複雑・ファジー小説

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夢の中にいられたら
日時: 2016/05/08 19:52
名前: 四つ葉 (ID: hjs3.iQ/)

夢────
それは、人間とは切っても切れない縁を持っている。
夢があることで人間は、睡眠状態でも暇をすることなく過ごすことができるのだ。
そんな夢が、世界から───宇宙から、消えたらどうなる?
別になにも変わらない?
確かにそうだ、何も変わらない。
でも、そんな『夢』を生き甲斐としているものもいるのだ。
この物語は、そんな者たちのお話。
この世の中から『夢』を守り抜くために、『夢』の中で奮闘した、少年少女たちのお話。


─────これは儚い夢のお話─────



【目次】

四つ葉の挨拶 >>1
掛け持ち作品 >>2
第一話 夢の中徒然願う幸せを >>3-6
第二話 永遠に終わらぬ夢を夢に見て >>8-11 >>14-23
第三話 夏の花遠き夢の彼方より >>25-34 >>36
第四話 秘密とは何時の時代も変わり無し >>38-

【紹介】
美里雪の紹介 >>7
松戸真里夏の紹介(バラバラ様提供) >>24
松本真弓と日向種の紹介 >>37

Re: 夢の中にいられたら ( No.27 )
日時: 2016/05/06 06:57
名前: 四つ葉 (ID: hjs3.iQ/)

小さい頃から孤独だった少女は、それをそばで見ていて──見せられて、とても息が詰まりました。
そして滔々五月三十日の事。
二人の少女は喧嘩をしました。
今までだって何度も喧嘩をしてきましたが、今回の物は桁違いでした。
其こそ暴力の交わし合いはありませんでしたが、もう心が限界だった少女は逃げました。
「貴女は私の欲しい物全部持ってる」
そんな捨て台詞を残して。
でも、後々少女は後悔しました。
というのも無理はありません。
何故でしょう──私は悪くないのに。
唯、一人で買い物に行ったのが悪かったんでしょうか。
閉鎖された空間。
其の中で私を含めた沢山の方々が──。
最後、死ぬ間際に少女は願いました。
心に、願い、思いました。
「もう一度あの子と遊びたい」
と。
互いの名前さえも知らなかったけれど、それでも互いのことが大好きだったのです。
彼女といるときだけが、孤独を忘れられました。
だから、彼女はそう願い、願い、願い、願い、願い、願い、願い、願い、願いました。
言葉が足りないほど、言葉じゃ足りないほど。
でも、物語に不幸は付き物です。
少女は、彼女と───会ってしまったのです。
最悪の場所で。
───────永遠に終わらない、夢の中で。
彼女が少女に会いたいと願い。
少女も彼女に会いたいと願い。
創られてしまった『幻想』の世界。
最初は嬉しかった少女。
夢の中でのみ、少女は存在できます。
成長し、考え、行動する。
生きたいて時と同じ。
いえ、生きていたときの『孤独』は、もう其処にはありませんでした。
でも、少女は悲しみました。
孤独を捨てても。
友情があっても。
願いが叶っていても。
何故?
少女は自分に問いました。
少女はすぐに気づきます。
彼女が───何もかもを持って、幸せに過ごせるはずの彼女が、自分のせいで夢の中にばかりいるからです。
だから少女は決めました。
この夢の世界を終わらせよう、と。
例え、夢の世界が終われば自分の体がなくなるとしても。
其でも、少女は、彼女に───普通の幸せを持つ彼女に、教えたかったのです。
貴女の人生は夢の中で終わらせたくない、と。
此のまま一生いけば、彼女の時間を無駄にして、幸せを奪ってしまう。
だから、何があっても夢を終わらせようとしました。
「其の少女が、私だよ」
「嘘でしょ───だって向日葵───」

Re: 夢の中にいられたら ( No.28 )
日時: 2016/05/06 21:28
名前: 四つ葉 (ID: Mj3lSPuT)

