複雑・ファジー小説
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- ナイト†ジョーカー / Episode5更新!!
- 日時: 2012/06/03 21:35
- 名前: Kuruha ◆qDCEemq7BQ (ID: PSM/zF.z)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=62
この世界はジョーカーに支配されている。
みんながそう思っていた。
だけど、本当は違う。
ジョーカーは何もしていない。ただ世界の“ルール”を決めただけだ。
それが証明できる理由。
だってジョーカーは、——俺なのだから。
複雑・ファジーでははじめまして。
シリアス・ダークの方で『ナイトメア・サバイバル』を書いておりました。Kuruha(クルハ)といいます。
元々横文字ばっかの異世界ファンタジーものを現代日本に置き換えておりますので、違和感が発生する可能性がございますが、ご了承いただけると幸いです。
この今私たちがいる世界のパラレルワールドとでも思ってくださいな。
*注意*
・人死にがダメならブラウザバック!
・荒らしたいならブラウザバック!
・荒らしをスルーできないならブラウザバック!
・感想がこないと作者が死にます
・主に休日更新です
*キャラクター*
仁条 由我 -ジンジョウ ユウガ-
城崎 胡蝶 -シロサキ コチョウ-
乃伽 紫亜 -ノトギ シア-
観月 茅 -ミヅキ チガヤ-
*Episode1 >>01
*Episode2 >>04
*Episode3 >>07
*Episode4 >>08
*Episode5 >>09
- Re: ナイト†ジョーカー / Episode2更新!! ( No.7 )
- 日時: 2012/05/26 14:47
- 名前: Kuruha ◆qDCEemq7BQ (ID: Zn8srJeM)
Episode3:十字架のネックレス
6年後の今日、世界は終焉を迎え、此処は滅ぶ。
慈悲は無い。救いも無い。しかし絶望も無い。
苦しむ必要は無い。嘆く必要も無い。
苦しむ時間などなく、終わる。
誰にも止められない。邪魔できない。
何をしたってお前達の勝手だ。
どうせあと6年で、全員死ぬのだから。
*
伊ノ坂高等教育機関。通称、伊ノ坂学園。
全寮制のこの学校が、最後の3ヶ月間を過ごす事になる場所だ。
曰く、入れることが奇跡な程、特殊な学校なのだとか。
今のところ、そんな雰囲気は伺えない。まだ校門近くではあるが。
午後四時近く。すでに放課後と呼べる時間帯なのに、俺は校舎に向かって歩いている。……寮へ向かう人たちから視線が痛い。
人の波を逆流しながら、人の目を避けながら歩く。
いや、実際は避けてはいない。どちらかというと避けられてると言っていいかもしれない。ひそひそと話す声が、かすかに届いていた。
そんな中歩くこと数メートル。俺を避けていたであろう人の群れは、突如として形を変えた。
別の誰かのために、道を開けはじめたのだ。
やがて、俺の視界に映る人間はとある女生徒だけになり、そいつはずんずんと俺の方まで歩いてきた。思わず立ち止まってしまう。
ハーフアップにされた、淡いクリーム色をした色素の薄い髪をなびかせる少女。そして、俺との距離は約数十センチメートルにまでなったところで、ようやく動きを止めた。
翡翠色の瞳が、俺を値踏みするように上下に揺れる。
「黒い髪……真紅の瞳……。貴方が、仁条由我くん?」
目の前の少女は言った。
「そう、だけど……」
俺がそう答えると、少女はにっこりと笑った。柔和な笑顔は、彼女の雰囲気にぴったりだと思った。
「私は城崎胡蝶。この学校の現生徒会長をしてるわ。よろしくね、由我くん」
そっと右手を差し出される。特に躊躇なく、その手を握り返す。数秒間の握手のあと、城崎は俺の後ろに回ると、首に何かを取り付けた。これは……ネックレス?
