BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- ・百合書きます・
- 日時: 2015/03/21 20:47
- 名前: rin (ID: mEh5rhZz)
百合(GL)を書こうと思いつきました。
完全オリジナルです。
題名は特に思い付きませんでした。すいません。
エロはもちろんありません。需要があれば大人の方で。
苦手だ、という方は、ブラウザバック推奨です。
ゆっくり、書いていこうと思います。
- Re: ・百合書きます・ ( No.4 )
- 日時: 2015/03/21 21:53
- 名前: rin (ID: mEh5rhZz)
ふらりふらりと教室に入ろうとすると、後ろから抱きつかれた。
「まっこりーん! おっはよー!」
この変なテンションと、背後から抱きつく癖は、どうせこいつだ。
「み、澪…お、おはよー…」
「ん? 機嫌悪いねー? ほらほらー折角一緒のクラスになれたんだよ?」
正面に回り込んで顔の前で指をくるくるしてくる澪。こいつは私を蜻蛉かなんかだと思ってるんじゃないだろうか。
でも、茉子は内心ほっとしていた。面倒な目にあってまで悠乃と居なくてもいいじゃないか。
「なんでもない! ていうか、本当に一緒のクラスになれて良かったねー」
「ほんとほんとー! また授業中に手紙とかまわしてもいい?」
「バレないようにねー?」
きゃいきゃいとはしゃぎつつつ、ちらっと悠乃を盗み見ると、教室の隅で小説を広げ、黙々と読んでいる。
誰かと交流しそうな様子もない。
まぁ、いいや。と思い、茉子は特に気にも留めなかった。
- Re: ・百合書きます・ ( No.5 )
- 日時: 2015/03/22 21:54
- 名前: rin (ID: mEh5rhZz)
机の上に体を投げ出すように、無気力全開でだらしなく座っていたところを、うしろからつっつかれる。
ちゃらり、と金属の擦れる音がするところをみると、どうやらこれは澪のシャープペンだ。
澪のシャープペンは、薄いピンクのハートが短く細いチェーンで繋がっている、実に可愛らしいシャープペンだ。…「実用性」については触れるべきでは、ない。
振り向こうと背もたれに手をつくと、そのついた方の手の甲に何かが押し付けられた。
少し手を捻りそれを掴む。そして、何事も無かったかのように姿勢を正す…というかもとのだれーっとした姿勢になおる。
[今日は、一緒に帰れそう?]
澪のやたら好きな薄いピンクのメモには、癖のある丸文字でそんな事が書かれていた。
[帰れるけど 澪帰る方向違うんでしょ??? そんなに無理しなくていいよー!]
さささっと書くと、消しゴムのケースに端だけが見えるように押し込み、ぽいっと投げる。
(席が近いというのもあるが)澪の席にことんっ、と落ちた手紙入り消しゴムは、恐らくもう澪にケースを脱がされているはずだ。
我ながらいいコントロールだ、やったぜ、と心の中で呟く。そして、とんだナルシストだな、と付け足してみる。
「…という訳なので、2学年の始めといえどはしゃぎすぎずに、おとなしく帰るように…っと、日直はまだいいか…」
教師の話はいつのまにか終わりに近づいていたようだ。流石の茉子も姿勢を正す。
「起立」
ガタガタと皆が立ち上がる。それに合わせて、というかどさくさに紛れて、澪からの返信入り消しゴムが飛んでくる。
…キャッチ。 もう慣れたものだ。
「礼」腰を折りつつ紙を広げる
[全然いいよ! 話すの楽しいもん☆☆]
こう言われると、茉子はいつもちょっと嬉しくなる。自分だけが友達に一方通行で付き合ってるような気分を感じなくなるからだ。
さてと、とまた脳内で呟き、席を立つと、肩をたたかれた。
恐らく澪だ。あー、でも、悠乃ちゃんかな?それならちょっと厄介だな〜、なんて思いつつ振り返る。
「…長咲さん」
少しためるような口調、黒いおさげ髪、赤い縁の眼鏡の少女が立っている。
通称、委員長の…
「えっと…か、かぐ…」
「か・ぐ・ら・ざ・か。神楽坂です。」
彼女、神楽坂 青葉(カグラザカ アオバ)は、不機嫌そうに呟いた。
- Re: ・百合書きます・ ( No.6 )
- 日時: 2015/03/22 22:18
- 名前: rin (ID: mEh5rhZz)
「えっと…その、神楽坂さんが私に何の用ですか?」
「…用って訳じゃないですけど、ずーっと手紙、まわしてましたよね? 先生の話、覚えてるんですか」
出た、委員長。
このやたら生真面目な様子と、テンプレ的な委員長っぽい見た目、これが彼女が『委員長』と呼ばれる理由だった。
いい意味など勿論ない。
「ていうか、ずっとじゃないです」
「…話を聞いてなかった事には同じです。しかもずっとだれてたじゃないですか」
