複雑・ファジー小説
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- アビリティワールド-Abilityworld-
- 日時: 2013/12/29 03:42
- 名前: 遊太 (ID: 8fZYMRgY)
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はいどうも〜。作者の遊太です。
今回のテーマは『超能力ability』。バシバシ投稿していくぜッ!!
更新速度?遅いにきまってるでしょ( *´艸`)フフフッ
コメント?欲しいにきまってるでしょ( *´艸`)フフフッ
いつやるの?今でsy(*´▽`*)割愛♪
てなてなわけで、評価の方よろしくお願いします。お楽しみに〜♪
◆*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*◆
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○。○。お知らせ掲示板。○。○
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12/20 物語作り直しのためスレを立てなおしました
12/23 参照100突破!!第1回アビリティわ〜るどキャラ談>>008
(現在の)主要登場人物
*神宮優太
人間から超能力者になった男の子。第2班所属。少しづつだが、クリスフォードの生活に慣れている。
超能力は共感。感情を同調した相手の超能力をコピーすることができる(ストック無限)。
*科野照
クリスフォード1年生。第3班所属。身長190cmで1年生トップの身長の持ち主。同班の篤彦、悠とは幼馴染。
悠のことが好きではあるが、その気持ちを伝えれずにいる。
*高良篤彦
クリスフォード1年生。第3班所属。体格が良すぎるため、その見た目からあだ名が「筋肉ダルマ」。
照の気持ちを察し、悠への告白作戦を実行しようとするが…。
*村山悠
クリスフォード1年生。第3班所属。小柄で目つきが鋭く、怒っているような表情をしている。
照と篤彦以外の男子生徒とは話さず、なぜか男性を毛嫌っている。
*アダム・ベル
世界政府機関超能力科学技術調査局元局長。現在はDTMという新薬を盗み、逃亡の身となっている。
Word
L超能力者専門学校クリスフォード>>011
L国際機関世界政府
Chapter01『選ばれし者』
Episode01-01「入学篇」
>>001→>>002→>>003→>>004→>>005→>>006→>>007
Episode01-02「告白大作戦篇」
>>009→>>010→>>012→>>013→
- Re: アビリティワールド-Abilityworld- ( No.1 )
- 日時: 2013/12/20 16:57
- 名前: 遊太 (ID: 8fZYMRgY)
第1話
‾‾‾‾‾‾‾
氷点下をはるかに下回る、見渡す限り一面の銀世界で、我々は『それ』と出会った。
私は今でも覚えている。あの日の出来事を、あの日の誓いを、あの日のそれぞれの考えを。
だがしかし、時が経つにつれ、我々の考えは食い違い、やがてそれぞれが違う道を歩み始めた。
ある者は、虚偽の噂で悪に染まり────
ある者は、悪者の英雄になり────
そしてある者は、世界的に有名な科学者となり────
いつしか我々は、あの日のすべてを忘れ、己の意志だけで人生を歩んでいた。
気付いた時には、もうすべてが手遅れだった。
だから、私はやってきた。遥か彼方から、全てを取り戻すために。
たとえこの肉体が消えようとも。
たとえこの精神が消えようとも。
たとえこの存在が消えようとも。
怖くない。だって、隣には、あなたがいるから。
私は怖いよ。いや、皆も怖いはずだよ。
だって、過去を変えるってことは、未来にいる私たちが消えちゃうんでしょ?
たとえ消えなくても、私たちの出会いや繋がり、今までの思い出は消えちゃうよね?
そして、あなたが私たちの中から消えちゃうよね?
