複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

【新撰組】誠の旗を抱いて【中篇集】
日時: 2013/07/21 14:11
名前: 夢現 ◆4FKa5dUojw (ID: rE1CEdls)


 浅葱色の羽織を羽織った男たちはどんな色男よりも輝いていて。

 京を護る彼たちを、私は敬い尊敬する。
——この誠の旗を抱いて。








*史実に基づいたフィクションです。
*どこの掲示板で書けばいいかわからなかったのでとりあえず此処に。
*恋とか友情とか、そんな新撰組の日常を描いた中篇集。



       7.21すたーと。


Re: 【新撰組】誠の旗を抱いて【中篇集】 ( No.4 )
日時: 2013/07/21 14:19
名前: 夢現 ◆4FKa5dUojw (ID: rE1CEdls)
参照: 佐々木愛次郎は一途に愛す。

「……愛次郎の妾なら喜んで」
「俺に本妻がいてもいいの?」
「そういうことじゃないわ。比喩よ」
 私は愛次郎のように器用じゃあない。
 だから、こんな形でしか愛を表せないけど、
 それでも。
「今すぐにでも芹沢さんに言って来ようかなー……」
「好きにして」
「うわぁ、キッツいねー。そういうとこも好きだけど」


 ——ちゅ、と愛次郎の唇に口付けた。
そこから、愛次郎はそれに答えるようにどんどん深くなって行く。
 息がうまくできないけど、それすら幸せに思えてしまう。
 この幸せが続くといいのに……。
 ねぇ、愛次郎もそう思っている?

 心の中で言った言葉だから。伝わっていないと思うけど——。

 私は寝床を指差した。そんな私を愛次郎は笑って、
「行こっか」
"たくさん、雛が壊れるまで可愛がってあげる"
 愛次郎が呟いたそんな言葉は、都合良く無視しておいた。

Re: 【新撰組】誠の旗を抱いて【中篇集】 ( No.5 )
日時: 2013/07/24 14:51
名前: 夢現 ◆4FKa5dUojw (ID: rE1CEdls)

 それから間もなくして——。


「雛、じゃあ行ってくるね」
「ん、行ってらっしゃい。斬られないようにね」
「——雛の目には俺が直ぐ斬られるような、そんな弱い男として映っているのか……」
「冗談よ、行ってらっしゃい」


 そう言うと愛次郎は馬に乗って新撰組の屯所に向かった。


————————

 ——幾日かが経った。
 妾の件について訊きたいのだが、愛次郎が来ないのだ。
 いつもなら私のところに毎日と言って良い程来てくれるのだが——。

Re: 【新撰組】誠の旗を抱いて【中篇集】 ( No.6 )
日時: 2013/08/16 02:16
名前: 夢現 ◆4FKa5dUojw (ID: rE1CEdls)
参照: 佐々木愛次郎は一途に愛す。


 ……まさか、本当に斬られたとかじゃないでしょうね。
 ——流石に芹沢殿はそこまではしないか。
 だけど、だけども。
 ーーこの嫌な予感は、何? なんなの?
 私は背中に虫がむずむずと這うような気持ちの悪い感覚を覚えながら、彼の帰りーーというか報告を待った。

 時折家で売っている大根(私の家は八百屋なのだ)を手で擦って、「そんなことされちゃあ売り物にならないよ!」と、母から叱られながら。

Re: 【新撰組】誠の旗を抱いて【中篇集】 ( No.7 )
日時: 2013/08/16 02:22
名前: 夢現 ◆4FKa5dUojw (ID: rE1CEdls)


 そしてーー私の嫌な予感は大当たりするのだった。

ーーーーーーーー


 ……ガタン、と、布団の中でなかなか寝付けないでいたら音がなった。
 何処からかは知らない。……まさか、泥棒!?
 いやでも此処はただの八百屋よ。今日売れなかった野菜はもう食べてしまったわよ。
 そう思いながら誰かさんのせいで売り物にならず、そして誰かさんが買い取った(どちらも私)大根を(護身用に枕元に置いておいた)持ち、立ち上がる。

 男に守られてばかりな女じゃあないの、私は。

Re: 【新撰組】誠の旗を抱いて【中篇集】 ( No.8 )
日時: 2013/08/16 02:28
名前: 夢現 ◆4FKa5dUojw (ID: rE1CEdls)



「貴方……誰なのです」

 周りくどいのは嫌いなのです、私は。
 男だったら私どうすれば良いの。
 母も父も頼りないわ。

 ーー返事が返ってこない。まぁそりゃあそうか。
一歩近づいてみる。
 ーーあ、月明かりのおかげで顔が見えてきた。
 醜かったら馬鹿にしてやろう。そう思いながら近づくとーー、



「え、」



そこには整った顔をしたーー


「あ、愛次郎……」


……私は苦笑しか溢せなかった。


Page:1 2



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。