複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

Solve&Tea party
日時: 2016/05/03 21:38
名前: かたるしす (ID: f/YDIc1r)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=520

複雑・ファジーに投稿するのは初めての、かたるしすと申します。

まったり系の話ですが、時たまシリアスなので注意です。暴力表現は、流血は無いですがあります。性的表現はない、と思われます。
つまりは基本ほのぼのってことです((

いい小説が書けるように、頑張っていきたいと思います!


◇目次◇

第一話 〜噂はきっと正しい〜 >>1-4
第二話 〜小さくて大切なモノ〜 >>5-11
参照300御礼&記念イラスト >>10


◆プロローグ◆

古びた横引きの扉を開ける。
柔らかい光が差す、午後の教室。

「いらっしゃいませ」

教室の真ん中に、ぽつんと置かれた、白いテーブルと椅子2脚。
片方の椅子に、華奢な少女が座っている。
淡いブロンドの髪をかき上げ、空のように青い目を細めた。

「お待ちしてましたわ。橋村様……で間違いありませんこと?」

俺は軽くうなずくと、もう片方の椅子に座る。案外座り心地が良かった。
向かい合わせの彼女は、優雅に笑い言った。

「本当に災難でしたわね。今や学園一の噂話ですわよ? 橋村様の起こした一連の事件は」

……違う。
そう返したかった。学園一の噂の的は俺ではない。
本当の、学園一の標的は……

「まぁ、その問題を解決するのが、私達……『茶会部』の務め。話を聞きますわ」

てぃーぱーてぃ部、と完璧に発音する。流石、純ヨーロッパ人。

感心していると、ふいに彼女は不敵に微笑み、白く細い指をすっ、と持ち上げた。

「Let's tea party……ですわ」

指が鳴る音。
突如、視界が真っ白に染まる。


……そう。
学園一の噂話の種……

それは、この『茶会部』だ。




◇登場人物◇(随時更新)
瀬名 つばめ (せな つばめ)……主人公。1年C組。5月9日生まれ。少し面倒臭がりで、少しのんびり屋で、猫っぽい。なのに若干忠犬属性。足が遅い。茶会部でのポジションはメイド。

相原 昴 (あいはら すばる)……茶会部部長。2年B組。8月12日生まれ。明るく爽やかだが、人をからかうのが大好き。器が大きい。喧嘩がとてつもなく強い。茶会部でのポジションはギャルソン。

水城 慶 (みずしろ けい)……茶会部副部長。2年A組。9月1日生まれ。無表情、無口が基本。内面は穏やかで、天然。運がとても良く、「福部長」と呼ばれる。茶会部でのポジションは和風担当。

カトレア・アントワーヌ……茶会部会計係。2年A組。12月25日生まれ。純ヨーロッパ人。嬢様言葉で話す。一見高飛車だが、アクティブで優しい。運動神経が良い。茶会部でのポジションは洋風担当。

三枝 樹希 (さえぐさ いつき)……茶会部1年。1年B組。2月27日生まれ。イケメンなのだが、常にキレているような雰囲気をまとっている。ドSで腹黒い。でも先輩には勝てない。茶会部でのポジションは製菓担当。


◆Special Thanks◆ [ ]内いただいたキャラ
小太郎様 [暁月 司]
ヒュー様 [徳重 真鈴&花鈴]
囚人D様 [仲篠 一穂]
大関様 [郷 猛]
モリヤステップ様 [本多 光希 藤堂 玲二]

◇お知らせ&呟き◇

更新めちゃくちゃ遅れましたああああ!

