複雑・ファジー小説

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ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス
日時: 2016/10/15 13:34
名前: のあ (ID: RQnYSNUe)

「あのシェアハウスに住む6人は、皆何かが欠けているんだって。」

初めまして。「のあ」と申します。今回が初めての小説となります。キャラや設定は小説内で書いていきます。


〜開幕〜
貴方はピエロを知っていますか?

そう。サーカスなどで有名なピエロです。

貴方はピエロが好きですか?嫌いですか?

好きな人は普通にいるでしょうね。ピエロは皆さんに笑顔を届ける素敵な存在です。

…では、嫌いな人は?

その人達には何かしらの理由があるのでしょう。ただ純粋に何となく嫌いだと思っていたり、過去に何かがあって嫌いになったり、…あるいは私達のように、恐怖を抱いたり。

この話は、とある男女6名の高校生が体験した、長い長い「サーカス」のお話。

ブーーーー…

…おや、時間が来てしまいましたね。

まもなく開幕します。どうぞ私達が体験したサーカスの話を、

…お楽しみください。

〜プログラム〜
ハジマリ >>1
ムカシバナシ『左手』>>11
ハジマリサイカイ>>12
ムカシバナシ>>14

Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.6 )
日時: 2016/09/17 07:56
名前: のあ ◆8DJG7S.Zq. (ID: RQnYSNUe)

4/4 AM10:30
暁side

「はぁ…」

皆がリビングから出ていく。私は一人取り残された様にぽつん。と、立っていた。

「やることがある。」とは言ったものの、実際やること何てない。私はこういう楽しい思いでは忘れたくないから、あえて一人、残るんだ。

私は脳の障害があって、五年間の事しか覚えられない。今日の記憶だって、5年たったら忘れちゃうんだ。皆が「こんなことあったね。」っていっても、私は一切覚えちゃいない。まるで今の私の様に、取り残されるんだ。

先輩、かぁ。

そんなの、ただのストレスでしかない。

中3の時はまだ良かった。あの先輩がいたから。

でも、その人は去年、自殺した。渚ちゃんと友邪君はショックだったのか、「覚えてない」「誰?」と言う。私はショックだったけど、天君はその先輩のことを覚えていた。天君は忘れられないのだろう。だって、その先輩と天君は、付き合ってたから。

自殺した理由?そんなの、思い出したくもない。あの人はいじめられてもなく、ただ、私達を思って、自殺した。それなのにあの二人は忘れてしまった。まあ、自殺理由を知ってるのは私と天君だけだから、仕方ないか。

「はぁ〜。独、緊張してるのかなー。質問の答えも曖昧だしー。」

「…それはお前の質問の量が多いからじゃないの…」

「逆に天は何も話してないじゃん!だからといってペラペラ喋ってたら怖いけど…軽く喋る事くらいは出来るじゃん!」

「もう過ぎたことだから仕方ないだろ…。」

どうやら友邪君と天君が戻ってきたようだ。

「あれっ?先輩、仕事終わったの?」

「あぁ、うん。意外と楽な仕事だったからさ、早く終わっちゃった。私も部屋案内したかったなー。」

「…」

多分天君は気づいてるだろう。私が本当は何もしてないって。

「そーなんだー。…あっ先輩!そろそろお昼御飯作ろうよ!今日はご馳走だよ!」

そうだ。今日から六人分のご飯を作らなきゃいけない。ご飯係は私と友邪君だ。もう一人本当は欲しいけど…渚ちゃんと天君には出来そうにない。遥瑠ちゃんあたりは…出来そうかな…。後で聞いてみるか。

Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.7 )
日時: 2016/09/17 16:15
名前: のあ ◆8DJG7S.Zq. (ID: RQnYSNUe)