ここまで皆で頑張ってきたのに────
あなたのおかげで皆が戦えたのに、あなたのおかげで皆が変われたのに────
あなたのおかげで、あなたのおかげで、私は永遠の孤独から救われたのに────
でも、あなたは行くんだよね。
世界を救うために。
────後悔してるよ。
あの時、最後にあなたにかけた言葉が「いってらっしゃい」だったってことに。
もう戻ってこないって分かっていたのに、もう会えないって分かっていたのに。
どうせなら、私の想いを、あなたに、あなたに………────
「怖クナイノカ。自ラノ存在ガ全テノ記憶カラ消エルコトガ」
「怖くない」
「ドウシテダ」
「皆が忘れても、俺は忘れない。皆の記憶は俺の心に永遠に刻まれているから」
これは、1人の青年の、長い長い物語。
- Re: アビリティワールド-Abilityworld- ( No.2 )
- 日時: 2013/12/20 16:59
- 名前: 遊太 (ID: 8fZYMRgY)
第2話
‾‾‾‾‾‾
未来暦17年 春
夕日で橙色に染まりつつある空の下、制服を着た学生4人が住宅街をのんびりと歩いている。
どこでも見かける、学生たちの帰宅風景。それは、世界の平和を表す一つの存在なのかもしれない。
「入学してすぐにテストなんて、なぁ〜んかやる気失せるよなぁ〜」
「元太、あんた基礎はちゃんとやっとかないと置いてかれるわよ」
「お前なんかまだいい方だろ。俺なんて、部活のせいでまともに勉強もできやしねぇ」
「けっ!!野球部なんてむさ苦しい部活に入んのが悪いんだよ!!」
「あ?なんだと万年帰宅部クソ野郎」
「やんのか、万年変態野郎」
都立一会高等学校の1年生、八槙元太と佐藤竜は道の真ん中でにらみ合いを始める。
この2人は中学の頃からよく喧嘩をしている。
「もぉ!!やめなってば2人とも!!こんなところで、ほかの人の迷惑になるよ!!」
そしてその2人の喧嘩を止める係は、同じく一会高校1年生の酒井有紀である。
「……それなら元太、今から俺んち来いや」
「はぁ?」
「マリパで勝負つけようじゃねぇか」
「いいぜ。勝った方が今日の数学の宿題負けた方にやらせるってことで」
「乗った!!有紀と優太は!?」
竜は目をギラリと光らせ、有紀と神宮優太の方を見る。
「私はパス。宿題は自分でやります、優太は?」
「俺も」
2人が断ると、元太と竜は睨み合いながらも、2人仲良く並んで、竜の自宅へと走り去っていった。
なんだかんだで、元太と竜は仲が良い。まさに、『喧嘩するほど仲が良い』という言葉を表現している。
優太と有紀は、遠くに見える夕日を見つめながら、互いの自宅に向けて歩く。
しばらく沈黙が続いていたが、その沈黙を有紀が破った。
「…もう、私たちも高校生か」
「え?どうしたの急に?」
「高校生活もあっという間に終わって、3年後には皆、バラバラになるのかなって」
「そんな先のことまで考えてんだ。俺なんて、来週のテストで頭いっぱいだよ」
「そんなこといって。どうせ楽勝でしょ」
「まぁ、元太よりはね」
優太と有紀は、目を合わせて笑う。2人の顔は夕日で赤く染まり、2人の後ろに綺麗な影が伸びていた。
やがて小さな公園にぶつかり、2人は足を止める。
「じゃあ、また明日ね」
「うん。ばいばい」
優太と有紀は手を振り、お互い逆の方向へと進み始める。
優太は公園に沿って歩き、人気のない路地に入った。
その瞬間、優太は異様な雰囲気を感じ取った。
「……なんか、嫌な感じ」
先ほどまで夕日で赤く照らされていた住宅街だったが、なぜがその路地は薄暗く、街灯もチカチカと点滅を繰り返している。
「気味悪っ。さっさと行こ」
優太はそう呟き、早足で歩き始める。その時だった。
一本の電柱を通り過ぎた瞬間、その電柱の陰から何かが優太めがけて伸び、そのまま優太をうつ伏せに倒した。
「痛っ!」
優太は倒れた衝撃で顎を打ち、眩暈を起こす。と同時に、優太の背中に何者かが馬乗りとなった。
「な、なんふぐっ!?」
