BL・GL小説 （オリジナルで全年齢対象のみ）
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- オリジナルBLちょっとH？な続編です
- 日時： 2015/04/04 17:58
- 名前： ハル （ID: yV4epvKO）
ハルです。
前作をもう少し丁寧に作り上げたいと思い、試行錯誤してます………。
小説として、読めるものを……と、考えて悩みつつ…読んで下さった方、ありがとうございます♪
ホントは、漫画も描きたいのですが、時間がないので………。少しずつ書きますが、また、よろしくお願いします。
簡単なキャラ説明
神崎颯………１７歳。身長１７６㎝。容姿端麗、頭が良く、仲間思いで、見かけによらず喧嘩の腕はピカイチ。世界的財閥神崎グループの御曹司の一人。
嵩原大和………１７歳。身長１８０㎝。真っ直ぐでハッキリした性格。関西を牛耳る竜童会組長の息子で現若頭。既に背中に刺青を入れてる、幼い頃からの悪ガキ。颯に惚れている。
神崎海………１７歳。身長１７９㎝。颯の従兄で、颯を溺愛する、冷徹で秀才、颯に似て美形であり、神崎グループの恐れられている次期トップ。
観月淳………１７歳。身長１８３㎝。サッカー部エースで生徒会副会長。人望が厚く、優しい頼れる存在。大人。心情は…………？
藤森翔太………１７歳。身長１７４㎝。ジャ○ニーズ風な可愛い少年。以前、同級生達から、弄ばれ、傷付いたところを颯に助けられた。颯に憧れているが、好きな人は別…………？
『私立翠陵学園高等部』
ガタッ………
放課後の静かな校舎の中で、資料室の奥から何かの崩れる音が響いてきた。
「や、大和……っ！やめ……」
焦るような声と、それに反する様な声が続く。
「だって、我慢出来ひんもん。３日振りの颯やで？あかんて、抑えられへん……」
「抑え……ろ…ってっ……」
資料室の壁に押し付けられ、綺麗な顔を赤く染め、抵抗する颯と……颯の抵抗を気にもとめず、左手を颯の腰に回し、右手で器用に颯のシャツのネクタイを緩め、首筋にキスをする大和の姿だ。
颯は、そんな大和の胸に両手を当て、大和の唇を離した。
「ダメだって言ってるだろ！本当に怒るぞ……」
綺麗な目が、大和を睨む。大和は小さく息を吐き、両腕で颯を抱き寄せる。
「俺の事、嫌い……？」
声のトーンを落とし、寂しそうに問いかける大和に、颯も戸惑いを見せた。
「……いや、嫌い…とか、そう言う事じゃなくて……」
普段見ない大和の不安そうな表情が、逆に颯の心を揺さぶる。
「じゃあ、いいんやん」
「えっ………っ！？………っん…ん…っ！」
ニヤッと、一瞬いたずらっ子の様に笑ったかと思うと、大和の唇が颯の唇と重なり合った。
大和の制服のジャケットを必死に握り締める颯の手を、大和の手が包み込む。
「やっぱ、気持ちええ……颯とのキス。もう………他の奴とは出来ひん……」
大和はそう言うと、再び長い口づけを颯にする。大和の……深く、長いキスが、颯の身体の力を奪っていく。
「……やま……っ…」
颯は、崩れそうになる身体を支える様に大和にもたれ掛かった。
「可愛いわ、颯。………いつもの、落ち着いた大人な感じとは、えらい違いや…………。ますます、惚れてまうわ」
大和は颯の身体を抱き締め、おでこにキスをした。
「こんな事するの、お前位だ……バカ……」
困ったように言う颯が、大和にはまた心地良く、嬉しい以外のなにものでもなかった。
「あ、それ誉め言葉？お前には、なに言われても誉め言葉にしか聞こえへん」
「あのな……っ…」
『ガチャ………』
「え………」
突然、資料室の扉が開き、メガネをかけた長身で端正な顔立ちの男子生徒が立っていた。
「誰や、お前。今、ええとこやから邪魔すんなや」
少しムッとしたように、大和が言った。
「田城……っ…！」
「田城？」
慌て叫ぶ颯に、大和も反応する。
「神崎…………。悪い、邪魔したな…」
田城と呼ばれる生徒は、表情一つ変えず向きをかえた。
『バタンッ』
「ちょっ………田城！待っ………」
妙なところを見られ、颯は頭に手をやった。
「…………最悪。こんなとこ、見られるなんて………」
