複雑・ファジー小説

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超熱血少年が異世界に転生したら
日時: 2015/07/01 11:56
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

王道の本格的なファンタジー小説を執筆開始します。
バトルあり笑いあり涙ありのお話です!

Re: 超熱血少年が異世界に転生したら ( No.5 )
日時: 2015/07/02 15:07
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

Orfevreさんへ
応援してくださってありがとうございます。熱血というより中二病よりかもしれませんががんばって書いていこうかと思います!

Re: 超熱血少年が異世界に転生したら ( No.6 )
日時: 2015/07/02 15:24
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

ケルベロス。それは、神話に登場する三つの頭を持つデカい犬。
だが、俺を待っていたのは、それよりも遥かにヤバい生き物だった。
それは百獣の王、ライオン。
しかも、身の丈は三メートルほどもあり、首が三つもある化け物だ。

「グオオォォオオオオオオオッ!!」

俺が接近すると、寝ていた奴は目をクワッと見開き尻を上げて威嚇のポーズを取り、百獣の王の貫禄十分な吠え声をあげた。
その音量と風圧により、俺の髪は逆立ち気迫に僅かながら後退する。
だが、決して敵に背を向ける行為だけはしてはならない。
それをしたら最後、奴に負けを認める事になるばかりか、一撃で二度目の死を迎えるだろう。
確かに、奴は化け物だ。しかし、生き物である以上は攻撃を続ければ、いつかは地面にはいつくばる時が来るはずだ。

「かかってこい! 俺は転生するために、お前なんかに負けちゃいられねぇんだ!」

格闘の構えを取り、敵が飛びかかるのを待つ。

「ガオォォォオオオオオオッ」

その雄たけびと共に、奴はぱっと上空に飛び上がった。
そして、大口を上げて急降下してくる。
上等だ。カウンターを食らわせてやるっ
左の拳で中央部に位置する顔にパンチを当てようとした瞬間、

ガブリ!

左端の顔が俺の右肩に食らいついた。
既に魂だけの身でありながら、ちゃんと痛みを感じる。
肩口からは通常なら死んでもおかしくないほどの血が流れる。

「やるじゃねぇか、ライオンさんよ。だがな、俺を舐めるなよっ」

強引に奴の口から肩を引き剥がし、難を逃れる。
すんでのところで襲い来る真ん中の顔の噛みつきをフットワークで避ける。
じれったいと思ったのか、奴はその黒光する長く鋭い爪で、フックを見舞ってきた。

「おっと、あぶねぇ」

跳躍で回避し、敵の右端の頭の頭頂部にドロップキックを炸裂させる。
幾らライオンとはいえ顔面にまともに蹴りを受けたのはまずかったのか、右端は弱々しい鳴き声を出すと、がっくりと動かなくなった。

「まずは、ひとつめ一丁上がり!」

気絶した頭には悪いとは思ったがそれをトランポリン代わりにして地面に着地する。今まで闘いに夢中で気が付かなかったが、ライオンが眠っていた場所には小さな宝箱があった。これを見た俺は、すぐさま察知した。

「第一の試練は宝箱をライオンから奪い取り、ここを脱出する! そうだよな?」

天使に話しているつもりで自分に言い聞かせ、ケルベロスもどきのライオンが背後を振り向き全力疾走してくるよりも早く宝箱を持ち上げて、急ぎ足で部屋の扉を抜けた。

「おめでとうございます、第一の試練、合格です!」
「フッ……お前、俺が死ぬかと思ったろ。生きて帰ってきて残念だったな」
「ばれちゃいましたか」

そう言って頭を掻いて舌をぺろっと出した天使は、まるで弟ができたかのように可愛らしいものだった。

Re: 超熱血少年が異世界に転生したら ( No.7 )
日時: 2015/07/02 17:04
名前: 林檎 (ID: rLG6AwA2)

初めまして、林檎という者でございます。

もうなんていうか、文面が凄いです!
ジャ○プっぽいというか・・・面白いです!
ファンタジーもバトルも私は苦手、というか私が書くと小学生が自由帳に書いた小説みたいになるので、尊敬します( *´艸`)

