BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- オリジナルBLちょっとH?な続編です
- 日時: 2015/04/04 17:58
- 名前: ハル (ID: yV4epvKO)
ハルです。
前作をもう少し丁寧に作り上げたいと思い、試行錯誤してます………。
小説として、読めるものを……と、考えて悩みつつ…読んで下さった方、ありがとうございます♪
ホントは、漫画も描きたいのですが、時間がないので………。少しずつ書きますが、また、よろしくお願いします。
簡単なキャラ説明
神崎颯………17歳。身長176㎝。容姿端麗、頭が良く、仲間思いで、見かけによらず喧嘩の腕はピカイチ。世界的財閥神崎グループの御曹司の一人。
嵩原大和………17歳。身長180㎝。真っ直ぐでハッキリした性格。関西を牛耳る竜童会組長の息子で現若頭。既に背中に刺青を入れてる、幼い頃からの悪ガキ。颯に惚れている。
神崎海………17歳。身長179㎝。颯の従兄で、颯を溺愛する、冷徹で秀才、颯に似て美形であり、神崎グループの恐れられている次期トップ。
観月淳………17歳。身長183㎝。サッカー部エースで生徒会副会長。人望が厚く、優しい頼れる存在。大人。心情は…………?
藤森翔太………17歳。身長174㎝。ジャ○ニーズ風な可愛い少年。以前、同級生達から、弄ばれ、傷付いたところを颯に助けられた。颯に憧れているが、好きな人は別…………?
『私立翠陵学園高等部』
ガタッ………
放課後の静かな校舎の中で、資料室の奥から何かの崩れる音が響いてきた。
「や、大和……っ!やめ……」
焦るような声と、それに反する様な声が続く。
「だって、我慢出来ひんもん。3日振りの颯やで?あかんて、抑えられへん……」
「抑え……ろ…ってっ……」
資料室の壁に押し付けられ、綺麗な顔を赤く染め、抵抗する颯と……颯の抵抗を気にもとめず、左手を颯の腰に回し、右手で器用に颯のシャツのネクタイを緩め、首筋にキスをする大和の姿だ。
颯は、そんな大和の胸に両手を当て、大和の唇を離した。
「ダメだって言ってるだろ!本当に怒るぞ……」
綺麗な目が、大和を睨む。大和は小さく息を吐き、両腕で颯を抱き寄せる。
「俺の事、嫌い……?」
声のトーンを落とし、寂しそうに問いかける大和に、颯も戸惑いを見せた。
「……いや、嫌い…とか、そう言う事じゃなくて……」
普段見ない大和の不安そうな表情が、逆に颯の心を揺さぶる。
「じゃあ、いいんやん」
「えっ………っ!?………っん…ん…っ!」
ニヤッと、一瞬いたずらっ子の様に笑ったかと思うと、大和の唇が颯の唇と重なり合った。
大和の制服のジャケットを必死に握り締める颯の手を、大和の手が包み込む。
「やっぱ、気持ちええ……颯とのキス。もう………他の奴とは出来ひん……」
大和はそう言うと、再び長い口づけを颯にする。大和の……深く、長いキスが、颯の身体の力を奪っていく。
「……やま……っ…」
颯は、崩れそうになる身体を支える様に大和にもたれ掛かった。
「可愛いわ、颯。………いつもの、落ち着いた大人な感じとは、えらい違いや…………。ますます、惚れてまうわ」
大和は颯の身体を抱き締め、おでこにキスをした。
「こんな事するの、お前位だ……バカ……」
困ったように言う颯が、大和にはまた心地良く、嬉しい以外のなにものでもなかった。
「あ、それ誉め言葉?お前には、なに言われても誉め言葉にしか聞こえへん」
「あのな……っ…」
『ガチャ………』
「え………」
突然、資料室の扉が開き、メガネをかけた長身で端正な顔立ちの男子生徒が立っていた。
「誰や、お前。今、ええとこやから邪魔すんなや」
少しムッとしたように、大和が言った。
「田城……っ…!」
「田城?」
慌て叫ぶ颯に、大和も反応する。
「神崎…………。悪い、邪魔したな…」
田城と呼ばれる生徒は、表情一つ変えず向きをかえた。
『バタンッ』
「ちょっ………田城!待っ………」
妙なところを見られ、颯は頭に手をやった。
「…………最悪。こんなとこ、見られるなんて………」
「………ええやん。皆さま、公認言う訳で」
そう言うと、大和は後ろから颯を抱きしめた。
「あのな……!……あいつは、田城は淳と同じ部活で同じ生徒会で……現生徒会会長なんだよ………。よりによって、あいつに………」
