複雑・ファジー小説
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- Lost colors
- 日時: 2014/04/26 09:39
- 名前: サカズキ (ID: gOBbXtG8)
—プロローグ—
突然起きた、太陽の異常現象。
同時にそれに伴った、人類の目の退化。
その二つの現象は、この地球上より———人類の目より『色』を消失させてしまった。
そして人類の目に映る残された色は、ただ単に色でもないやも知れない明暗だけだった———
—ごあいさつ—
はじめまして、サカズキです。拙い文になりそうですが、よろしくお願いします。
今作のキーワードは『色』です。世界から色が消えた、正確には見えなくなったこの世界で、人々はどのような生き様を見せるのかということをテーマにしました。
世界観としては、人々が超能力を使うことが出来る現実めいたファンタジーとなります。
—目次—
第零話〜色のない世界の情勢〜>>1 河上淳也side
第一話〜目覚まし時計に口は無い〜>>2 河上淳也side
第二話〜これが俺の悪友共だ〜>>3 河上淳也side
第三話〜超能力とは〜>>4 河上淳也side
第四話〜色が戻った?〜>>9 河上淳也side
第五話〜リビングに戻る色〜>>10 河上淳也side
- Re: Lost colors ( No.1 )
- 日時: 2014/01/06 17:45
- 名前: サカズキ (ID: gOBbXtG8)
俺は河上淳也。周りからはジュンちゃんと呼ばれているが、あまりいい気がしない。
そんなことよりも、今世界は大変なことになっている。言わずもがな、世界に色が無い———いわば、消えたことだ。
正確に言えば太陽の光の変化によって人類の目がおかしくなったのだが。
で、何が大変かと言えばまず信号だ。
色を失ったことにより、三色で色分けされていたはずの信号が非常に分かりにくくなっている。
明暗、つまり白黒だけは俺たち人類の目で捉えれるのだが、信号の色への依存性は思っていた以上に凄かったらしい。
交通事故の件数は例年の10倍以上にも膨れ上がっており、世界は最早混沌へと落ちている。
さらには画家など、そういう職業を本職としている人たちは失業していくばかりだという。
因みに、田舎の方はそこまで苦労していないだろうと言う連中がいるようだが、どうやらそうではないらしい。
俺は田舎でも都会でも育ったから分かるのだが、田舎者は畑に植わっている野菜の色や、萌える山並みの木々の僅かな色の違いでがどっちがどっちかを判断しているのだ。
まあ都会にしろ田舎にしろ、道を完全に暗記している人こそいれど、困る人は少なくないのが現状である。
何にせよ、色が見えなくなってしまった現象は世界に混乱を招いた。
このモノクロの世界で、人は何が出来る?これから、文字や図だけで生きていくのか?
きっとそれはそれで困る。いずれはそういう生き方でも慣れるのだろうが、気分はあまりよくないだろう。
そうして現在、人々は『色』の存在を忘れてしまった。
だが何故だろうか。俺ははっきりと覚えている。
赤と言えば炎、藍と言えば海、緑と言えば山と言った風に、どのような色だったのかはっきり覚えている。
———全く、一体何故だ……その答えは出ない。きっと永遠に。
- Re: Lost colors ( No.2 )
- 日時: 2014/01/06 17:08
- 名前: サカズキ (ID: gOBbXtG8)
———ピピピピピ……バシンッ!
「あ?もう朝か」
毎朝目覚まし時計を乱暴に止めてしまうのは俺の癖。
その目覚まし時計も元々鮮やかな水色だったのだが、これですらくすんだ灰色になっている。
俺は別段朝に弱い訳ではないが、やはり眠い中で起こされると少しイライラしてしまう。
故に、このような止め方をしてしまうのだ。あーっ、また沸点低いっていわれるだろうな。
「お兄ちゃん目覚まし時計が可哀想だよー!」
俺の隣で寝ていたのは妹の美由紀(みゆき)
何故俺の隣で寝ているのか?それは俺も知らん。朝になったら隣にいた、それだけのことだ。
まあそれはさておき、コイツは立派に中3の癖しておきながら未だ幼児っぽさが抜けない阿呆である。
まあ良く言えば幼さを残す典型的で可愛らしい妹。悪く言えば天然なだけの餓鬼。
「ほらー、目覚まし時計さん痛いって言ってるよー?」
お前本当に中3なのか?これもいつまで経っても解消されない疑問だ。
何故俺が鮮明に色を覚えているのか。それもかなりの謎なのだが、こいつの阿呆さ加減も中々謎である。
だから俺は超現実的な返事を返す。
「目覚まし時計に口なんかついてねぇだろ」
夢も希望も何にも無い。それは友達からもよく言われることだが、下手な夢を見たり妄想してるよりは、現実を捉えた方が結果的に良い方に動く。それは周知の事実であり、赤ん坊以外なら誰でも理解できるだろう。
だがコイツの場合は———
「よしよし、いたいのいたいのとんでけー」
もう、考えていることがよく分からん。
- Re: Lost colors ( No.3 )
- 日時: 2014/01/10 19:00
- 名前: サカズキ (ID: gOBbXtG8)
ビーーーーッ!!
