をかぶせる。
「!?」
「大丈夫よ、殺すつもりなんてないから。まだ早いもの。玩具にしたその日に殺すなんて勿体ないでしょ?」
あかりは笑いながら、苦しみながらもがき続ける佐伯の頭を踏む。
「っ…!!!」
そろそろ佐伯の息が止まる、その直前にあかりはビニール袋を取った。
激しく呼吸をし、縛られたままできる限り酸素を吸おうとする佐伯のあまりにも醜い姿に笑いが止まらない。
「ゲホゲホッ、うえ…」
「うわっきったなーい!!」
果穂がばっちい、と佐伯の腹を蹴る。見かけによらず脚力が強い果穂の蹴りに顔を歪め、佐伯は更に咳き込んだ。
- Re: 格差の中で生きている ( No.10 )
- 日時: 2017/02/13 16:57
- 名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)
「さっき、あなたの顔を踏んだせいで、上履きが汚れたの」
あかりが佐伯の髪を荒々しく掴む。
何かを察した様子の佐伯が、「い、嫌だ」と小さく首を振った。
「いやぁね、舐めてくれなんてこれっぽっちも思ってないわ。それじゃ更に上履きが汚れるでしょ?だから───」
ちらっと視線を移して、空き教室の汚い黒板を指さした。
「あれをきれいにして」
空き教室の黒板は随分と使われておらず、文字を荒々しく消した跡やチョークの粉が残っており、まだうっすらと数学の公式が読み取れる。その汚れた黒板を、きれいにしろとあかりは言った。
「あ、は、はい…」
「と言っても」
驚きながらも返事をした佐伯にあかりが声をかける。
「ただきれいにしろと言ってるわけじゃないわ。ここはあなたの力の見せ所よ。雑巾や黒板消しで綺麗にしろなんて簡単すぎるでしょ?だから、あなたの体でやりなさい」
「えっ?ど、どういう…」
「分からないの?あなたの服や全身で、その黒板を綺麗にしなさいと言ってるの。もちろん水や雑巾なんて使わないわよね?」
悪魔のような微笑みに、佐伯は瞳の色を失った。
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