BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- キミが好き
- 日時: 2019/09/12 18:23
- 名前: バグ (ID: EX3Cp7d1)
初めて見るタイプだった。
嘘のつけないような汚れを知らないような純真さで話しかけてきて、笑うと照れたように目尻と眉尻が下がる。
無表情は冷たく感じるほどの美貌で声が似つかわしくない低く掠れた声だった。
空気が読めなくて馬鹿みたいに自分より他人を優先する、そんな貴方に腹が立つんです。
ーーーー登場人物ーーーー
・宮城:高校1年、勉強もスポーツも平均以上できる。筋トレで鍛えている。真波が気に食わない。表情に出やすいが自覚はなくてクールに澄ましてる生意気ボーイ。
・真波:高校2年、勉強は主教科が苦手でスポーツは人並み。不器用な性格、体力がなくて寝ることが大好き。無表情が冷たく近寄り難いが仲良くなれば笑顔のことが多くて寂しがり屋なボーイ。
・倉間:高校2年、何でも器用にこなせる。真波の幼馴染み兼お世話役。世話好きで笑顔が天使の異名を持つ。可愛いものは好きだし周りから可愛いと言われるのも好きだが中身は男前な仲間想いのボーイ。
・浅井:高校3年、空気が読めなくてリズム感が無いのでダンスが嫌い。勉強は理数系が得意。引き笑いが特徴的でホラーが苦手。スタイルが良くて自称世界一イケメンな残念ボーイ。
- Re: 気に食わないが好き ( No.1 )
- 日時: 2019/09/12 14:39
- 名前: バグ (ID: EX3Cp7d1)
「えっ、それ美味しそうっ!」
「食べる?」
「いいの?!倉間だいすきっ!」
「ボクも真波のこと好きだよ、はい、あーん」
「あーん。…うん!っまい!」
はあ・・・またやってるよ。
あんたら男子高校生同士がよくまあカップルみたいなイチャつきを公共の場で出来るよな。恥とかないんですか?
好きとか普通に言う真波さんはいつもの事だけど、嬉しそうにする倉間さんにも腹が立つ。
食堂でみんなで食べる約束をして、揃ったから食べてたら、相手の具材も美味しそうだと食べさせあっている。
「じゃ、僕のも何かあげる!…これとか、どう?」
「えー、それ小さい。トンカツひと切れ!」
「え!?倉間のチキン南蛮より大きさちがうじゃん!」
「真波の残ってるトンカツが全部大きいんだから仕方ないでしょ、ほら早く、あーん」
「せっかく最後に大きいの残してたのにぃ…はい、あーん…」
「んー!うまぁー!!」
「くっ、僕のトンカツ…」
なに本気でガッカリしてるんですか、それなら初めからやらなきゃ良かったでしょ。
それに豚か鳥かでそんなに変わんないし。
まるでミニコントのような二人の会話を聞きながら牛肉ハンバーグを食べ進めていると、真波さんが目の前に座るオレの食べる料理を見た後オレの顔をチラッと見て、やっと目が合う。
「なんですか」
「倉間がいじめる」
「自分から仕掛けたことでしょ」
「宮城のハンバーグも美味しそう」
「あげませんよ。自分のあるでしょ」
「ひとくち」
「そのトンカツ全部くれるなら、ひとくちあげますよ」
「っ、うわぁん!宮城までオレをいじめるぅ!」
「なに?!真波、来い!世界一イケメンの浅井さんが慰めてやろう!よしよし!」
上目遣いで誰でも落とせると思ったら大間違いですよ、と冷たくすれば泣くフリをしてオレの隣(倉間さんの前)にわざわざ回って、オレの二つ上で倉間さんと真波さんの一つ上の浅井さんに甘えに行く。
浅井さんの胸に頭を付けて目を両手で覆って泣くふりを続け、浅井さんも子供をあやす様に真波さんの頭を撫でながら「おー、よしよし」と茶番を繰り広げられている。
倉間さんに至っては、茶番にケラケラ笑っている。
真波さんが見てない間に、真波さんの皿に乗った真波さんの苦手なプチトマトを奪って食べてやった。
- Re: キミが好き ( No.2 )
- 日時: 2019/09/13 00:58
- 名前: バグ (ID: EX3Cp7d1)
「はぁ…浅井さんの肩幅広くて落ち着く…」
「肩幅かよ!胸板じゃなくて?」とケラケラ笑う倉間さん。
「そうだろう、困ったらいつでも俺に甘えていいんだぞ?真波」と浅井さんは自慢げに満更でもない様子。
いつまでやってんだか・・・。
「早く食べないと、昼食時間おわっちゃいますよ」
「あ!そうだった!」
オレの呼びかけに真波さんは浅井さんからアッサリ離れて「トンカツ、トンカツ」と鼻歌交じりに席に戻って何事も無かったように冷めたトンカツの残りを食べ進める。
オレの呼びかけに素直に応じる所は可愛いなと思う。この際、オレがトンカツひと切れ奪って食べたら泣きそうな顔するんだろうか、なんて考えると顔が綻んでしまいそうになるのを両手で隠す。
「あれ?プチトマト食べた?倉間」
「ううん、ボクじゃないよ、宮城じゃない?」
そうなの?って顔で見てくる。
株をあげるのは大事だ。
「食べましたよ、残っていたので」
「ありがとう!宮城ぃ、僕プチトマト苦手だったんだよねー」
知ってますよ
「え?そうだった?言ってくれたらボク食べてあげたのにー」
「あげようとしたら倉間、トンカツ狙ったじゃん!」
「あ、ゴメーン、許して?テヘペロっ」
ああ、また二人の世界入るし。
倉間さんはカワイコぶって舌を出してウインクしてるし・・・
「むう…宮城が食べてくれたから許す!」
「わーい!でも真波も好き嫌い良くないよ?」
「うっ…」
・・・ちょっと倉間さん、余計な事言わないで。
「そうだぞ真波。食べ物の好き嫌いで残すのは浅井さん許しません!」
「えぇ、浅井さんまで…」
浅井さんは人一倍食べる事が好きだから食べ物の話しには食いつき方が違う。
またショボンと項垂れた様子の真波さんになんだか腹の奥が疼く感覚がした。