複雑・ファジー小説

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エクスシード【キャラ募集開始】
日時: 2014/11/01 20:29
名前: ピカソ (ID: nWEjYf1F)

創造神"ユニバース"
それはこの世という摂理を築き、全てを一から創り、安泰へ導いたとされる神の名である。
上には上がいるという諺を覆すその力は絶対。だが、創造の名を冠しながら容姿に美貌はない。ただ、単に"この世の化身"であるがために、何をどうしても覆すことの出来ない力を保つために最適化された身体を持つだけ。

この世界"アース"で暮らす人々において、そんなユニバースの名を知らない者はいなかった。
それは、古代文明の遺跡に描かれた壁画、ユニバースの存在を信仰する宗教、義務教育による学問、町ならばどこにでも必ず1つは存在するユニバースの石像など、あらゆる場面で登場している故。
逆にユニバースの名を知らない者は、幼児以外ではありえないとされていた。

そんな人気者のユニバースなのだが、この世界における人類の文明が栄えだす前、彼は1つの力を生み落としていた。
それは、ユニバースが持つ力のほんの一部。彼からしてみれば、失っても何も支障を来たさない些細なものだ。それでも人類にとっては途轍もなく強大であり、場合によっては小さな星の10や20を、軽く滅してしまうほどの力を秘めている。

生み落とされたその力は、武具や道具、宝玉などのいくつもの形に変わり、分散し、アースの各地へと散らばった。

そんなユニバースの力を秘める物質。名を"エクスシード"という。



    ◇  ◇  ◇



-INFOMATION-

現在、オリキャラを募集しています。
テンプレートはこちら>>1

Re: エクスシード【キャラ募集開始】 ( No.25 )
日時: 2014/11/08 16:12
名前: ピカソ (ID: nWEjYf1F)

不死鳥さん>>
どうも、ピカソです。
オリキャラありがとうございます。特に問題は見受けられなかったので、このまま3人とも採用させていただきます。

琳洲音燐さん>>
設定の省略、ありがとうございます。問題なくなったので採用させていただきますね。
ではこれからもよろしくお願いします。

Re: エクスシード【キャラ募集開始】 ( No.26 )
日時: 2014/11/09 14:53
名前: ピカソ (ID: nWEjYf1F)

「クローズコンバット。目標の無力化を確認」
「ありがとう、シルビア」
「別に」

 その後エクスは眼前の敵が死んだ頃を確認すると、すぐさま懐からナイフを取り出して鳥を解体し始めた。
 魔獣を解体し、価値のある素材に変換するこの作業。それを恰も手足を動かすように容易くやっているエクスに対し、どう解体すれば価値のある素材になるのかが分からないシルビアは、手伝えずにただ静観していた。
 きっと素材は戦利品となって、売るなりして金を得るのだろう。そう考えながら。

 今回の戦いで得れた戦利品は、エクス曰く「大収穫」とのこと。
 そりゃそうだろう。シルビアはエクスが抱えている、戦利品が入ったことでかなり大きくなった袋を見て、そう思った。
 かなりの数がある羽毛や皮は何らかの装飾に使えるだろうし、骨もかなり丈夫なものなので、用途は多岐に渡るに違いない。
 おまけに嘴や爪も、やり方次第では小さなナイフに加工できるほど鋭い。
 それから一体どうやったのか、何故か搾り出すことに成功した体液と血液は、エクスが言うには滋養に良いらしい。
 肉も食用であり、脂肪はランタンの灯を燃やすのに使えるとの事。まさに余すところがない。

「シルビア、どうする?」
「何が?」

 そんな他愛もないことを考えていたシルビアはエクスに名を呼ばれ、半分飛びかけていた意識を呼び戻す。

「もう夜も遅いし、これからこの肉を焼いて食べようかと思うんだけど。君も一緒にどうだい?」
「……」

 拠点も持たずに旅をしているシルビアにとって、それはこの上なくありがたい提案である。
 ただ彼女は、1つ疑問を抱いていた。

「それは助かるけど……アンタ、どうしてそんな情けをかける?」
「……?」

 シルビアが疑問に思うのも無理はない。
 彼女はエクスからしてみれば、知り合いでも何でもない単なる他人。
 それも"狙撃の乙女"という通り名を持つ、業界きっての暗殺者だ。
 彼女がここにいる理由が、もしかしたらエクスを殺すためなのかも知れない。
 そうでなかったとしても、何らかの理由——例えば暗殺対象の関係者だからという理由で殺されるのかもしれない。
 それなのにエクスは今、彼女に夜飯を共にしようと誘ったのである。

「アンタ、私の事知ってるんでしょ?」
「うん」
「だったら何故」
「え、別にいいじゃん」

 エクスは然も当然とでも言うかのような目でシルビアを見ている。

「ここであったのも何かの縁だ。ほら、行こう。ついてきて」
「あ、うん……」

 ——お人好し。シルビアが彼に対して抱いたその第一印象は、どうやら覆らなかったらしい。
 そんな彼に促されたシルビアは仕事の事さえ半分ほど忘れ、言われるがままに彼の後を追いはじめた。