最近、「かたるしすって物を美味しそうに食べるよね!」と言われました。
複雑です。

Re:第一話 〜噂はきっと正しい〜 ( No.1 )
日時: 2016/03/08 22:32
名前: かたるしす (ID: f/YDIc1r)

第一話 〜噂はきっと正しい〜

古い、掃除もロクにされていないだろう階段を上がる。
手すりに手をかけ、汚さに驚いて手を放した。
一つ、ため息をつく。
遠くのグラウンドから、運動部の掛け声が聞こえた。

___どうして、私はこんなところに来たんだろう。休日の穏やかな時間を返上してまで。



「ねぇねぇセナってさ、まだ部活に入ってないの?」

昨日、モモカと話した。彼女は吹奏楽部に入部し、毎日をエンジョイしている……らしい。
こんな私に話しかけてくれるのも、友達であるモモカだけかもしれない。

でも、モモカは私の事を「親友」呼ばわりするくせに、名字でしか呼んでくれない。

「いいじゃん、『つばめ』って何か言いにくいし。って言うか、話をそらすな!」
「……何? 部活の話?」
「そう! で、セナ、入らないの?」

改めて言われ、うーん、と考えてしまう。もう五月中旬。そろそろ決めないとマズい。
でも、私に合う部が、この学園には無い……気がする。

運動系の部は少しも入りたくないし、美術部は絵が下手だから嫌だし、製菓部は興味ないし、茶道部と華道部と書道部は正座がキツい。
だからと言って、帰宅部はちょっと……

「それさぁ、ただのわがまま……あ、新聞部は? セナ、他人の事情とか好きじゃん」
「なんかお堅いから嫌」

私もモモカも、頬杖をついてまた考える。どうすりゃいいんだろう。

「あ、そういやさ。『茶会部』って知ってる? 最近一年の間でも噂だよ?」
「……何それ」

聞いたことのないワード。なんとなくアブノーマルな匂いがする。
茶会部? そんなの部活紹介の時にあった?
問いかけると、モモカは首を横に振り答えた。

「積極的に部員募集はしてないんだって。基本的に悩み相談を受け付けるんだけど、その時に、相談した人が凄い体験するらしいんだよ」
「はい?」
「なんかね、出てくるお茶とお菓子が半端なく美味しいんだって! そこらのカフェの何倍も!」

ますます胡散臭いし、怪しい。
でも、なんとなく興味をそそられる。「普通」の部活じゃないところも気に入った。
入部したら、どんなことするんだろ。

「というわけで! セナ、明日行ってみてね」
「……え?」
「場所は旧校舎三階、右端の教室だってさ」

どうしてそうなった。
勝手に決めないでほしい。モモカは強引だ……

「嫌そうな顔しない! ホントは興味あるんでしょ?」
「うっ…………はい」

じゃ、頑張って〜! というモモカの顔は、何か企んでいそうな顔だった。



そんなこんなで今日、旧校舎にやって来た訳だが。

「迷った……」

っていうか右端の教室って何、どこから見て?
モモカ……説明がざっぱなんだよ。

まぁ、詳しく聞かなかった私も悪いわけで。
迷った挙げ句ようやく階段を見つけ、三階へと進んでいた。

……しかし、この校舎も古い。
どうして今まで取り壊されなかったかも疑問だ……
そんなことを考えながら、階段を上がる。

ついに、終わりが見えてきた。段の終わり。

「……疲れた……」

呟きながら、重い足を踏み出す。
ようやく、三階に着いた。本当にキツかった。

「はぁ……着いた……ってうわぁっ!?」

体の右側が押され、思わず大きくよろめく。倒れる寸前で踏みとどまった。
危ない危ない。心臓が止まるかと思った。

混乱し、右側を向くと、人が立っていた。どうやら廊下を歩いていたらしい。

「あ、あの、すみませんでした!」

ぶんっ、と音を立てて頭を下げる。

(…………?)

しばらくそのままの体勢でいたが、相手は何も言わない。動く気配すらない。
恐る恐る顔を上げて、相手を見る。
黒髪の泣きボクロがある男子生徒が、無表情で首をかしげていた。腕に何か抱えている。

「あの……」
「お客さん? それとも、入部希望?」

無表情のまま訊ねてくる。私はとっさに、「入部希望です」と答えてしまった。
しまった……

黒髪の生徒は、ふうん、と頷き、きびすを返す。手に持っていた物が、かちん、と音をたてる。
生徒はそのまま、すたすた歩き出した。

「付いてきて」

そう言われ、我に返り後を追う。
思い出した。あの人が手に持っている物。
鮮やかな赤と黒で、紅葉の柄の……茶道で使う茶碗。

とても、綺麗だった。

Re:第一話 〜噂はきっと正しい〜 ( No.2 )
日時: 2016/03/10 00:29
名前: かたるしす (ID: f/YDIc1r)