優太が叫ぼうとした瞬間、口を手でふさがれる。
もがいてもどうしようもできず、優太は背中に乗っている人物の顔を見ようと必死に首を回すが、うつ伏せの状態では首をどんなに回しても見ることができない。
「んんんんん!!んんんんん!!」
優太は呻き声をあげ、どうにか助けを呼ぼうとする。しかし、周囲には2人以外の人の気配はまったくなかった。
次の瞬間、優太は首筋に何かが突き刺さる感覚を感じた。
「んっ!?」
突き刺さる感覚と同時に小さな痛みに襲われた優太は、激しくもがく。
すると、今まで馬乗りになっていた人物がひょいと離れる。
優太は首を押さえてすぐに立ち上がるが、その直後に謎の眩暈に襲われ、片膝を地面に着いた。
視界もボンヤリと黒が目立ち、どうにかして目の前に立つ人物の顔を見ようとするが、首に力が入らず、頭をあげることができない。
優太の脳裏に突然、有紀の笑顔、元太と竜の喧嘩の風景、3人との思い出が駆け巡る。
「……これ…走馬灯……」
優太はとてつもない嫌な予感を感じるが、その直後に気を失ってその場に倒れた。
優太に何かをした謎の人物は、気絶した優太をしばらく見つめ、やがてその場から姿を消した。
***** ***** *****
アメリカ合衆国ワシントンD.C. 世界政府本部最上階 元帥会議室
巨大な会議室の中央には、中央にクリスタルの地球儀が置かれた円卓があり、その円卓を囲むように9人の人物が着席していた。
さらに彼らの後方には巨大な液晶モニターがあり、アメリカ国旗を背景に一人の人物が現れる。
「おはよう諸君」
現れたのは、第46代アメリカ合衆国大統領、ジェームズ・B・ダーウィン・シニアだった。
ジェームズの挨拶と同時に、9人は立ち上がり、深い礼をして再び着席する。
「今日集まってもらったのはほかでもない、空席にしている者についてだ」
円卓を囲んでいるのは9人だが、椅子の数は10脚であり、1つだけ空席である。
「それでは、諜報機関“十戒衆”長、天地人、報告を頼む」
「はい」
返事をして立ち上がった赤髪でスポーツサングラスをした男は、第89代アメリカ合衆国司法長官であり、国際特別諜報機関十戒衆長の天地人だった。
「本日未明、超能力科学技術調査局局長であり元帥の一人であるアダム・ベルが、試作品の新薬を超能力科学技術調査局から盗み出し逃亡。現在、十戒衆と犯罪対策室が協力してアダム・ベルの足取りを追跡しております」
「それでは、犯罪超能力者対策室室長、レイモンド・アインスタイン、現在判明していることの報告を頼む」
「はい」
立ち上がったのは、凛とした顔つきで穏やかな雰囲気を出している犯罪超能力者対策室室長であり元帥の一人である、レイモンド・アインスタインだった。
「対策室のメンバー総動員で、アメリカ合衆国から他国へと繋がる道を地元警察の協力を得て封鎖。ライフラインの封鎖もあと1時間前後で完全に終わります。アダム・ベルはまだ国内にいると思われており、最悪の場合を考え、街中に対策室のメンバーと地元警察を配備しています」
「もともと変な奴とは思っていたが、まさか本当に仕出かすとはな。さすが天才科学者だ」
犯罪超能力者専用特別刑務所コリンベイツ署長であり元帥の一人であるアルバート・グレイマンは独り言のつもりで発したらしいが、その声は大きく、会議室に響き渡る。
その言葉を聞いた天地人はサングラス越しにアルバートを睨み付ける。
「グレイマン、口を慎め。ともかく、アダム・ベルは国外に逃亡する前に捕まえる。必ず生きて捕えるように心がけてくれ。この件の指揮については、十戒衆長の天地人と犯罪超能力者対策室室長のレイモンド・アインスタインに任せる。2人は随時、報告を頼む。残りは通常通り自らの仕事に励んでくれ。以上、解散」
液晶モニターの電源は消え、会議室が一瞬で暗くなる。と同時に、会議室の電気が点くが、その会議室には、もう誰もいなかった。
***** ***** *****
「う…うぅ……」
