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的場荘の住人
日時: 2018/01/29 15:27
名前: 紅月圭吾 (ID: nG1Gt/.3)

的場荘まとばそうと言う名の二階建て、2K六部屋のアパートに住む住人の話です。

日常からストーリー重視となっておりますが、BLより傾向があるのでコチラにスレッドをたてさせていただきました。

まだまだ小説は未熟者ですのでアドバイスなどございましたら、気軽にお教えください
また、誤字脱字は気をつけますが、ありました場合はご了承ください

Re: 的場荘の住人 ( No.3 )
日時: 2018/01/29 16:03
名前: 紅月圭吾 (ID: nG1Gt/.3)

1−3.201号室の深山さん

イライラしながら鉄の階段を足音を鳴らしながら上がった先にある部屋、大家の的場さんの部屋の上、プレートには“深山”と書かれている。インターホンを鳴らせば暫くしてから扉が少しだけ開いた。本当に少しだった為、顔が見えなくて扉の隙間を覗けば部屋は暗い様子で一瞬扉が閉まりかけたことに焦り慌てて自己紹介する。

「ああっ、102号室に引っ越してきました紅月圭吾と言います、よろしくお願いしますー・・・」

「・・・こんにちは、よろしくおねがいします・・・」

小さくてか細い声が聞き取れる。暫く黙っていたが扉はそれ以上開くことがなくて俺も何を話せばいいか分からなくて、しっかり挨拶は交わしたが壁を感じる。

「フカヤマさんでよろしいですよね?ここの住人の挨拶に回るように大家さんから言われてまして」

「・・・へぇー・・・あっ、深山律ふかやまりつです」

「よろしくお願いします」

間延びした口調にのんびりした性格なんだろうと思うが、変わらず顔も見せず扉も開けず声量も小さい。また作り笑顔で2度目のお辞儀をする。

「・・・はあ・・・あの、もういいですか?」

「え?あ、はい」

「では」

もういいか、と問われ顔を見せてくれるのかと思いきや扉をガチャリと閉めた深山さんが2度目に扉を開けることは無かった。

Re: 的場荘の住人 ( No.4 )
日時: 2018/01/29 17:33
名前: 紅月圭吾 (ID: nG1Gt/.3)

1−4.203号室の藤堂さん

流石に三人目もこういった感じだと薄々感じ取れるものがある。この的場荘は少し変わり者の多いところなのかもしれないと。
深山さんの隣、俺の部屋の上に位置する部屋の主の名は“上谷”インターホンを鳴らす。

暫くしても出てくる気配がない。もう一度鳴らしてみるが、やはり出てこない、どころか中から物音一つしない。

「志紀なら大学だ」

野太い声が聞こえた方に顔を向ければ隣の部屋、203号室から男性が俺を見ていた。“シキ”とは誰のことか分からなかったが“大学”という単語に俺がインターホンを鳴らしても出てくる気配のなかったカミタニさんのことを言ってくれていることを理解した。

「ありがとうございます!あの、203号室の方ですか?俺は下の階の102号室に越してきた紅月圭吾です、よろしくお願いします」

と彼に駆け寄り挨拶しお辞儀をする。顔を上げれば彼は扉を開けた状態で俺に声をかけてきた時の体制を変えずに紡ぐ。だが、それ以前に驚いた事がある、彼は凄く身長が高かった。

「俺はこの部屋の藤堂正隆とうどうまさたかだ、よろしく頼む」

男性らしい低くく野太い声に体格の良さ、2m程ありそうな身長近くはない距離だが顔を見ようとするなら首が痛くならないために自然と後ずさってしまう。

「で、デカイ・・・」

「大工をしているからな」

「ハッ、すみません、つい」

思った事を口走ったことに彼は無表情で答えたが、後から思う。大工をしているからといって背が高くなるわけでも体格が良くなるとも限らないのでは?と

だが、藤堂さんは他の住人約三名とは明らかに違う。全体的にデカイだけで、それ以外におかしな点が見つからないところ!確かに無愛想だが、彼はマトモな人に見える。真面目そうで、根の優しそうな

藤堂さんに、カミタニさんは夜には帰ってくるだろうから挨拶はその時に行くといいとアドバイスを受け、礼を言って自室へ戻り、荷物を整理しながら夜を待った。

Re: 的場荘の住人 ( No.5 )
日時: 2018/01/30 03:12
名前: 紅月圭吾 (ID: nG1Gt/.3)

1−5.カミタニ?ウエタニ?カミヤです

ハッと目が覚めると周りは真っ暗で慌てて起き上がり部屋の照明をつけて掛け時計を見る。午後7時を回った頃、腹の虫が鳴ったところで腹が減ったから目覚めたのだと理解する。
だが引っ越してきた初日、当然夜ご飯は用意していない。

腹を擦りながら晩飯をどうしようか考えていると外の鉄骨の階段を踏む足音が僅かに聞こえてくる。足音に昼間挨拶に行けなかったカミタニさんが帰ってきたんだと思い駆け出す。