交差した部分に赤い水晶のついた、十字架のネックレスだった。
その瞬間、いつのまにか野次馬のように人だかりと化していた周りの生徒達のささやきが、一層大きなざわめきとなって押し寄せてきた。……逆に何を言っているのか聞き取れないほどに。
「これは私からのプレゼント。外さないでいてくれると嬉しいかな」
それじゃ、理事長室まで案内するわ、と言って、城崎は踵を返して、校舎の方へと歩きはじめた。ついていくため、俺も再び足を動かす。
そのプレゼントが、どういうものかも解らずに、ただただ受け入れて——
- Re: ナイト†ジョーカー / Episode3更新!! ( No.8 )
- 日時: 2012/06/02 15:27
- 名前: Kuruha ◆qDCEemq7BQ (ID: PSM/zF.z)
Episode4:ようこそ、我が生徒会室へ
「失礼しました」
不思議な事に、あのネックレスを咎められることはなかった。もしかしたら校則違反かもしれないとひやひやしていたんだが。
むしろそれを見て、理事長はどこか納得したような表情さえしていた。
理事長室を出て、向かう先は生徒会室。
案内されたあと、話が終わったら隣の生徒会まで来るようにと言われていたのだ。
多分、寮まで案内してくれるのだろう。そんな甘い考えを持ちつつ、生徒会の扉をノックした。
「どうぞ」という返事を聞いて開いた扉のその先には、一人の男子と二人の女子がいた。内の一人は、先ほど案内してくれた城崎だ。
「では会長、わたしたちはこれで」
俺を見るなり、役目は終わったというように、茶髪の少女は城崎の方を向いてそう言った。
「ええ。お疲れ様、紫亜、茅先輩」
「お疲れー」
上座の会長席に座る城崎に一礼して、扉、つまりこっちの方へ歩いてくる少女。その少女の耳には、俺とは色違いになる、水色の水晶がついた十字架のイヤリングがあって、ゆらゆらと揺れていた。
もうひとり、男子生徒の方も、退室すべく歩いてきた。よく見てみれば、そいつも十字架のブレスレットを身につけている。それには、緑色の水晶が中心に埋め込まれていた。
他の生徒会のメンバーなのだろう。俺が来たのを見計らって帰るのだろうか。……別に案内する為に俺たちが外に出るのだから、そんな必要はない気もするが。
二人の邪魔にならないよう、一旦扉から離れて廊下に出る。続くように部屋から出てきた女子生徒は、
「乃伽紫亜です。これからよろしくお願いしますね? 先輩」
と、俺に会釈しながらそう言って、立ち去っていった。
次に廊下に出てきた男子生徒の方は、
「気ぃつけろよ? ま、もう遅いかもだけど」
ぽん、と俺の肩に手を置いてから、ばたばたとさっきの娘に追い付くように走りだした。
その生徒は、途中で振り返って、「あ、観月茅なー! よろしく、後輩!」と自己紹介をしてきた。後輩、と言ってくるあたり、あの人は先輩なのか。で、あの娘は後輩。
「さて、由我くん。とりあえず部屋に入ったら?」
あの二人の背中をぼぅっと見つめていたら、部屋の中から招き入れる声が聞こえた。城崎から発せられたものだろう。
そういえば、彼女は何年生なのだろうか。タメ口をきいているあたり後輩ではないだろうが、生徒会長ってことはやはり3年生なのかもしれない。だとしたら、城崎なんて呼び捨てにはできないな。
いや、さっきあいつは『茅先輩』と言っていた。だから、やっぱり2年——同学年か。
そんなことを考えながらいよいよもって生徒会室に足を踏み入れた。
端に置いてある机には雑多に書類が乗っていたが、5つのデスクが繋がった中央の空間にあまりものはなく、あるのはノートパソコンとマグカップくらいだった。
そして、所謂誕生日席を陣取る城崎は、さっきとは違う妖しい笑顔を見せた。
「ようこそ、我が生徒会室へ。——ナイト様」
- Re: ナイト†ジョーカー / Episode4更新!! ( No.9 )
- 日時: 2012/06/03 21:34
- 名前: Kuruha ◆qDCEemq7BQ (ID: PSM/zF.z)
Episode5:生徒会の証
「ない、と……?」
