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- (2+8)×3 = ?【 アイドリッシュセブン】
- 日時: 2018/02/25 15:11
- 名前: 深海蒼 (ID: INzfmPW5)
アイドリッシュセブンの小説書く
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のろのろ亀更新
- Re: (2+8)×3 = ?【 アイドリッシュセブン】 ( No.6 )
- 日時: 2018/02/17 01:08
- 名前: 深海蒼 (ID: INzfmPW5)
その質問が飛び出てしまったのは、脊髄反射のようなものだった。
「なぁ、俺のことどう思ってる?」
本当は、あの質問はすごいズルだったのだ。
「………はぁ。」
「ちょっと、こんなところでため息つかないでくれる。イメージ崩れるしプロなら……」
「はいはいわかったわかった」
天の言うことが正しい。収録前のスタジオでため息はをつくべきではない。ただこいつはどうしてその営業用現代の天使スマイルを一ミリも動かさずに毒を吐けるのだろうか。にっこにこの笑顔のままでプロ意識の話をされると寧ろぞっとする。非があったのは俺だから、何も言わずに飲みこむが。
一週間ほど前のことだ。和泉兄と飲みに行ったのは。たまたま時間があって、お互い近くにいたので裏道にある小さなバーへ行った。和泉兄は連れていくと始めは慣れていないのか縮こまっていたが、酒が入るといつもの明るい笑顔をみせてくれる。可愛いといったら怒られるのだろうが、でも可愛いから仕方ない。
…ようは、好きなのだ、和泉兄が。
浮かんだその思いは、きっちり掻き消してカチンコの音を聞いた。
収録の休憩時間…なんだか、煙草が吸いたくなったので、喫煙室に足を向ける。思考は先日の出来事と、それにまつわる和泉兄への感情で溢れていた。
好きだと自覚したというより、気づけば目が離せなくなっていたというのが正しいだろうか。和泉兄は明るく前向きで、男らしくて誠実なやつだというのは少し話をすればわかった。プロ意識も天にひけをとらないほど高い。曲に、ダンスに、ファンに、メンバーに、…そして、アイドルという存在に真摯に向き合っている。そして、気取ったところのない、飾らない性格が雰囲気になって周りに流れ出すから人が集まるのだ。人を笑顔にする才能があると誰かが言っていた気がするが、その通りだと思う。
自分はへテロセクシャルだと思っていたのに同性を好きになったことには戸惑いがあるものの、けれど和泉兄を想う気持ちが変化することは無かった。会うたび、見かけるたび好きになる気がする。
…だから、つい、探りたくなってしまったのだ。
好きになって、眺められるだけで幸せだと思っていた。マイノリティな恋愛感情が受け入れてもらえるとは到底思えなくて、隣で飲みながらあいつの笑顔が見られるなら、充分だと思っていた。けど日に日に強くなる想いはどんどん激しく熱くなっていき………あの質問が飛び出した。
もしも、もしも想いを伝えたら
おまえは俺を受け入れてくれるのか?
どうしても、我慢ならなかったのだ。知りたくてたまらなくて…でもはっきりと伝えたら拒絶されるかもしれないと思うと怖くて怖くて仕方無くて、だからあの中途半端な質問が飛び出した。
あぁ、あの反応はきっと…
分かっていたことだが、それでもはっきり目の当たりにすると堪えた。なのに溢れる気持ちは増すばかりでちっとも収まらない。生活のなかで和泉兄の姿をふとみかければ、やはり好きだと思う。隣に居てほしいと願いたくなる。自分が思っただけ思い返してくれたなら、どれだけ幸せだろうと夢想してしまう。
たらればばかりが降り積もっていくのを、自分じゃ止められなかった。
- Re: (2+8)×3 = ?【 アイドリッシュセブン】 ( No.7 )
- 日時: 2018/02/17 01:09
- 名前: 深海蒼 (ID: INzfmPW5)
喫煙室には、思いがけない先客がいた。
和泉兄である。童顔というか、あの顔で煙草を吸っているところは想像したことがなかったので新鮮だ。…でも何だろう、和泉兄は、煙を吐き出す度に少しずつ目の焦点が曇っているように感じる。いつもの、太陽のような笑顔がなりを潜めてしまい、どこか虚ろに虚空を眺めていた。
