BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 森少女—forestga-ru—
- 日時: 2016/03/28 15:24
- 名前: 夏音 -kanon- (ID: pgLDnHgI)
彼女と出会ったのは、夜を忘れるような陽の差す昼のことだった。
「遥瑠夏。」
名前を呼ばれ読んでいた雑誌から目を離し
「何」
と、そっけなく返した
祖母は一瞬寂しそうに微笑んだが
「おつかい行って欲しいの。」
とそう言った。
私は面倒くさそうに立ち上がると祖母はありがとうと言って
買ってきてほしい材料と書かれたメモを渡した。
「そこの商店街でいいから。すぐ帰ってきなさい。」
「ん」
同じようにそっけなく返したが祖母は相変わらず呑気に好きなお菓子買ってきていいからね〜と手を振った
私は祖母が嫌いだった。
何時までも私のことを子供扱いする過保護な人だからだ。
それなのに今年の夏、急に母がおばあちゃんのとこに行きなさいと私に告げたのだ。
私は当然断った。
すると母は「おばあちゃんが会いたがってる。」
と冷たく言い放って勝手にお泊まりの準備をされた
。私の家系の人は過保護しかいないと。その時悟った。
- Re: 森少女—forestga-ru— ( No.4 )
- 日時: 2016/03/29 14:58
- 名前: 夏音 -kanon- (ID: ohlIx/rn)
家に帰る時にはもう日が沈んでいた。
稲子は私に必死に頭を下げていた。
そんな稲子がなんだか愛おしく見えたんだ。
木材の引き戸を開ける。
と、同時に聞こえる足音。
祖母ば涙目でこちらにかけてきた。
「遥瑠夏ちゃん!よかったぁ・・・」
うっ・・・と咽に何か詰まる感覚がした。
帰路についてる途中。
祖母のいう言葉を思い出したのだ。
「森には入っちゃダメよ。」
それは母の子供の世代から言われてたらしい。
ついさっきまで忘れてた・・・
額に手を当て、
「ちょっと道に迷って、携帯が圏外になってただけだよ。」
だから連絡できなかったの。
と私がぶっきらぼうに言うと少し怒るような声で
「道に迷うって私はすぐそこの商店街でいいって言ったわよね。どこまで行ったの?」
初めて聞く冷たく重い祖母の声。
一瞬怯んだが、「商店街にいって、気づいたら違うとこにいたの。」というと祖母は口を開きかけ、そう、、と小さく呟いた。
- Re: 森少女—forestga-ru— ( No.5 )
- 日時: 2016/03/29 15:39
- 名前: 夏音 -kanon- (ID: ohlIx/rn)
その日の夜
床に就くと、稲子の顔が真っ先に思い浮かんだ。
稲子、綺麗な子だったな、
栗色の髪の毛は艶々で、木の実様。
瞳は濃い茶色で、私の全てを見透かす様な、そんな目。
稲子の声は鈴がなる様な声。
その時携帯が鳴った。
開いてみると友達からだった。
【Re;久しぶり。本文 ・ω・*)ノнёιιο! たのしんでる??私はというと原宿で遊んでマース(*´艸`*)ァハ♪すごく楽しいよ(o^^o)そうそう、そっちの伝説聞いたんだけどホントかな(¬_¬)( 、・ω・)、アノネ】
伝説・・・?
その続きの言葉を読もうとスクロールしかけたとき、
「遥瑠夏ちゃん、もうこんな時間よ寝なさい?」
祖母が寝床に入ってきた。電気を消そうとしてたので仕方なく携帯を閉じた。
今日も快晴だ。朝ごはんも食べ終わったし稲子に会いに行こう。祖母は今郵便局に出かけてる。
書き置きを一応残して家を出た。
- Re: 森少女—forestga-ru— ( No.6 )
- 日時: 2016/03/29 15:50
- 名前: 夏音 -kanon- (ID: ohlIx/rn)
昨日の森に急いだ。
稲子が待ってるかもしれない。
森にはあっさりと来れてしまった。
家から案外近いようだ。
「稲子〜?きたよ〜!」
私の声に応じる声が返ってくる。
「遥瑠夏ちゃん!」
その声はなんだか懐かしかった。
「ごめん!遅くなっちゃった。」
「ううん、そんなことないよ。私ね今、木の実を取ってたのよ。」
そう言うと私に小籠を握らせる。
「一緒に取ろう、この森美味しい木の実でいっぱいなんだよ!」
幼子の様に燥ぐ稲子がすごく微笑ましくて..