「………ええやん。皆さま、公認言う訳で」
そう言うと、大和は後ろから颯を抱きしめた。
「あのな……！……あいつは、田城は淳と同じ部活で同じ生徒会で……現生徒会会長なんだよ………。よりによって、あいつに………」
「ふーん…………淳の知り合いなん？………それも、まあ………立派な肩書きやね…………」
項垂れる颯を尻目に、大和の興味は颯の首筋に向けられ、優しく唇を這わす。
「大和〜っ！」
颯の呆れる声だけが、資料室に広がっていた………。
続く。
- Re: オリジナルBLちょっとH？な続編です ( No.4 )
- 日時： 2015/04/04 20:41
- 名前： ハル （ID: ToOa8xAk）
オマケのstory
ギシ……
窓からの月明かりに照らされて、海がベッドから身を起こした。
「…………やっと、寝たな……」
海の隣で静かに眠る颯を見つめながら、海はそっと立ち上がろうと体をずらす。
「………海………」
「………え」
起こした？……海は少し驚いて颯に目を向けた。颯の手が、海の服の裾を掴んでいた。
「……ん………海…」
「クス………寝言か……？」
まだ眠っている様子の颯の手を、優しく離し布団に入れると、軽く頬にキスをした。
「どんな夢を見てるんだ？登場人物は、俺だけだと嬉しいな………」
颯の脇に座り、海は愛しそうに髪を撫でる。
「……か……い………」
「………何回、俺を呼ぶんだ？片付けたい書類があるのに、部屋に戻れないだろ……」
颯の海を呼ぶ声が、海の胸を熱くする。誰よりも、大切で、この世に絶対無二の愛しい存在。初めて会った日から、この先何があろうと、必ず守ると決めた。
「………愛してるよ。俺の……最愛の、颯………」
海はそう呟くと、その綺麗な顔を近付け、颯に口づけをした。
月明かりが二人の美しさをより一層際立たせ、なんとも言えない画を造り上げていた………。
- Re: オリジナルBLちょっとH？な続編です ( No.5 )
- 日時： 2015/04/05 20:45
- 名前： ハル （ID: ToOa8xAk）
「淳……っ」
放課後のグランドで、サッカー部の部員達が練習を始めようと集まる中、淳を呼び止める声が響いた。
顧問の先生と、練習内容を打ち合わせしていた淳が振り向くと、珍しく大和が立っていた。
「………大和……」
初めて自分の部活にまで顔を見せた大和に、淳も驚いて駆け寄る。
「どうしたんだ？珍しいじゃないか……何かあったのか？」
大和は周囲を見渡して、小さく淳に聞き返す。
「ボソ……今日は、あいつ……田城は、おらんのんか？」
「え……あ、ああ……生徒会会長として、うちの姉妹校との交流会に出席してる。俺は他の用事があって行けなかったんだ」
それを聞いて、大和はホッとしたように淳を見た。
「なら良かったわ………。ちょっと、あいつの事で話がしたかったさかい。大体、俺……あのインテリ何か好かんし……」
あいつの事で……そう言う大和の言葉に、淳は少しドキッとした。あれから、田城に言われた事が、まだ自分でも整理がついてないからだ。
「…………田城が、何？……」
「いや………その、なんや………ほら、あいつ何か言うとった？俺と颯の、事………」
頭を掻きながら、尋ね辛そうに言う大和を見て、何の事か悟った淳は、苦笑いしながら答えた。
「お前……場所を弁えろよ。久々に会うからって、節操無さすぎ」
「あ………やっぱ聞いとったんか……。この前、田城が食堂で颯に何か話したみたいでな………あれから颯、なんや…おかしいねん。俺の無い頭で考えても、その事かなあーて思うてな」
ばつが悪そうに話す大和の内容に、淳の顔が引きつる。
「…………田城が？……田城が何か、颯に言ってたのか？」
「多分な。俺が見た時は、席を立ち上がろうとしとったから。……颯も、顔色悪かったし……………淳？まさか、話は違うんか？」
自分の前で、みるみる表情が堅くなる淳を目にして、大和も顔をしかめる。
「わからない…………でも、颯の様子がおかしいとしたら、もしかしたら………」
「おい、なんやねん。………大丈夫か？淳」
