複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

姫をさらったのに誰も助けに来ない件
日時: 2013/07/16 20:52
名前: 茅 ◆ge5ufvrJxw (ID: jyIji0vi)


それは、とある王女が仕えの者の目を盗み、一人で隣国の栄えた市場へ出掛けた時のお話。
自国では見慣れぬ野菜や果物を目にした王女は、大層高揚した様子で並べられた商品を眺めていました。
食材の他にも、職人の造った色とりどりに輝くアクセサリーなども出品されており、王女の瞳を彩ります。
ですが王女はあまり着飾る事に関心が無いため、目が行くのはやはり食べ物。
中でも王女を射止めたのは羊乳のプリン。王女の大好きなデザートでした。
売り子にも勧められ、小さく頷いた王女ですが、お金を持って来ていないことに気付きました。
お金が無くては何も買えません。
素直に諦めたその時、一人の男が王女に声をかけました。
「コレが欲しいのなら、私が買ってあげよう」と。
果たして良いのだろうか、と考えている間に、気付けば王女の手にはプリンが。
買ってくれたものは仕方無い、有り難く頂こうとスプーンを手に取りプリンを口に含みました。
その瞬間口内に広がる濃厚な羊乳の風味。
王女は夢中になってプリンを食します。
男の肩に担がれていること、ましてやそのまま走っていることにも気付かずに…



                      ---→What will happen to the princess ?







◎ 初めまして、カヤと申します。
  話の内容は題名通りです()
  もそもそやっていくんで宜しくお願いします∵!



[ Character ]
>>02 / 0621シオ


[ Story ]
01>>1
02>>15
03>>16
04>>23


[ Customer ]
紫穏様
レイ様
トマト美味しい様
風死様
キョン君様
利佐様
群青人間様
いっぽっぽ様
桐様
[ Very grateful!! ]

Re: 姫をさらったのに誰も助けに来ない件 ( No.1 )
日時: 2013/06/02 18:09
名前: 茅 ◆ge5ufvrJxw (ID: bhOvtj9N)




≫ 01





「く…くそォ…!!」
「…あの、お気持ちは解ります。どうか気を取り直して下さい」


豪壮な城のとある一室で、魔王と謳われる男が悔しみに肩を震わせ膝を付いていた。
その傍らで、キングサイズのベッドに正座している王女という身分の少女が魔王に対して慰めの言葉をかけていた。

何故そんな何とも言えない光景になってしまったのか、それは王女の発言が原因であった。



- - - - -



羊乳プリンを食べるのに夢中な王女を魔王は肩に担いで自国へ戻ったはいいものの、
いつの間にやら王女はすやすやと寝息をたてて眠ってしまっていた。
あまりにも幸せそうに眠るもので、起こしては悪いと判断した魔王は自室のベッドへ王女を運び、そこへ寝かせることとした。

それから王女の目覚めを大人しく待つこと30分。
「ん…」と王女は小さな声を漏らしながら体を起こすと、焦点の定まらない目で辺りを見渡す。
目に入ったのは魔王の姿だ。


「ふん、やっと起きたか。目覚めはどうだノアリット姫」
「…まぁ…なかなか良い感じです。ベッドがふかふかで」
「……そ、そうか」


まさか自分のベッドを褒められるとは思ってもみなかった魔王は少し驚きつつ、どこか嬉しそうに小さく頷いた。


「…あの、ところで貴方は?ココは何処ですか?」
「あッ…そうだった。俺は魔王ヴァル様だ、そしてココは俺の城」
「魔王、ヴァル…。なるほど、私攫われたってことですね」
「そうなるな。悪いが貴様には人質となってもらうぞ」


にやり、と魔王らしく悪い笑みを浮かべてみせるヴァル。


「人質ですか…それはつまり勇者を待ちかまえると」
「ああそうだ。まぁ俺様がぎったんぎったんにしてやるがな」


そう堂々と宣言して高笑うヴァルを他所に、ノアリットは深刻な顔でおずおずと口を開いた。


「あの…大変申し訳ないんですが、私の国、勇者とかそういう人いないんです」

「……え?」



- - - - -



「ぎったんぎったんにするとか言ってぎったんぎったんにする相手がいなければぎったんぎったんも糞も無いではないか!」
「ぎったんぎったんうるさいです」


大の大人が騒ぐ様を見てノアリットは小さく溜め息をつくと、「それで」と言葉を続ける。


「私はどうするんですか、帰してくれるんですか?」
「せっかく攫った王女を安々と帰す馬鹿がどこにいる!帰すわけがないだろう」
「じゃあ監禁でもするつもりですか。助けにくる勇者もいないのに」


ノアリットの的を射た発言に、ヴァルは返す言葉を失う。

しかしココで帰してしまったら今までの努力は何だったのだ、
羊乳プリンも奢ってやったし自力で王女を運ぶのに結構な労力を費やした。
更にはベッドで寝かせてやり挙げ句の果てには起きるまでずっと傍で待ってやった!
結果、ヴァルはノアリットに割と紳士的に尽くしていたのだ。


「王女は14歳と聞いた。対して俺は二十代、まるでロリコンの様になってしまっているではないか…」
「…何をブツブツ言ってるんですか、ヴァルさん」


ヴァルは何かを決心したように大きく息を吐くと、
膝を付いた状態から勢いよく立ち上がりノアリットを指さした。


「いいだろう、こうなったらしばらくの間世話をしてやる。ロリコンではないがな」
「……はい?」
「今は勇者がいなくとも、娘が攫われたと気付いたなら王はいくらでも勇者を集めるだろう。それまでココにいろと言うことだ」
「え、あの…」
「安心しろ、牢獄に放り込んだりはしない。そうだな、特別に俺の部屋の隣を貴様の部屋としてやる。荷物置き場だが片付ければ何とかなるだろう」


そう言うなり、ノアリットを置いてスタスタと部屋を出ていくヴァル。
その背中を呆気ない表情で見据えるノアリットは、頭に疑問符を浮かべゆっくりと首を傾げた。


こうして、魔王と王女の魔王城生活が始まる。




Re: 姫をさらったのに誰も助けに来ない件 ( No.2 )
日時: 2013/06/22 00:15
名前: 茅 ◆ge5ufvrJxw (ID: 2QWuZ1bi)



≫ Character




[ ヴァル - Varu ]
sex:male
age:twenties
birthday:10/24
ダスタン国の魔王。おそらくロリコン(本人否定)
ブロンドの髪は無造作に跳ねており、寝癖なのかセットしているのかは不明。
ちなみに前髪は左分け。瞳の色はワインレッド。
魔王っぽいことがしたくて色々頑張るも空回りしてしまう。
自分勝手だが根本的には世話焼きで自分より他人を優先する事も。


[ ノアリット - Noixritt ]
sex:female
age:14
birthday:4/30
魔王国(ダスタン国)の隣国(パラ国)の隣国(サナシア国)の王女。
ホワイトブラウンのセミロングに天然のウェーブがかかっている。
頭の白いリボンのカチューシャが特徴。
瞳の色はターコイズブルー。
一見無愛想に見えて実は情緒豊か。大好物は羊乳のプリン。
満足感を得ると眠くなってしまう体質。


[ シオ - Chio ]
sex:male
age:18
birthday:8/13
ヴァルに忠誠を誓う側近。
セピア色の髪で犬の耳があるかのような跳ね方をしている。
瞳の色はコバルトグリーン。
ノアリットを敵視しており、彼女に対しては大概ぶっきらぼうな言葉を投げかける。
根本的には天真爛漫でしっかりとした青年。



                            ---→Will increase !







Page:1 2 3 4 5 6



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。