社会問題小説・評論板

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格差の中で生きている
日時: 2017/02/05 16:41
名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)



はじめまして!あくあです。
なんとなくのペースで投稿していきますっよろしくお願いします!

いじめの小説なので、不愉快な気分にしてしまったらすいません(;´Д`)

Re: 格差の中で生きている ( No.1 )
日時: 2017/02/05 16:51
名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)

世の中、どんな場所にも格差はある。
会社や学校なんかはもちろん、町を歩いている時に「あぁ、あの人きれいだなぁ」と思えば、それだけで自分との格差は無意識のうちにでも自覚しているのだろう。

そして学校というのは、スクールカーストなんていう名称があるほど格差にこだわってしまう場所。

生まれつき顔がいいとか、頭がいいとか。思春期真っ盛りな中学生にとっては、どうしても容姿が気になってしまったりする。それはもう、私もみんなも、当たり前のこと。

そんな私、西嶋綾音は中学2年生。私のクラス──2年4組は、とにかく格差を重視する。

普通「1軍」と呼ばれるグループは「Z+(ゼットプラス)」と呼ばれ、周りから常に恐れられる存在。「2軍」は「+(プラス)」。そして「3軍」は、「-(マイナス)」。これはクラス替えのその日に決まった呼び方で、誰が作ったのかは不明。

男子も女子も、グループに分けられているすてきな世界。無理に友達を作ろうとしなくても、自然とその界隈にいれば話し相手はできる。だから私はこの制度が好き。

私はZ+だから、何も心配しなくていい。明日は私がハブられるかもとか、同じグループの子に気を遣う必要もない。

Re: 格差の中で生きている ( No.2 )
日時: 2017/02/05 17:05
名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)

今日も、楽しい楽しい私の勝ち組ライフは安定している。

「おはよー」
ニコニコと笑みを称えながら、元気よくドアを開け、教室に入る。私が1番輝ける場所、それは学校でしかない。
「あや!!おっはよー!」
「おはよ〜美月−!!」
Z+の中でも飛び抜けて仲良しの大谷美月とハイタッチをし、鼻歌をうたいながら席に鞄を置く。
授業の準備などせず、すぐさま仲間の元へ駆け寄った。
「おはよーみんな〜!」
「あ、あや!おはよう−!!」
「ねえねえ、メイク直したいからトイレ行こー」
Z+の癒やし担当、志水果穂がそう言うと、みんなは賛成しトイレへ向かった。

Z+は、2年生の間では有名なグループだ。
容姿が優れた者だけが入ることができる。だからそのイメージを壊すような不細工を招き入れるわけにもいかないし、私たちがこの地位を守り続けるためにはレベルを維持しなければならない。
だからもちろん、Z+だけの特権はたくさんあるわけで。

「あっれ〜?」
トイレに着くと、運動神経抜群で明るい性格の佐藤りりが声をあげた。りりの目線を追うと、まずい、といった顔をしたクラスメートが立ち尽くしている。
それは-組のメンバーだった。Z+はともかく、+や-だけではなんだか締まらないので、その2つのグループに関しては組をつけるようにしている。

その-組の佐伯花と橘柚子が、Z+のトイレに入っていた。

Re: 格差の中で生きている ( No.3 )
日時: 2017/02/05 21:51
名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)

Z+のトイレというのは、唯一洋式の5つのトイレのことを指す。
この学校は校舎が半分に別れていて、西側の棟は1、2、3組。東側の棟が4、5組となっている。
そして各棟の廊下にトイレがあり、そのトイレの中も左右に分かれている。どういうわけか、左に和式5つと右が洋式5つ。左右合わせて計10個のトイレのうち、唯一の洋式トイレはZ+だけが使用できる。

