複雑・ファジー小説
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- ナイト†ジョーカー / Episode5更新!!
- 日時: 2012/06/03 21:35
- 名前: Kuruha ◆qDCEemq7BQ (ID: PSM/zF.z)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=62
この世界はジョーカーに支配されている。
みんながそう思っていた。
だけど、本当は違う。
ジョーカーは何もしていない。ただ世界の“ルール”を決めただけだ。
それが証明できる理由。
だってジョーカーは、——俺なのだから。
複雑・ファジーでははじめまして。
シリアス・ダークの方で『ナイトメア・サバイバル』を書いておりました。Kuruha(クルハ)といいます。
元々横文字ばっかの異世界ファンタジーものを現代日本に置き換えておりますので、違和感が発生する可能性がございますが、ご了承いただけると幸いです。
この今私たちがいる世界のパラレルワールドとでも思ってくださいな。
*注意*
・人死にがダメならブラウザバック!
・荒らしたいならブラウザバック!
・荒らしをスルーできないならブラウザバック!
・感想がこないと作者が死にます
・主に休日更新です
*キャラクター*
仁条 由我 -ジンジョウ ユウガ-
城崎 胡蝶 -シロサキ コチョウ-
乃伽 紫亜 -ノトギ シア-
観月 茅 -ミヅキ チガヤ-
*Episode1 >>01
*Episode2 >>04
*Episode3 >>07
*Episode4 >>08
*Episode5 >>09
- Re: ナイト†ジョーカー【25日より本格始動!】 ( No.1 )
- 日時: 2012/05/26 14:33
- 名前: Kuruha ◆qDCEemq7BQ (ID: Zn8srJeM)
Episode1:俺の罪
今動いているのは俺の身体だ。
だけど、動かしているのは誰だ?
だんだんと妹の方へ近づいているのは認識できる。だけど、動こうとしてそうしているのではない。
にやりと口元を歪ませると、目の前にいる妹の首筋に噛み付く俺。ギュッと目を瞑って怯える妹の様子など気にも留めず、八重歯を突き立て、血を吸いはじめた。
口の中に広がる鉄の味。あまり好きな味ではないけど、俺が生きるためには必要不可欠なものだ。
やがて、妹は動かなくなった。それでも、血はまだなくなりはしない。衝動は止まらない、止まれない。
血がなくなって、ぐったりとする妹をお姫様だっこのように抱える。軽い、冷たいとは感じられても、自分がそうしているのだとは思えない。
血の気の引いた、青白い妹の顔を見て、俺の唇は弓状に反った。そこから、少量の血が零れ落ちる。
「あはははっ、あっははははははっ!!」
狂ったように笑う。口はそう動いている。
だけど、こうしたのは俺じゃない。俺だけど、俺がやったわけじゃない。
誰だ? 俺の身体を使っているのは。
心はただ悲痛に叫んでいる。
あぁぁぁぁあぁぁあぁあああぁぁぁぁ……。
*
「——っ!? ……ぁ、はぁ……」
勢い良く身体が跳ね上がるような錯覚。寝ぼけ半分の意識で上半身だけを起こし、小さくため息を吐いた。
カーテンの隙間から零れる光の先には、いくつかのダンボールが置いてあった。
周りを見渡してみても、あまり他に物はない。あるのは本数の少ない本棚と勉強机くらいだ。もともと部屋に組み込まれているクローゼットの中身も、ダンボールの箱の中だ。
見慣れない光景でも、確かにそこは見慣れた俺の部屋で、今日限りでここから出て行くことになっているはずの場所だった。
枕元に置いてあった、かろうじて仕舞われていない目覚まし時計で確認すると、そろそろうるさいベルが鳴ってもおかしくない時間だった。
どうやら俺はベッドで寝ていたようだ。そして、なんの面白みもなく、夢を見ていたのだろう。
しかし……。
また、この夢なのか。
六年前の、俺の罪。今でも夢に見てしまう。
「……悠華」
小さく妹の名を呟いてみるが、返事はない。……当たり前か。
——俺が、殺してしまったのだから。