BL・GL小説 （オリジナルで全年齢対象のみ）
■漢字にルビが振れるようになりました！使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例）鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- サクラサク(オリジナルです)end
- 日時： 2015/04/01 18:05
- 名前： ハル （ID: 2CRfeSIt）
「大和、ええか。お前はわしの大事な跡目や。まだ若すぎる言う奴もおるが、そんなもんは関係あらへん。お前の実力は、わしが一番ようわかっとる。先人きって、関東で暴れてきたらんかい」
一週間前、生まれて初めて親父と二人きりになった時に言われた台詞。
関西では敵なしと言われた、竜童会の関東進出が本格化してきたのをきっかけに、関東行きに名乗りを上げた俺への餞とも取れる言葉だった。
「見とれよ、親父。さすが三代目言われる仕事して、帰ったるわ」
…相変わらず、かっこええ事言うわ。俺…。顔も親父に似んでイケとるし…
「まずは、やっぱ女作らなやる気も出…」
「若っ、お弁当忘れてますっ」
「(ズッ…)〜っっ!!!山下っ」
「登校初日に忘れ物はあきまへんよ!若の為に、この山下愛情込めました☆」
どう見ても○の大将にしか見えへん顔が何言うとんや。
「あほ。でかい声して気色悪い事言うな。しばくぞ」
「憧れの若になら、構いません!親父さんから、若のお世話は全て任さてますから何でもお受けします☆」
「…ホンマしばくぞ。…大体、弁当て。何で高校なんか行かんとあかんのや」
関東進出の条件が高校も同時に終わらせろって、なんやねん。今さらやろ…
「そりゃ、若はまだ１７歳ですよ。向こうでは中退されてしまいましたさかい、親父さんのせめてもの親心やと思います」
「…親心…」
今まで親みたいな事したことないやんけ…
「ザワザワ…」
「…あ」
あかん…さすがに学校近くに山下は目立つわ。知らん間に人が集まってきたわ。
いかにもチンピラやしな。
「おい、山下。もうええから帰れや。もう少ししたら、他の奴もマンションに来るやろ。出迎えたれ」
「ああ、はい。申し訳ありません」
…はあ…学校か…
「オイ」
「………?」
…オイ?……おいおい、オイって…空耳…?
「オイ、そこのチャラ男。校門で突っ立ってんの、邪魔」
はぃ?もしもし、ただの高校生に喧嘩売られてます?…この俺が?関東者に舐められたらあかんやろ。
「ア?何やねん、通るスペースあるや…」
………ゴク…え。
「お前…」
何や…ドクンドクン……どう見ても、男…だよな…?
「だから、突っ立ってんの、邪魔だって言ってんだろ」
ドクンドクン…ヤベ…心臓が…ドクン…だ、だって、こいつ…
「あーっ、颯に見とれてるゥ!」
ドッキーンッッ…!!!
「……!!!??…っっ!な、な、なな…」
「翔太…何また下らない事…」
「だって、颯を見る奴は皆見とれちゃうんだもん。罪作りっ、颯」
はい。そう思います。…チラ…いや、ホンマ綺麗過ぎるやろ。長身で、柔らかい栗色の髪の毛、長い睫毛の下から見える茶色かがった透き通る瞳、ほんのり紅い柔らかそうなくちび………くちび………ゴク
「あかん、落ち着け。相手は、男。男やぞ、大和。俺は女好き」
「颯、何かあったのか?」
「淳…」
…?なんや、またえらくがたいのええイケメンやんけ。(俺には劣るけど)
「淳、こいつ颯に一目惚れしたみたい」
「え」
「は!!?い、いやいや、おい、チビ。な、な、なに言うてんのや…っ。アホな事言うたらただじゃ済まさへんで」
「ムッ、チビは余計だろ。動揺しまくってるくせに」
「うっ……」
確かに、なんやこのバクバク感は。あかん、颯とか言う奴直視出来へん…
「行こう、颯。へんな奴に声かけるから…。お前は、強いけど…何かあったら…」
「淳…ちょっ…手…」
ありゃりゃ…手ぇ引っ張って行ったで。まるで嫉妬しとるみたいやな…え…マジ?
