BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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欲満たすだけ 〖ブラスタ中心かも〗
日時: 2022/10/01 16:01
名前: 自給自足ちゃん (ID: EuYCLUIf)

占いツクに書いてるけど文字数2000までで1文字で何故か2文字カウントされて書きにくいのでこちらに。

あんスタは

晃ひよ、ジュン宗、みかひめ、てとあら、みどゆづ、凪夏、じめいば、日和総受け、宗総受け

が好きです。マイナーカプがすきなんですよねガハハ

ブラスタは

ケイ藍、晶リコ

が好きです。実は最近ようやくハマってストーリー見てるところです。
まだ口調だとかいろいろ掴めてないけど、まぁなるようになるか!

クロスオーバーとかもかけたらなって感じです

文才上がるといいなぁ…


注意!!!

割とキャラ崩壊する!ごめんなさい!

ブラスタようやくシーズン1読み終わったよ!!

問題のシーン一時期話題になってたけど、読んでようやくわかった

Re: 欲満たすだけ 〖ブラスタ中心かも〗 ( No.6 )
日時: 2022/10/01 16:39
名前: 自給自足ちゃん (ID: EuYCLUIf)

〖チームキュート?〗

キャスト全員が羽瀬山の部屋へ呼ばれた。こんな異例事態、誰が予測できただろうか。今度こそ本当に全員が解雇されるのではないか…そう思いながら各自自分のペースで羽瀬山の元へ向かう。最後に部屋へ訪れたのはメノウだった。

「やっっと全員揃ったか。」
「それで。話というのはなんだ」
「いやァ…お客様からよく言われるんだよなァ。また〖シャッフル〗してみてほしいってよ。客を楽しませるのがお前達の役目だろ?」
「ゲッ…またシャッフルかよ、めんどくせーな…」
「ただし。今回は普通のシャッフルなんかじゃねぇ。誰かがチームを立ち上げて、5人1組のチームを作る。たったそれだけだ。…たった1組だけ作れりゃいいんだよ」

ざわめきが過ぎった。あのケイですら驚きの表情を浮かべているほどである。全員参加、ではなくて、やりたい人がやる。そんなニュアンスだ。正直、何か裏がありそうな気がしなくもないが…。

「はいはーーい!!俺!俺!!チーム立ち上げたい!」

藍が元気よく手を挙げてそう言った。正直、やりたい人がやって、あとはその人達に丸投げすれば良いだけの話。誰も『じゃあ俺も!』とはならなかった。変に関わるのも危ないような気もするし。

「ほーう。で、お前さんはどんなチームを立ち上げる気だ?チームBの派生版はやめろよ」
「俺が立ち上げたいのはチームキュートや!可愛いをコンセプトにしたちょーー可愛いステージにしたいっ!勿論トップはスターレスでいっちばん可愛い俺に決まり!ナンバー2は吉野なー」
「……えっ?な、なんで僕」
「え?やってくれないの?」
「と、突然は困るよ…それに、僕は…藍みたいに可愛くなんてないし…」
「シンガーだけどさ!ダブルシンガーって事でマイカと吉野!可愛い掛け合いしたら絶対みんなきゅんきゅんすること間違いなしや!」
「は?やらないから。」
「ぼ、ぼくも…恥ずかしいし…」
「えー!!他に実はやりたいって人いないのー?金剛は?」
「……30過ぎの元レスラーに可愛いをやれっていうのはちょっと、キツいな…。」

金剛がそう言うと全員が口を揃えて『キツい』と言った。まぁそれはそれで何故か心が抉られる金剛。まぁ実際に可愛いコンセプトのダンスをするよりはマシだ。吉野、マイカがやってくれないとなると、他に可愛いをやっても絵になる人は…。

「メノウは?」
「パスかなぁ…演技の幅は広がるかもしれないけれど。」
「えー!じゃあじゃあ、モクレンは?」
「絶対にやらない。」
「クーは?」
「ちょっと、難しいかな…」
「真珠!」
「恥ずかしいから…」
「あー…じゃあリン「やめておきます」