4/4 AM10:40
独side

「よいしょっと…えぇっと、後は服をクローゼットに入れて…。」

見ての通り、俺は荷物を片付けている。さっきは棚に勉強に使うものと漫画、雑誌を入れ、これから制服や私服を片付けるところだ。

「えっと服は…シャツとズボンとその他に分けて…制服はロッカーか。分けよう。」

こういう作業ってかなりめんどくさいんだよなぁ。分けなきゃいけないし、畳んでる服を崩さないように入れなきゃいけない。

******

「…終わったぁ。」

5分ほどたち、荷物を全て片付けることができた。

さて、これからどうするか。

そう考えてるとメールが来た。遥瑠からだ。

「題名:部屋に来て
本文:キーボードとか運ぶの手伝って。重い。」

「はぁ…。」

思わずため息が漏れる。やっと終わったと思ったのにまたやらなきゃ行けないのか。しかも重いやつ。

遥瑠は昔から趣味なのかどうなのか分からないが、楽器をよく演奏する。コンクールとかでもよく受賞しているから、趣味では無いのかなと思うが…。

仕方ない。遥瑠の部屋行くか。

******

ヤバイ。こんな所でも…。マジかよ…。

「迷った…。」

いや、確かに広いとは思ったけど!こんな所でも迷うとは思ってなかった…。2階だよな。部屋って…。全然無いんだけど!

「あれっ?どしたの?」

俺が廊下をうろうろしてると、背後から声が聞こえた。

慌てて後ろを振り向くと、金髪のポニーテール…渚先輩がいた。

「あっ…」

ヤバイ。ここで言うべきか?

いや、でもここで言わなきゃ、遥瑠の怒りを買うだけだ。

「…遥瑠の部屋って…どこだ?」

「!あぁー。ひょっとして2階ばっかり探してたの?(笑)遥瑠ちゃんの部屋は3階だよ!案内してあげよっか?」

まさかの3階かよ…!予想外だったんだけど!?俺めっちゃ恥ずかしいことしたじゃん!

「あ、うん…。」

遥瑠の部屋はそんなに遠くなかった。階段を登って、一番近くにある部屋だった。余計恥ずかしいじゃん…俺…。

「先輩、いろいろありがとう。」

「いやいいよ、面白かったし(笑)このことは誰にも言わないから安心して。じゃあね!遥瑠ちゃん待ってるよー。」

いや、何だよその俺が遥瑠のこと好きみたいな言い方!ただ手伝いに行くだけなのに!

とりあえずノックをし、ドアを開けた。

「遅い。どんだけ待ったと思ってんの?」

案の低。遥瑠は苛立っていました。

「ごめん。ちょっとこっちも忙しくって…。」

迷った。何て口がさけても言えねえ…。

「へぇ。まぁ独の事だから迷ったのだと思ったけど…。まぁいいや。運ぶの手伝ってよ。」

妙に勘が鋭いのやめてくれない!?怖えぇよ!

「…よっと。ここでいいか?」

「うん。そこでいいよ。これで終わり。」

「おう。って終わり!?」

これまでの俺の苦労とは…。

「えっ?終わりだけど…。何、なんか他にあるの?」

「あ、いや無いです。すいませんでした!」

小走りで部屋から出る。何か勢い余って敬語になってしまった…。今日恥ずかしいことばっかしてんな俺…。こんなんでここでの生活…大丈夫だろうか。

Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.8 )
日時: 2016/09/17 23:07
名前: のあ ◆8DJG7S.Zq. (ID: RQnYSNUe)

4/4 AM11:00
遥瑠side

「あ、いや無いです。すいませんでした!」

は?何で敬語?ってツッコミたくなったけど、すぐに小走りで去っていってしまったため、言葉を飲み込む。

暇だなぁ。そう思い、キーボードの前にある椅子に座り、ヘッドホンをつけ、鍵盤に触れる。

大抵暇になったときは楽器を演奏する。今キーボートで弾いているのは、自分で作ったオリジナル曲。名前はつけてない。自分であるがままに作った曲だから。って言っても理由にはならないかぁ。

曲名、つけようかな。

今回のテーマは、「過去の自分」。私はこういう曲をいくつかネットの動画サイトに投稿している。

歌つきの曲が多いけど…たまに普通の音楽としても投稿する。もちろん歌っているのは私。

今回のこの曲も、メロディーだけ作っている。歌詞はこれから書く予定だから、歌うのはもっと後になる。曲名は…歌詞作ってからでもいいかな。

それにしても、ここって防音になって…ないと思うな。もし駄目だったらカラオケにでも行って録音すればいいか。

机の椅子に座り、メモ帳とシャーペンを取り出す。とりあえず曲に入れたいキーワードを書こうと思う。

少し考えて、書いて、また考えて…の繰り返し。メモ帳には、「痛い」「自傷行為」「君は何を見てる?」等、穏やかじゃないことも書いてある。過去の自分をテーマにしてるけど、今の自分でもあるな。これ。そう思いつつも、また考える。