細い背中を、追いかける。
廊下をどんどん進み、やがて一番端にたどり着いた。
教室なのだろうか。扉の上にはプレートが掲げられている。

そのプレートには、達筆な文字で「茶会部」とあった。

「……入って」

彼が古い扉を横に引く。
教室の中へ一歩踏み出すと、暖かい日差しと、かすかな甘い匂いがした。
教室の真ん中に、白い綺麗な丸テーブルと椅子。
その椅子に、一人、誰かが向こうを向いて座っている。

「あ、おかえり」

その人は、そう言って振り返った。優しそうな垂れ目が、私を捉えた瞬間に、大きく開かれる。
珍しいものを見た、とでも言いたげに、私と黒髪の生徒を見比べた。

「あ、ごめんね! お客さん?」
「……違うって。入部希望」

さらに目が大きくなる。
その人は慌てて立ち上がり、赤っぽい色の短髪を掻いた。
しばらくしてから、悪いね、と言ってにっこり笑う。

「ちょっと新入部員とか、珍しいから混乱しちゃって……俺、相原 昴。一応部長の2年生! スバルって気楽に呼んでね」
「あ、はいっ」

どうしよう……まだ入部するとは言ってない……

「あの、昴先輩……」
「ん? ああ、こいつのこと?」

そう言って、黒髪の生徒の肩をぽすぽす叩く。いや、違います。
私が見つめているのにも気付かず、爽やかな笑顔を崩さない昴先輩。意外と天然か。
間を置いて、黒髪の生徒は無表情で言った。

「水城 慶。2年。ケイって呼んで」

……はい、と言いながら頭を下げる。
私は、さっきから慶先輩の持っていた茶碗が気になっていた。今は、白いテーブルの上に置いてある。
茶会部、というから、紅茶か何かと思っていたが、もっと和風な感じなのだろうか。

「……そうだ、君の名前は? 何て言うの?」

昴先輩が、にこやかに問いかけてくる。この先輩は人当たりが良い。好感度しかない。
慶先輩も、一見無表情に見えるが、実は結構嬉しいの……かもしれない。何だか、初めて会った時より雰囲気が柔らかい気がする。

「私は……」


言いかけた時、教室の入り口がガラガラガラッ、と勢いよく開いた。廊下から、淡いブロンドの髪を乱し、美少女が飛び込んでくる。
彼女は、綺麗な青い目で私を見ると、いきなり指を突き立てられた。

「見つけましたわ、変態コソ泥っ!」
「……へ?」

え? 私、何か盗んだっけ?

おろおろしている私をよそに、突然やってきた彼女は、私をキッと睨みつけ、声を荒げた。

「しらばっくれたって無駄ですわ。今まで、何人の女子のストッキングを盗んでらっしゃるとお思いなの!?」

…………は?
ますます分からない。
混乱した私に、昴先輩が慌てて助け舟を出してくれた。

「おい、待てよカトレア。なんで女子が女子のストッキング盗む必要があるわけ?」
「きっとあのコソ泥は女子しか好きになれないのですわ!」
「え、ちょっと……待って下さい! 私そんなんじゃ」
「黙ってお縄になるのですわ!」

駄目だ、全然聞いてない。
昴先輩はかなり困惑しているし、慶先輩は相変わらず無表情だ。
……どうすれば疑いは晴れるのか……

じりじり彼女が近寄ってくる。それに合わせ、私も後退する。彼女の目は、真剣そのものだ。
もう捕まるかもしれない。

「観念するのですわ……!」

と、その時、一人の男子生徒が廊下を通りかかった。私達に気付き、声をかけてくる。

「あ、カトレア! コソ泥、二階で捕まったってよ! 協力ありがと」

それだけ言い、男子生徒は去っていく。



……教室を、すさまじく微妙な空気が包んだ。


Page:1 2 3



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。