『彼の瞳は、一体どこを見ているのだろう』

 そう思いながら。

Re: エクスシード【キャラ募集開始】 ( No.27 )
日時: 2014/11/16 19:45
名前: ピカソ (ID: nWEjYf1F)

 先ほど捕らえたの鳥の名だが、あれはグリフォンと呼ばれる種族の鳥族"ガルーダ"だと、後にエクスが言った。
 ただ、それを聞いていたシルビアにとっては特に必要な情報でもなかったので半分ほど聞き流していたが、何故か聞き流していたはずであるその知識は自然と頭に入っていた。
 いつもこうだ。何でもないような情報だろうが聞きたくもない話だろうが、大体は無意識のうちに全てを記憶する。
 お陰で他人の話をよく聞ける特性が身についたが、今の仕事において役に立つのか立たないのか、それは曖昧である。

「ありがとう。美味しかったよ」
「あはは、どういたしまして」

 そんなガルーダの肉は、この上なく美味だった。
 柔らかさを損なわない適度な歯応えの中にある、溢れんばかりの肉汁による旨味が食欲をそそる。
 ボリュームも満点。力が湧いてくるという感覚を、改めて知ることが出来るといえよう。
 なので、もとより少食であるシルビアにとっては、肉のほんの一部を食しただけで腹いっぱいになることが出来た。

「……エクス、だっけ?」
「ん? どうしたの?」

 それから数分の沈黙が流れたときだ。
 のんびりと食休みをしているシルビアが、テントを張る作業に取り掛かっているエクスに話しかけたのは。

「アンタ、特定の組織に加盟してない流浪の猟師なんでしょ?」
「あぁ、そうだけど」
「……何で流浪なんだ?」

 訝しむわけでもなくシルビアが言い放った純粋な問いは、単純に聞こえて複雑である。
 戦いに身を投じる人間はその仕事柄、どこかの組織に加盟しておく方がよっぽど楽に仕事ができる。
 シルビアも昔は、暗殺を専門としたとある組織に加盟していた。
 今は訳あってその組織を辞めているが、辞めなかった方がよかったかなと今でも彼女は若干後悔している。
 なのにエクスは拠点も持たず、旅のような感覚で猟師をしている。
 それは一体何故か。シルビアはその言葉の裏に、こんな意味を含ませていた。
 対して訊かれたエクスは、考えることもなく直ぐに答えを出した。

「簡単に言うと、世界の果ての更に先へ行きたいからさ」
「世界の果ての、更に先?」
「うん」

 そこまで言うとエクスはテントを張る作業の手を止め、シルビアの隣に座った。
 座った先は、転がっていた丸太。そもそもここは森の中で、その中でも少し開けた場所になっている。
 星空も見えるし、翌日になれば朝日も差し込んでくる。誰もがハンモックで昼寝をしたい衝動に駆られるような光景だ。
 そんな場所でエクスは、宿も取らずに一夜を明かそうとしている。宿代の節約をするためだという。そして安全を確保するため、周囲の木々には魔よけの札が

「それと1つ訂正しておくと、僕は猟師という仕事をしてないんだよ」
「え、そうなのか?」
「うん」

 星空を見上げながらエクスが言う。
 この地域は空気が清浄なので、星空は周辺の地域よりも一段と美しい。
 つられて見上げたシルビアも、少し心を奪われた。

「まあ、仕事というよりは生業って感じだからね。たまーに今回みたいに魔獣の討伐に来たりするけど、基本は働いて金を稼ぐような仕事じゃない。明日を何とか生きるための生業なのさ」
「なるほど……」

 私と同じだな。シルビアがそう言うと、エクスは愉快そうに喉の奥で笑う。

「よーし」

 そしてまた数分の沈黙が流れ、その後に思い立ったようにエクスが立ち上がった。
 同時にシルビアへと振り返るなり笑いかけ、後に色々と物事が大きく転換する切欠をしれっと口にした。

「僕はこれからここで寝ようと思うんだけど、よかったら君もどう?」

 ——と、然も当たり前かのように。

「……え?」

 シルビアは彼が言った言葉の意味を直ぐに理解することがかなわず、不覚にも呆然としてしまった。
 そんな間抜け面を向けるシルビアを見て、エクスは笑う。
 その笑いにどのような意味が篭められているのか、それは本人にも分からないのだろう。

「あはは、どうしたんだい? そんな顔して」
「あー、いや……」

 そして、やっとの思いで気付く。
 きっと誰も通らないこの場所で、異性と2人きりで一夜を共にする——先ほどエクスが言った言葉の意味はこういう解釈の仕方も可能なのであって、シルビアは正にそんな解釈をしていた。
 彼のその誘いは、そういう意味を別にすればまたもやありがたいものとなる。ただ、幾ら相手がお人好しといえど、よく知りもしない、ましてや先ほど知り合ったばかりの男と一夜を過ごすのには流石に抵抗がある。
 暗殺者とはいえ、シルビアも女。軍人でもない限り、女性としての矜持は捨てられない。

