複雑・ファジー小説
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- 連載を中止します。
- 日時: 2015/10/18 21:03
- 名前: モンブラン博士 (ID: 7KvZCID9)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=270
世界の平和を守るためのヒーローを育成する、スターアカデミー。
その優等生であるマロン少年は「慈悲の心がない」という理由で退学になってしまう。アカデミーに強い復讐心を抱いたマロンは、各地の能力者を集め勢力を作り、復讐を挑むが——
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- Re: 子供と大人の闘い【オリキャラ募集中】 ( No.1 )
- 日時: 2015/10/12 13:44
- 名前: モンブラン博士 (ID: 7KvZCID9)
この世には、二種類の人間がいる。
天才とそうでない人間だ。
スターアカデミーは、格闘技術に秀でた者を世界各国からスカウトし、世界の平和を守るためのヒーローに育成する機関だ。
校長であるスター=アーナツメルツは、生徒のひとりである、マイケル=マロン少年を、校長室へ呼び出した。
マロンは、その名の通り栗色の髪と目を持つ、大変可愛らしい外見をした少年である。
「校長先生、お呼びでしょうか」
彼が部屋に入ってくると、スターは顔いっぱいに笑みを浮かべる。
「やあやあ、マロン君! よく来てくれたね! 実は君にとっても大事なお話があるのだよ」
柔らかな白のソファに腰かけるよう勧めると、彼は行儀よく足を揃えて腰を下ろした。
スターは座るなり、ニコニコ顔でこんなことを言った。
「君は退学だよ」
「えっ……!?」
突然告げられた言葉に、マロンは大きく目を見開いた。
自分は退学されるような素行をした覚えはない。
授業態度も成績も、常にトップクラスだったじゃないか。
少なくとも、タバコを吸ったりお酒を飲んだりした記憶はないし、深夜まで街中を歩いていた記憶はない。
なのに、どうして退学をさせられる必要があるのか。
彼は、納得がいなかった。
「校長先生、どうして僕が退学にならなきゃいけないんですか!?」
校長は笑みを絶やす事なく、話を続けた。
「だって、きみは練習試合のときに対戦相手の子を気絶しているにも関わらず痛めつけて、さんざん見下した言動を取ったじゃないか」
「それは——」
「たとえどんなに学業や戦闘力が優秀でも、他人を慈しむ心がなければ、真のヒーローにはなれない。お分かりかな?」
「……はい」
俯き、小さな声で返事をするマロン。
「という訳で、君は退学。さようなら〜」
目の前でバイバイと手を振るスター。
そのお茶目な態度に、内心マロンは憤りを感じていた。
本当ならば今すぐにでも殴り倒したい衝動に駆られたが、相手はスターアカデミーで最強の実力を誇る校長。ここで手を出してしまえば、確実に原子分解されて消滅されてしまうのは、目に見えていた。
「今まで、お世話になりました」
決して裏の感情を悟られないように、涙をためて悲しさを演出し、アカデミーを去る。
しかしながら、彼の胸の奥には復讐の野望が燃えていた。
いまに見てろよ、スターアカデミー。
僕を退学にさせたことを、心の底から後悔させてやる。
- Re: 子供と大人の闘い【オリキャラ募集中】 ( No.2 )
- 日時: 2015/09/28 21:27
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「マロン君は退学になってしまったなんて、ショックです」
「所詮やつもその程度だったと言うだけに過ぎぬ。気にする必要はなかろう」
マロン少年が退学になって、数日が経った夜。
教師寮の一室で、ウェーブのかかった長髪に眼鏡をかけた垂れ目がちの瞳、オレンジのスーツ姿のおっとりとした雰囲気の美青年と、紫の髪に殺気立った瞳、純白の軍服を着た中年紳士が会話をしていた。
前者がマロンの担任であったカイザー=ブレッド、後者が彼の先輩教師に当たるジャドウ=グレイだ。
カイザーは平和主義者で温厚なのに対し、ジャドウは好戦的かつ冷酷で、敵を徹底的に痛めつけるのを快楽としている残虐な性質だ。
正反対のふたりであるが、意外と馬は合うようで、時折ふたりで互いの受け持つ生徒達について語り合う。
ジャドウは気落ちする同僚を慰めようと、自室からワイングラスをふたつとワインボトルを持ってきて、備え付けの小さな円型テーブルの上に置き、自身の好物である赤ワインをカイザーのグラスに並々と注いだ。
「気分が晴れぬ時は、一杯やって記憶を消し去るのが一番だ。この1972年物の高級ワインは他人には滅多に振る舞わぬが、他ならぬお前のこと、特別に飲ませてしんぜよう」
「……お気持ちだけ、受け取っておきます」
「カイザー、俺の親切心を仇で返すつもりか?」
多少の苛立ちを見せたジャドウは、その射抜くような鋭い紫眼で彼を睨む。その表情の威圧感にカイザーはびくっと体を振るわせ、今にも消えそうな小さな声で言った。
「私、お酒に弱くてすぐに酔ってしまうんです……」
「それは残念ですな」
弱い者に無理強いさせて飲ませるのは、騎士道精神に反する。
誇り高き中年紳士はそのように考え、代わりに自分のグラスに移し入れると一気に飲み干した。