部屋から出て階段へ駆け寄りながら声をかけた。

「カミタニさん!」

階段の真ん中辺りで足を止めたその人は振り返る。銀色の髪に金色の目、背後には月が出ていた。整った顔、月明かりに照らされた毛先が風に揺れて光る金色の目が俺を見ていた。綺麗だと思った。見蕩れていたことにハッとした後気付き、カミタニさん本人か問う。

「あの、カミタニさんですよね?202号室の」

聞いておいて後から思い出すが“上谷”という字は“カミタニ”とも呼べるが“ウエタニ”とも呼べることに。眉を軽く寄せた男性が「ん?」と首を前に出してきて慌てて訂正する。

「すみません、ウエタニさん、ですか?」

「あっはは、カミヤだぜ、上谷志紀かみやしきキミは?」

初対面で名前を読み間違えるのは失礼だと不安げに眉を下げながら聞けば彼は愉快そうに笑って自己紹介をしてくれた。気の良さそうな人でおおらかそうだと思った。

「あ、102号室に今日から住むことになります紅月圭吾です、すみません名前間違えてしまって」

「ん、いや、いいぜケーゴ君、よく間違えられるからな」

「ホントにごめんなさい」

「いいって、これからよろしくな!ケーゴ君」

頭を下げて謝罪を何度かすれば上谷さんは種を返して片手を振った。俺は上谷さんが部屋に帰ったのを見守るとホッとした。中性的な顔に似つかわしくない低い声に驚いたが上谷さんも普通の人だったことに。

Re: 的場荘の住人 ( No.6 )
日時: 2018/02/06 11:39
名前: 紅月圭吾 (ID: nG1Gt/.3)

2−1.落し物

目を覚ますとカーテンをかけ忘れた窓から陽射しが射し込んでいて眩しさに目を細める。布団を畳み、昨夜荷物の整理に出たゴミを纏め共有のゴミ処理場に持って行く。

「ああ紅月君、おはよう」

部屋の扉を開ければ、声をかけられた。部屋の鍵をかける必要は無いかと扉が自動でゆっくり閉まるのを見て声の主の方を見た。
管理人兼大家の的場さんだ。昨日とそっくりの服装で箒を持って庭の掃除をしているようだ。

「おはようございます、早いですね」

「早いって、もう10時だよ?」

「あ!あ、あははー・・・そうでしたー」

朝10時に庭で掃除をしていて、こんなに朝早くから凄いなと思った俺は素直に言った言葉に後悔した。的場さんは笑ったが、俺は仕事もしない、学校も中退経験があるからダメな自分を見られているようで笑えなかった。作り笑いで誤魔化し、ゴミを捨てに的場さんと話を終わらせる。

ゴミを捨てた後、地面で太陽の光に反射し光る物を見つける。屈んで拾って見れば、シルバーのシンプルな指輪のように見えた。

「的場さん!コレ、誰のか分かりますか?そこに落ちてたんですけど・・・」

「うーん、あ!ごめん!もうこんな時間か!今日は用事があるんだ!じゃあ!」

近くにいた的場さんに聞いてみると、的場さんは一度それを見たあと手首にありもしないのに腕時計を確認するフリをして慌てて部屋に戻ってしまった。

取り残された俺は、また面倒事を押し付けられた、と静かに思った。

Re: 的場荘の住人 ( No.7 )
日時: 2018/02/13 23:14
名前: 紅月圭吾 (ID: 7HU7AJ2T)

2−2.落とし主は?

シルバーの光るリングを見つめる。一見、指輪のようだが、細かいチェーンなどを通せばネックレスにもなる。付けそうな人物は皆んな当てはまる。

的場さんはコレを見て、自分のではないから去っていったみたいだし。隣の佐久間さんはチャラい格好にシルバーのネックレスは似合いそうだ。二階の上谷さんと藤堂さんは二人共大人っぽいし藤堂さんは結婚してても可笑しくないあのどっしりとした安定感、上谷さんはあのルックスだ、結婚指輪でも婚約指輪でもオシャレでもこういう小物は似合うんだろう。深山さんに限っては顔も見たことないからな、何とも言えない。

悩んだ結果、藤堂さんに聞いてみることにした。佐久間さんは昨日のように理不尽に怒られるのは嫌だし、上谷さんはまた大学で留守だと思うと、藤堂さんに聞くのが早いと思った。深山さんは顔も見れていないから選択肢にない、論外だ。

二階への階段を上ると、203号室から藤堂さんが出て来て自分の部屋の鍵をかけていた。慌てて声をかける。

「あ!藤堂さん、でかけるんですか?」

「紅月か、そうだ。今から仕事でな」

「日曜なのに仕事ですか・・・」

「休みなんて無いようなものだからな」

「えっ・・・?」

「俺に用があったなら悪いな」

そう言って藤堂さんは足早に階段を降り、去ってしまった。手に握っていたモノについて聞くタイミングは無かった。だが、階段は上がってしまった為、ダメ押しで上谷さんの所へ行くことにした。


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