******

一区切りついたとこで、また暇になる。本当にすることがない。

リビングにでも行こうかな。早めにいっても、大丈夫かな…。

そう思いながらも、階段を下る足は止まらず、気がついたらリビングの目の前に来ていた。

ガチャ。と、ドアを開ける。其処には誰もいなかった。が、隣の部屋から声と、何かを切る音がした。

多分キッチンかな。お昼ご飯でも作ってるのだろう。私たちの分も作ってくれてるのかな?それなら手伝った方がいいよね…。

「…あのっ、手伝った方が…いい?」

キッチンに居たのは友邪先輩と暁先輩だった。

「あ、遥瑠!ちょうどよかった!手伝ってよ!人手が足りなくって…」

「友邪君、そう簡単に誘っちゃ駄目だって!…ごめんね、遥瑠ちゃん。でも、本当に厳しいかも…」

うん、手伝った方がいいかな。ここで断ったら嫌われる気がする。それに暇だし。

「私でよかったら…いいよ?」

「本当!?じゃあ…ここにある野菜切ってくれるかな?」

「うん。了解。」

******
4/4 AM11:50


「「「出来た…!」」」

いや、三人でこんなに沢山作れるとは正直思ってなかった…。

「うわ、僕達超頑張った!時間に間に合ったよ!遥瑠、ありがと!」

なんか友邪先輩って、料理教室とか通ってそう。男子でここまで作れる人ってそんなにいないと思うし。

「本当に作れちゃった…!ヤバい今感動した!遥瑠ちゃん、いろいろとゴメンね?あと、ありがとう。」

「いや、私はただ暇だっただけだから。…あ、でも、これからも6人分、作らなきゃいけないよね?私も、やろうか?」

「「え、本当!?」」

うわ、ハモったよ。んー。まあこれからも二人でやっていくのは多分難しいだろうし…。オーケーしとこう。

「いいよ。」

「やったぁ!遥瑠ありがと!」

「本当にありがとう!よし、後はあの3人を待つだけ!」

何か大変そうだけど、ま、いっか。

こんな幸せな日々が、いつまでも続けばいいなあ。

Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.9 )
日時: 2016/09/19 09:32
名前: のあ ◆8DJG7S.Zq. (ID: RQnYSNUe)

4/4 AM11:00
独side

勢い余って遥瑠の部屋から自分の部屋まで戻ってきたものの…

「ひ、ま、だ、なぁ…」

あと一時間…どうしよ。

それにしてもこのシェアハウスって、結構広いよな。

あ…もしかして、迷う確率高い?

とりあえず散策しようかな。迷ったら…大丈夫だろう。

******

とりあえず最上階の4階に来てみた。一番狭いけど、なんかここはいろいろあるな。

とりあえず廊下を一直線に進んでみた。

ガチャ

ん?