生きてたじゃん、向日葵。
此所で一緒に会話したり。
此所で一緒に散歩したり。
此所で一緒に────いや、でも───『此処』以外で遊んだ最後の日って───私と向日葵が5歳の頃だ。
じゃあ、やっぱり向日葵は───。
『此処』にしか存在して無いのかな………?
「ねぇ、向日葵」
「何?まゆっち」
何時もとは違う、暗い空気が流れる。
「向日葵は───『孤独な少女』は、どうすれば悲しくなくなるの?心から笑顔になれるの?」
私は向日葵に問う。
私も向日葵も、真剣その者の表情だ。
「孤独は永遠だよ───『孤独な少女』の孤独は永遠だよ。一生終わらない」
向日葵は冷たく言い放つ。
こんな向日葵、今までに見たことが無かった。
「何で?」
私はもう一度問う。
向日葵は一歩、私の方に近づく。
「孤独な少女の孤独が無くなっちゃったら、孤独な少女は孤独じゃなくなっちゃうでしょ?まゆっち。だからだよ」
何処か遠くを見る様な、そんな瞳で向日葵は言った。

Re: 夢の中にいられたら ( No.29 )
日時: 2016/05/06 21:47
名前: 四つ葉 (ID: Mj3lSPuT)

そして向日葵は言う。
「バイバイ、まゆっち。又、何処かで会おうね───って、私死んでるから会えないか」
そう言って私の額に手を当て、目を瞑る。
それから三秒もたたないうちに、周囲がキラキラと光を放ち始め、崩壊が始まる。
「此が私の夢能力。インテジオンディオグラピー───夢意思伝ってところかな」
「能力?」

Re: 夢の中にいられたら ( No.30 )
日時: 2016/05/06 23:03
名前: 四つ葉 (ID: Mj3lSPuT)

ぽかわと、訳の分かっていない私に向日葵が説明を始める。
「能力─正式には、夢能力って言うんだけど、まぁ名前の通り、夢の中でだけ使える、特殊能力なのっ!凄くないっ?!私使えるんだよー!えーっとね、私の能力が、さっき言ったインテジオンディオグラピーって奴で、夢の中で伝えたい思いや意思を、どんな形であれ伝える能力なの。で、私が『永遠に終わらない夢の世界がどれだけ無意味かまゆっちに伝えたい』って願いながら能力を使ったら、この世界が壊れだしたの」
笑顔でそう説明してくれた。
いや、余裕の笑みってやつかな、此が。
夢能力か───私使えるのかな?
まぁ、そんな大層なこと、私にはできっこないよね。
と、こんな余裕を咬ましている私の眼に、衝撃的な物が映る。
「向日葵………足が」

Re: 夢の中にいられたら ( No.31 )
日時: 2016/05/07 10:30
名前: 四つ葉 (ID: 06in9.NX)

向日葵の足が、無かったのだ。
「ん?あぁ、足?無いよ」
平然とした表情で答える向日葵。
その表情のまま、向日葵は私に言う。
「私、まゆっちのこと……本当は大嫌いだから」
そう言って何処かへ歩き出す。
何で………何で大嫌いだなんて言うの………
何で………
「違い……違います……!」
誰かがそう叫ぶ。
その声は──真里夏だった。
小さい声を振り絞って、叫んでいる。
「だって、向日葵ちゃんのお姉さん──日向雛さんが言ってたもん……家でもよく、まゆっちのこと、話してたって………!だから………」
向日葵が振り向く。
その頬には、涙が伝っていた。
その涙を拭き、私たちに顔を見せないように反対がを向く向日葵。
「あー、私にはかっこいいことって、向いてないのかなー?」
何それ………
かっこいいじゃん、向日葵。
「まゆっち、ごめんね。私、本当はまゆっちのこと、大好きだよ………生きていたら、一生友達でいたかったなー」
やめてよ……
向日葵……『生きていたら』なんて………
「だからね、私からまゆっちに最後のお願い」


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