「行くぞ、翔太」
「はーい。…(チラ)颯に手ぇ出すなよ。俺達の大事なリーダーなんだからな。ま、変な事考えてもお前は颯に勝てないけどな」
「なっ…アホぬかせっ。俺は、ノーマルやっ!……てか、あの淳とか言う奴、俺の事へんな奴言うてたな!俺を誰やと思うてるんや、覚えとれよ」
…………
「そ、颯…言うんか…コホン……颯。名前まで綺麗やな……」
あかん、なんや、何か高校生活、ドキドキしとる自分がおるやん…
「……颯……かぁ…」
- Re: サクラサク(オリジナルです) ( No.15 )
- 日時： 2015/03/27 23:38
- 名前： ハル （ID: ZRcsPrYH）
『職員室』
「は？今、何て？」
「だから、部活やらないか？嵩原」
「部活？部活……て、運動とかするやつ？」
爽やか連中が汗流して、サッカーとかバスケとか一生懸命やってる……。
「はは…まあ、運動だけじゃないが。お前は背も高いし、いい体格してるから、運動部の顧問達に誘ってくれって頼まれてな」
誰やねん、顧問達て。用があるなら直接言って来んかい。
「あー無理無理。俺、中学ン時からタ………」
「タ……？」
タバコ吸ってっから、運動無理！なんて言えるかっ！
「危ねーっ、自分で自分の首絞めるとこやったで。……と、とにかく、俺忙しいから暇ないわ。悪りぃ、先生」
「嵩原……。部活は、更正するにもいい機会なんだ。俺はお前がやる気になるのを、いつまでも待ってるぞ」
「え？」
更正て………先生、もう完全に手遅れっすわ。
『ガラッ…』
「失礼しやしたー」
…………はあ。
「無断に疲れた。なんやアレ……金○先生かっちゅうねん。あ、古いか……」
急に呼び出しくらうから、何かと思えば………。
「ぷ……それが学校だよ」
「うぉっ！淳っ……何で」
ここにおった、爽やか連中の一人が。
「生徒会の用でいたんだ、職員室に」
「マジ？悪い、広すぎて全く気付かへんかったわ」
「お前は、颯以外気付かないだろ？」
カチーン……失礼な。
「１０回会えば、１回位は気付く。多分」
「１割じゃん、それ。…………っとに、お前はわかりやすいな」
「……なあ、淳」
「なに？」
「ちょっと、気になってたんやけど……お前と翔太は、どうやって颯と知り合ったんや？お前は何となく、颯に近いと言うか…優等生っぽくて、頭がええ颯と近い気がするけど……。翔太は、顔はジャ○ーズやけど、賢そうには見えへんし……」
どことなく、種類が違う気がする……。
「………お前、サラッと失礼な事言うな。翔太が聞いたら怒るぞ」
「あいつとは喧嘩ばっかやから、怒られるのも慣れたわ」
「あのな………翔太は……」
………？
「翔太は、なんや？」
「………いや、なんでもない。悪い……」
淳……？
「翔太の事は、颯か…翔太本人がお前に話せる時に、聞いた方がいい。俺は、言える立場じゃない」
「え？なんやねん、そないな言い方されたら余計気になるわ」
「いや、だから本当に……」
バタバタバタッッ……
「淳っっ！！！」
「……！！？………翔太っ？？」
なんや、ビックリした……血相変えて、どないしたんや？！
「ど、どうしようっ……颯が、颯が俺のせいでキレて………」
は！？颯がキレたって………。
「どうしよう、淳っっ！颯を止めて……俺っ…俺………」
「落ち着けっ、翔太……！颯は、どこにいるんだっ！」
「あ……あの、更衣室……体育館の………」
「行くぞっ、大和！」
「あ？ああ……っ」
一体、どういう事や？！翔太のせいでって……
颯………っ
続く
- Re: サクラサク(オリジナルです) ( No.16 )
- 日時： 2015/03/28 14:57
- 名前： ハル （ID: Ku3ByRAK）
体育館の更衣室………
「はあはあはあ……て、どこや……？」
体育の授業自体、出た事ないから…全くわからん……。