うっ、と言葉につまる。
困って何も言えず、半ば睨み合いで立ち尽くしていると、澪がやってきた。
「澪、あなたもです。他人まで引きずり込んで悪行に走るのは昔から同じですね」
「…またやってるの? 委員長ごっこ。そんなんだから友達できないんだよー」
今度は、青葉がうっ、と言葉に詰まった。
無理矢理取り繕ってみよう。
「あれ? 二人って仲良しなの? いい…神楽坂さんって澪のこと澪って呼ぶんだねー」
「誰がこんな不良と仲良しですか。冗談もいい加減にして頂きたいですね…」
「そーよ! こんな真面目腐った委員長擬と仲良くなんてしないこと、茉子が一番知ってるでしょ?」
…このあとはもう、お互い言いたい放題だった。
二人の話を聞いてみたところ、どうやらこの二人、腐れ縁の如く、小学校から8年間も同じクラスらしい。
「じ、じゃあ…二人ともお互いが嫌い……なん、だね…」
言葉を選ぶのに一苦労だ。
「そーよ! あたしこーいう奴嫌い! 大人しいとか言うけど! ただうじうじしてるだけじゃないの!」
あ、それはわかる。と心の中で共感。
朝の出来事が蘇る。ゾンビの如く蘇り、増えに増えては脳内を埋め尽くす。そして端から端までくまなく徘徊している。
「…べつに、嫌いってわけでは…ないですけど、苦手っちゃ苦手ですけど…」
あれ?とちょっと引っ掛かる。そんなに嫌っていないのだろうか。
と、少し忘れかけた途端。
「茉子ちゃん」
ゾンビ襲来…じゃなくって、悠乃がやってくる。
「一緒に、帰らない?」
「あ、ごめんね! 今日は茉子は私と帰るの!」
するっと澪が腕に絡み付く。うわ、とのけぞるがあっけなく捕まえられた。
「…なんで?」
「いや… なんでと言われましてもそれは澪が決めた事であって「え?」
遮られ、ちょっとのけぞりをなおして澪を見ると、少し怒ったように澪は言った。
「さっき、いいよー! っていった!」
「…あの、澪…その、おふたりとも困ってらっしゃいますよ?」
「青葉は黙っててよ! 私になんて関係ないでしょ?」
委員長、もとい神楽坂は少しうつむく。「…じゃあ、澪は私と…」
「帰るわけないでしょ! からかうのもいい加減にして。私は茉子と帰るの」
「澪さんは帰宅方向、違います…よね」悠乃が絞り出すように呟く。
…茉子はいい加減疲れてきた。じゃあ三人で仲良しこよし帰ればいいだろバーカ、と心の中でキレる。
これでゾンビがちょっと倒れる。すっきりしてきた。
- Re: ・百合書きます・ ( No.7 )
- 日時: 2015/04/10 20:27
- 名前: rin (ID: OI3XxW7f)
*お久しぶりです。更新遅れてすみません。*
「じゃあ、今日は悠乃と帰るから。そんで、明日は澪と帰る。それでいい?」
悠乃は、こくん、と頷く。
澪は、心底不満そうにうつむく。
「…もう帰る」
取り繕う…つもりは特に無かったが、言い訳をさせる間もなく澪は帰ってしまった。
これはちょっと面倒になりそうだ。
「…では、私も。失礼します。」
青葉は鞄を肩に掛け直し、澪の後を追うように出ていった。
…後に残った悠乃といえば、無表情に、つまらなそうに、どうでも良さそうに続いて鞄を掛け直した。
悠乃の執着の意味が全くわからないが、確実にこれはややこしくなった。
茉子はまたゾンビめ、と心の中で言ってみた。
- Re: ・百合書きます・ ( No.8 )
- 日時: 2015/04/10 20:58
- 名前: rin (ID: OI3XxW7f)
「…ねぇ、茉子ちゃん……」
悠乃がそう話しかけてきたのは、教室を出て何メートルか歩いたあとだった。
「何?」
「…澪さんはいいの? かわいそうだよ…」
「いいよ別に」
悠乃のせいだ、といえば悠乃のせいかもしれないが、曖昧な返事をしてしまった自分にも責任がある。
その責任を逃れる為に、誰かに押し付けてしまう癖は、いい加減直したかった
「いいよ。私が謝っておく」
「ごめんね…」
珍しく会話が繋がり、珍しく悠乃が謝った。
もし、もしも、…もしかしたら、悠乃だって、そんなひねた人間じゃないのかも知れない。
ー大人し過ぎて何を考えているかは全く分からないが。
それから二人はほぼ喋らずに歩き続けた。考え事をしていた、というわけでもないのに、気づいたら家に近づいて来ていた。
「茉子ちゃん」
…今の悠乃の声は、本当に珍しくはっきりとしていた。
「…また、一緒に…帰ろうね」
小さく呟いた。それが悠乃の最大限に、絞りだしに絞りだした、勇気だったのかも知れない。
悠乃は、うつむいたまま玄関に走っていってしまった。
茉子には、憂鬱なような、嬉しいような…本当にどうしようもないような感情が頭に残った。
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