食い気味に拒否され、しゅんとする藍。ここまで拒絶されると藍も悲しいらしい。なんとか救ってあげたい。そう考えた早希は必死に思考回路を巡らせた。

「ケイさん」
「どうした?」
「藍さんのチームキュートに入ってあげてください」
「……君の…願いならば」
「ケイ……てめぇたまには拒否とかしろよ…なんか、いろいろと失うだろ」

黒曜がそう言うとケイは少し考える素振りを見せたが、早希の瞳を見て即決した。

「大切な者の願いなら、何を失っても構わない」
「……男としてのプライドを失うと言うのに、何故…そこまでして姫に…」
「貴様には関係の無い事だ。モクレン」
「………気が変わった。やろうじゃないか」

モクレンがそう言うと、藍は驚いた顔を見せた。ねぇちゃん、さまさまや!と。かと言って、まだチームは3人。あと2人引き入れないとチームキュートとしてステージでは踊れないのだ。

「なーなー、シンは踊る?」
「…質問先を誤ったか」
「おい。シンは…だめだろ」
「藍、あんたさぁ、シンが踊るとか流石に見てられないから。他の奴選びなって」
「そうだよ藍!シンが踊るのを見るのはちょっと俺も無理!」
「考え直す方が良いかと。」
「体格が良い人が踊ると、可愛いをコンセプトにした…というのに矛盾が生じる様な気がします」
「お!じゃあ4人目はリンドウで決定やなー」
「どうして」
「あーもう吉野かマイカ頼むわ!あと1人なんよー!黒曜でもいいよー!」
「やらねぇよ」
「僕もぜっっっったいにやらない。」
「………わかった、僕、やるよ」
「吉野さんきゅー!おっしゃ!これで決まりやな!」

チームキュート 爆誕





Re: 欲満たすだけ 〖ブラスタ中心かも〗 ( No.7 )
日時: 2022/10/01 17:38
名前: 自給自足ちゃん (ID: EuYCLUIf)

〖チームキュート 2〗

「ここでこうっ!きゅるん!」

全力で可愛こぶる藍。やっぱり参加しなければ良かった、とケイ、モクレンは絶望していた。しかし、やると言った手前、ここで引き下がるわけにもいかない。それに、早希が毎日チームキュートのレッスン時間を楽しみに待ってくれているのが、何よりも嬉しいことであった。

「あー楽しいなー!チームBも楽しいけど、可愛いも楽しい!」
「……恥ずかしいです。僕には、似合わないと思うのですが…」
「恥ずかしそうにやるから似合わないのー!ほら、ぶりっ子ポーズしてみろや」
「こ、こう…ですか?」
「それただのピースやぞー。ほら、両手をこうしてうさぎの耳みたいにして、ぴょこぴょこさせてみてー!」
「こう…でしょうか?」
「そーそー!あとはもっと自信もってやればいーの!難しいとかじゃなくて、気持ちの問題やからな。…覚悟があるなら誰でもできるパフォーマンス。断った奴はその程度の覚悟やったわけや。…それに比べてケイもモクレンも吉野も立候補してくれたもんなー!覚悟、あるよなー?踊れない、なんてそんなわけないよな?」

この戦法、とても卑怯である。踊らなければ覚悟がない、と見なされて屈辱を味わうのだ。ある意味それは、可愛いを全力で遂行するより恥すべきものなのかもしれない。ケイの目に、モクレンの目に、吉野の目に、リンドウの目に火がついた。
1日、また1日と日は過ぎていく。スターレスはチームキュートの話でいっぱいだった。
それから3週間後、ついにチームキュートの公演が始まろうとしている。

「ねぇフライヤーみた?」
「見た!マジで藍可愛いよね!公演楽しみすぎる!」
「まさかのケイ様とモクレン、リンドウがいるのは驚きだけど!」
「吉野は可愛いから似合ってるよね」
「わかる~!」