「はあはあ……つーか…はあ……タバコ……やめた方がええ…かも」
体が、ついて行けへん。
「大和、この先が体育か……」
『ガッターンッッ』
「ぐはっ……」
「……！！？……」
人！？おい……人が飛んで来たけど……！？
「颯のやつ……マジか……」
「え……淳っ、ちょっと待てや……っ」
「大和っ！頼むっ、颯を……颯を止めて！俺のせいで颯が……」
翔太………。なんや、なんなんや！？一体、何が起こってんねん……。
「颯っっ！！お前、何やってるんだ！」
「淳……颯、おったんか……うぉっ！？」
ゴク……な……これ…颯が……！？男子生徒が、５、６人ぶっ倒れとるやんけ……。しかも……
「血まみれ……。ヤバいやろ、こいつら……気ィ失っとるで…」
「ハアハア……っせえ。邪魔するな……」
颯……！あかん、いつもの颯と目付きが完全に違う……。
「アホか！なに言うてんねんっ。これ以上やったら、ホンマに死んでしまうわ！殺す気か……っ」
「そのつもりだ」
おぃぃっ！！！
「コラ、さっさと立てよ。翔太に手ぇ出した落とし前、きっちりつけさせてもらうからな」
「ひぃ……っ」
翔太に手ぇ出したて……いじめでもされたんか？翔太のやつ………。
「颯っっ！ええ加減にせえって！！堅気のお前が、ホンマにいてもうてどないすんのやっ。翔太かてビビっとるやな……」
バコッ……
「………うっっ」
腹に蹴りが………！
「大和っ！？大丈夫か……っ」
「邪魔するなと言っただろう」
忘れとった、こいつ…喧嘩のセンスはピカイチやったわ………。
「……っう……。くそが……この俺が腹に食らわされるやなんて、何年振りや。こうなりゃ……羽交い締めの刑や！！」
いくらんでも、この顔は殴りとうないさかいな！
「大和……っ」
「ちっ……なにするっ！大和っ！離せっっ！！」
「淳、翔太！こいつら、どっかに連れて行けっ！早よ手当てせな、ヤバいやろっ」
下手したら警察ざたやで。いくらなんでも、やりすぎや。
「あ、ああ……わかった！翔太、連れていくぞ」
「う…うん……」
「大和っっ！お前なあっ……！」
ここまで颯が怒る言うたら、よっぽどやと思うけど……。
「うっさい！これ以上はただの犯罪者やぞ！頭冷やせやっ！！」
「離っ……」
「離さへん！！お前が冷静になるまではなっ！」
かーっ、この感触……こんな状況やなかったら、違う意味で離しとうないのにぃ！くそーっ…恨むで、翔太！
『医務室』
「すみません、よろしくお願いします」
バタン……
「はあ……とりあえず、海に連絡しよう。話が大きくなる前に片付けないとな」
「………ごめん、淳」
「翔太………。颯は、多分大和が上手くやってくれてるよ。ああいう場数は、俺達よりはるかに多いから」
「…………ごめん」
「…………翔太、あいつらと…切れてなかったのか？」
「……………」
続く
- Re: サクラサク(オリジナルです) ( No.17 )
- 日時： 2015/03/29 00:50
- 名前： ハル （ID: 0.f9MyDB）
『男子更衣室』
「大和……っ、わかった……わかったから、離せ……っ」
「……ホンマか？ホンマにもう、暴走せえへんか？」
離した途端、また殴られたりとか勘弁やで。颯、マジで強いんやからな。
「しない。約束する……。ごめん………頭に血がのぼってた………」
颯…………。
「………ん〜、どないしよ」
「……え……」
そないにしおらしい言い方されたら……
「離しとうなくなる」
「大和っ……」
「俺の腹に蹴り食らわしたバツや。何でこうなったか、話してくれ。翔太の奴、何されたんや」
あっこまでキレるやなんて、普通やない。翔太の動揺具合も、おかしすぎる。
「………それは、言えない」
「じゃあ、離さへん。一晩、このまま」
「からかうな……っ」
バンッ