「……よし。」
あえて、和泉兄の存在には気づかなかった体を装って中へ入る。和泉兄はこちらに気がついていなかったようで、絶滅危惧種でも見たかのように目を丸くして俺をみた。
「八乙女?」
「和泉兄。偶然だな、おまえも煙草吸うのか」
「まぁ、たまにはな」
その瞳に、一瞬浮かんだ動揺を俺は見逃さなかった。煙草吸うのか、と聞いたら、本当にちらっとだけ和泉兄の綺麗な瞳に何か触れてはいけない柔らかい闇のようなものが顔を出したのだ。誰しもがもっている、自分の負の部分。誰かに見せては嫌われてしまう気がして、普段は誰にも見せない部分。
そのガードが緩むほどのなにかが、煙草に関連してるのだろう。
自分もジャケットから煙草を出して火をつけ、一服するとすぐに和泉兄は自分の煙草をもみ消した。
「…俺、もう行くな。また今度飲みにいこーぜ」
………これは。
いつもなら、時間がよほど無いとかではない限り和泉兄は明るく何かしかの世間話をふってくるのに。喋ることが単純に好きなんだろうなと思ったことを覚えている。そして、自惚れているのかもしれないが、和泉兄も俺と話すことを楽しんでくれていると思う。なのに和泉兄は、まるで俺から逃げるように喫煙室から出ようとしていた。時間が切羽詰まっているならそもそも煙草なんて吸いに来ないだろう。きっと、何かあったのか。
気づけば、和泉兄の腕を掴んで、引きとめていた。
「は?ちょっ、なに」
「…」
当然、和泉兄は戸惑いを露にする。さて、自分でもよくわからないけど引き止めてしまったわけだが、どうするのが正解だろうか。踏み込みすぎてもいけないことは雰囲気で察している。天にKYと馬鹿にされたこともあるが、それくらいは分かる。
…あぁ、そうだ。
わしっと和泉兄の頬をつまむ。人とは、顔の筋肉がほぐれれば勝手に笑うのだから、和泉兄に笑ってほしかった。身勝手な俺の願いかもしれないが、それは必要なことでもある。ふにふにで、なめらかな和泉兄のいつまでも触りたくなるような肌を手放すのは惜しかったが、充分ほぐしたので解放した。
「何すんだ!」
「何かあったか」
勿論和泉兄は食って掛かってくる。けれどそれは受け流して聞き返せば、ぐっと和泉兄は言葉に詰まった。その面食らったような、どこか悔しそうな顔をしている和泉兄の額をとんっと指でつく。
「何があったか知らねぇけど、そんなこの世の終わりみたいな顔してんじゃねーよ。」
押し黙っている和泉兄の頭をぐしゃぐしゃにする。さらさらで、一本一本が絹糸のような髪を堪能する。
「わっ、」
「おまえは笑顔がいいんだから、笑えよ。ステージの上の笑顔を、収録中の笑顔を、いつでもだれかに届けんのが俺らの仕事だろうが。…ほぐしてやったから、ちゃんと笑えよ」
和泉兄には、どうしても笑っていてほしい。それが俺たちの仕事であり、そして和泉兄の最大の長所でもあるのだ。あの眩しい笑顔を、また見せてほしい。そんな思いは、伝わっただろうか。……伝わってしまっただろうか。
ぐしゃぐしゃにしようと荒っぽかった手つきを改め、ゆっくり髪をすく。その時ふと目に入った腕時計は休憩時間の終わりまであと10分ほどを指していた。
「…あ、やべ。休憩終わる。じゃ、またな」
「お、おう…」
結局、ほとんど煙草吸えなかったけど…。
自分の顔が、微笑んでいるのが自分でわかる。
和泉兄の髪とか肌とか、たくさん触れて、エネルギー補充は充分だ。
- Re: 息抜き楽ヤマ※ヤンデレ、絞首注意 ( No.8 )
- 日時: 2018/02/17 19:08
- 名前: 深海蒼 (ID: INzfmPW5)
向こうがわ【がくやま】
「ねぇ、なんで?俺、我慢してるじゃん。仕事はしょうがないよだって俺はアイドルのお前も好きだからな。なのになんでなんでなんで?なんであの娘に笑いかけるの?俺の大好きな楽の腕を、手を、体を、触らせてるの?俺のこと要らなくなった?俺なんてどうでもいいって?」
「…どけよ。話を聞け」
朝起きたら、恋人が馬乗りになってマウントをとっていた。首には細い指がかかっている。顔が近くて、大和の泣きそうに怯えながら笑う表情を嫌でもみなければならない。こんな顔、みたくないしさせたくない。どけって言ってるのにちっともどく気配は無く、大和は涙袋を盛り上がらせた。