「ふーん…………淳の知り合いなん?………それも、まあ………立派な肩書きやね…………」
項垂れる颯を尻目に、大和の興味は颯の首筋に向けられ、優しく唇を這わす。
「大和〜っ!」
颯の呆れる声だけが、資料室に広がっていた………。
続く。
- Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です ( No.19 )
- 日時: 2015/04/18 09:17
- 名前: ハル (ID: HDoKOx/N)
バサッッ…
「…………くそ……」
リビングのソファにジャケットを投げ、海が珍しくそう苛立ちを露にしていた。パーティーで早川拓実に会った後、秘書達の計らいで早急に帰宅したのだ。
「…………海?帰ったの?思ったより、早かったんだね………パーティー」
玄関の開く音に反応して、颯が部屋から出てきて声を掛けた。
「あ………ああ……まあな……」
颯への返事もそこそこに、海は冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを出して、口にした。
「海………何か、あった?」
いつも見ない海の様子に、颯は心配そうに声を掛ける。そんな颯の気持ちを悟り、海がボトルを置きながら小さく息を吐いた。
「いや、大した事じゃない。ちょっと、事業の事で苛々してただけだ。悪かったな、心配させて」
そう言うと、海は優しく微笑んだ。颯の前では、決して乱した自分を見せたくはない。海は、静かに自分の心を立て直した。
「……本当に………?」
常に自分を崩さない海が、逆に颯には気になった。ネクタイをゆるめ、食卓の上に置いてある封書類を手にしている海に、颯はもう一度尋ねる。
「クス………なんだ、やけに心配してくれるんだな」
「……あ、いや…………ごめん……」
あのキスの日以来、今まで以上に海を意識してしまっている事を、颯は海に言えずにいた。この感情が何なのか、颯自身も答えが出せていない。
「謝るなよ。凄く、嬉しいよ」
バサバサッ………
その途端、海の手元から封書類が落ち、海は颯を抱き寄せた。
「海…………っ!?」
突然の事に、颯の身体が一気に熱くなる。心臓が壊れそうなほど、胸が高鳴りだした。
「か……海?ど、どうしたの………」
「…………あいつに………早川にだけは、絶対に触れさせたくない……………」
動揺を隠せない颯を抱きしめ、海は聞こえない位のトーンで微かに呟いた。
「……?なに…………海……」
海の聞き取れない声に、颯は不安を覗かせる。
「颯……………キス、してもいいか……?」
「え……………」
絞り出すように出た海の言葉に、颯はますます堕ちていくような気がした。このまま死ぬんじゃないかと思う程胸が苦しくて、激しく期待する身体が、颯を欲望の波でのみ込もうとしているようだった。
「お前と…………キスがしたいんだ……」
「か…………い………っ……」
海は、颯の顔を見つめ、ゆっくり唇を重ねた。それだけで、颯の身体が深い快楽に溺れるには充分に感じた。
「ぁ…………ん……」
欲しくてたまらなかった海のキスに、颯は一瞬で全身の力を奪われた。絡み合う唇を離したくなくて、颯も海を求めてしがみつく。
「………颯…………愛している……………………愛しているよ……」
「………海…………」
初めて聞かされる海の愛の言葉に、颯は身体中が麻痺したように、動けなくなってしまった。海の存在があまりにも大き過ぎて、想像もしなかった言葉………。
「お前は、この先もずっと……俺が守るから…………」
そう言うと、海は颯の唇を舐め、耳元から首筋へ愛撫をしていった。
「……は………あぁ………っ………だ…め………」
颯はたまらず、海の首へ腕を回して抱きついた。颯の、なんとも言えない艶やかな声が、海の欲情を駆り立てる。
「………俺の………颯………………」
海は静かに、甘い口づけをしながら、颯の身体をソファに寝かせた。
「……か……い……………海………っ」
早川との出会いが、封印していた記憶を甦らせ、海の中で大きな感情を呼び起こしたかのように、求める身体を止める事は出来なかった…………。
続く……………
- Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です ( No.20 )
- 日時: 2015/04/21 09:51
- 名前: ハル (ID: ZRcsPrYH)