「そう、ナイト。あ、K・N・I・G・H・Tの方ね。夜じゃなくて、騎士の方の、ナイト」
そう言って肘をついて指を組む城崎。さっきは気付かなかったが、その指にはやはりあの水晶のついた十字架のアクセサリーがあった。金色の水晶が光を反射して輝いている。
「由我くんには生徒会に入ってもらうわ。そして、私と一緒に、殺し合いをすることになる」
…………。
「はぁっ!? なんだってそんな……っ」
「その十字架が、生徒会の証。そしてその水晶が、ナイトの証。貴方は受け取ってしまった。故に、拒否権なんてないのよ」
城崎の赤い唇が、にやりと歪んだ。
「いやっ、でも」
「“だまれ”」
俺の反論を述べようとした唇が、城崎から放たれた一声で、ぴたりと動きを止めた。まるで、一時停止したかのように。
「ね? 権利なんてないの、由我くんには。だからね」
生徒会副会長として、ナイトとして、私と一緒に人を——
「“殺しなさい”」
*
才能重視、力を持つ者が絶対であるこの伊ノ坂高等教育機関には、他校にはない異常な校則が存在していた。
生徒会に関する校則。
それは、——会長及び副会長になるには、現職の生徒を殺さなければならない。というものだ。
当然、現職側も黙って殺されるわけではない。
殺す覚悟を持ち、殺される危険を省みない者だけが、この学校のトップに立てる。
*
六年前に俺が起こした事件。その直後の、『俺』による世界の破滅へのカウントダウン。
あの時の『俺』は、自らをジョーカーと名乗り、全世界に向けて警告を発した。
6年後の今日、世界は終焉を迎え、此処は滅ぶ。
慈悲は無い。救いも無い。しかし絶望も無い。
苦しむ必要は無い。嘆く必要も無い。
苦しむ時間などなく、終わる。
誰にも止められない。邪魔できない。
何をしたってお前達の勝手だ。
どうせあと6年で、全員死ぬのだから。
もちろん逆らうのも勝手だ。だが、
相応の報いをくれてやろう。
6年後の今日——つまり今年の12月23日、世界は終わると、自分は言った。
よく覚えている。どういうプロセスで全人類に伝えられたのかは覚えていないけど、確かに俺の声が、この言葉を紡いでいったということは、確実に。
もちろん、異を唱える声はあった。そりゃあ、当時小学五年生の少年の声が、こんなことを言ったのだ。
ふざけている。ノストラダムスよりも信用に値しない。——当たり前だと思う。
大規模な誰かのいたずらだ、と。……大規模すぎる気もするが。
でもそんな声は一ヶ月もしない内に沈静化した。
それはなぜか?
全員死んだからだ。
逆らったから報いを受けて殺された。これが世間の共通見解だ。
だから、殺したのはジョーカーだ。誰もがそう思い、ジョーカーに恐怖した。
……しかし、これに関する記憶だけは、全くといっていいほど俺には存在していないのだ。
悠華を殺してしまったというショックと、あんな事をしでかした『俺』——ジョーカーに対する憎悪で、まともな精神状態ではなかったことはいえ、いつもはある記憶が無いというのは、中々に恐ろしかった。
そして今のところ、あの日以来俺がジョーカーに変わることはないのであった。
- ナイト†ジョーカー ( No.10 )
- 日時: 2012/07/01 22:26
- 名前: ひいらぎ ゆあ (ID: unHmgYe.)
くるはさんお久しぶり!
ナイトジョーカーおもしろいので頑張ってね!
- Re: ナイト†ジョーカー / Episode5更新!! ( No.11 )
- 日時: 2012/12/31 16:22
- 名前: Kuruha ◆NZg/ZcgIPU (ID: 8NNPr/ZQ)
>>ひいらぎ ゆあ様
本当にお久しぶりになってしまってすみません
実はパソコンが壊れてデータも設定も全てなくなってしまいましてて・・・
なので続きはどうしようかと現在悩み中だったりします。
代わりに新作でもと思って執筆していたりします!
すみませんがご了承ください。
もしも何か反応いただけたら、記憶で書いていこうかとも思います。
(このパソコンも前とは違うのでトリップも違うかも・・・)