「やだ、どいたらどっかにいっちゃうんでしょ。」
ぐっと少し、首にかかる指に力がこもる。体内に入る酸素が減ったことを、視界がぼやけたことで理解した。
「いかないでよ。俺のこと、置いてかないで捨てないで。俺と一緒に生きて死ぬって言ったじゃん。」
「…ん……ぐ……」
「他のやつのとこに行くなら……それくらいならっ…」
やばい。やばい。本気で死ぬ。ぐいぐいと首を締め上げる指は力が強まるだけで弱まる気配はない。指を剥がそうとしてもこの細い体のどこにあるのかというほど強い力なので、引き剥がせない。
「…ゃ、ま、…と」
仕方ないので、大和の頭を抱きよせる。どうせ死ぬなら大和を撫でながら死にたい。考えがぶっとんでいることはわかるが、このくらいの状況になる覚悟はしていたので、その時が来たらそうしたいと思っていたのだ。何かあったら、大和はきっとこうなってしまって、いつか本当に俺を殺してしまうのだろうなぁというのはぼんやり感じていたからこそ、最後まできちんと、愛してやりたいと。抱きよせた後頭部を震える手で撫でる。
「楽?」
拍子抜けしたような大和の声。一瞬大和の力が抜けたのを本能が察知し、脊髄反射でその隙に大和の手を引き剥がした。マウントをとられていたけど、気が緩めばこんなに軽い体なんて簡単にひっくり返せる。大和の下から抜け出した勢いのままベッドから転がり落ちれば、急に酸素が多量にはいりこんできたので、背中や腰を強かに打った痛みなんかそっちのけでむせた。
「ゲホッ、ゲホ…」
「あ、あ……」
咳きこんで、ようやく整いはじめてから大和の方をみた。大和はベッドの上で瞳を揺らしている。脱力していたかと思えば、俺の視線に気づいてびくんっ、と肩を跳ねあがらせる。
「ち、が………ちがう。ちぁう、こんなことしたかったんじゃない。おれ、俺っ…」
「わかってる。わかってるよ大和。落ち着け。」
「ごめん、ごめん。違う。違うんだ。お願い……嫌いにならないでっ……」
「…嫌いになんか、ならねーから。」
大和の目の縁の堤防が決壊するまで、そう時間はかからなかった。立ち上がって抱きしめようと腕を伸ばすと、大和はびくついて咄嗟に頭を抱えて丸まる。ガタガタ震えているので、あぁ思い出してしまったんだなぁと察し、そのまま後ろから包みこむように抱きしめた。
「なぁ大和。」
「…っ…ひっく……」
「良く聞け、今更殺されかけたって俺はお前のこと嫌いになんかならない。」
こうなってしまった大和を元に戻すには、宥めるしかない。丸まっている背中を抱き締めて、震え続ける大和の耳元に唇を寄せた。
「あの人はただのボディータッチが多いスタッフさん。ちょっと偉い人の娘さんらしいから邪険にもできなかっただけ。俺が大事なのは大和だ。」
噛み含めるように囁けば、静かな嗚咽は止まらないもののからだの震えは収まった。肩越しに大和の瞳が覗く。
「…ほんと?」
「あぁ、信じろ。」
「ほんとに、俺のこと大事?こんな俺のことめんどくさいとか嫌いとか近くにいてほしくないとか思ってない?ほんとのほんとのほんとに俺のこと大事?これからも傍に居させてくれる?」
「当たり前だろ。…もう俺だって、お前がいないとやってけねぇよ。」
どこまでも不安定な大和の声に、あくまでも優しく、甘い台詞を吐く。それは本心から出てきた言葉で、人の感情を読み取る力に長けた大和はすぐにそれが嘘ではないと判断した。そしてもぞもぞと俺の腕の中を移動し、こちらを向くと大人しく抱きしめ返してくる。
「…………よかったぁ。」
幼児が、心の底から安心して、全て委ねきるような声音だった。俺の肩口に顔が埋まっているので表情は窺えないが、それだけ聞いていれば22歳の男の声とは思わなかっただろう。
「…愛してるよ、大和。」
狂って、壊れて、ぐちゃぐちゃになった大和のことを、俺はそれでも愛している。大和になら殺されてもいいほど、いとおしい存在。唯一無二で、かけがえのない俺の宝物。
「大和がどれだけばらばらになっても、俺は大和を拾い集めて必ずもとに戻してやるから。…ほら、もう元に戻った。いつもの穏やかで、優しくて、ちょっとめんどくさがりで、誰よりもメンバー想いなIDOLiSH7の二階堂大和だ。だから大和は、ちゃんといつも通り寮に帰って仕事できるだろ?」
「…うん。ありがとう。」
