複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 連載を中止します。
- 日時: 2015/10/18 21:03
- 名前: モンブラン博士 (ID: 7KvZCID9)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=270
世界の平和を守るためのヒーローを育成する、スターアカデミー。
その優等生であるマロン少年は「慈悲の心がない」という理由で退学になってしまう。アカデミーに強い復讐心を抱いたマロンは、各地の能力者を集め勢力を作り、復讐を挑むが——
リク依頼相談掲示板にてオリキャラ応募終了しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。
※感想くださると、更新率がアップするかもです。
1 >>1>>2>>3>>4
2 >>7
- Re: 子供と大人の闘い【オリキャラ募集中】 ( No.3 )
- 日時: 2015/09/29 18:42
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
同時刻。
生徒のひとりである羽飼優斗(わかいゆうと)は、校長であるスターと対峙していた。
金髪碧眼に茶の三つ揃えスーツを着こなす紳士に、黒眼鏡をかけた茶髪の少年は、物怖じすることなく強い口調で言った。
「あなたは此処をどこだと思っている。此処はアカデミー、つまり学校だろ? 性格に難があるのなら、それを更生するための教えを説くのも、学校で与えられるべき教育のひとつじゃないのか!」
羽飼は、言葉を斬撃に変えて相手を攻撃する能力を有していた。
彼の言葉が相手の心をえぐるたびに、相手の体は切り刻まれる。
そして、彼が完全に対象者を論破したとき、そこにできているのは血の海地獄。その能力を駆使し、彼は以前いじめをしている生徒を殺害したことがある。
少年は、校長がマロンを退学処分にした理由が許せなかった。
性格がなっていないだけで、学校を辞めさせるなんて間違っている。
羽飼は己の言動に絶対の自信を持っていた。
そしてその自分ならば、マロンの敵を討てると信じて疑わなかった。
しかしスターは迫りくる刃にも全く動じず、笑顔で口を開く。
「教えを説くだけで改心させられるのならば、これほど簡単な話はないよ。もしそれが可能だと思うのであれば、君が自ら実践してマロン君の心を変えてみたまえ」
校長の発した一言で、衝撃波は消失してしまった。
予想外の出来事に、優斗は驚愕の表情で相手を見つめる。
スターは椅子から立ち上がって言葉を続けた。
「今の言動からすると、君は私達の教育方針に不満があるみたいだね」
「当たり前だろ。理不尽な理由で退学させるなんて、どう考えても間違っている」
「私に意見し、攻撃までしたとなれば退学は免れないのだが、それでもいいかね?」
顔は柔和な笑みを浮かべたままだが、声のトーンを少しだけ落としたスターに、羽飼は吐き捨てた。
「退学? やりたければやればいいよ。名ばかりのアカデミーなんて僕には必要ない! そこで洗脳されて操り人形になるヒーローも、世界には絶対必要ないから! 僕の意見が間違っているって言うんなら、あなたらまとめてぶっ手折(たお)してあげるよ!」
それだけ言い残し、勢いよく校長室の扉を開けて外へと飛び出した。
走っていく彼の姿を見送りながら、スターはくすりと笑い小さく呟く。
「やはり、外れてはいなかった」
- Re: 子供と大人の闘い【オリキャラ応募終了!】 ( No.4 )
- 日時: 2015/09/29 21:05
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
早朝、羽飼は担任であるトリニティ=バードンに休学届を提出した。
青い髪に黄金の瞳を持つ若き男性教師は、彼の届け出を受け取ると、静かに言った。
「理由は問わない。君は何か成し遂げたい事がある。私の目にはそう映っているが、違うかね?」
「さすがだね、先生。俺はこの休学期間中にある行動を起こすつもりさ」
「そうか……君が何をするかは問わない。だが、ひとつだけ忠告しておこう」
トリニティは生徒の両肩に手を置き、真剣な眼差しを向けた。
金色の瞳の奥には、羽飼の顔が映されている。
「本質を見間違えてはいけない」
そして彼の肩から手を離すと、くるりと背を向けた。
「じゃあな、先生」
「……」
羽飼がいなくなった自室で、トリニティは一粒の涙を流した。
彼には愛すべき生徒が、何をするつもりなのかを見抜いていた。
だが、敢えて何も言い返さなかった。
諭そうと言葉を掛けたところで、彼の意志は変わらない。
それならばせめて、本人が納得するまで行動させることにしたのだ。
たとえ、それが自らの首を絞める行為になったとしても、生徒が最後に本質を分かってくれればそれでいい、生徒のために死ねたら本望、そんな気持ちが彼にはあった。
窓の景色は、雲ひとつない快晴だった。
校門を出ていく羽飼の姿を確認し、彼はもう一度先ほどの言葉を繰り返す。
「本質を見間違てはいけない、羽飼。君ならいずれ分かるはずだ。なぜ校長が、マロンに退学処分を言い渡したかが」
- Re: 子供と大人の闘い【オリキャラ応募終了!】 ( No.5 )
- 日時: 2015/09/29 23:37
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: IQBg8KOO)
お久しぶりです全州です。
序盤からの急展開で先が全く読めません。
次はどうなるんだろうと思わず読み進めてしまうような見事な文章だと思います。
……なんだか今回は背景描写が少なめですね。この方が読み進めやすくはありますが、個人的には若干情景が想像しづらいので、渡り廊下を中ほどまで行ったところとか教室の隅とか、そういう大雑把なものでいいのでもう少し詳しい場所の説明がほしいです。はっきりした居場所があったほうが落ち着く性分でして。
- Re: 子供と大人の闘い【オリキャラ応募終了!】 ( No.6 )
- 日時: 2015/09/30 05:15
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
全州明さんへ
感想ありがとうございます。情景描写をもう少し増やしてみたいと思います。少し大雑把にはなりますが、書いてみます。
アドバイスありがとうございます!
