複雑・ファジー小説
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- ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス
- 日時: 2016/10/15 13:34
- 名前: のあ (ID: RQnYSNUe)
「あのシェアハウスに住む6人は、皆何かが欠けているんだって。」
初めまして。「のあ」と申します。今回が初めての小説となります。キャラや設定は小説内で書いていきます。
〜開幕〜
貴方はピエロを知っていますか?
そう。サーカスなどで有名なピエロです。
貴方はピエロが好きですか?嫌いですか?
好きな人は普通にいるでしょうね。ピエロは皆さんに笑顔を届ける素敵な存在です。
…では、嫌いな人は?
その人達には何かしらの理由があるのでしょう。ただ純粋に何となく嫌いだと思っていたり、過去に何かがあって嫌いになったり、…あるいは私達のように、恐怖を抱いたり。
この話は、とある男女6名の高校生が体験した、長い長い「サーカス」のお話。
ブーーーー…
…おや、時間が来てしまいましたね。
まもなく開幕します。どうぞ私達が体験したサーカスの話を、
…お楽しみください。
〜プログラム〜
ハジマリ >>1
ムカシバナシ『左手』>>11
ハジマリサイカイ>>12
ムカシバナシ>>14
- Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.1 )
- 日時: 2016/09/17 21:15
- 名前: のあ (ID: RQnYSNUe)
4/4 AM10:00
「…ねぇ、まだなの?」
「いや俺だって頑張ってるって!」
「はぁ?どんだけ地図読むのに時間かかってんの…。」
「俺より地図読めないお前にだけは言われたくねぇ…!」
…俺は赤倉 独。もうすぐ高校に入学する。
ちなみにこっちは山内 遥瑠。俺の幼馴染みだ。こいつも俺と同じ高校に入学する。
「てかそろそろ目的地に到着したいんだけど…流石に周りの視線が痛い…。」
…遥瑠がそういうのも分からなくはない。
だって俺は左肩から下がなく、袖がぶらぶらしている。遥瑠は…俺みたいな目立った外傷はないが白髪で、左目を前髪で隠すという個性的な姿だ。
俺達が何処に向かってるかって?あぁ、まだいってなかったな。
俺達の入学する高校は、俺みたいな体の一部がない人、過去にいろいろあって親が居ない人、うつなどの精神的に問題がある人も通えるようになっている。
そこでその高校は、専用の一つのシェアハウスを建てたんだ。察してるやつもいるかもしれないが、そのシェアハウスは、まぁその俺達みたいなやつらが住む場所だ。
俺達はそのシェアハウスに向かっているんだが…
俺はバリバリ理系だから社会なんてどうあがいても無理なわけで、遥瑠は学年の成績はいつも1位か2位なのだがまさかの方向音痴という欠点がある。
そんな俺達が遠いところからシェアハウスまで行くなんて…よくここまでこれたなと内心驚いている。
しばらく(適当に)歩いていると、一つの学校を見つけた。
「あれ?ここ、ウチらが通う高校じゃない?」
あ、ホントだ。校門には「桜咲高校」と書いてある。確かに俺達が入学する高校だ。
「てことは、この辺りに俺達の住む場所があるってことか。」
「シェアハウスは広いって聞いてるし…とりあえず地図見ながらそれっぽいところ探せばいいのかな…。」
「けどお前地図読めないだろ?(笑)」
「はぁ?まぁ確かに地図が苦手なのは認めるけどさぁ…一切読めないって訳じゃないからね?成績は独より上だしー。」
「はいはい。ほら行くぞ。」
10分ほど歩くとそれっぽい所に着いた。まぁ合ってるか分からんが…。
「…違ったらどーしよ。」
遥瑠も心配しているようだ。
「そんときは聞けばいい話だろ。行くぞ。」
「うん。」
ピンポーン
俺はインターホンを押した。
- Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.2 )
- 日時: 2016/09/12 18:02
- 名前: のあ ◆8DJG7S.Zq. (ID: RQnYSNUe)
4/4 AM10:15
???side
「うーん…遅いなぁ。」
私は高校二年、渡部渚。シェアハウスに住んでまーす!
ウチらシェアハウスに住んでる4人は、これから来る(はず)の新人一年二人を待ってるんだけど…
来ないんだけど!来る予定9時だよ!9時!今何時!?10時15分だよ!1時間15分も遅れてるってどういうこと!?