「あ………ぁんっ…………か…ぃ…………っ」
間接照明に切り替えられた広いリビングから、颯の色艶漂う声が響いてくる。ソファの肘掛けを握り締めながら、颯は綺麗な容姿を悶えさした。
「そう言えば……明日は多紀さんが休みだったな………」
海は後ろから颯を抱きながら、耳元で口を開いた。
「は……っ………あ、明日………?」
海の話に、颯は何とか反応する。乱れた服から覗く身体が、ほんのり汗ばんで、颯の色気を一層強調していた。
そんな颯を、海は下半身に手を忍ばせ、ゆっくり攻めていく。
「………っ……ぁあ……やぁ……海っ……」
海の緩やかな手の動きに、颯はたまらず身体を反らし、目を潤ませる。それだけで、気持ち良過ぎてイキそうになった。
「颯…………明日、学校休みな」
「………え……?な……、……なん……でっ……んんっ………」
海は再び、颯を自分の方へ向け、唇を舐めて絡めた。離した唇から糸を引くように、舌が縺れていた。
「明日………一日中、俺の相手をしてもらうから………」
颯の胸に口づけをして、海は颯を見つめる。見上げるように見る海の瞳に、颯の身体は一段と疼いた。
「一日中って…………無理だよ……。………今でも、おかしくなりそうなのに………身体が……はぁ……壊れちゃう…………っ……」
顔を赤らめて、乱れる息を必死に堪えながら、なんとか答える。
「前に言っただろう?俺しか受け入れられない身体にしたいって………今、したいんだ………。…………俺だけの、身体に………」
「か…………いっ……」
海の長い指が、颯の唇を舐めるように滑り、口の中へ入っていく。颯は……もう既に、海の造り上げる快楽の渦に溺れているような気がした。
「………俺だけの、颯………にな……」
海の優しくとろけるような声に、颯は海の指を加えて舐めた。海は、そんな颯を抱き起こし、自分と密着させる。
シャツを通してでも、海の筋肉の厚みを感じ取れて、颯をますますエロチックな気分にした。
「…………海だけの……俺………」
颯は、小さく呟き、火照りが止まらない身体を海の中へ沈める。誰もが一目置く完璧で素敵な海が、こんなに自分を求めてくれる事が、幸せ過ぎて苦しかった。
淳や、大和とは違う………もっと何か、特別な………。
「颯………愛しているよ。初めて会った時から、ずっと……お前しか見えない………」
だから、いつも……どんな時も、颯の為だけに生きてきた。颯を守る為だけに、今の地位を受け入れてきた…………海は、愛しくてたまらない颯へ、熱く深く……長いキスをした。
「………愛……………これが……………?」
颯は海の言葉の余韻に浸りながら、海のキスを受け入れた。
二人の手が自然と絡み、身体が重なり合う。間接照明に照らされた海は、普段以上に美しくて、格好良かった。
「か……いっ………あぁ……っ」
海の唇が、颯の身体を愛撫し、海の手が腰から下へと滑り入っていく。颯は海のシャツを掴み、自分の中へ入ってくる海の手を受け入れた。
「や……っ……はぁあ………っ」
颯の中に入り込んだ指の動きが、少しずつ颯を攻め立てる。快感が、波のように襲ってくる。
「…クス…………ダメだよ、颯。指でイッてたら、俺を受け入れる時には、本当に壊れてしまう…………」
「………だ……って………ん…っ……海………上手過ぎる……から……っ」
颯は、海に抱きつき、身体をよがらした。
「……海………っ……ぁ…あっ……」
「…………颯……。…………颯…………愛し過ぎて、狂いそうだ………」
お互いを知り尽くしているからこそ、これ以上にない淫らな時間を造り上げていった…………………。
- Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です ( No.21 )
- 日時: 2015/04/21 16:36
- 名前: ハル (ID: 0.f9MyDB)
「はあ!?……今日颯休みなんか?!」
休み時間の中庭で、ベンチで珈琲のカップを手に座る淳と翔太を見下ろすように、大和が露骨に不機嫌な顔を見せて叫んでいた。
「ああ……何か、家の用事みたい……な?海も一緒みたいにlineでは書いてたけど……」
淳は、大和を見上げながらスマホを見せた。
「ちっ……あの冷徹野郎…………。家で颯を犯ってんと違うやろな」
相変わらず、大和は鋭い勘を働かせて、言葉を吐き捨てるように言った。
