複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ダスティピンク#502
- 日時: 2016/05/27 09:09
- 名前: ▲ (ID: /dHAoPqW)
初めまして▲です
よろしくおねがいします
+注意事項+
・性表現、暴力表現アリ
・誤字、脱字アリ
・不定期更新
+登場人物+
・舟引 都色(ふなびき といろ)♀
・萬田 千寿(よろずだ せんじゅ)♂
・花尾 若鮎(はなお わかあゆ)♀
+もくじ+
#001>>1 #002>>2 #003>>3 #004>>4 #005>>5 #006>>6 #007>>7 #008>>8 #009>>9
+跋扈する愛の話+
イメージソング:春の雨/ハルカトミユキ
- Re: ダスティピンク#502 ( No.1 )
- 日時: 2016/03/27 16:43
- 名前: ▲ (ID: /dHAoPqW)
#001
「ちょっと、やめなよ」
「ん?」
友人がアイスコーヒーをストローでかき混ぜる私を目で見やった。
煙草をくわえライターを片手に、火をつけようとしていたもう一人の友人も、それで理解したようである。
「あー、いいよ、別に、吸っても」
「はぁ? 都色、前は見るだけですごい嫌そうな顔してたじゃん」
良いなら遠慮なく、と正面に座る友人が煙草に火をつける。その慣れた手つきをぼーっと無意識に見つめていた。
喫煙席に案内されたことに私が文句を言わなかった時点で、考え方が変わっていることに気づいてほしかった。
友人が知っている頃の私、つまり高校時代の私は煙草が大嫌いだった。吸う人間のマナーの良し悪し関係なく、全部全部なにもかも嫌いだった。
自分でもビックリだ。あれだけ嫌いだったのに、今は目の前の友人が吹かす煙に安心さえしている。
「どぉせ、萬田のせいでしょ」
「え、まだあいつと一緒にいるの?」
ギョッとする友人の手首の振動で灰がはらはらと落ちた。
頷くと、二人ともうげぇ、とあからさまな態度をとる。
「まじ? あんな奴とよく一緒に居られるよね」
煙草を吸う友人のとなりに座る友人が吐き捨てる。
そういえばこの二人は彼のことをよく思っていなかった。この二人に限った話ではないか。
「萬田が吸うから他の人もオッケーってこと? なんていうか…ほんと…」
「都色、ヤバイね」
まあちょっと、否定はできないかもしれない。
彼の悪口で盛り上がる二人の会話を受け流しながら、数年前、教室の昼休みとなにも変わらない光景であることに、なんだか笑ってしまうのであった。