BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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結婚出来なくても一緒にいられるなら
日時: 2018/05/10 00:48
名前: name (ID: /GGdL2Ap)


親が離婚して父方に着いていくことになり、半年経って再婚した

再婚相手には俺と同い年の子が居た

Re: 結婚出来なくても一緒にいられるなら ( No.7 )
日時: 2018/05/10 03:26
名前: name (ID: /GGdL2Ap)


二人きりになったトイレは静かで、少し気まずい
とにかく助けてくれた礼を言おうと口を開けば翼が横から言葉を被せる

「・・ありがと」
「真ちゃんさァ、そういうプレイが好きな?」

俺に背を向けたままの翼は、先程俺がいじめられていたのは好きでいじめられていたのかと聞いてくる

(またコイツは俺をバカにしてっ)
「そんなわけないだろッ!」

怒鳴るように言えば、「あら、そうなの?」と惚けた口調で俺の怒りを煽る

「当たり前だ!嫌に決まってる!痛いし、アイツらの嫉妬で何で俺が攻撃を受けなきゃいけないんだ!」

「んーそうね、そりゃたしかに」

俺が言ったことに翼はすぐに頷き同意する
解ればいい、と一息付けば翼は振り返って真剣な目で俺を見た

「じゃなんでそれを言わねぇの?」

「え・・・?」
俺は言葉が見当たらなかった
不意打ちされたような気分だった

「嫌なら嫌って言えよ」

俺が黙れば翼は視線を逸らして続ける

「黙っててもなにも解決しねぇだろ」
「それは」
「真ちゃんが良いってンなら、次からは邪魔しねェから」

トイレを出て行こうと歩み始める翼に自分の意見を聞いてほしくて声を荒らげる

「違う!翼っ!俺は」

「自分が変わらなきゃ、またいじめられンのがオチだろ」

翼は俺に背を向けたままトイレを出て行った
俺は、タイルに足が縫いつけられたように動けなくなった
翼の言葉が頭に響いて膝から崩れ落ちた
目から溢れる涙を抑えるように両手で覆って雄叫びをあげるようにワーワー泣いた

Re: 結婚出来なくても一緒にいられるなら ( No.8 )
日時: 2018/05/10 03:40
名前: name (ID: /GGdL2Ap)


夕飯は一人で食べるからと翼は部屋から出てこなかった
4人で食べない夕飯は初めてだった

いじめに勝つには体を強くする必要がある、俺はその日から筋トレを始めた

次の日、翼は風邪を引いたと学校を休んだ

元々俺が嫌っていたこともあり、登下校を共にしなかったから学校を休むことも休む理由も知らなかった

(俺を一人にして鍛えさせようって魂胆か、わかりやすいな翼、その手に乗ってやる)

俺は休み時間になる度に階段の上り下りを足を高く上げてのダッシュ、スクワット、空気椅子、腕立て、大量のプリント運び、沢山こなした

一週間と三日、翼は学校に来なかった
溜まったプリントを届けてほしいと担任から大きめの茶封筒を渡された

帰宅すれば、父さんと椿さんは少し出かけるとメモ書きが残され、翼に飲ませてほしいと薬とコップと水が用意されていた

本当に風邪なのかと疑心暗鬼になりながらそれらを乗せた盆を持って部屋をノックした

Re: 結婚出来なくても一緒にいられるなら ( No.9 )
日時: 2018/05/10 04:21
名前: name (ID: /GGdL2Ap)


返事が無いが入ってもいいだろうと、ゆっくり扉を開けて「入るぞ」と声をかけてコップに先程置かれていた水を入れたものを零さぬように部屋に入り扉を閉める

意外と片付いた部屋に感心する
思ったよりも物が無いが翼は男だから必要な物もないんだろうと解釈する
ベッドに目を向ければ熱を冷ますシートを額に貼った翼が首から上だけ出して布団に入って寝ていた

サイドテーブルに盆を置き、ベッドに腰掛ける

本当に風邪を引いていたことに少し驚いた
翼の寝息は風邪によるものなのか少し荒くて、様子を伺えば顔が真っ赤なのがわかる
熱さはどうかと手の甲を頬に付ければ、すごく熱い
サイドテーブルに置かれていた替えの熱冷まシートを付け替えれば、少し楽そうな表情になる
静かな翼の部屋、いつもは煩いくらい声が聞こえてくる翼は静かに口を閉ざしている
居心地の悪さに呟く

