複雑・ファジー小説
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- スモールワーク【執筆再開!】
- 日時: 2015/05/12 08:39
- 名前: ドクター正彰 (ID: yZ7ICI8F)
田舎には、本当に何もない。
ましてや、口を開けば嘘。立てば、金をかすめ取る。座れば、ネットを使ってクラッキング。そんな極悪非道な俺も、さすがに詐欺行為だけじゃ食っていけないわけで。もちろん、面接に行く。住所不定無職じゃあ、面接する前に門前払いだろうが、一応住んでいるアパートがある。超激安の家賃で、少しでも暴れれば崩れてしまうくらいの、とってもボロイアパートだ。
ここまでは、おまけにすぎない。
これからが重要だ。
「次の方ー、どうぞー」
そんな間延びした面接官の声を聞きながら、不安になった。
面接官から声をかけてくるなんてことがあるか?それに、柔らかくて甘い声だった。間違いなく女だろう。俺を油断させて、落とすつもりなんだな。
扉を開けて面接室に入ると—
そこに、小学生くらいの背丈にスーツが似合わない、
『子供店長』がいた。
- スモールワーク(ハクマイください) ( No.1 )
- 日時: 2012/01/03 19:26
- 名前: ドクター正彰 (ID: ChJEPbqh)
俺は柄にもなく、緊張してしまった。
店長が面接するって聞いてたけど、もしかしてこいつが・・・いやいや、まさか。
目を擦っても、頬をつねっても、そこにいる『子供店長』の姿は40代を過ぎたおっさんになったりしない。
俺の動きを不審に思ったのか、子供店長が首をかしげた。
「あの、座らないんですか?」
俺、最近詐欺の稼ぎもめっきり減って、金なくなっちまったからなぁ。これは金がなくなった俺が見た、金の禁断症状なのではないか。または、俺が知らぬ間に麻薬を吸って、幻覚を・・・って、仕事の面接に非合法なことをしていく人などいないだろう。後は、どんな可能性がある?俺がこんな幻覚を見る可能性は・・・
「あーのーっ!!秋春さん!いーきーてまーすーかーっ!」
むにーっ。
という擬音が聞こえそうなほど、瞼を引っ張られ、目が涼しくなった俺は、失礼を承知で聞いた。
「あなたは、小学生ですか?」
あぁ、俺にしては珍しく正直なことを言ったが、面接で言うべきではないし、頭のおかしい俺は落ちるんだろうなぁ。また、次のバイト先探さないと。
「言ったね」
なぜか、自慢げな顔で返事された。何故か嬉しそうだ。
「はぁ」
「やっと、ちっちゃいって言ってくれる人がきたよ!」
この子供店長も、どこか頭の外れた人だなぁ。と遠い目で眺めていた。
それと同時に、俺の中に信じられない思いが芽生えていた。
この子供店長の頭を撫でたいと思ったのだ。
これは弁解の余地がない程に変態の言い草だとは分かっていてもなお、俺の手は勝手に動こうとしていた。
理性で必死に抑えるのが大変だ。
『小さい』ことを指摘された喜びを味わい終わったのか、ニコニコ顔で言ってきた。
「あたしは、こう見えてもね!高校生なんだよ!」
俺の驚きの声に自分で驚いた。
非科学的すぎだ、本当に。