一番奥の部屋から、誰かが出てきた。

「…何してんの。」

紺髪の眼鏡。天先輩だ。

「あ、散策、しようと思って…。」

「へぇ。…案内してあげようか?」

「えっ?あぁ、ありがとう。」

失礼だけど何かこの人に案内されるのって不思議な感じがあるな。

「…俺がさっき出てきたのが勉強室。本も少しおいてある。」

「へぇ。そんな場所があるのか。」

「…まぁ4階にあるのはちょっと不便だけど。教え会うこともできるし、俺の意見だけど落ち着くし。…で、勉強室の目の前にあるのがトイレ。」

トイレは奥にあるのか。

次に、勉強室の隣の部屋に入った。

「…ここは…防音室かな。吹奏楽部とかが練習するときに使う。」

「必要なのか…?」

思わず聞いてみた。

「…あぁ。去年卒業した先輩が吹奏楽部だったから。…今は使うかわからないけど。」

「あ、多分遥瑠は吹奏楽入ると思うぞ。あいつ楽器演奏することが好きだから。」

「!…なら必要かな。」

なんか一瞬天先輩の顔がひきつったような気がしたけど…気のせいか。

次に防音室の目の前の部屋に入った。

「ここは…バッティングルームかな。スポーツが好きなやつとか、ストレスとか解消するときに使う。まぁ使うのはほとんど渚だけど。…って渚居たのか。」

あ、本当だ。部屋の隅で渚先輩が隠れていた。

「あ、バレた?天達が来たなーって思ったから、つい隠れちゃった。」

「それにしても先輩、よく見つけられたね。」

おそらく天先輩がいなかったら、俺は気付けなかっただろう。そう思うくらい渚先輩は隠れるのが上手かった。

「まぁ天はこういうの得意だしね。人が今どこにいるかとか勘で分かるー。みたいな?」

「…逆に渚は隠れるのが上手いよな。」

「まぁね。昔からかくれんぼは得意だよー!」

「はいはい。独。行くぞ。」

「あ、うん。」

******

4/4 AM11:20

「3階は前から順に遥瑠、渚、友邪、2階はお前の他に暁先輩、俺の部屋がある。」

4階から1階まで降りてる途中で、天先輩が教えてくれた。

「…まあそんな簡単に覚えなくてもいいよ。ドアに名前書いてあるし。あ、ここがお風呂場。」

「広っ!」

「…まあ、男女定員10人だからね。」

其処は、温泉のように広かった。これで10人まで入れても…まだ足りるんじゃないか?

「…んで、ここがまあわかると思うけどリビング。隣の部屋はダイニングで、キッチンもそこにある。多分そこで今暁先輩と友邪が昼御飯作ってる。」

確かに。隣の部屋から美味しそうな匂いがする。

そのあとはしばらく二人で話していた。普通の日常の話とか、面白かった話とか。

もうすぐ12時になりそうなとき、キッチンから3つの声が聞こえた。

「「「出来た…!」」」

Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.10 )
日時: 2016/09/27 16:57
名前: のあ ◆chbMkOQ7W6 (ID: RQnYSNUe)

遅れてすいません!実は使っていた器具が壊れてしまって…今はパソコンで書いています。

**本編***
4/4 AM12:05
友邪side

「なにこれうんっま!久しぶりのご馳走だぁぁ!」

渚がから揚げを食べ、高い声を上げる。自分で言うのもあれだけど今日は頑張ったから凄く美味しい。まあ遥瑠もいれて3人で約1時間半かけて作ったからな〜。

「…うま。」

天が自分の思ってることを言葉にするときは本当に思ってるんだろう。

自慢かもしれないけど、僕は人が今何を思ってるのかが分かるんだ。分かるというか…聞こえるかな。昔はかなり苦労したけど、今は自由にコントロールできる。

「遥瑠はどう?美味しい?」

「あ、うん。美味しい。これを短時間で作れるって先輩たちすごい…。」

何か遥瑠って天を少し明るくした性格だな…。

「いやいやいや、絶対遥瑠いなかったらこんなに作れなかったよ!そうだ、独はどう?美味しい?」

僕は最初から無言の独にも聞いてみた。

「ん?…あぁ、美味しいな…ってか、遥瑠も作ったのか?」

独は慣れてきたのか、普段の言葉(たぶん)で話し始めてきた。

「いや、独完成した時リビングにいたでしょ。」

うん。僕も同じこと思った。わざとなのか本性なのか…。

談笑しながら作ったご馳走を食べていると、僕等のいるダイニングルームの空間がゆがんだ。それと同時に、嫌な汗が額をつたい、金縛りにあったかのように動けなくなった。暁先輩、渚、天も同じように、しまった。という顔をしている。一方遥瑠と独は、何事かのように怯えていた。

しばらくすると空間が変わり、サーカスの会場に変化していた。

僕らは全席のど真ん中に座っていた。「いつもは」客席が満席なのに、今日は僕らだけだ。

ステージの幕が上がり、ステージの真ん中には人影が見える。そこには仮面を付けた、ピエロだった。彼の姿を見ると、遥瑠は「ひっ」と声を上げて、震えていた。独は驚いているのか怯えているのか、よくわからないけど…遥瑠と同じ気持ちなんだろう。

幕が完全にあがると、ピエロが話し始めた。

「ようこそ!孤独サーカス団員の皆さんと、新人団員さんたち!」


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