「俺は、本気や。………わかっとるんやろ？俺の気持ち。俺の惚れた奴が、こないに拳を血に染めて、黙っとれる程俺は大人やない」
「……大和…」
颯は、綺麗で賢くて、そこにいるだけで華がある……。それが、颯や………。
「お前に血は似合わへん。ああいう役回りは、俺にさせたらええ。だから、理由を聞かせてくれ……次は、俺がお前の守りたいものを守ってやるさかい」
「………かい」
「……え？……」
「顔が……近い、大和……」
「ハッ……おぉう！！わ、悪いっっ……」
無意識に壁ドンしとった……っ！！
「……もう……本当にお前は、真っ直ぐ過ぎて戸惑う……」
ドキ……戸惑ってる、颯も……いい……。
「颯………。キスしてええ？」
「な……調子に乗るな…っ」
あ、やっぱり……。
「…………でも、ありがとう。今の言葉……心に響いた」
………颯………。
「…………翔太の事…、一緒に……助けてくれる？」
「助ける？なんや、ホンマにいじめとかなんか？だったら、そりゃ知らない仲でもないし、勿論助けるで」
「いじめか……ある意味、そうかもしれないな……」
……？どういう事や？
「………翔太と、あいつと初めて会ったのは、高校に入学して間もなく……この、男子更衣室だ」
「は？出会いが、更衣室？」
余計、意味わからんけど？
「俺が体育の時に忘れ物をして、放課後取りに来たら、翔太がいた。………乱れた服を握り締めて、声を殺す様に泣いてたよ」
乱れた………服？て……。
「その時は、俺もよくわからなくて、殴られたりでもしたのかと声をかけたんだ。でも、すぐに違うって気付いたよ。………身体中に、その……男の体液が付けられてたからね」
「………っ！？……それって……」
「何とも言えなかった。俺にそんな姿を見られて、動揺で体が震えてたし、今にも倒れそうだったから、俺は自分の上着をかけてあげるしか出来なくて………」
いや……俺だってビビるわ……。男が男にって……。
「後で聞いたら、翔太は中学の時から同じ連中に、ストレスの捌け口として弄ばれてたと話してくれた。俺は、そいつらを痛め付けてやるって言ったけど、翔太はこれで最後だと約束してくれたからって、連中の名前を教えてくれなかった……」
「まさか、それが……さっきの……」
「ああ、……俺もバカだった。最近の翔太は明るいし、少しずつ傷を癒していけてるんだろうと思ってたんだ。………でも、違った。翔太は名前を教えてくれなかったんじゃなくて、教えられなかったんだ。あいつらに、犯られた写メをネットに流すって脅されてたからな」
なんやそれ……普通のガキが達悪いことしやがって……。
「今日、たまたま俺があいつらといるところを見なかったら、俺は気付いてやれてなかった！ずっと……ずっと、翔太を守ってやってるつもりが、何もわかってやれてなかったんだ………」
颯………。
「本当に悔しくて、情けなくて………考える前に、手が出てた。だってそうだろう？翔太は結局、ずっと一人で苦しんでたんだから……っ」
それが、あの怒り………。ホンマ、どんだけ仲間を大切に想ってるんや。惚れても、惚れても、惚れ足りひんやん。
「わかった！約束する。俺も、本気で翔太を……翔太の心を救えるように努力するわ」
「大和……」
「せやから、もう二度と無茶はすんなや。ええな」
守ってやる。
どうせ、住む世界が違う身や。汚れは、俺だけで充分やろ……。
颯の為やったら、なんでもするわ。
なんでも………。
- Re: サクラサク(オリジナルです) ( No.18 )
- 日時： 2015/03/30 08:16
- 名前： ハル （ID: FX8aUA2f）
「一週間の停学……！？……嘘……」
「ホント。あれだけ暴れたから、停学くらいにはしないと示しがつかないだろうって、海が」
おのれ、海め………。
「一週間も颯に会われへんのなら、俺も学校休むわ……淳」