「おいぃっ……卑猥過ぎるだろ!ホント、下品だなっ」
大和の率直な言葉に、翔太は呆れて叱咤する。
「あ?アホか、犯る犯らんの話が上品に出来るか。大体、あの颯と同居しとって、あんだけ溺愛しとる奴が手ぇ出さん訳ないやろ」
大和はふて腐れて、淳から珈琲を取ると、目の前で飲み干した。
「え…………」
「あーっ!淳の珈琲……」
意表を突かれて驚く淳の横で、翔太は声を大きくする。
「なんや、ええやん。淳と俺の仲やし」
「俺と淳の仲ってなんだよ!?そう言う事じゃなくて、礼儀の問題だろ!」
平然としている大和に、翔太は苛々が強まる。そんな翔太の様子に、大和は少しニヤニヤして口を開いた。
「………ふーん、せやったな…………俺が淳と間接キスしたらあかんよな。気ィきかへんで、悪かったな…………翔太」
「ん?何?どういう意味だよ……」
大和の言う事に、淳は首をかしげて尋ねる。
「ダーッッ!何でもない!!こいつが、勝手にわけわからない事言ってんの……っ」
翔太は一気に顔を真っ赤にして、必死に大和の話を誤魔化した。
「……翔太……?」
不思議そうに翔太を見る淳に、大和がため息混じりに話し掛ける。
「淳………お前、頭ええわりに、案外自分の事には鈍いな。しかも、田城の事を含めても、結構女だけやのうて男にもモテるし……。………俺には理解できひんけど」
「悪かったな………」
田城の話に、淳は戸惑いを見せた。この間も、結局中途半端な終わり方をした事が自分でも引っ掛かっていたからだ。
「田城って、田城一真……?………え、何かあったの?」
二人の会話の感じから、翔太の心に不安がよぎる。
「………なんや、聞いてへんのか………。こいつ、田城に告られたんや」
「……え……………」
胸の中で、不安が爆発しそうな位に翔太の心臓が高鳴りだした。
「颯の事が好きでも、淳を支えたいらしいわ。……ったく、淳も淳やで。優し過ぎてもあかんねん。そう言う奴には、ハッキリ言うたらな……覚悟しとるようで、心のどっかで期待してまうやろ。ある意味、残酷な事しとる」
気にしている事を、大和にハッキリと突かれて、淳も何も言えなくなった。
「………わかってるよ、わかってる………」
「淳………」
落ち込む淳の姿が、翔太には、とても切なかった。そんな翔太を見つめて、大和は声を掛ける。
「……翔太……お前も、ええ加減ちゃんと結論出せよ。いつまでも、自分殺しとっても、苦しいだけやで。皆…………自分を変えようと、動いとんねん」
「…………大和…」
武骨で自分を隠さない大和の言葉には、いつも皆が心を動かされるのは何故だろうか…………。過去の出来事から、自分の本心を押さえてしまう翔太にも、それは響いてきた。
「はーっ……せやけど、ホンマ颯がおらんかったら、楽しゅうないなぁ……。海の野郎、今頃絶対ええ思いしとるわ……」
ベンチの近くに建っている外灯のポールに寄りかかり、大和は空を見上げて愚痴った。
「クス………考え過ぎだよ。確かに、颯が休むのは珍しいけど……海がそんな事を颯にするとは……………」
淳は今までの見てきた海を思いながら、大和を宥めた。
「甘いで、淳。ああいうタイプは、地雷を踏んだ時が怖いねん。普段、他人には自分を全く見せへん分、俺達ではわからんデカい地雷が、海の中には眠っとる筈や」
今まで色々な人間を見てきた大和にとっても、海は深い闇を感じる見えない存在であり、特に颯に関しては何よりも脅威でもあった。
「地雷って………踏んだどうか、わからないじゃん。ホントに用事だったら、海に殺されるよ……お前」
いらない妄想を膨らませる大和に、翔太は呆れ気味に突っ込んだ。
「まあ、確かに。………海には内緒やで」
「恐くて、言えないって」
二人のやり取りをにこやかに見ていた淳が、思い出した様に口を開いた。
「いや…………でも、地雷の話じゃないけど……そう言えば、昨日校内で拓実さんを見かけたな…………」
「え………拓実さんて、早川先輩?!」
「ん?誰や、それ………」
翔太の驚く様子に、大和も少し興味がわいた。
「俺達の中学からの先輩なんだ。颯や海の神崎グループに次ぐ、日本を代表する財閥早川グループの御曹司。頭が良くて、スポーツが出来て、生徒会長も中高とした人だ。確か、イギリスの名門大学に留学してた筈だけど……」
「うわ………なんや、またえらい肩書きの登場やな」
淳の説明に、大和は嫌な顔をして耳を傾ける。