思い詰めたような淳の姿に、大和は逆に心配になってきた。
「お前、田城に何かされたんなら、言えや。颯にしろ、お前にしろ、田城と何があったんや？俺が、助けたるさかい。言うてみいや」
「……大和…………」
本当に、大和は真っ直ぐでわかりやすい………いつも、周りを気遣って本心を抑えてしまう自分とは全く違う………淳には、大和の真っ直ぐさが羨ましく感じた。
「……………告白、されたんだ」
「……は………？……」
予想外な台詞に、大和の声も思わず詰まった。
「……だから、告白されたんだよ……田城に」
「………冗談やろ？颯ならまだしも……いくらイケメンとは言え、お前に女は感じへんで？」
そう言う問題？な大和の感想に、淳も少し気分が楽になる気がした。
「俺だって、本当に驚いてる。今でも、どうしたらいいか悩んでるんだ」
「アホ、悩む必要ないやん。お前、颯の事が好きやろ。さっさと断れや。同じ男やったら、絶対颯の方がエロいて」
「お前な……。颯をなんだと思ってるんだよ。第一、俺は颯の事をそんな風に見てはない」
大和の余りに直球な返答が、空気を和らげる。
「嘘つけ。俺には、お前はライバルにしか見えへんで。隠しとっても、お見通しや。………ホンマ、素直やないな。そんなんやから、あんなインテリ野郎につけ込まれんねん」
「…………お前、相談に乗る気ないだろ」
半分呆れ気味に、淳は大和を見つめる。不思議と、いつものやり取りが成立していた。
「………淳」
「…ん？何、まだけなし足りないって？」
「俺は、高校までや」
「高校まで……？て………？」
大和は目線を遠くに向けながら、静かに語りだす。
「俺は、高校を出たら本業に戻る。毎日、今以上に命張って生きて行かなあかん。颯を好きでおられるのも、その間だけや。だから俺は、目一杯愛していきたいねん。初めて、まあ……男やったけど、心底惚れた相手やし」
「何言ってんだ。俺達は、卒業してもお前とは友達だ」
淳は、大和の話を遮るように言った。
「それは、あかん。お前らは、育ちのええ普通の人間や。そんな奴等が、俺みたいな極道者と知り合いやなんて、世の中が許してくれへん」
「大和………」
「せやから、お前には素直に颯の側におって欲しいねん。翔太は、あいつは逆に颯に守られるほうやし、海は……あいつは、別格やけど。他に、颯の側で颯を想ってやれるの、お前しかおらんさかい。………もっと、自分を出せやって話や。……あ、今は多少は抑えてな。俺、まだおるから」
颯がなぜ大和を気に入ったか、その本当の理由が伝わってくる言葉だった。
「………せやから、な？」
ポンッと、大和が淳の肩を叩く。
「颯が、あのインテリ野郎田城に、なに言われたか俺はわからんけど………お前がわかるなら、颯を楽にしてやれるのは、お前だけや。あんな暗い顔、見てるの辛いねん。頼むで、淳」
「………大和……」
大和の不器用な優しさが、淳の胸に染み渡っていた………。
ハルです。
読んで下さり、ありがとうございます。
ただ………このやり取りは書きたかったと思いつつ、エロさがないので、寂しく感じてます…………
物足りなさが残りましたら、すみません…………。
- Re: オリジナルBLちょっとH？な続編です ( No.6 )
- 日時： 2015/04/06 17:32
- 名前： ハル （ID: ToOa8xAk）
大和とのやり取りの翌日、淳の姿は生徒達が帰宅を始める校舎の正面玄関にあった。何かを待つように佇む、長身でモデルの様な淳に、女子達は憧れの眼差しで目を向けていた。
「………淳？」
聞き慣れた声に、淳の表情が緩む。
「颯………」
何故だろうか……見慣れている筈なのに、毎回その綺麗な顔立ちに目を奪われてしまう。まるで、引き寄せられる様に淳は颯に近付いた。
「………久し振り。お前を、待ってたんだ」
淳の静かで優しい口調が、颯の胸を微かに動揺させた。
「え…………部活は？もうすぐ、全国大会の予選で忙しいんじゃ………」
「休んだ。最近生徒会と部活が忙しくて、全然お前に会えてなかったから、無性に会いたくなった。…………今日、俺とデートしてくれないかな？」
「……デ………」