「翼、早く起きろ・・・早く良くなれ」

翼の熱い頬を優しく撫でる、翼の顔を見つめていれば整った顔立ちなのに気づく
出会った当初から印象の良くなかった翼は俺よりも顔立ちがいい方でないと決めつけていたのだろう
だが、俺とは違う顔立ちの良さ、一部の女子からは人気のある顔で、言い方は悪くなるが男の好きそうな顔であるのかと思った
綺麗な赤い髪はサラサラ指の間をすり抜ける
元々白い肌なのが鎖骨を見てわかった

「はぁ・・・病弱なら俺に言ってくれてもいいんじゃないか?」

コホコホと軽く咳をした翼から手を離して新しい氷枕を持ってこようと一度翼の部屋から出た

Re: 結婚出来なくても一緒にいられるなら ( No.10 )
日時: 2018/05/13 17:19
名前: name (ID: YhMlOecY)


どうせ寝ているだろうと二回目に入る時はノックをしなかった
案の定、静かに目を閉ざしている

首の隙間に手を差し込んで後頭部を軽く持ち上げては素早く氷枕を取り替えてゆっくり頭を戻す

「んっ・・・」

またベッドに腰を下ろせば僅かに声が聞こえて翼を見る
ゆっくりと長い睫毛を上げて天井を見ているようで起きたのかと声をかける

「ま、ことちゃ、ん・・・」

「喉が枯れているな、水を飲め」

「いま・・・なんじ」

「今か?もうすぐ18時だ」

寝起きの掠れた声と緩やかな物言いに、いつも通り返事をすると翼は視線をゆるゆる動かし俺を見る
俺と視線が交じわり綺麗な紫色の瞳が俺を写していて目を逸らせない

「うつっちゃうよ」

弱々しく小さな声で紡がれた言葉に初めは何のことかわからなかったが、俺に翼の風邪がうつるから同じ空間にいるのは良くないと言いたかったのだろう

初めてあった時に俺にデリカシーのない事を言うし、他人事にも首を突っ込む、空気も読めない奴だ

全て優しさやお節介から生まれるものなのだと感じた
正直者のくせに自分より親しい人、言わば他人優先で事を運ぼうとしている、バカだがバカじゃない

こんな風邪っぴきに心配される筋合いはない
人の事心配する前に自分の風邪を治せ

「柄にもない事を言うな」

軽く屈んで優しく翼の頭を撫でてやれる
翼を“愛おしい”と思った

翼が伏せ気味だった目を広げ丸くして硬直してるものだから「どうした」と声をかければ「いんや、なんでもね」と顔だけ逸らされた

もう一度寝る前に薬を飲んでから寝ろよ、とだけ伝えて「おう」と小さい返事を聞いて翼から離れて部屋を出た

Re: 結婚出来なくても一緒にいられるなら ( No.11 )
日時: 2018/05/22 12:49
名前: name (ID: RJ0P0aGF)


それから3日後に翼の体調は漸く良くなり、朝食を元気よく食べていた
口いっぱいに食べ物を含んで、俺と目が合えば「食べる?」と俺の皿にも同じものが乗っているのに聞いてくる
誰も翼の食べ物を取ろうなんて思ってない
ただ、元気になっていっぱい食べて表情の動く翼は微笑ましかった

以来、学校まで一緒に登校するようになった

「遅いぞ翼!これじゃあ遅刻するだろ」

「だからマコっちゃん先に行っていいっつの」

玄関でその場駆け足しながら振り返ってみれば翼はゆったりと靴を履いて翼を待っている俺を不思議そうに見る

「翼と一緒に行きたいんだ!」

「あ、そう」

「だが不本意で遅刻し、怒られるというのは」

「あーへいへい、遅刻しねェーから平気よん」


翼の言葉を半分疑いつつ、翼の最近あった話や好みの女子のタイプなどを聞いていると学校に着いたのはあっという間だった
本当に遅刻しなかったのは、この時間に登校してくる翼に関心したが、今度はもう少し早く家を出ようと伝えれば「真面目ちゃんネ」と馬鹿にされた


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