BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 大切な人
- 日時: 2017/09/03 00:56
- 名前: まる (ID: FOqQFS6Q)
「好きです!付き合ってください!」
高校一年生の春。人生初の愛の告白をした。
「ごめん、無理」
即答だった。俺と先輩の物語。
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BLオリジナル作品となっております。
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不定期投稿となることもあるのでご了承ください。
それでも宜しければご閲覧感謝致します。
- Re: 大切な人 ( No.6 )
- 日時: 2017/09/22 14:24
- 名前: まる (ID: OAZcGWI8)
俺の名前は碓木健治出席番号4番。廊下側の席で席は廊下と教室を仕切る窓の壁とくっ付いている。廊下の窓越しには向かい合う校舎があって、その校舎にしか屋上がない。俺たちの校舎には屋上はあるがそこへ繋がる階段が無ければ扉もない。行けるのは向かい側の校舎の屋上だけだ。
俺の席からはその屋上がくっきり見えるある意味特等席。視力も良くて安心する。強くなるには強い人を見ているといいと聞いたことがある。
授業は開始されているが屋上には4人ほど生徒がいるようだ。昼間見た金髪、癖毛の黒髪、少し髪の長い青髪、難いの良い坊主頭。
金髪と癖毛の黒髪がゲラゲラ笑って何かしているのを青髪はフェンスに背を預けながら見ている。坊主頭は少し離れた所で漫画か雑誌か似たような何かを読んで見ているようだ。
何が面白いんだか。不良でも拳を交わす以外のことをするんだなと思い、一つ欠伸をした所で屋上に誰かが入って来たようだ。赤い・・・けど明るくない・・・サーモンピンク?みたいな髪色のストレートで華奢なーー・・・
「あああ、あの人だッ!」
眠気が一気に吹き飛び目を見開いて席から立ち上がり大声を出した。先生は「どうしたー?座れ」と心配してくれてるようだが、何度見ても過去の記憶と体型が一致する彼を見つけた俺は動揺を隠せない。
慌てて座り直してノートを開く。先生も生徒もそれを見てまた変わらず話し始めた。ノートに屋上にいるメンバーと様子を模写するように描いて描き終えれば、屋上を眺めた。
- Re: 大切な人 ( No.7 )
- 日時: 2017/09/22 23:30
- 名前: まる (ID: OAZcGWI8)
授業が終わって先生に屋上にいる彼らのことについて聞いてみれば「また今度な」と苦笑され、逃げられた。まるで関わりたくないと言ってるように見えて腹が立った。少し質問しただけだというのに、と拗ねながら自分の席へ戻れば高橋と大原元気がいた。大原も昼食を一緒にした友人だ。
絵を描いたノートを机に置いて椅子に腰かければ大原が覗き込んで「上手い」と絵を褒めてくれる。高橋は「アイツらには関わらない方がいいって」と今一番聞きたくない台詞を言ってくる。
「高橋はそんなにこの人達のこと知ってるのか?知ってるなら聞かせてくれよ!」
食ってかかるように高橋に勢いよく聞けば「いや、あくまで噂でしか情報はないけど」と頼りない口調で言われる。イライラが募る。俺はあの人のことを知りたい。知りもしないくせに関わるなってなんだよ。俺は去年知り合って関わったんだっつの!と怒鳴りかけたくなるのを必死で耐える。
廊下は休み時間でざわざわとしている。
「でもあの人達には近づかない方が身の為だって」
高橋の助言は俺の短気な頭の血管を破るのには十分だった。
「噂だけであの人達全員が悪い人って決めつけてんじゃねぇよ!」
- Re: 大切な人 ( No.8 )
- 日時: 2017/09/22 23:52
- 名前: まる (ID: OAZcGWI8)
今日出来た貴重な友人に怒鳴りつけてしまったことに気づいたのは周りが一瞬沈黙になった後だった。血の気が引くのがわかって「あ、いや、悪い」と謝りつつ立っていた為椅子に座り直す。
「一年生は元気だな!」