ブーーー、と公演を知らせるブザーがなる。恐らく公演が気になりすぎたのか、シフトでもないのにわざわざ他のキャストも訪れてステージを見ている。

「みんな~~っ!」

藍が楽しそうに手を振りながらステージに現れる。可愛い。藍に続いて吉野が手を控えめに振りながらステージに現れるのも、うん。可愛い。違和感はない。
死んだ瞳で手を振りながら出てくるモクレン。まぁモクレンは男性的であり女性的である。なにも問題はないし、表情さえどうにかなれば違和感はない。
リンドウがさわやかな笑顔で手を振りながら出てくる。まぁまぁ、リンドウは綺麗な顔をしているし、元アイドルだ。とても様になっている。チームキュート、普通にキュートじゃん!なんて思って瞬間に死んだ瞳で手を振りながら出てくるケイを見てキャストのほとんどは無事死亡した。ミズキとリコは笑いを抑えられずホールで大爆笑し、2人でヒーヒー言いながらステージを見ている。
舞台袖では、羽瀬山と運営もちゃっかり笑い転げていた。

「僕達、スターレスの可愛い担当♪」

吉野は可愛らしい表情と動きでそう言うと、みんないろいろと察した。これ、みんな初めに何かしら可愛いセリフみたいなのを言うんじゃないか?と

「みんなを虜にしちゃうぞ、ばきゅーん」

口は笑ってるのに目が一切笑わないモクレン。ちなみにセリフは藍と早希が一生懸命考えた力作である。

「みんな、たーっくさん応援してくださいね♪」

とてもノリノリで可愛こぶっているリンドウだが、心の中は最早無である。どうにでもなれの心で精一杯可愛いを演じているのである。

「目を話したらめっ、だぞ」

ケイがそう言うとミズキとリコだけでなく晶までもが大爆笑し始めた。黒曜も笑いを堪えるのに必死で最早俯いてしまっている。

「それじゃあみんなでいっくぞー!!」

藍の掛け声のあとに曲は流れ始めた。曲調もダンスもパフォーマンスも衣装も、全て可愛いに全振りしているチームキュート。面白おかしく見ていたキャストだが、歌詞が何やら物騒である事に気づいて藍らしいな、とも思った。いや、どこかヤンデレ的な所がある。

「つぐみのひげの王様を題材にしたらしいな。」
「へぇ、そうなんだ。お前、ほんと物知りだな。」
「…まぁ、読書好きだし……たださ。藍の可愛いに対する思いって結構強いんだなって思った。アイドルを自称するのもなんかわかる。曲作りも衣装のデザインも藍が案だしたらしいし」
「え、意外…あいつ、いろいろと考えてるんだ…。………銀星はさ、藍の事、可愛いって思ってる?」

マイカのその質問に銀星は驚いて、情けない声を出した。藍が可愛いかどうか。まぁ男と比べたら確かに可愛らしい顔はしていると思うが…マイカほど美人というわけでもない。どっちかというと少年、だ。

「どうだろ。まぁ、可愛いんじゃないかな。」
「あんな狂犬を可愛いなんておかしいと思うけど。確かに可愛いを全力で演じてる藍は、可愛いよね。ちょっとだけ、藍への印象変わった。…でもさ、少年的な可愛さって危ないよな」
「え、どうして?」
「ほら…ショタコン、とか聞くでしょ。そういうやつ。」
「あー……前に居たな。藍と…ミwミーちゃんwが好きな客」
「…団体客だっけ?どれだけ喧嘩強くても酒に酔わされたら危ないし、守ってあげなきゃって思う」
「…マイカも守られる立場な気がするけど…」
「なんか言った?」
「なんでもない」