「あ」
登校中でもう二回目。またしても事故だ。
俺はここ最近———世界から色が消えてから事故現場に会うことが多い。
特にこのあたりは住宅街だし田舎だし、住人の気が抜けやすいと言うこともあるな。
それもこれも、あの白黒の信号の所為なのだろう。
「おーっす!河上!」
———誰だ。
振り返ったら、クラスメイトの『千影優奈』『大蔵健太郎』『草薙風香』の三人がやってくるのが見えた。
先陣きって走ってくるのは千影優奈。あいつはいつも元気があり、行動力もあるので学級委員を取り仕切っている。
昔その髪は緋色だったのだが、今になっては灰色になっている。
その横をまるで競うように走ってくるのが大蔵健太郎。ヤツは生徒会の副会長を務めてるとか。
アイツの自慢だった鞄のアクセサリーも、今になっては黒と白の人形なだけだ。
その後ろからのんびり歩いてくるのが草薙風香。あいつは騒音を嫌うようで、いつもヘッドホンで音楽を聴いている。
無口無表情なヤツは何を考えているのか分からない。妹も相当だが、こいつも違う意味で分からない。
「いやー、今日も派手にやってるね」
「やりたくてやったんじゃないだろ」
千影の言う「派手」
それは事故の事だろう。
その事故現場を俺たち三人がボンヤリ眺めていると、草薙が追いついてきた。
「風香ちゃん、また事故だよ」
「……そう」
千影の問いにも草薙は素っ気無い返事で返す。
- Re: Lost colors ( No.4 )
- 日時: 2014/01/17 18:21
- 名前: サカズキ (ID: gOBbXtG8)
「そういえばジュンちゃんさー」
「ジュンちゃんやめい。で、何だ?」
登校中、俺は千影に呼びかけられた。
かつては赤や青で染められていたはずの道路標識が、白黒の標識として俺の視界に映る。
「超能力覚醒したー?」
超能力。
それは人類が『一人一種類だけ』使うことの出来る、ある意味便利な能力だ。
人が超能力を使えるようになるのは、個人差はあるが、大体思春期前後と言われている。
そしてどの様な超能力が使えるようになるのか。それは不確定要素にある。
なぜなら、親からの遺伝という物凄くややこしい方法で、どの能力が出来上がるか変わるからだ。
故に多くの能力こそあれど、特殊な能力が突然変異で生まれる可能性だってある。ある意味、未だ未知なる存在だ。
その超能力なのだが、俺は高校生にもなって未だ覚醒していない。
個人差という話が俺を無理矢理納得させているが、周囲はそれに茶々を入れやがる。
不愉快だ。
「まだ覚醒してねぇけど何か?」
「……ジュンちゃん、目、笑ってない」
目が笑ってない?そりゃそうだぜ草薙。
周囲になるべく「気にしていない」という表情を向けているだけであって、内心物凄く不愉快なのだから。
「ご、ごめんごめんっ」
パキパキと、あの独特の音を鳴らす俺の指。
千影は俺のそんな手に、苦笑いを浮かべながら自分の手を重ねて落ち着かせようとするが、もう遅い。
刹那俺の拳は———流石に女を殴るわけにはいかないから、そのままガードレールへ。
いったはずだったが———
ドカッ!
何か柔らかいものを殴った気がした。
ハッとして落ち着いて、そして改めて時分の視界を確認したら、俺の拳は見事、大蔵のヤツにヒットしていた。
横っ腹に鉄拳を入れられた大蔵は、何とも言えない呻き声を上げながらその場に力尽きる。
「河上……殴るなら女と公共物以外の、壊れて困らないものにしてくれ……」
「あ、あぁ。……大丈夫か?」
「俺なら平気さ。いつつっ!」
その後学校に着くまで、大蔵は呻き声を上げ続けていた。
何となくもう一発殴りたくなってきたがそこは我慢。
- Re: Lost colors ( No.5 )
- 日時: 2014/01/26 15:37
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
面白いです!…はい、とっても……!
私も小説、書いては居ますが、こんな風に立体的に書けません。
更新、頑張ってください!!
あ、でも、ひとつ
私は、小説図書館の欄を見て、来たのですが、コメディライトの作品になっていました。
作品紹介文を押したら、掲示板カテゴリが出てくるので、複雑・ファジーに変えることをお勧めします
…まあ、どちらでも良いんでしょうが。
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