俺の後方廊下から聞こえた陽気な声に皆が視線を向けた。ーーそこには先程まで金髪の人と楽しそうに笑いあってた癖毛の黒髪の人が口に孤を描いて廊下と教室を仕切る窓の窓枠に肘を乗せながら俺らを見ていた。ゾッとした。声音も口も笑ってるのに目が全く笑ってない。
不良ばかりの中学なのに周りの生徒は声すら出せない。その人が数歩下がって廊下の真ん中に立てば両手を広げて話し始めた。
「やあ!一年生の皆!入学おめでとう!今日は君達に僕等から良い報告をプレゼントしようと思ってね?」
周りを見て最後に俺を見たその人と目が合って何故か怖気付く。そんな時勇気ある一年の一人がその人に向かって拳を上げて走って来た。
「萩原潤だ!あの不良グループの一人!テメェだけでもぶっ倒して・・・」
「はー、まだ話してる途中じゃん」
一年の男が言い終わる前に背負い投げ一本で勝敗は決まった。萩原と呼ばれた癖毛の黒髪は両手を埃を払うように叩けば話の続きをする。
「えっとどこからだっけ?ああ、プレゼントね!」
「ハイ!」と萩原さんが手を叩けば二人の男子生徒が大きめのバケツを持って来て廊下にバケツに入っていた紙をばらまいた。
- Re: 大切な人 ( No.9 )
- 日時: 2017/09/23 00:07
- 名前: まる (ID: OAZcGWI8)
ばらまかれたソレはよく見れば字の書かれたプラスチックのカードの様だった。俺達がその場から動けないでいると気に留めてないのか萩原さんはソレを全員一人一枚持っている事を許可した。詳細は明日、一年の階段の壁に貼る紙に載せておくからとだけ言われ、萩原さんは鼻歌交じりに何処かへ行ってしまった。
萩原さんが居なくなって漸く皆動き始め強制ではないだろうに皆が床に手を伸ばしソレを一枚ずつ拾い上げて教室へ戻って行く。俺も拾って高橋達にも渡す。最後の授業が始まり、俺はソレをチラッと見た。
“五人の内、誰か一人を呼び出せる券”
と書かれていた。先程萩原さんがいた廊下を見ればソレと同じものは一つも残って落ちてはいなかった。ということは、一年生全員がコレと同じものを所持している。
書かれている五人が彼等であることはなんとなく分かった。俺は嬉しかった。
(会える!あの人に会える!チャンスを貰った!早く会いたい!)
プラスチックのソレをギュッと握り締めて神に感謝した。
- Re: 大切な人 ( No.10 )
- 日時: 2017/09/30 00:12
- 名前: まる (ID: OAZcGWI8)
翌日、登校すれば一年の階段に貼られた紙を中心に人だかりが出来ていた。人混みをかき分けて前に出て貼られた髪を見る。似顔絵と名前が書かれていた。紙の下辺りに呼び出し場所は校内とだけ書かれていた。似顔絵は上手いとは言えなくて正直顔を描いてるのか全体的な見た目を描いてるのか分からない。
そんな時、大声を出して俺の前に現れた厳つい顔をした男子生徒が貼られた紙の似顔絵部分に写真を上乗せ貼り付ける。
よく見ればその人は頬が腫れて、目元は紫色、口端から血が少し出ていた。
貼り終えたその人は俺達に聞こえるように言う。
「お前ら一年は特別に呼び出し券とやらを渡されたらしいな!コイツら五人はこの学校のトップってぐらい強い奴らだ!複数人相手でボコボコにしてぇ奴らは俺ら二年とも協力しに来い!いつでも協力してやる!」
紙を叩いている彼に数人は手を挙げて協力を要求する。自分より強そうな格好の人なのに傷だらけ、の上級生を見たら、説得力があったのかもしれない。俺はその人に「五人の中で誰が一番強くて誰が弱そうなのか」を聞いてみた。
「誰が一番強いかってのは自分達が闘って決めろ!弱そうなのは、この中で二年の萩原潤だ。同じく二年の雅実琴こいつは別格だ、まるで動きが掴めねぇ、気づけばやられてんだよ。他の三人は三年で金髪の高塚廉青髪の柳的場坊主頭の最上司二年の二人と比べると狂気じみた強さだ」
それを知ってもヤツらと闘うってんなら力になる、とだけ言えばその人は去っていった。廊下では彼が去った後を見ながら「カッコイイ」と言う生徒もいる。赤髪のあの人の名前は“雅実琴”ポケットから昨日貰ったプラスチック製のソレを確認して鐘の鳴る時間に教室へ戻った。
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