颯は頬を赤らめ、声が出てこなかった。
「駄目……？」
淳の顔が、颯に近付く。周りの女子達が、遠巻きに『きゃーきゃー』と騒いでいた。
「そ、そんな事は………」
俯き答える颯の返事を聞くやいなや、淳は颯の手を握り締め、引っ張った。
「じゃあ、行こう。時間を無駄にしたくない」
「あ……え、じゅ………淳……っ！？」
もう既に収拾がつかない女子達の悲鳴を尻目に、淳は驚く颯の手をぐいぐい引いて歩く。
「ちょっ……淳、手…………皆、見てる……っ」
「構わないよ。今、離す方が嫌だ」
「……淳………」
真っ直ぐ前を向いて答える淳に、颯は緊張が高まっていくのを感じていた。
『Ｃａｆｅ MＯＯＮ』
「懐かしいだろ？ここ」
白で統一された店内に、観葉植物の緑が映えるオシャレなカフェの奥の席に、店員や客の目を引く淳と颯が座っていた。
向き合う二人の前には、それぞれ珈琲と桃のパイが置いてあった。
「中学の時、まだ翔太とも出会ってなかったし、いつも二人だけでいて……」
懐かしそうに話す淳に、颯も笑顔で続く。
「寄り道した、このカフェの桃のパイに二人でハマッた」
「そう。俺達、甘いの苦手だったけど、このパイだけは食べられたんだよね。今考えたら、中学の子供がカフェでお茶ばかりしてたなんて、生意気な話だけどな」
「確かに。嫌味な子供だよ」
二人しかわからない話が、二人の空気をより一層和やかにする。なんとも言えない、癒される時間だった。
「………でも……あの頃から考えても、まさか颯が翔太や……大和と言う、新しい仲間を作れる様になるなんて、思いもしなかったな。凄い進歩でとても嬉しかったけど、もう……独り占め出来ないんだって思ったら、正直、寂しかった」
淳はそう言いながら、颯の目を見つめた。
「淳………」
淳の目線に、颯は目のやり場に困った。そんな颯を見て、淳は少し微笑みながら、珈琲を口にした。
「……………颯、ごめんな。田城のこと」
「え…………」
カチャ……
淳のカップを置く音が、颯には自分の鼓動の音に聞こえた。
「言われたんだろう？俺の事………」
「……………」
淳の問い掛けに、また不安が押し寄せる感覚がして、颯は何も言えなくなった。
「颯………。………不安にさせて、ごめんな……」
「………淳…………」
長い間、ずっと颯を見てきた淳が、颯の心の中をわからない訳がなかった。
「…………大丈夫だから…。お前が不安に思う事は、何もないから………」
そう言うと、淳は優しく颯の頬を擦った。
店内の人々が、そんな二人の様子に釘付けになっていた。
「淳…………」
淳の温もりが、颯の不安を溶かしていく。お互いをわかりあって来たからこそ、沢山の説明なんて必要もなかった。
「………この後どうする？映画でも観る？」
淳の笑顔に、颯の顔もほころぶ。
「なんだか、ホントのデートみたいだな……」
「デートだよ。今日は、ずっと付き合ってもらうから」
淳はレシートを手にして、お会計の準備を始めた。
「ずっとって、いつまで？」
不思議そうに颯が聞く。
「ずっとは、ずっと………。俺が、満足出来るまで」
悪戯っぽく淳は言って、颯を見つめ直した。
二人の、長いデートの始まりだった…………。
続く………
- Re: オリジナルBLちょっとH？な続編です ( No.7 )
- 日時： 2015/04/07 19:40
- 名前： ハル （ID: Ku3ByRAK）
「ガラガラだな……。いいのか？淳……この映画で」
ドリンクと映画のチラシを持った颯が、ガラガラの席を見渡しながら言った。
「あった、ここだ。一番後ろのど真ん中……見晴らし最高だな」
颯の話を聞いているのか聞いていないのか、淳は荷物を空いている席に置いて、颯の隣に腰を下ろした。
「淳……聞いてる？折角久々に映画を観るんだし、もう少し待てば新しいの観れたよ？」
二人が丁度腰を掛けた時、会場が暗くなり、映画の宣伝がスクリーンに流れ出した。颯は、普段忙しくて映画を久々に観る淳を、気遣う様に語りかける。
「………いいよ、なんでも」
色々な予告編に目を向けながら、静かに淳は答えた。
「え………？」