- Re: 子供と大人の闘い【オリキャラ応募終了!】 ( No.7 )
- 日時: 2015/10/16 20:50
- 名前: モンブラン博士 (ID: 7KvZCID9)
土日は、アカデミーは休みである。
週の五日、学生寮から学校に通っている生徒達も、この2日間は各々の家に帰り、家族と共に過ごすのだ。
川村猫衛門(かわむらねこえもん)も、家へ帰るべく、帰路を歩いていた。
黒髪を一本結びにし、くりくりとした大きな瞳と少し低い鼻のやや幼い顔立ちをしており、着物に袴姿という侍風の恰好をしている。
少年は幼い頃から、弱きを守り強きを挫く正義の侍に憧れていた。
その夢を叶えるため、スターアカデミーに入学したのだ。
ブティックや本屋、楽器店が並ぶ通りを飄々と歩いている最中、彼の腹がぐううと音を立てる。
「小腹が空いたでござる……」
腹を押さえ、近場に設置されている時計を見ると、時刻は午前7時。
アカデミーでは土曜日は朝食が出ないため、空腹になるのも当然のことであった。
「ここから800メートル先には、拙者の大好きな和菓子屋があるでござる。そこに到達するまでは、なんとしても持たねばならぬでござる!」
拳を堅く握りしめて決心するなり、彼は鎌居達の如き高速で道行く人を疾走し、ものの数秒で目標地点に辿り着くことができた。
そこで彼は大好物のあんまんを購入し、そのまま店前にある横断歩道を渡って公園に行く。
人気の少ない公園で食事をするのが、彼の習慣となっていた。
ベンチに腰を下ろし、あんまんにかぶりつく。
「美味しいでござる〜!」
ふかふかとした柔らかい生地に優しい甘さが口の中に広がる餡の味に、少年は頬を赤らめる。
空腹もあってかあっという間に完食した彼は、食後の余韻に浸っていた。涼しげな風が吹いているため、次第に瞼が重くなっていく。
もう、このまま眠ってしまおうか。
そんな考えを抱いたそのとき、ひとりの人物が彼の視界に飛び込んできた。
「川村君、久しぶりだねぇ」
現れたのはマロンであった。
つい先日退学処分を言い渡された彼が、自分に何の用があるのか。
思わぬ相手の出現に眠気が覚めた川村は、閉じかけていた目を見開き、腰に差してある日本刀、斬心刀(ざんしんとう)の柄に手を回す。
警戒態勢の川村に、彼はにこやかな微笑みで言った。
「僕は君と闘うつもりはないよ。ただ、ちょっとお願いをしにきたんだ」
「願い?」
「そう。僕の復讐計画に協力してくれないかな」
「復讐計画!?」
「僕は、スターアカデミーに見せつけてやりたいんだよ。自分がいかに優れているかということをね」
少年侍はその言葉に、凛々しい瞳で相手を見つめる。
「お主、拙者がそんな悪事に協力すると思っているでござるか」
「うん、思っていないよ。だから……こうするのさッ!」
川村が急接近するよりも素早い初動で着ているブレザーの袖口からフルートを取り出し口に含むと、妖しい音色を奏でる。
彼の持物であるフルートは、普通の人間には無害だが、スターアカデミーに通っている生徒を洗脳する効果がある音色を発することができた。退学してからの数日間でこれを制作し、スターアカデミーの生徒達を自分の駒にして勢力を作り上げ、教師達に挑むつもりなのだ。
魔の音色に悶絶し、両手で頭を抑える川村。
その様子にマロンは美しい顔に悪意の漂う黒い笑みを浮かべる。
「さあどうする? このまま僕の部下にならなければ、君は脳を破壊されて死んでしまうよ」
「まだまだ……この程度では……拙者はお主の操り人形などにはならぬ!」
「仕方ないね。威力を最大にしてあげるよ」
「ぐああああっ」
全身に電撃が走ったかのような激痛に襲われ、川村は前のめりに倒れてしまった。
「ウフフフ、よく頑張ったけどここまでのようだね。目が覚めたら、君は僕の忠実なしもべになっているんだ。「今のうちに眠っておくんだよ、大好きな家族の夢でも見ながらね」