抱きしめた体の異常な細さには内心不安だったが、大和はとりあえず落ち着いたのだろう。ようやく泣き止んだ。
そっと体を解放すると、俺の首をなぞる。
「…ごめん、痕つけちゃった。」
「気にすんな、脱ぐ仕事この季節あんまりないから。」
「朝飯作るね。」
「おう。」
大和はベッドを降りてリビングへと消えていく。その背中を目で追い、見えなくなってからひっそりため息をついた。
そもそも、大和がおかしくなってしまったのは中学生の時のこと。大和から聞いた話だが、いわゆる、いじめ。集団暴行、罵詈雑言は日常の一部。筆箱は溝に捨てられ、机には一輪挿しの花瓶と花。下駄箱が綺麗だったことは無く、給食もごみ箱の中。体育の時には常にはぶられ、時にはバスケのボールを後頭部に叩きつけられたこともあったらしい。親ともぎこちない家でどうすれば助かるかもわからず、毎日繰り返しの日々の中で、大和は思った。゛たった一人でいいから、俺のこと愛してくれたら、大事にしてくれたら、好きっていって、抱きしめてくれたら…。゛けれどそんな相手は現れず、中学を転校していじめは終わった。その頃には今の表向きの大和が出来上がっていて、バランス感覚のいいクラスの潤滑油として機能していたという。そのまま、そんな切なる想いも封印して、芸能界に飛びこんで…大和は俺と出会った。俺の方は殆ど、一目惚れに近いほど一瞬で大和が好きになって、告白した。
その時、大和は思い出した。大切にしてくれるのかと、期待した。その期待に俺が応えられたならそれはとても名誉なことだが、大和はそうして俺に依存した。
スケジュールを把握しておいて、俺が仕事以外で外出すると…たとえそれがただの食事会だとしても、大和は変わる。俺が…大切にしてくれる人がいなくなることに極度の恐怖を覚えているからだろうが、今日のように殺されかけることも何度かあった。
それでも俺は、大和から離れられない。大和が狂ったようにラビチャを送ってきたり、勝手に合鍵を作っていたり、今日のように殺そうとする度に、俺はくらい喜びが湧きあがるのを止められなかった。その行為は大和が俺を求めている何よりの証であり、愛の証明のように思えるからだろうか。傷ついて傷ついてぐちゃぐちゃになった大和のことを、俺はむしろ愛している。
大好きで大切な大和が俺をそんなにまで愛して求めていることに、喜ばずにいられるわけがない。
…結局は、俺もどっかおかしいのかもな。
- Re: (2+8)×3 = ?【 アイドリッシュセブン】 ( No.9 )
- 日時: 2018/03/05 23:17
- 名前: 深海蒼 (ID: INzfmPW5)
誰よりも眩しい太陽みたいなあいつのことを
俺みたいな奴が求めちゃ駄目だと……ずっと思ってた
「っ……ミツ?」
「な、何でもない。何でも…」
なんで、
どうして、
俺のほうが、
想いが荒ぶるのと反比例するように動きは緩慢になる
それでも必死に言葉を絞りだした
「……八乙女か」
「!」
なんで
そう訴えかける大きな瞳に、自分が映っていないことを確認して、ちりっと胸に火が起こる
たとえそれが小さな火花でも、もう止まらない
どれだけ小さくても、それは燃え上がるきっかけになるのだ
「…好きだよ」
「は?」
「ごめんな、ごめん…好きなんだ。ミツのこと、誰にも譲りたくないんだ」
「大和さん??」
困惑した様子のミツに、何だか笑いがこみあげた
あーあ、言っちゃった
何でだろう
昨日までこんなことになるなんて思ってなかったのに
俺が意気地無しだから、あいつに先越されちまったのか
…でも、早いか遅いかなんて関係ないよな?
「八乙女何かに渡さねぇよ。」
気圧されたようにミツが後ずさるが、それを気遣う余裕も俺には無かった
- Re: (2+8)×3 = ?【 アイドリッシュセブン】 ( No.10 )
- 日時: 2023/01/10 20:57
- 名前: 靴下ダイコン (ID: 064ZHG0B)
- プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode
ヤバいです、、めっちゃ好みっす、、アイナナに加えてこのストーリー、、ヤバい、、仲良くなれそうです((コメント失礼しました
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