更新、頑張ってください!('ω')ノ

Re: 超熱血少年が異世界に転生したら ( No.8 )
日時: 2015/07/02 17:28
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

林檎さんへ
初めまして。実は結構80年代のジ○ンプを意識しています。

Re: 超熱血少年が異世界に転生したら ( No.9 )
日時: 2015/07/02 20:02
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

「さーて、さっさと残りの試練も終わらせて異世界に転生するとするか」
「待ってください!」

意気揚々と第二の扉へ向かおうとした俺を、天使が制止した。
人のやる気を削ぐ奴だな。

「なんだ、何か忠告でもあるのか」
「連続で試練に挑んだら疲れるんじゃないですか?」
「そう言うと思ったぜ。だがな、俺は第一の試練で気づいたんだ。ここは自分の思い次第で傷も疲れも癒す事ができる、精神力がモノをいう世界だってな!」
「お見事です。今まで僕はたくさんの転生希望者を相手にしてきましたが、これほど早くこの場所の秘密を見抜いたのは初めてです」
「それはよかった。じゃあ、第二の試練に行ってくるか!」
「どうぞ、いってらっしゃい」
「相変わらずポーカーフェイスな野郎だぜ」

第二の扉をくぐると、そこには富士山ぐらいの巨大な山がそびえ立っていた。

「でけぇ……」

俺は富士山には登った経験はないが、その大きさがどれ程のものかというのは、日本人なだけあってわかる。眉のあたりに手を当てて頂上を見ようとするが、あまりの高さに残念ながら見る事はできなかった。けれど、見えないという事実が俺をより奮起させた。

「ここで見えねぇなら、あそこまで登っててっぺんから風景を見下ろしてやるぜ!」

クラウチングスタートの体勢を取り、呼吸を整える。
疲れをしらない今ならば、きっと一気に登山できるハズだ。
そしていざ走り出そうとした瞬間、

「お前さん、ちょっといいかな?」

年老いた声が上から聞こえた。
顔をあげると、青いモーニングに長い白ひげを生やした老人がいた。
杖をつき、なぜだかは知らないが頭にバケツほどの大きさのプリンを載せている。

「なんだよ、じいさん」
「お前さん、あの山に登るつもりなんじゃろ?」
「そうだけど、それがじいさんと何の関係があるんだよ」
「旅は道連れと言うじゃろ。ついでじゃからわしを背負って登山してくれんかのぉ」
「……ああ、いいぜ! 乗りな!」
「それじゃ遠慮なく」
「ぐえっ」

いきなり俺の背中に乗ってきたじいさん。
彼のあまりの重さに、体勢を崩しうつ伏せになる。

「どうした若いの。わしひとり乗ったぐらいで倒れおって。
これだから最近の若いのは根性がないんじゃ」

マジかよ。俺ひとりの責任で、現代っ子の根性が地に落ちてしまう。
じいさんの判断基準がどうかわからないが、このまま這いつくばってばかりいては他の現代っ子達に申し訳が立たなくなるじゃねぇか。
他のお年寄りはともかく、俺がこの場で動かないでいたらきっとこのじいさんは余生を若者を蔑んだまま生きていくだろう。そうなった場合、その元凶を作ったのは少なくとも俺に責任がある。このじいさんにぎゃふんと言わせるためにも、ここで倒れている訳にはいかねぇんだ。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」
「うるさいのぉ。これしきのことでいちいち叫び声をあげるなんて、お前さんよっぽど貧弱なんじゃなぁ」

貧弱。その言葉が、胸に槍のように突き刺さる。
これまで、相手がどのような悪口を言ってきてもスルーできる自信があった。
だが、ここにきて初めて、俺のハートが傷ついた。いや、抉られたと表現した方があっているのかもしれない。生まれてこのかた(死後も含めて)体力だけには自信があった。
勉強はびりだったけど、喧嘩とスポーツだけは誰にも負ける気がしなかった。
けれど、ここにきて初めて、貧弱と罵られたのだ。
ううっ……ばあちゃん。
ばあちゃんならこんなとき、どうする?
今は遠い別世界にいる祖母を思い、俺は思いをはせた。


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