「お兄ちゃん!!お母さん!!お兄ちゃんが起きたよ!!」
聞き慣れた声が耳を通り、優太は重い瞼をゆっくりと開けた。
優太は上半身を起こし、周囲を見渡す。そこは病院のベッドの上であり、窓から見える外は暗かった。
「お兄ちゃん!!大丈夫!!」
「……可南子」
優太の目の前にいたのは、中学3年生の妹である可南子だった。
病室の扉が開き、涙目で優太の母・美保が優太に駆け寄る。
「優太!!あんた!!あんた!!」
「……母さん」
美保は優太を優しく抱擁し、頭を撫でる。高校生にもなって恥ずかしいなと優太は思ったが、久しぶりに感じる母のぬくもりに少しばかり甘えた。
「お兄ちゃん、道端で倒れてたんだよ」
「お医者さんがいうには、過労っていってたけど、あんたテスト前で勉強無理してたんじゃないの?」
「過労……」
優太は母親の言葉で、あの時、何者かに襲われたことを思い出す。
「そうえいば母さん、俺はあの時誰かに……」
優太が美保と可南子に襲われた時のことを話そうとしたその時だった。
美保と可南子は、まるで糸がプツンと切れたかのように、バタリとその場に倒れた。
「え?か、母さん!!可南子!?」
と次の瞬間、病室の扉が開き、見たことのない美しい女性が入ってきた。
腰まである金髪を靡かせ、スーツ姿でもそのスタイルはモデルのようである。
「こんなやり方は酷いと思う、あなたにはとても同情する。けど、これがあなたにとっても、あなたの家族にとっても、あなたの友人にとっても最善の選択なの」
金髪女性は優太に近づくと、片手を優太のおでこにソッとつける。
その瞬間、優太は急激な眠気に襲われ、そのままベッドに倒れ込んでしまった。
「ごめんなさい、神宮優太君」
- Re: アビリティワールド-Abilityworld- ( No.3 )
- 日時: 2013/12/20 17:05
- 名前: 遊太 (ID: 8fZYMRgY)
第3話
‾‾‾‾‾‾
「いやぁ!!船で朝を迎えるってのはいいもんだなぁ!!」
フェリーの甲板には、腰に手をあて潮風と朝日を浴びるライリー・ロックウェルと、その姿を見ているジョン・シルファーがいた。
船内に並んだ5人掛けの椅子の一つに優太が横になって寝ている以外誰も座っておらず、閑散としている。
「そろそろ起こして、事情話した方がいいんじゃねぇの。学校ついてから説明すると校長に迷惑かかるしな」
「そうだな」
ジョンは頭を掻きながら、面倒くさそうに船内に歩いていく。
そして、椅子で横になって寝ている優太の頭をペシペシと叩く。
「起きろ」
「うっ……うぅ………ん?は?!」
優太はガバリと立ち上がり、周囲を見て愕然とする。
それも無理はなかった。路上で謎の人物に襲われ、病院で金髪の女性に眠らせ、次は船の中で目が覚めたのだから。
優太は目の前に立つ、銀髪の男性に目を向ける。
「神宮優太、ようやく目を覚ましたか」
「え?は?ここどこ!?」
「とりあえず、ついてこい」
ジョンは優太の言葉に耳を向けず、そのまま甲板へと出ていく。
優太は意味が分からないまま、とりあえずジョンの後をついて行く。
甲板に出ると、優太は朝日の眩しさで一瞬立ちくらみに襲われる。しかし、どうにか踏ん張り、甲板に立つジョンとライリーに歩み寄る。
「初めまして、優太君。俺はクリスフォードの職員のライリー・ロックウェルっつうもんだ」
「俺はジョン・シルファー。色々と聞きたいことがある思うから、さっそく説明を始める」
ジョンはそういうと優太に歩み寄り───
「お前は、超能力者になった」
ジョンの言葉に、優太はポカンとする。
優太は唖然としたままの表情で、ジョンとライリーの顔を交互に見る。2人の顔は真面目で、その鋭い眼差しは優太をジッと見つめたままである。
「これ夢でしょ?意味わかんないから。一晩にあれだけ襲われれば……」
優太はその言葉を発した瞬間、頭の中に1つの疑問が思い浮かびあがる。
いつからが、夢なんだ……────
金髪の女性が手をかざした時から?