そうこうしているとチームキュートの公演は終了し、大喝采を浴びながら藍達は舞台袖へ戻って行った。

チームキュートの稼ぎは上々で、また公演をやってほしい、と言われたがすぐにケイ、モクレン、リンドウは脱退した。

もう一生やりたくない、とのことである。


Re: 欲満たすだけ 〖ブラスタ中心かも〗 ( No.8 )
日時: 2022/10/01 19:34
名前: 自給自足ちゃん (ID: EuYCLUIf)

〖飴配りおじさん〗

「ギィ、それ…飴玉?」
「うん…スターレスに行く途中で沢山貰った。でも、こんなに要らない。」
「確かに多いよね…あ。シンガーのみんなに配ろうよ!のど飴みたいだしさ!」

真珠とギィは2人でのど飴を配って回ったが、シンガーのみに与えるだけではまだまだ飴玉の数は減らない。結局事務室や休憩スペースに『ご自由に』と紙に書いて置くことになった。
それだけならまだ良かったのだが…。

「え?マイカ、それ…」
「なんか渡された。のど飴嬉しいけど、こんなに要らない。あげる。」
「えー……これ、ギィが貰ったやつと合わせたら6袋になるよ…」
「ギィも貰ってたの?」
「うん、ここに来る途中で貰ったってさ。」

まぁ置いておけばいつか無くなるだろう。そう思っていたのだが、ミズキ、藍、晶、メノウ…と、スターレスに入ってくる者達はみんな同じくのど飴徳用を3袋ほど持ってやってくる。流石に量が多すぎるし、配っている人は話を聞くに同一人物っぽい。
その日からというもの、吉野、藍、ギィの3人は何故か毎日のように貰うようになり、キャスト達の中で飴配りおじさんの話題は割と頻繁に上がるようになった。
何故この3人なのか。いろいろと話を聞いていると何となく受け取り方にあるのだろう、と察した。
吉野は謙虚に、藍は嬉しそうに、ギィはなんだか小さな子みたいであげたくなってしまう。

「今日はいちご飴貰ったー!」
「僕はソーダだったよ」
「…ペロペロキャンディっていう飴貰った。運営にあげる。」
「え、いいんですか?ありがとうございます~!」
「どうして僕達に飴玉をくれるんだろう…」
「何かしら基準あるんかなー?というか、前は袋でくれてたやん?でも、今は1個しかくれんよなー」
「でも、毎日味が違う。」
「まーそうやけど」

考えたところで飴配りおじさんのことなんぞわからない。ひょいっと飴を口に放りこんで、吉野と藍はグッズの検品を始めた。
毎日のように飴をくれる。なんだか嫌な匂いがするから、とギィはわざわざ遠回りしてスターレスに通うようになった。
渡される飴には何か怪しいものが含まれているわけではないし、吉野や藍だけでなく、他の道行く人にも飴を配っているのだ。ただ飴を配るマシーンと化しているのかもしれない。
飴が家に大量にあるのか、暇つぶしなのか、あるいは本当に何かを企んでいるのか。

「あ、おっちゃーん!おはよー!」
「おお、藍ちゃんおはよう。今日は飴じゃなくて、マシュマロにしたけど、食べれる?」
「うん!食べれるー!っていうかさー、おっちゃんはどーして飴いっぱいくれるの?」
「………ちょうど、藍ちゃんや吉野ちゃんくらいの年齢の子がおってなぁ…その子が甘いもの好きだったから、よく渡してたんだよ。」
「吉野は28やぞー」
「えっ?」

飴配りおじさんは普通に良い人だった。(特にギィが孫にそっくりで重ねてみていたらしい)

Re: 欲満たすだけ 〖ブラスタ中心かも〗 ( No.9 )
日時: 2022/10/02 16:00
名前: 自給自足ちゃん (ID: EuYCLUIf)