「おい。子供か」
「ぶーっ……だって、今の俺の楽しみは、颯に会う事以外ないんやぞ！一週間、名前もわからん先公達の、意味もわからん授業を聞くだけに来るやなんて、カレーライスにルーがかかってへんのと同じやないか」
「いや、例えがおかしい……。と言うか、いい加減名前位覚えろよ」
最悪や………最悪過ぎて、一気にテンション下がったわ。やっぱ、あン時キスしとったら良かったな………。
「………仕方がないんだよ」
「あ？」
「海、裏から手を回して、あの連中全員退学にさせたから」
退学！？………あいつら、退学になったんか……。
「大丈夫なんか？翔太の事、バレたりせえへんのか？」
もし、あいつらが例の写メとかをネットにでも流したら……。
「海が動いたんだ…抜かりないよ。かなりの圧力をかけて、翔太の事も含めて一切口外しないように話をつけた。第一、あいつらのした事は犯罪だ。向こうも、バレたら困るだろう」
……さすが、阿修羅様。ホンマ、抜かりないわ。それも全て、颯の為か………。
「成る程……」
一方を退学にしたんなら、颯もなにか処分を出さない訳にはいかへんわな……。
「……………でも、さすがに今回の事は、俺も反省した」
「淳………？」
「翔太の事。………最近、生徒会や部活で忙しくて、気付いてやれなかった。本当に、翔太に申し訳ないよ」
なんだかな……颯にしても、淳にしても……。
「俺は、充分やと思うけど？」
「え？………」
「そこまで、仲間を想ってくれる奴なんか、普通おらんで。充分過ぎるやろ。……まあ、俺は、まともに学校なんか行ってへんさかい、ようわからんけど……な」
同年代の仲間自体、おらんし………。
「大和……」
ああ……颯に会いたい………。
あの瞳……あの声……あの唇………
全てが愛し過ぎて、頭がおかしくなりそうや………
一週間なんて待たれへん。
初めて俺を、仲間にしたいと言ってくれたのも、颯やった……。
もう、抑えられへん………。
- Re: サクラサク(オリジナルです) ( No.19 )
- 日時： 2015/03/30 09:32
- 名前： ハル （ID: FX8aUA2f）
「颯お坊っちゃま、お客様がお目見えです」
「ああ、多岐さん……。客？」
誰だろう……。うちに来るなんて、珍しい。
「わかった。通してくれる？」
「翔太……！？」
「颯……っ。あ、えと……ごめん、急に……」
翔太………。
「少し、痩せた？」
て言うか、窶れた……。
「ごめん……」
「クス…謝るとこ、違うだろ。座れよ。今、多岐さんが美味しお菓子用意してくれてる」
「う、うん………。あの、颯………」
「もう、謝るの無しな」
言いたい事は、痛い程わかっている。
「え……」
「お前が謝る事じゃないだろ。今回の件は、俺がムカつく奴を勝手にシメただけ。お前は関係ない」
実際、翔太は何も悪くない。むしろ……。
「でも、颯っ……」
「こっちこそ、ごめんな。ずっと………苦しかったよな」
この華奢な体で、どれだけの痛みを抱え込んでたのか。
「颯………俺…」
どうしたら、癒してやれるだろう……深く傷付いた心を…どうしたら………。
「一緒に、一緒に乗り越えよう。淳も、大和も……俺も、お前の味方だから。何があっても、俺達はお前の味方だから」
「………颯ぉ……」
大きな目に涙を一杯に浮かべて……。
「こんな時位、我慢しなくていいよ。思いっきり、泣いてたらいい」
「うぅ………っ……。………颯の胸で泣いたなんて、大和にバレたら殺されそう………ぐすんぐすん……」
「あ………まあ、ん……内緒な」
大和か………。大和なら、あいつなら……どんな言葉をかけてやるんだろう。きっと、俺や淳には出せない言葉をかけてやるんだろうな。
大和………。
お前の、真っ直ぐで無茶なところが、俺達の中で確実に大きくなってるよ。