病院のベッドで目を覚ました時から?
路地で襲われた時から?
有紀と公園の前で別れた時から?
元太と竜が喧嘩して、走り去って行ったときから?
「え?……夢だろ……」
「夢じゃない、現実だ」
ジョンはそういうと、船の淵に腰を下ろす。
「路地で襲われた……その時、襲った人物の顔を見たか?」
「い、いや」
「自分の感覚でいい。その人物は男と女、どっちだと思う?」
「感覚って……でも、馬乗りにされて口をふさがれた時は、あの力は男だと思う」
「そうか。その男に何かされたか覚えているか?」
「確か、首に小さな痛みが……」
「DTMだな、委員長の推測通りだな」
ライリーはそういうと、優太に近づき、優太の頭を掴んで強引に首の裏を見る。
すると、首の裏に小さな赤い斑点があった。
「ちょ、ちょっと待ってください!!意味が全く分かりません!!」
ジョンとライリーは顔を見合わせる。
「まぁ、着くまでにはまだ時間はあるし、一から説明してやるよ」
ライリーはそういうと、優太にこれまでの経緯を説明し始めた。
今から約36時間前、世界政府本部内にある超能力科学技術調査局で盗難事件が発生した。犯人は世界政府本部内に設置されてある監視カメラと局員による目撃証言により、局長であるアダム・ベルとすぐに判明した。
アダム・ベルが盗んだのは現在開発途中の新薬DTM(DNA Transformation Medicine)。要約するとDNA変換薬。これは、DNAの配列を強制的に変えて、人間が約1時間で超能力者になれる優れ物だ。この新薬の原液となるものは、局の最奥部の保管庫に厳重に管理されていた。しかし、それをアダム・ベルが盗んだ。
ここまでで疑問はあると思うが説明を続けさせてもらう。
発覚後、世界政府はすぐにアメリカ合衆国のありとあらゆるライフラインを封鎖。街のあちこちに世界政府の超能力者や地元警察が配備された。しかし、その時にはすでにアダム・ベルはアメリカ合衆国にはいなかった。世界政府は近隣国の政府に注意と協力を呼びかけ、捜査範囲を拡大したが、それでも見つからなかった。
しかし、アダム・ベル失踪から24時間以上が経過した時だった。日本で一人の青年が超能力者に突然変異したという一報を世界政府がキャッチし、すぐさま世界政府関係者が派遣された。
派遣されたのは、世界政府幹部で10人の元帥の1人であり第12代アメリカ合衆国教育長官、超能力者教育員会委員長であるカーラ・エインズワース。
お前が病院で見た金髪の女性は、その人だ。
世界政府は君を保護した後、会議の結果、君を超能力者専門学校クリスフォードで保護することを決定した。
「で、今そのクリスフォードのある島に向かってる途中」
一通り説明が終わり、ライリーは優太を見る。
優太はしばらくライリーを見つめると、徐々にその表情は怒りに変わっていく。
「待ってよ、待ってくれよ。なんだよそれ。意味わかんないから、どうして保護されるわけ……」
優太の質問に、ジョンが答えた。
「能力が分からない以上、未成年のお前を民間の地域に置いておくことは危険だ。お前にとっても、お前の家族や友人にとってもな」
「ふざけんな!!家に帰らせろよ!!勝手すぎんだろ!!!」
「それはしょうがない。今の状況、君はいくつもの法律を破っていることになるからな」
「は?」
「君はもう“人類”ではなく“超能力者”だ。超能力者に対する法律が反映される。未来暦17年以降、未成年超能力者は世界政府が指定している超能力者専門学校に入学しなければならない。そして第四級以上の階級を取得しなければ、民間の生活には戻ってはいけない」
