複雑・ファジー小説
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- 幽霊討伐隊
- 日時: 2016/08/16 11:45
- 名前: リック (ID: HghQuPcm)
- 参照: https://twitter.com/Phoenix_Rick_
第一章
下等幽霊
俺の名は菊太郎。どこにでもいる普通の大学生だ。別に将来の夢が決まっているわけでもないし、なにか熱中していることがあるわけでもない。ただ一日中なにもしないでいるよりかはなにかしてたほうがずっといい。そんなわけで俺は前から疑問に思ってたことを調べることにした。
幽霊はいるのかいないのか?
今現在サークル仲間の竜也と文一とともにとある心霊スポットに来ている。「幽霊討伐隊」なんてふざけたサークルを立ち上げたのは俺だしホコリとカビ臭い狭い部室でオカルトトークをしてるのも飽きた。そんなわけでついに俺たちはこのサークル初の外部活動に出ることにした。
竜「こえーよこれお前洒落になんねーよ!」
びびりつつもどこか楽しそうな雰囲気を出しているのが竜也。体育学部でスポーツは万能。長髪で長身、いわゆるイケメンだ。
文「ただならぬ気配を感じますね。」
眼鏡をくいっと上げながらこう言い放ったのは文一。理学部で頭脳明晰。また、メカマニアでもある。
菊「大丈夫さ3人もいるんだし。」
そう言いながら俺も内心びびっていた。それもそのはずで俺たちが訪れているのは地元はもちろん、全国でも有名なガチな心霊スポットだった。
- 幽霊討伐隊 ( No.3 )
- 日時: 2016/08/16 13:57
- 名前: リック (ID: HghQuPcm)
- 参照: https://twitter.com/Phoenix_Rick_
菊「行くよ」
俺が先導して再び屋敷の中に入った。足がガクガク震えていたが、勇気を出さねばならない場面だと判断したからだ。置いていってしまったカメラとライトはそれなりに高価なものであったからだ。
ライトをつけっぱなしにしていたことが好転して落ちてる場所と周りを明るく照らしていた。
一歩ずつゆっくり進む3人。恐怖感はすでにリミットを超えていた。
さらに幸いなことに、先ほどの黒い影の気配は全くといっていいほど無くなっていた。
竜也がカメラを手に取った。録画が続けられている。どうやら壊れてはないらしい。俺と文一もライトを回収した。
竜「さっさとこんなところ出ようぜ!」
文「そうですね。」
そして俺も彼らの意見に同調としようとしたその時、
?「ここで何をしている!」
心臓を手づかみされたような感覚を覚えた俺たちは声のする方へと振り向いた。
茶色いコートに茶色いソフトハット。警察官のお偉いさんの警部補のような格好をした男性がそこに立っていた。
まさか、本当に警察?近所の人に通報でもされたか?
?「ここはおまえらのようなガキが来るとこではない。早々に立ち去るがいい」
竜「はい、どうもすんませんでした」
すっかりいつもの元気を失った竜也。テンションがた落ちである。
菊「警察の人ですか?」
?「待て、おまえたち、黒い影を見たのか?」
俺の質問には答えてくれずその男性は逆に質問を投げ返してきた。
文「つい先ほど霊的物体との接触に成功しました。これから僕たちはここを引き上げてカメラにそれが写ったかどうか検証するつもりです。黒い影は僕たちを脅かすように叫んできました。」
?「叫んできた?だと・・・」
なにかを知っているような面持ちの男性だが、どこかおかしい。
この男性から全く生気を感じられなかった。
?「前言撤回だ。お前たちそこから動くな。」
そう言った次の瞬間だった。黒い影が再び姿を現した!
1体ではない。複数の影がまるで小動物のように動きながら男性の方へと向かっていった!
黒い影「ジャマスルナアーーー!!」
- 幽霊討伐隊 ( No.4 )
- 日時: 2016/08/18 09:59
- 名前: リック (ID: 4sTlP87u)
- 参照: https://twitter.com/Phoenix_Rick_
黒い影は1体、また1体と男性の体に張り付きついに全身を黒い影で覆ってしまった。
?「暗くて前が見えねーじゃねーか」
パン!!
軽い衝撃音とともに男性に張り付いていた黒い影は綺麗に飛び散った。男性がなにかをしたという様子はない。黒い影の自滅?
