複雑・ファジー小説
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- 夢の中にいられたら
- 日時: 2016/05/08 19:52
- 名前: 四つ葉 (ID: hjs3.iQ/)
夢────
それは、人間とは切っても切れない縁を持っている。
夢があることで人間は、睡眠状態でも暇をすることなく過ごすことができるのだ。
そんな夢が、世界から───宇宙から、消えたらどうなる?
別になにも変わらない?
確かにそうだ、何も変わらない。
でも、そんな『夢』を生き甲斐としているものもいるのだ。
この物語は、そんな者たちのお話。
この世の中から『夢』を守り抜くために、『夢』の中で奮闘した、少年少女たちのお話。
─────これは儚い夢のお話─────
【目次】
四つ葉の挨拶 >>1
掛け持ち作品 >>2
第一話 夢の中徒然願う幸せを >>3-6
第二話 永遠に終わらぬ夢を夢に見て >>8-11 >>14-23
第三話 夏の花遠き夢の彼方より >>25-34 >>36
第四話 秘密とは何時の時代も変わり無し >>38-
【紹介】
美里雪の紹介 >>7
松戸真里夏の紹介(バラバラ様提供) >>24
松本真弓と日向種の紹介 >>37
- Re: 夢の中にいられたら ( No.17 )
- 日時: 2016/05/03 18:36
- 名前: 四つ葉 (ID: G/Xeytyg)
その「生き物」は、どうやら人だったようで、向日葵は其の人の耳元で「生きてるー?」とか「生きてますかー?」などと連呼しながら、頬をぷにぷにと触っている。
にしても、倒れて気絶してしまっているのか、ただ寝ているだけなのか。
どっちにしろ、大変なのに変わりはないけど………。
とにかく、気絶している(?)のは女の子のようで、少なくとも私よりも年下。
でも、少し大人っぽい雰囲気がある。
制服には「松戸」と書いてあり、赤渕の眼鏡がとてもよく似合っている。
- Re: 夢の中にいられたら ( No.18 )
- 日時: 2016/05/03 21:02
- 名前: 四つ葉 (ID: ZgzIiRON)
起きないかな。
早く起きてほしい。
そしてさっさと事を済ませ、向日葵と二人だけの時間を過ごしたい。
そんな私の願いが届いたのか否か。
「ん………ここ………は………?」
蚊のような小さな声を上げ、松戸さんが起きる。
此が、私の聞いた、松戸さんの第一声だ。
「おぉー、起きたぁー!」
嬉しそうにニコニコ笑い、向日葵が松戸さんの顔を覗き込む。
「ふぁ………何方………ですか………?」
ポカンとした表情で私達二人を交互に見つめてくる。
そりゃ、初対面ですもん。
「はいはいはーいっ!」
元気良く手を上げ、地面に座っていた松戸さんと視線を合わせる向日葵。
「私の名前は日向種でーすっ!気軽に『ヒナ』って呼んでねーっ」
- Re: 夢の中にいられたら ( No.19 )
- 日時: 2016/05/03 22:28
- 名前: 四つ葉 (ID: MFhVYAIJ)
明るい声で自己紹介を済ませ、私にも自己紹介を求める。
「えーっと………松本真弓でーす………あ、えっと、松本真弓です、はい。名字でも名前でも、好きなように呼んでね」
私は少し屈んで向日葵の横に並び、松戸さんの顔を覗きにこりと微笑んだ。
「ま、まゆちゃん………って呼んでも、良いですか………?」
遠慮深く、上目遣いに聞いてくる。
と言うかこの上目遣いは無意識なのか………。
だとしたら、女子力100だなこの子。
「うん、好きに呼んで」
出来るだけ優しくそう言う。
すると松戸さんは嬉しそうに顔をくしゃりとして笑い「やったぁ」と小さなガッツポーズをする。
すると、其を見ていた私達二人に気づいたのか、顔を耳まで真っ赤に染め、両手で顔を覆い俯く。
向日葵は嬉しそうに笑って、両手でカメラの形を作り、口で「パシャパシャ」と効果音を出しながら松戸さんを手で作ったカメラで撮る振りをする。
- Re: 夢の中にいられたら ( No.20 )
- 日時: 2016/05/04 09:37
- 名前: 四つ葉 (ID: .lMBQHMC)
「は………恥ずかしいです………!」
「またまたぁー。パシャパシャ」
はぁ。
にしても、松戸さん、不思議だ。
どうして会ったことも無いのに、私の夢の中に───。
夢?
違う違う。
ここは『現実』だ。
間違えても『夢』じゃない。
何で『夢』だとか思っちゃったんだろう。
変だな私。
「まゆっち、どしたのー?」
私の表情が曇っていたのだろうか、向日葵が心配そうに顔を覗き込む。
「別に、どーもしてないよ」
私はそう言い、自分よりも少し背の小さい向日葵の頭をくしゃくしゃっと撫でる。
そして、松戸さんの方に向き直った。
「えーっと、松戸さん。貴方のお名前は?名字しかわかってなくて………」
ニコリと微笑みかけながらそういった。
名前がわかっていないと、何かと不便だし、この機会に聞いておこうと考えたのだ。
「あわわ………!すみません、言い忘れてて………」
すまなそうに何度もペコリペコリと御辞儀をする。
それから、私と向日葵の方に向き直り、俯きがちに自己紹介を始める。
「まっ………松戸真里夏です………とっ、特技とかもないですが………あっ、足を引っ張らないようにしますので………よっ、宜しくお願いします!」
- Re: 夢の中にいられたら ( No.21 )
- 日時: 2016/05/04 10:13
- 名前: 四つ葉 (ID: .lMBQHMC)
「じゃあー………まりかっちとまりっち、どっちで呼ばれたいー?」
早速渾名を考えたのか、向日葵が松戸さんに問い掛ける。
松戸さんはしばらく考えて、うーんと唸る。
「………んー………まりっち………がいいです………♪」
渾名をつけられたのが嬉しいのか、さっきよりも口元がニコニコとなっている。
「………真里夏、向日葵、行くよ」
いきなり呼び捨てはやばかったか、しかし嬉しそうな表情を見せた松戸さん───改め真里夏は元気良く「はい!」と返事をして立ち上がり私の後に付いてくる。
向日葵はあわてふためいて立ち上がり、「待ってよー!」と言いながら追い掛けてくる。
少し楽しいかも。
最初は得体の知れない人が私達の時間を引き裂くのに嫌気を感じていたが、其でも今は、真里夏が良い子なのだと分かり、三人で時間を過ごすのも悪くないと感じている。
このまま、こんな、楽しい時間が続けば良いのに。
────永遠に続けば良いのに
───────────────────
「疲れたー!」
「向日葵が走り回るからでしょ」
疲れ果てて地面に腰を降ろす向日葵を見て、飽きれ顔で私がいう。
「わっ………私も疲れました………」
真里夏も地面にゆっくり腰を降ろす。
「真里夏はゆっくり休んで」
「私のときと態度違うしー!」
先程までの疲れはどうしたことか、立ち上がり向き上がる向日葵。
其を気にせずに私は言う。
「にしても、私達は何処に行けば良いんだろう」