〖将来良いお嫁さんになる前半〗晶リコ


「えッ安ッ!!!!」

リコのその大きな声に晶は飲んでいたコーヒーを危うく吹き出しかけた。リコの方に顔を向けると、どうやらどこかのスーパーのチラシを見ているようだ。ペンを取り出して、恐らく買いたいのだろうものに丸を付けている。
1枚だけではなく何枚もチラシがあるようだが、全て店舗は違う。とにかく1番安い所で買いたいのだ。節約は大事。

「何が安いの~?」
「米。10キロで1800円。油。600gで320円。卵1パック120円。マジで安すぎ!!……チッ、おひとり様1つまでか…晶、あんた明日朝から暇?」
「暇だけど。もしかして付き合えって?」
「当たり前じゃん。何店舗か回るから」
「おっけー」
「……ふーん。オープンセールでこんなに安いんだ…つか通常価格も他の所より安い…」

ぶつぶつと独り言を呟きながらチラシを見比べるリコ。普段ナルシでサボり魔なリコばかり見ていたが、こうしてチラシを見て買うものを決めている姿は主婦のそれだ。
これをギャップ萌えというのだろうか。どことなく可愛いと思ってしまった。

「うわ、肉やっっす!!」

なんとなく明日が楽しみになってきた晶はコーヒーをぐいっと飲み干してリコの隣へ座った。チラシを見てみるが、正直買い物なんて値段を見ない晶にとってどれくらい安くなっているのか、とか全然わからない。というかチラシをどこからとってくるのかすらわからないのだ。
その日はいつも通りの時間を過ごして、夜は早めに寝た。

待ち合わせ時間は朝7時。オープン開始とともにリコと一緒にスーパーの中へ入った。買いたいものリストを渡されて、リスト通りの物をカゴの中に入れていく。ふと、夫婦ってこんな感じなのかな、なんて考えてしまった。

「リコ、会計しないの?」
「バッカ。チラシ見ろよ。セールは8時からなの。それも知らずに会計するアホが多い事で。」
「ほんとだ。折角朝早くから来たってのにねー。かわいそー。で、これ買ったあとの予定は?」
「まず家に荷物置いて、次の店行く。」
「リコママのために車乗ってきたぜー。」
「うわママとかきっしょ。キモキモキモ」
「酷いね~?手伝ってやってんのにさ」

会話しているといつの間にか時間は8時を迎えていた。レジはかなりの行列。会計するまでに何分かかったのだろうか。20分はかかった気がする。
会計を終え、リコに渡されていたエコバッグに商品を詰めると、リコが嬉しそうな顔をしながらレシートを持ってこっちにやってきた。

「見ろよ、こんだけ買って4000円もいってない。」
「んー、普段値段とか見ないしわかんねぇや」
「あっそ。で、何円した?」
「しかたないから俺の奢りって事で。」
「あ、えっと…ありがと。普通に助かる」

ふい、と逸らされた目。妙にドキドキしてしまう心臓。微妙な空気感の中スーパーから出て車に乗り込んだ。
リコの家は勝手にボロアパートだと思っていたが、そこそこ良い所に住んでいる。

「へー。結構広いじゃん。流石にケチれなかったわけ?」
「事故物件選んだ」
「………え、出る?」
「たまに物が移動してたり、鍵閉めてたのにあいてたりするだけ」
「やばすぎるだろそれ!」
「別にやばくない、水出しっぱとかにしやがった時怒鳴り散らしたら水止めてくれたし。言えばわかってくれるっぽい」
「…言葉通じちゃうんだ…」

買ってきたものをリコが冷蔵庫や棚の中に入れている間に、晶は家の中を見て回った。ミニマリストかってレベルで何も無い。まぁしかたないのか。机の上に置かれている家計簿。意外ときちんとしてるんだな、とペラペラとめくるが全部赤字。なんかもう可哀想。裏で健気に頑張ってんだな…。カレンダーには何が安くなる日、とかをきちんとメモっているし、実は超真面目なのでは?とさえ感じている。
冷蔵庫や棚の中もちらりと見えた感じ、かなり整頓されていたし、自室も布団はきちんと折り畳まれている。風呂も脱衣場もトイレもクローゼットも隅々まで掃除されている。ほうきとちりとりで頑張って掃除しているのか、と思うとかなりキュンとした。