もちろん、日頃から違いは見せ付けていたので、誰も右側に入ろうとはしなかった。それなのに、-組のブス2人が、そこに立っていた。
「おぉっと〜?これは大問題ですよぉ」
りりがケタケタと笑う。
「5組の奴らもうちらのこと怖くて絶対はいんないのにねっ」
果穂も笑い、私たちはズカズカと進んでいく。
「ひっ…ご、ごめんなさいごめんなさい、私…」
「ご、ごめんなさい」
慌てて頭を下げる2人を完全に取り囲み、逃げ出さないように2人がかりで取り押さえた。私は美月と一緒に佐伯を押さえる。
「ほ、ほんとうにごめんなさい…!!!」
「謝って済むと思ってたの?」
顔が真っ白な佐伯に、私は冷たく言い放った。
「…!!」

その時、
「ねぇ2人とも、聞いて?」
美しくも怪しい声が響いた。

Re: 格差の中で生きている ( No.4 )
日時: 2017/02/08 19:58
名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)

声の主は、本城あかり。Z+の、リーダー。取り押さえられた佐伯と橘の前に立ちはだかると、ニコニコしながら腕を組んだ。
「私たちの玩具はね、1人で充分なの」
それだけで、佐伯と橘は、状況を掴んだようだった。
「そう、何も2人をいっぺんにいじめたいわけじゃないから、チャンスをあげる」
あかりはゆっくり佐伯に近づき、その胸ぐらを掴んだ。
「先に右側に入ろうって言ったのはどっち?」

佐伯はあかりの鋭い視線から逃れられず、震えながら「…柚子が…」と言った。
するとあかりは佐伯から荒々しく手を離し、柚子に問いかけた。
「って、佐伯はいってるけど。どう?それで正解?」
「な…!!花っ!!!?なんでうそつくの!!」
橘は顔を真っ赤にしてヒステリックに怒鳴った。
「あんたが言ったんでしょ!?“Z+が威張っててつまんない”って!!」
「はぁ!?いい加減なこと言わないでよ!!」
2人はもう友達だったことも忘れて、怒鳴り散らす。両者押さえられているので手は出せないが、口論は続いた。
「うるさいなぁ」
ふと、あかりがそう口にしたのを、Z+のメンバーは聞き逃さなかった。

Re: 格差の中で生きている ( No.5 )
日時: 2017/02/12 22:48
名前: あくあ (ID: l8Wvg9Qa)

あかりはイライラした様子で髪の毛を指に巻き付け、舌打ちをしながら
「あーもう、どっちでもいいわ。あんた達で決めなさい」
そうぶっきらぼうに言い残し、去って行った。
「あーあ、あかり怒っちゃった」
美月がぽそりと呟いた。
本城あかり。Z+のメンバーすらも恐れる、このクラスの最高実力者。彼女は自分が嫌なことをとことん嫌い、イライラしたら自分勝手な行動をする。
それでも、彼女の行動を止められる者はいない。だからそれを受け入れさえすれば、特に不満もなくなる。要は理解が早ければ得なのだ。
「じゃあ、うちらで決めちゃお」
りりがパッと明るい笑顔で佐伯と橘を見比べる。
「うーん、どっちもブスだから決めづらいなー」
「アハハッりり最低〜!!ほんとのこと言っちゃかわいそうでしょ!」
果穂も明るく笑う。
私はその笑いに調子を合わせながら、
「さっさとどっちか決めちゃお。あと10分でチャイム鳴っちゃう」
と言った。
「そうだよねぇ、うーんどうする?」
「もうめんどーだから多数決にしよーよ!ね?」
前髪をセットしながら美月が提案した。
実際のところ、このブス2人ならどっちいじめても楽しいんだけど。まあ、どっちかがターゲットになって、どっちかがうちらと一緒にいじめれば最高だけどね。そう心の中で微笑み、「じゃあ佐伯がいいと思う人〜!」というりりの声に応じて手を上げた。
──満場一致。Z+のメンバー全員が手を上げていた。
「よっしじゃあ決まり−!」
「決まったみたいね」
りりの明るい声に被さるように、澄んだ鈴のような声が聞こえた。


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