「クスクス………ま、うちはそんな連中が沢山入学するからね。…………だけど、正直、俺もあの人は苦手だ」
「人のええお前が?珍しいな」
優しくて、誰からも好かれる淳にしては、意外な発言だった。
「俺も、苦手。なんて言うか………海が『静』なら、早川先輩は『動』。厳しくて怖いけど、海のする事や言う事は間違ってないし、やっぱり一目置いてしまう尊敬出来る凄い存在だけど、早川先輩は違う。先輩は、違う意味で怖い」
淳に続けて、翔太も早川の話にいい顔はしなかった。
「……?……よう意味がわからんけど?」
「なんて言うかな………拓実さんは、人一倍プライドが高い。一見温厚で人当たりが良く見える人なんだけど、自分より、上に立つ人間が大嫌いだし、目障りにな相手は潰しにかかる。どんな手を使っても…………。………そして、多分拓実さんは、海が気に入らない……」
「………え………」
淳の話に、大和の顔が険しくなる。
「将来、海と拓実さんは確実にライバルになる存在だし、お前も感じてると思うけど、海のカリスマ性は今や政財界でも高く評価されている。中学の時から徐々に頭角を表してきた海を、よく思ってないのは俺でも見てて伝わって来てた。………何年か前、一度何かでトラブりそうになった筈だ。詳しい事は、あの海だから教えてはくれなかったけど…………」
「なんやねん、ヤバいやん………そいつ」
「そう……………だから、海に地雷があるとすれば、拓実さんかもなって………。あ、だけど………お前も絶対に下手に関わるなよ。いいな」
淳は、最後に大和に念を押した。海の事をブツブツ言ってはいても、大和が海を認めている事は気付いているし、仲間の為には力を尽くすのがわかっているからだ。
「血の気が人一倍多いもんね、大和は」
翔太もため息をつきながら言った。
「…………っさいわ」
……混じり会う新たな出会いが、今までとは違う風を呼び起こそうとしていた………
ハルです
いつも読んで下さってる方、ありがとうございます。
前作も、下手ながら改めて読んで下さった方がおられるようで、心から感謝します。
エロいの書いてると、深みに入りそうなんで、止めるのに苦労します(笑)苦手な方がいましたら、すみません(^^;
ちょっとずつ、波乱な展開を巻き起こしたいと思っています。興味を持って頂けたら光栄です。
少し、颯が受けすぎなので、展開を模索してますが………(汗)
- Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です ( No.22 )
- 日時: 2015/04/23 19:03
- 名前: ハル (ID: HDoKOx/N)
『海様、お休みの日に大変申し訳ございません』
「中西………何か、あったのか?」
初めて颯を抱いた翌日、海の姿は大きな窓に囲まれた、マンションのテラスにあった。朝早くに、秘書の中西からの電話で目を覚ましたのだ。
自分の部屋で眠る颯を起こさないよう、ソッと出て来た海は、幼い時から空手と合気道で鍛えた無駄のない身体にシャツを羽織り、スマホ片手にジーンズのポケットに手を入れて佇んでいるが、それだけで、まだ十代ながら充分男の色気が漂う魅力的な存在感を出していた。
『はい……それが、先日打合せ致しました、駅前開発の商業ビル入札の件ですが……早川グループが名乗りを上げてきたようです』
「早川が…………?」
その名前に、海の声が一瞬で変わった。
『ええ……。しかも、裏で手を回したのは……どうやら拓実様だと言う噂が』
「なに……………」
海の中に、昨日の出来事が蘇る。
『しかも、拓実様………イギリスの大学を休学して、こちらで事業を手伝われる話が持ち上がっていたみたいです。…………昨日の件は、それを踏まえての挑発ではないかと心配になりまして………。以前から、海様と拓実様は比べられる事も多かったですから………。入札も、うちが話を進めてたのをわかっていた前提にしか思えません』
「…………わかった。夜にはそっちへ行く。夕方、迎えに来てくれ」
『折角のお休みを、本当に申し訳ございません』
たかが十代の少年と言えど、今や神崎グループにとっては、海はなくてはならない存在になっていた。秘書の中西も、海の言葉に安心するように電話を終えた。
「…………早川…………俺と、本気でやり合う気か…………」
海の表情が、一段と険しくなる。早川グループは、決して簡単な相手ではない。ましてや、早川拓実は汚ない事でも平気でやりかねない人間。