放心状態に陥っていた俺たち3人を救ってくれたのがたった今黒い影を退治してくれたこの男性だった。男性は尻餅をついていた俺たちを一人づつ丁寧に起こしてくれた。
?「中途半端な志でこのような地へ赴くべきではない。今起こったことを見てわかっただろう?」
菊「どうもありがとうございます。あのさっきの黒い影って・・・」
?「人の邪気や悪念といったものがこの屋敷に取り込まれ、幽体となったものだ。私にとってはこんなもの下等幽霊だがな。」
さらに男性は話を続けてくれた。
?「幽霊は大きく分けて3つに分類されている。下等幽霊、中等幽霊、高等幽霊。今お前らが見た黒い影はギリギリ下等幽霊に属している雑魚幽霊だ。幽霊は生前だった人の怨念が強ければ強いほど、その幽霊も凄まじい凶悪な幽霊となる。」
男性はポケットから取り出したタバコに火をつけた。
霊媒師「俺はそんな幽霊どもを帰るべきとこへ帰している霊媒師だ。」
- 幽霊討伐隊 ( No.5 )
- 日時: 2016/08/18 10:28
- 名前: リック (ID: 4sTlP87u)
- 参照: https://twitter.com/Phoenix_Rick_
霊媒師「今回はたまたま俺がいたからいいものの、こんなお遊びは2度とやらんほうがいい。死ぬぞ?」
霊媒師の眼付きの鋭さが、言っていることが冗談ではないことを物語っていた。
霊媒師「だが、」
霊媒師は俺たちに踵を返した。
霊媒師「もし真剣に幽霊を成仏させたい気持ちがおまえらの中に少しでもあるのなら、そのときはまた助けてやらんでもない。よく考えることだな」
そう言い残して霊媒師は1人スタスタと帰っていってしまった。
- 幽霊討伐隊 ( No.6 )
- 日時: 2016/08/19 12:16
- 名前: リック (ID: N9DlcNaW)
- 参照: https://twitter.com/Phoenix_Rick_
第二章
躍起
黒影屋敷での1件を終えて、数日がたった。
幽霊は実在した。
とはいえ、あのときのことを誰かに話す気にもなれなかった。話したところでどうせ誰にも信じてもらえないということは間違いないし、カメラにはっきりと黒い影を捕らえたはずであったが映像を検証したところ黒い影らしきものを確認することは出来なかった。
それどころか、会話を交わしたはずの霊媒師の姿や音声も記録されていなかった。
安物のテーブルにオカルト本が無造作に置かれている狭い部室の中で俺たちは霊媒師の言葉に迷わされていた。
霊媒師の言い放った言葉を要約するとこういうことになる。
「遊びでやるなら2度とやるな。やるなら本気でやれ」
重い雰囲気を切り開いてくれたのは竜也だった。
竜「やったろーじゃん。このままじゃあのおっさんだけじゃん、かっこよかったの。俺たちはなんなんだよ、情けねーだけじゃん!」
文「僕も、このままでは終われないと思います。」
俺たちは結束を深めた。正直な気持ち、恐怖心が無くなったわけじゃない。幽霊に取り憑かれ、呪われ、最悪の場合死に至ることもあるかもしれない。
しかし、だからなんだ?このまま尻尾巻いて引き下がるのはあまりにもダサすぎる。そんな恥をさらすくらいなら、幽霊に殺された方が何倍もマシだ。俺たちはそう考えるようになった。
菊「霊媒師さんに、また会いに行こう」
- 幽霊討伐隊 ( No.7 )
- 日時: 2016/08/19 12:55
- 名前: リック (ID: N9DlcNaW)
- 参照: https://twitter.com/Phoenix_Rick_
と、言ったはいいものの俺たちは霊媒師の手がかりをなんら得てなかった。せめて名前だけでも聞いておけばよかったと後悔してももう遅かった。
竜「それより今朝の話なんだけどよ、洗面所で歯磨きしてたらよ、鏡に髪の長い女みたいなのが写りこんでてよ、危うく歯ブラシ折り曲げちまうとこだったぜ。」
文「僕なんかこの前、青白く光った灯火のようなものが空中に浮かんでいるのを目撃しました。それは3つあって車輪のように回転しながら消えていってしまいましたが。」
竜「車輪てなんだよすっげーなそれw なあ菊、お前はなんかここんところなにかあったのか?」
菊「俺は別に、ただ誰もいないはずなのに声が聞こえてきたり、動かしてないのに勝手に物が動いたりなんてことはあったかな。特に気にしてなかったけど、みんなもやっぱり同じような経験を?」
黒影屋敷で起こった出来事を境に、俺たちは様々な心霊現象を目の当たりにするようになっていた。
見えないはずのものが見えたり、聞こえないはずのものが聞こえたり、まるで霊感というものが一気に覚醒したかのような感覚を覚えた。
不思議なのは黒影屋敷以前ではそんなこと全くなかったのに、あの日を境界にしてこれらの現象が起きていることだった。
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