「し、知るかよ……知ったことか!!」
優太はそういうと、船内に駆け込み、階段を駆け上がって、2階の船長室へと向かう。
優太が2階に駆け上がり、2階の廊下に出ると、そこには先ほどまで甲板にいたはずのジョンが立っていた。
優太は驚き、その場に尻餅をつく。
「な、なんで!?さっきまで甲板で座ってたのに……」
「俺も超能力者だからな。ところで、船を奪って、東京に引き返すつもりか?」
「当たり前だ!!法律が何だ!!世界政府が何だ!!何で、あんたらの揉め事に巻き込まれてクリスなんとかってとこに行かなきゃ行けないんだよ!!」
優太はジョンの両肩を掴もうとする。
だが次の瞬間、目の前にいたジョンは一瞬で水に変わり、廊下に水が広がる。
そして、優太の後ろに本物のジョンが現れた。
「こればかりは、神宮優太。運命としか、言いようがない」
「ふ、ふざけんな……」
優太の脳裏に、家族と友人たちの顔が思い浮かぶ。
「これぐらいは知っているだろう。超能力者に対する法律は厳しく、未成年でも容赦はない。もし、君がまた家族や友人と会いたいのなら、俺たちについてこい」
「……どれくらい、会えないんですか」
「クリスフォードは4年制だ」
「4年間も、会えないんですか?」
「そうなるな」
ジョンの言葉を聞き、優太は涙を浮かべる。
「道は、これしかないんですか?」
「そうだな。君がもとの生活を逸早く取り戻したいのなら、これが最短ルートだ」
優太は崩れ落ち、壁に寄りかかる。
ジョンはそんな優太を何も言わずにジッと見つめる。
***** ***** *****
都立一会高等学校 1年4組
有紀は不安な表情を浮かべていた。その両端で元太と竜はいつものように話をしている。
「なんで優太来てないんだよ?」
「俺は知らねぇ。てか元太、俺の数学の宿題ちゃんとやってきたんだろうな」
「くそっ!!ほらよ!!」
元太は自分の鞄から竜の数学ノートを取り出し、竜に投げ渡す。
「毎度〜」
「今度は勝つからな!!」
2人がいつものようにしている中、有紀だけは異様な不安感に襲われていた。
─また、明日─
そう言ったはずだった。
朝のチャイムが鳴り、担任の先生が入ってくる。
学級委員長の号令で挨拶が終わると、先生はなぜか、いつものように朝のホームルームを始めず、思いつめた顔でしばらく無言のまま立ち尽くしていた。
生徒たちは先生の態度にザワつきはじめ、元太、竜、有紀も顔を合わせて首を傾げる。
数分後、ようやく先生は口を開いた。
「え〜…本当に残念なお知らせだが、神宮優太は、昨日をもって一会高校を退学となった」
その言葉で、騒がしかったクラスがシンとなる。
元太、竜、有紀はポカンと口を開いたまま、動かない。
「事情はいえないが、べつに悪いことをしたわけではないから安心してくれ。短い間だったが、神宮はとても思いやりのある生徒で頼もしい存在だったと先生は思う」
「な、なんだよそれ……」
「ウソだろ……」
元太と竜が呆然としている中、有紀は突然席を立ちあがり、教室を飛び出す。
後ろで先生の声が聞こえるが、無視した。
校舎を飛び出し、正門めがけて走る有紀だったが、途中で派手にこけてしまい、膝を擦りむく。
しかし、そんな些細な痛みなど気にせず、再び立ち上がって走り始める。
有紀が目指しているのは、優太の自宅だった。
有紀はただ、優太に会いたくてがむしゃらに走る。
道行く人にぶつかりながらも、ただ前に向かって走る。
そして、そのままの勢いで車道に飛び出す。
大きなクラクションと共に、有紀の目の前は真っ暗となった。