海は、手に持ったスマホを強く握り締めた。
カチャ…
海がテラスのガラス扉を開けると、颯がキッチンで水を飲んでいた。
「……颯…………悪い……もしかして、起こしたか?」
颯を気遣うように、海が近付く。颯は濡れた唇を手で拭いながら、グラスを置いた。
「いや……ただ、喉が渇いただけだから………」
一晩中、海に抱かれていた自分を思うと、颯は無意識に海から目を反らしてしまった。自分の中に、海の感覚が溢れそうな位に残っていて、声を聞くだけで身体が疼く。
「……颯…………?」
そんな颯の変化に、海は優しく頬に手を添えて話し掛ける。
「昨日、俺が求め過ぎたかな?身体………しんどい?」
甘く切ない海の声が、颯を包み込み、熱く欲情させる。昨日、あんなに抱かれたのに、海を欲しくなる自分がとても淫らでいやらしく思えた。
「…………だ、大丈夫………海は、凄く優しく……抱いてくれたから……」
本当に、海の身体しか受け入れられなくなってしまったのだろうか…………何度もイカされて、何度も海の名前を呼んで……………昨夜の余韻が、颯の脳裏から離れないで、苦しめる。
「俺…………もうちょっと、寝るよ…………」
颯は、絞り出す様に言うと、少しフラつく身体を壁で支えながら立ち去ろうとした。
「颯………っ」
つかさず海が、颯に手を貸し、抱き寄せる。
「今日、やっと休みが取れたんだ。俺の…………側にいてくれないか?一日中、相手をしてもらうって言っただろう………。ただ、側にいてくれるだけでいいから………」
「……海…………」
海の腕に抱きしめられ、颯は今までにない動揺を感じた。近くにいる事が当たり前だったのに、改めて言われたら………こんなにも嬉しいなんて…………。
「…………変だ、俺…………」
憂いを帯びた顔で、颯は自ら海にキスをした。
「…………そ………」
驚きながらも、海も颯を受け入れる。愛しさで、狂おしい程に求めてしまう欲望を抑えて、颯に身を任せるように唇を重ねた。
朝日が、磨かれたフローリングに反射し、綺麗な二人の口づけを一層美しく演出していた。
離れがたく、絡まる唇を少し離して、海が静かに口を開いた。
「颯………………淳と大和から、本気でお前を奪ってもいいか?」
「え…………」
真剣な眼差しで颯を見つめる海の言葉に、颯は息を詰まらせた。
「……………お前にとって、二人がどれだけ大切な存在かは、よく理解はしているし、二人が大切過ぎて悩んでいる事もわかっている。でも…………それ以上に、今はもう、お前をあいつらに任せる程、俺は大人にはなれない」
自分の気持ちを解放してしまった今は、颯を自分のものとして、一時も離したくはなかった。
「………海…………」
海の気持ちに、颯は胸が締め付けられた。一番悪いのは自分なのに、誰も責めはしない。本当に、最低で情けない罪悪感に襲われる。
「…………颯、自分を責めなくていい。ただ、お前を愛してしまった俺が悪いんだ。俺にとって、唯一無二の………お前を愛してしまったから………。ごめんな………独占欲が強い我が儘で」
海は、颯を傷付けないように、言葉を選びながらゆっくり語った。その暖かさが、颯の目に涙を呼び起こす。
「ごめ…………俺……………」
「泣くなよ…………お前がいるから、俺は生きて行けるんだ。………この俺があるのは、お前のお陰なんだよ。…………自信持て」
「海……………」
颯の頬を伝う涙を指で拭い、海は、いつもより、ずっと優しく甘い口づけをした。
「誰よりも、何よりも、全てをかけて愛していく…………。これからの俺には、特にお前が必要だから……」
早川の事が頭をよぎる中、海は再び颯を求めるように抱きしめた……。
- Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です ( No.23 )
- 日時: 2015/05/01 17:09
- 名前: ハル (ID: I.inwBVK)
ハルです。
いつも読んで下さってる皆様、ありがとうございます。
しばらく、原因不明でアクセス出来なくて、愛する作品に会えず、ドン底でした(>_<)
大和と颯の大事な絡みを投稿しようとして、消え、本当に苦しい日々でした。(T_T)
また、大丈夫だと思いますが、少しずつ投稿したいので、どうかよろしくお願いします………
読んで下さったら、光栄です(T^T)