「隣に、お前がいてくれたら………なんでもいいんだ」
「なに…………」
表情一つ変えず言う淳に、颯は、自分の身体が一気に熱くなる気がした。そんな、颯の様子を肩で感じ取るように、淳は颯の手に自分の手を絡め握り締める。
「………じゅ……」
スクリーンから流れるカーアクションの音が、颯の鼓動を表すかの如く激しさを増していった。
「……………大和は……あいつは、いつもこんな風にお前の側にいるんだな」
「淳………」
「………ずっと、羨ましかったよ。俺に出来ない事をするあいつが………」
そう言うと、淳は颯を引き寄せ、優しく唇を重ねた。
「…………！？………っ」
「……………好きだよ……颯」
会場に響き渡る音声が、全く聞こえなくなる位に、深く熱いキスだった……。
続く………
- Re: オリジナルBLちょっとH？な続編です ( No.8 )
- 日時： 2015/04/09 07:36
- 名前： ハル （ID: XQp3U0Mo）
「淳………っ……待って……ん…」
スクリーンからの光だけが頼りな暗闇の中、颯は絡み合う唇の隙間から微かな声を絞り出した。
「……待たない……………もう、待てないよ……」
淳は、二人の間にある肘掛けを上にし、颯の身体を自分に抱き寄せる。お互いの体温が、一気に全身に伝わるようだった。
「………颯…………お前が、欲しくてたまらない…」
長い間我慢していた感情が、怖い位溢れ出ていく。身体が、颯を求めて止まらない。
淳の唇が、颯の唇から首筋へと流れて、一層と颯を刺激する。
「……あ…………淳…」
身体の火照りと、淳の優しい感触に、思わず颯も淳の背中に腕を回し、しがみついた。淳は、そんな颯に再び口づけをしながら、颯のネクタイを緩め、床に落とした。
「だめ………周りに……気付かれ…………る」
「じゃあ………俺の唇で、お前の声が漏れないように、塞いであげる………」
「……じゅ……ん……っ………」
何度も繰り返される淳からの熱い愛撫に、颯もたまらず唇を求め返す。
「………颯……」
「……俺も……………淳が、欲しい………。田城なんかに……渡したくないよ……」
少し驚く淳に、颯はその綺麗な目を潤ませて、本心を口にした。ここ何日も、気になって、あまり眠れなかった。
「淳が…………欲しい………」
憂いを帯びた颯の顔に、淳の胸が張り裂けそうな程に締め付けられる。
「…………さない。今日は………帰したくない………」
そう言うと、淳は颯を強く抱きしめた………。
『シャ……ッ』
朝日が射し込むホテルの一室、高級感漂う空間の中に、淳が窓のカーテンを開けて立っていた。
ギシ………
「ん………」
眩しさで目をうっすらと開ける颯の前に、制服のシャツを羽織る淳が飛び込んでくる。引き締まった、鍛え上げられた肉体が、美しくて眩しかった。
「ごめ………起こした？」
自分を見つめる颯に、淳は心配そうに声をかける。
「……いや、丁度目が覚めただけ。そろそろ起きないと、学校にも遅れるし………」
真っ白いシーツの色と朝日の光が、颯の綺麗な顔をより際立たせ、なんとも言えない艶っぽさを醸し出していた。
淳は、そんな颯にたまらず口づけをする。
「学校………休ませたい……」
ギシ……
「……淳………………」
ベットの軋む音さえ、心地良く聞こえる瞬間だった。
重なる唇が、離れる事を惜しむように求め合う。
「……………お前を朝帰りさせたなんて、海に大目玉だな」
颯の手を自分の唇に近づけ、キスをしながら淳は微笑む。
「怖い…………？」
不安そうに、颯が聞き返す。
「………怖いね。何年経っても、海は怖い……。お前に対する愛情は、簡単なものじゃないから………。でも………………」
「…………でも？」
淳は、顔を颯の胸元に埋めながら、呟く。
「お前を失う方が、もっと………怖い……」
「淳…………」
田城と話をした時の、自分の不安と同じような事を言う淳が、颯にはとても愛しく感じて、淳を抱きしめずにはいられなかった。
「…………じゃあ……俺を、離さないで……」
「颯………………」
今まで、お互いに素直に出せなかった感情が、とめどもなく溢れ、二人の心を熱く濃いもので満していくような気がした。