「あのさぁ。人の家を見て回るのは良いけどクローゼットまで見んなよ」
「あーごめんごめん。ちゃんと掃除してんのかなって」
「自分の家だし。それなりに掃除するって。んじゃそろそろ行くよ。」
「はいはーい」

激安を売りにしているディスカウントストアへ向かい、また買い物リストを渡された。ご丁寧に『○○と似ているので注意!』と赤ペンで書かれている。本当に可愛い。奢ろ。
間違っていないかを確認しながら商品を指定された個数カゴに入れていく。どうせ奢る予定だし、とリコにプレゼントのつもりでリコが使ってくれそうなネイルと普段よく使っている化粧水と乳液も入れて置く。喜んでくれるといいなー、と思いながら会計へ向かった。クレーンゲームの前で待機しているが、待てど暮らせどリコは現れない。何かあったのだろうか。
あいつの事だから喧嘩になっていないといいな、と思いながらリコを探すために店をうろついた。

「なぁ、1回だけでいいんだよ。5万あげるから」
「キモイ。俺、そういうの興味ないから」
「興味あるって顔してるよ」
「してない。あんたがそう見てるだけでしょ」

どうやら『その道』のおっさんに絡まれているようだ。しかたない、ここは助けてやらねば。

「リコ、おっせーぞ」
「このキッモイおっさん捕まってんの。見りゃわかるだろ」
「あれ、セフレ?やっぱりそういうの好きなんじゃん。顔で決めてるの?リコっていうんだね。見た目通り可愛い名前だ」
「あーーーもうキモイ!!うざい!!そういうの興味ないってば!」
「リコ、これ車の鍵。先戻ってなよ。俺代わりに買っとく。」
「……どうも。…買いたいやつ、ここに書いてる」
「おっけー」

足早に去っていくリコ。追いかけようとするおっさんの腕を掴む。力はそれなりにあるみたいだ。これくらいなら筋肉より美ボディを目指しているリコを押し倒すには余裕か。

「あのさー、おっさん。俺もあいつ狙ってんの。手ェ出すのやめてくんない?」
「……なぁ、金くらいやるよ。リコちゃんと1回だけでいいからやらせてくれるように頼んでくれないかい」
「俺の話聞いてないだろ。あー、バカはどんなに丁寧に話しても聞いてないんだっけ?しかたないか。」

はぁ、と呆れたため息を零しながら晶はメモを見た。あとは洗剤とシャンプー、リンス、ボディソープ、洗顔だ。こればっかりは好みかもしれないので間違えないようにカゴに入れて会計へ向かった。
車へ戻ると、リコは鏡を見ながら髪を弄っていた。

「ただいまーっと。次どこ行くんだっけ」
「こっから1時間はかかるけど、八百屋。何回も通ってたら店主と仲良くなってさ。おまけしてくれんだよね。しかも安いし。」
「ふーん、初めて行くから迷子になるかも知んないけどよろ~」
「…遅くなってもいい。」
「えっ」
「なんでもない。っていうか、髪やっぱ切った方がいいと思う?ああいうキモイのに勘違いされんだよね」
「切って欲しくない」
「めっちゃ食い気味じゃん」
「俺のタイプだしさ。そんくらいの髪の長さ~」
「笑えない冗談やめろ」
「はいはいっと。」



Re: 欲満たすだけ 〖ブラスタ中心かも〗 ( No.10 )
日時: 2022/10/02 17:19
名前: 自給自足ちゃん (ID: EuYCLUIf)