私はじゃあ行こう。案内してね!と言った
森の奥に来てしまった。
でも稲子もいるし、大丈夫だろう。
「遥瑠夏ちゃん、この木の実美味しいよ。」
真っ赤な木の実を差し出す。
口に含むと甘酸っぱい風味が拡がった
「美味しい!これ美味しいね!稲子!」
「ふふ、そうでしょ!」
稲子といるのがこの田舎にいる間の楽しみになった。
- Re: 森少女—forestga-ru— ( No.7 )
- 日時: 2016/03/29 17:39
- 名前: 夏音 -kanon- (ID: g41dHign)
稲子といると、時間が過ぎるのが早くなる。
もう少し一緒にいたいのに、そんな願いも愚か、日は暮れていく。
気がつくと
私が都会に帰る日は明日になっていった。
「あ、友達からのメール来てた、、。稲子と遊びすぎたかな。」
【Re;(❀」╹□╹)」*・おーい本文 ε٩(๑>ω<)۶зもうさっきから、連絡してるんだけど!電波弱い?⚡⚡⚡あのさぁ明日帰ってくるんだよね?伝説確かめられた?遥瑠夏の事だからどうせ信じてないでしょ(●`ω´●)ホントかもなんだって!】
伝説?
あ、そういえばこの間着てたな、なんだろう
友達からのメールを確認したとき、私の鼓動は打ち鳴らされた。
その日の夜は寝れなかった。伝説のこととかもあったけど祖母の咳き込む声で眠気なんて襲ってこなかった。
翌日
最後にと、思い、稲子のいる森へ向かった。
家を出る前、祖母が私のことを呼んだ気がした。
私は聴いてないフリをした。
- Re: 森少女—forestga-ru— ( No.8 )
- 日時: 2016/03/29 18:01
- 名前: 夏音 -kanon- (ID: g41dHign)
「稲子!」
稲子は振り返った。
その顔は元気がなかった。
「? あのね稲子わたし、明日帰るの。だから。」
「帰って」
稲子の口から発された言葉は予想してたのと全く違かった。
「何で?友達でしょう?だから、最後に、」
「友達じゃないわ。」
私の目は大きく見開かれた。
え?
友達じゃない?
じゃあ、今までの時間は・・・?
「・・・私の名前」
稲子は小さくそう言った。
「稲子がどうしたの?」
「気づいてよ、遥瑠夏ちゃん!」
遥瑠夏ちゃんと呼んだその声は
「おばあちゃん・・・?」
稲子はコクっと頷いた。
「ふふっ、やっと気づいた。遅いよ。まぁでもこんな若々しい姿じゃあ気づかないか。」
どういうこと?
幽霊…じゃないよね。
おばあちゃん生きてるし
「死ぬの。私。遥瑠夏ちゃんともう遊べない。」
「え?」
「病気なのよ。おばあちゃん・・・だから最後に遥瑠夏ちゃんと会いたかった。だから、神様にお願いしたの。健康な姿で昔の私の姿で、遥瑠夏ちゃんにはわからない姿で会いたいって」
病気?
昨日の咳は、、、
「まぁ、でもなんとか持ちこたえたかな!都会に帰るときに死ぬんだからふふ。」
「なんで、笑ってるの?」
ん?と少し考えてやっと言葉を見つけたと言うように稲子、おばあちゃんは私を見据えた
「幸せだったから。」
「幸せ﹆﹆﹆?」
「遥瑠夏ちゃんのあんな幸せそうな顔、見たことないもん!あ、生まれたばっかりの時ぐらいかなぁ、」
「伝説って本当なのね。」
「私もびっくり。生まれて初めて試して実際になるんだもん。」
ブーブーと携帯が鳴った
母からだ
「あれ、もう?やだなぁ、確かにもう力がないなぁ。」
「時間?」
いいから出てとおばあちゃんは言った。
「もしもし?」
「遥瑠夏!?今おばあちゃんが・・・っ」
「ーっ?!」
「遥瑠夏ちゃん、さようなら。高校生になっても頑張るんだよ!」
「ありがとう!おばあちゃん!」
私は駆けた。
息が切れるなんてどうでも良かった。
引き戸を開け、おばあちゃんの顔を除く
「あはは、やっぱ稲子だったんだ・・・」
お母さんは不思議そうな顔していた
気がつくと私は泣いていた。
止まらなかった。
最後まで
ありがとう。
そして、稲子、あなたは私に教えてくれた。
家族の温かみ
過保護じゃなくて
今を生きる時間を大切にしてるんだってこと。
ありがとう。稲子、おばあちゃん。
私は高校生になった。定期入れにおばあちゃんと小さい頃撮った写真を入れて。
毎日を無駄にせず生きている
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