『鈍感というか気配りができてないというか、正味の話がコイツはアホなのか……? でも……あぁ、もう』

 まずシルビアは今まで生きてきた中で、異性と同衾した経験が全くない。
 精々「幼い頃に顔も覚えてない父親と」としか言えず、身内以外での同衾経験は本当にないのだ。
 相手が気遣ってくれてるんだから、ここは応えるべきなのか。気遣いが行き届いていないから、拒否するべきか。やっぱり私利のためだけでも応えるべきか。だがそうしたらそうしたで、万一襲われたら本末転倒である。
 ああだこうだとあれこれ思考をめぐらせた挙句、脳内の思考回路は見事にショート。結果、彼女はこう言っていた。

「へ、変なことはしないでよ……?」
「……?」

 しかもその言葉を発したシルビアの様子が、クールというエクスが彼女に対して抱いていた第一印象を大きく覆した。
 銃という人殺しの道具を持ち、一切の情なく対象(ターゲット)を殺しにかかる暗殺者とは程遠く、今のシルビアは宛ら、恋する乙女よろしく頬を淡く桜色に染めて上目遣いで、しかも声色も若干変わった状態でエクスを見ている。
 一瞬その変わり様にエクスは目を丸くしたが、彼女が何故そんな様子になったのかは直ぐに察することが出来たらしい。

「あ、あぁ! べ、別にそんなこととか全然しないから! する気もないし!」
「……」

 そう言ってくれて安心した。シルビアはそう思った。
 だが、かなり強く否定された所為か、逆に少しだが傷ついてしまったのであった。

Re: エクスシード【キャラ募集開始】 ( No.28 )
日時: 2014/11/19 19:42
名前: ピカソ (ID: y3VadgKj)

その後、何だかんだでシルビアはエクスと共に同衾することとなった。
だがシルビア本人だけは、何故このような状況に至っているのかが分からずに、ただエクスの隣で黙ったまま困惑している。
先程まで自分が何をやっていたのか、何を言っていたのか。それらの記憶の殆どが抜け落ちているらしい。

「ーーまあ、別にいいか」

困惑するだけ無駄なので、結局シルビアは小声でそう言って現状を受け入れることに。
かといって眠くなるような時間帯でもないので、既に夢の世界の住人らしいエクスの寝顔を観察しはじめた。

よく見ればかなりの美形だ。
体つきだけでなく、顔も、全体的な容姿が。
そして考えてみれば、こんな美形な異性と出会ったこともなかった。
リカルドはどちらかというと渋いおじさんであり、美形と言うには無理がある。

「こんな奴、本当にいるんだな…」

その後シルビアは、エクスの耳元で「おやすみ」とだけ囁くと、そのまま眠りについた。

Re: エクスシード【キャラ募集開始】 ( No.29 )
日時: 2014/11/22 20:52
名前: ピカソ (ID: nWEjYf1F)

 翌朝、シルビアは早くもなんともない時間帯に目を覚ました。
 目蓋を開けて少し目を擦り、朝かと思いながら腕時計に目をやれば、針は既に8時を差していた。
 もうこんな時間か。シルビアはそう思ったが、エクスがまだ寝ているので慌てる必要はなかったらしい。

『……よし』

 朝には強いので、試みた覚醒は数分も経たないうちに終了する。
 そのままエクスを起こさないようにそっとテントを出て、朝の空気を吸おうとした。

「……?」

 だが、テントから顔を出した時点で、彼女の動きは止まった。
 原因は、様々な"異常"の数々。

 異様に空気が冷たい。まだ春先にも拘らず、まるで真冬のように冷え切った冷気が、露出した肌に鋭く突き刺さる。
 あれだけ緑で溢れていた木々が、一切の例外なく枯れ果てている。地面の芝生も雑草も、緑は全て茶色になっている。
 空が赤く、雲が黒い。だが、雲の黒さは雨雲のような黒さではない。絵の具で塗りつぶしたような、純粋な黒だ。

「お、おい……エクス」

 思わずシルビアはテントへと引っ込み、エクスを揺り起こした。

「んー……? どうしたの?」
「外……外、見てみなよ」
「外ぉ……?」

 揺らされて、のんびりと目を覚ますエクス。
 寝惚けながらもシルビアに促され、まだ眠そうな目を擦りながらもテントから顔だけを出した。

「!」

 寝惚け眼とはいえ、先ほどシルビアが感じた異常。
 それらを感じて理解できた途端は、流石に一気に目が冷めたらしい。

「これは……一体どういうこと?」
「私が知るか。私も今起きたんだけど、外に出たらこうなってたよ」
「……おかしい」

 首を捻るエクスは、一旦テントに戻るようにシルビアに促した。


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