BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 友人と恋人の境界線
- 日時: 2019/04/18 23:48
- 名前: キジ (ID: LaqAx/EG)
創作BL作品です。
・プロローグ
俺は八木帝人
生まれつき容姿が良くて黙っていると近寄りづらく爛々と話をすればたわいもない話でも人が寄ってきて目を惹く存在だったのだろう。
集団でなら周りは遊んでくれたが二人や三人となると会話のネタも無いと断られ、友達が出来なかった。
そんな俺に付き添ってくれる友達、佐野優馬が出来た。なにしろ小学生低学年の話なので会話の内容までは憶えていないが、学校に登校してから休み時間・昼食・放課後まで殆ど一緒に居て会話を楽しんだりゲームをして遊んだ。
小学五年生に上がる頃、彼は親の転勤で引っ越すこととなった。彼の家に行って話をした。空気が重くていつもの居心地の良さは感じなくて、何かを思案するように眉根を寄せて黙っている彼を元気づけようと「また会えるよ、オレ達なら!だって友達だから!」と笑顔で言った。
初めて出来た友達を、親友を失う寂しさに目から水が垂れるように涙が出た。彼が俺を抱きしめた。彼の背中の服を掴んで「寂しい」とワガママの様だが初めて零れた弱音だった。
彼は「最後にひとつだけお願いがある」と言った。その提案に懸命に応えた。それは大人のすることだと知らずに。最中に彼は言った「お前の事、友達だと思った事ねえから」と。心に突き刺さる痛みと身体的な痛みにとめどなく流れる涙は目頭を熱くし泣き叫び喉も枯れていた。
全てが終わって彼は「俺以外に友達とか作るなよ」と言った。
沸き上がる感情は復讐心か殺意か。
どちらにせよ、俺は彼のことを何も知らなかったのだ。彼の思考を考えようとしなかったのかもしれない。強くなってヤツの心に復讐してやると誓った。
ーーーーーーー
プロローグ
>>1
第1話「シンユウ」
>>2,>>3,>>6
第2話「夜空への願いごと」
>>7
第3話「相談」前編
>>8,>>9,>>10
第4話「相談」後編
>>11,>>12,>>13
第5話「嘘と本音」
>>14,>>15
第6話「三人と一人の昼食」
>>16,>>17
- Re: 友人と恋人の境界線 ( No.1 )
- 日時: 2019/02/07 14:07
- 名前: キジ (ID: H65tOJ4Z)
中学に入ってから親しい間柄になったクラスメイトは出来た。だが、過去のトラウマで自分を全てさらけ出すことは出来ず二人きりになることは咋に避けた。もう一人加わり三人で部活や下校も一緒にした。彼らから熱い視線は感じない。スポーツバカの松江陸は陽気でスポーツのことしか頭に無くて別の話ならご飯の話や漫画を読んだ話。急に話が飛んでもお構い無しでまるで嵐のようだ。
もう一人は篠塚蓮短髪は全て逆立てていてキリッとした切れ長の目に整った顔立ちはイケメンだと女子が癒しを求めてくる、頭も良くて運動も出来るが口数が少なくて無表情か軽く微笑む程度しか表情を変えない。
二人を比べると、まるで松江が陽で篠塚が陰のようだが、篠塚は好きな事には情熱的になるところも見られる。
なんだかんだコイツらと一緒に居るのは楽しい。心には口に出せない過去がありモヤモヤは募りつつ、同じ高校に通うことが出来た。
入学して二ヶ月経った頃、忘れかけていた存在のヤツは現れた。
「久しぶり、八木ちゃん」
- Re: 友人と恋人の境界線 ( No.2 )
- 日時: 2019/02/07 15:08
- 名前: キジ (ID: H65tOJ4Z)
第1話「シンユウ」
篠塚と松江はスポーツ学科、俺は普通科だ。佐野は普通科の別のクラスに居たが同じクラスメイトと喧嘩沙汰になり、俺のクラスへ来た。
俺は過去のトラウマ以来、整った顔立ちを隠すために目を見られないサングラスのような特殊なメガネをかけていた。顔の半分を殆ど隠しているのによく分かったものだと思う。
それにしても、俺に手をあげてからも他のヤツにまで手をあげるとは何も変わっていない。大したクズだ。篠塚や松江と同じ人間と思えない人間の恥晒しだな。
ホームルームを終えると、トイレに行こうと席を立つ。トイレと廊下を分ける扉のノブを持って横にスライドして開けようとすると扉は動かない。
疑問が湧く前に声をかけられたのだ。
佐野は扉が開かないように扉に足をかけてニヤリと意地汚い笑みを浮かべている。
コイツと関わりたくはない。思い出したくないのだ。顔を逸らしてノブを両手で持つ。
「足を退けてくれないか」
「あれ?オレの事忘れちゃった?ンなわけねえよなァ?」
俺を挑発してくる佐野。昔の俺じゃない、簡単に動揺なんてするものか。
「フッ、高校生にもなって他者との意見のスレ違いに啖呵を切らし暴行沙汰で移動させられた佐野優馬だろう?」
「アアン?」
「邪魔だ、その短い足を退けろ」
「八木ちゃんさァ…チョーシのッ」
まんまと俺の挑発に乗った佐野が俺に寄ってくると同時に扉から足が離れたのをチャンスにして扉を開けてトイレに入り素早く閉める。佐野が何を言おうとしてたかなどこの際どうでもいい。
とにかく二人きりにならないことだ。
そんな願いはあっという間に砕かれる。
放課後、松江と篠塚を待つために次の授業の予習をしながら教室に残っていた。パッと壁がけ時計を見ると17時を少し回っていて俺の前の席に佐野が座って俺の方に体を向けて俺と目が合った。
佐野の席は俺の前の席ではないのに何故そこに座っているんだと眉間にシワがよる。
佐野は口角を上げながら問う。
「オレの事、避けてんだろ?」
「なんのことだ」
「知らばっくれんなよ」
もう一度、ノートに視線を戻してシャーペンを動かす。松江達はまだかと焦りが募る。俺の机の肘を置いて前のめりになり俺との距離を詰めてくる佐野。ここで引いてしまったら負けたも同然。こんなヤツに負けたくはない。俺も顔を上げてお互いの顔の距離10cmでお互いの視線を交わす。
ものの数秒だったのかもしれないが数分に感じた。
メガネをスルリと取られたかと思うと唇に柔らかく温かい何かが触れた。それも近くにあった佐野の顔で理解した。