〖将来良いお嫁さんになる後半〗晶リコ


「ここら辺渋滞してんな」
「休日なうえに、もう昼だし。そりゃこんだけ居ても無理ないでしょ。あーだっっる。お腹すいてきた」
「何か食いに行く?もちろん俺の奢り」
「あ、そういえば激安んとこで買ったやつのレシートは?金返す」
「いやいい。俺の奢り」
「……流石に昼は俺が奢る。ってか、気前良いじゃん。なんかいい事あったわけ?」
「まぁ……あった…、かな。で、何食べたい?」
「え、卵かけご飯とか?」
「せっかくの外食で卵かけご飯???」

ご飯の話をしていると途端に腹がすいてくるものである。近くのファミレスでいいか、と思ったが周辺にはないようで、代わりになんか割とおしゃれなカフェを見つけたしそこで昼を過ごすことにした。
てきとうに席を選んで、小洒落たメニューを手に取る。

「………たっっか…。コスパ悪すぎ」
「1番安くて900円か」
「……お冷は無料か。じゃあ俺お冷でいいや」
「俺が奢るからきちんと飯食えよ」
「じゃあその1番安いやつで」
「本当に良いのか?」
「流石に今日、あんた出費やばいでしょ」
「俺はリコみたいな貧乏人じゃないからな」
「あっそ。じゃあこの1番高いやつで」
「お。それ俺も食いたかったやつ~お揃っちじゃーん」

食事をしながら、会話を挟みつつ渋滞情報を見る。なかなか渋滞解除までは程遠い。最早歩いていった方がはやいのではないだろうか。

「リコ、ここで渋滞解除まで待つか車の中で渋滞と短くて3時間格闘するか、どっちがいい?」
「ここで待つ。歩いていってもいいけど、荷物重くなりそうだし。」
「……たまにはカフェでゆっくり時間過ごすのも悪くないよな」

なんかデートしてるみたい。そう思うと1秒でも長くここに居たい、と思ってしまうものである。女々しくなっちまったなぁ、と思いつつ、リコが眺めている窓の外へ晶も目線を送った。じりじりとしか移動しない車。車と同じくらいの速さで自転車を漕ぐ謎の男。歩道をその速さで爆走するのはかなり危険だ。
何かリコと親密度があがるような話をしたい。けれど、リコへの想いに気づいた瞬間いつもなら自然と思いつく話題は嘘みたいに思いつかない。

「……そうや、ネイルとか化粧水とか入ってたけど」
「それは俺からのプレゼント」
「…あれ、割と高いやつじゃん。あんた今日何万使ったわけ?」
「明日から節約するから大丈夫大丈夫」
「……………ありがと」
「どういたしまして。今日めっちゃ奢ってやったんだからさ。俺のお願いってわけで、…髪は切るなよ」
「何それ。変なお願い」
「俺にとっちゃ割と重大」

髪の毛結んでるリコが割と激レアって意味で。
スマホを見ると、もう2時間も経っている。車もだんだんと進むスピードは早まっていく。ああ、まだ。まだ渋滞解除にはならないでほしい。もう少しだけ、この静かな空間で2人きりでいさせてほしい。八百屋での買い物が終わったら、あとは帰るだけになってしまう。

「……あのさ。お礼って事で、今日、俺ん家寄っていきなよ。飯作る。……あ、嫌なら別に良いけど」
「マジ?ついでに泊まっていい?」
「良いけど」
「よっしゃ!じゃあ八百屋行って、リコ家に届けたら俺風呂入ってからまたリコん家行く」
「手間かかる事せずに入ればいいじゃん。別に1人分のガス代くらい大丈夫だし」
「……俺が戻ってきた時におかえりって行ってみてほしいから入ってから来る」
「は?意味わかんねーの。」

そっちの方が夫婦感あっていいだろ、とは言えない。とりあえず、楽しみすぎて今度は時間の経過が遅く感じる。しかし、家に泊まってもいい、なんて嬉しい事を言ってくれるものだ。

「リコって将来良いお嫁さんになりそう」
「は?????」
「なーんちゃって。よし。そろそろ行くぜー」


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