「落ち着いてよ渚。別に遅れるかもしれないとは事前に言われてるし、来ないとは言ってないからね。」
私の思ってることが顔に出てたのか、友邪が注意してくれた。
「そうだけどさぁ…。流石に遅くない?今日平日だからそんなに電車は混んでないだろうし…二人とも地図苦手だってことは聞いてるけど…遅すぎない!?」
せっかくこっちは昨日の夜から掃除して、使う部屋も綺麗にしたのに…
「まぁまぁ渚ちゃん。人には人のペースがあるんだし。例えば渚ちゃんが苦手な数学を教えてもらっていたとして、相手が勝手にイライラしていたら、嫌でしょ?だから何時ものように明るく振る舞おうよ。」
暁先輩がいつもの優しい言葉をかけてくれる。
「それに渚、今日にかぎっては天だって張り切ってるよ。昨日の掃除だって、一人で一つの部屋掃除してたしね。渚も頑張ろうよ。」
友邪は天を指差す。天は基本おとなしく、よく本を読むのが好きらしい。
「…は?いやべつに俺は…」
…まぁ確かに今日の天はいつもより楽しそうに見える。私が天に負けるなんて、明日は大雨かな。
「…よし!じゃあ私も明るくなろーっと!」
その時、インターホンが鳴った。
ピンポーン
「よし、皆行くよ!」
ガチャ
勢いよくドアを開ける。
「「「「ようこそ!シェアハウスへ!」」」」
- Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.3 )
- 日時: 2016/09/13 17:36
- 名前: のあ ◆8DJG7S.Zq. (ID: RQnYSNUe)
4/4 AM10:20
独side
「「「「ようこそ!シェアハウスへ!」」」」
とても俺達見たいな人とは思えない元気な声。その声が俺達に向けられているのだと実感するのに数秒かかった。
「え?ちょっと大丈夫?聞いてる?おーい…」
俺達が黙ってたせいか、金髪のポニーテールの人が心配そうに声をかけていた。こういうときって何て答えればいいのだろうか…
「あぁ、ごめんなさい。こういうときって何て答えればいいのかなって…」
俺が考えてたことを遥瑠が言ってくれた。エスパーかお前は。
「まぁ急にそんなこと言われたら困るよね…。あっ、タメでいーよ。これから一緒に暮らすんだし。あ、もちろん腕がない人も。」
金髪の人の代わりに茶髪のくせっ毛の人が答えてくれた。
「あ、えと、…わかった。」
まぁいきなり「タメでいいよ」って言われたら悩むよな。年上なら尚更だし。
「まぁここで立ち話もしないで、皆、中入ろうよ。」
長髪の背の高い人が皆をリビングへ行かせる。もちろん俺達も靴を脱いで荷物を持ち、皆についていった。
玄関から一直線に進んでいくと、恐らくリビングであろう広い部屋があった。
「はい!ここがリビング!あ、二人とも荷物はそこにおいといてね。」
「あ、はい…うん。」
やべぇ…めっちゃ慣れるの難しいじゃんっ!
友達何て遥瑠くらいしかいないからほとんどの人には敬語だし…いきなりタメとか普通の人でも難しいんじゃないか!?なら尚更俺無理だよ!
「そんじゃあ、自己紹介しよう!年齢順でいいよね?それじゃあ私から!今年から3年になる川崎暁です!誕生日は11月5日です!皆の先輩だよ。」
長髪の人は暁先輩というらしい。次に金髪の人が話始めた。
「え、誕生日必要!?次私!渡部渚でーす!高2になるよ!誕生日は6月21日です!」
金髪の人は渚先輩。
「んーじゃあ次は僕か。原口友邪だよ。二年生です。誕生日は…7月10日かな。よろしくね。」
茶髪の人は友邪先輩。
「…ん。高瀬天。同じく二年になる。誕生日は12月7日。…よろしく。」
紺髪の眼鏡の人は天先輩。
「年齢順だと…俺か。赤倉独です。まぁ分かると思うけど一年。誕生日は1月17日です。」
ん、なんか少し敬語になったな…。
「…山内遥瑠です。まぁ独と同じく新入生。誕生日は3月4日。遅い方かな。よろしく。」
「えーと、独君と遥瑠ちゃんね。よろしくー!…って歓迎したい所だけど、荷物とか部屋案内しなきゃな。んーじゃあ独君の案内を友邪君と天君で。遥瑠ちゃんは渚ちゃんでお願いできる?私はいろいろしなきゃいけないから…」
どうやら荷物を置きにいくらしい。
「おーけーだよ。」
「はーい!遥瑠ちゃん。行こっか?」
俺達はリビングを出ていった。
- Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.4 )
- 日時: 2016/09/15 07:39
- 名前: のあ ◆8DJG7S.Zq. (ID: RQnYSNUe)
4/4 AM10:30
独side
「ねえねえ、独君って好きな子とかいるの?」
何でこの人はこんなに質問をしたがるんだよ…。
「…」
逆にこの人は何も喋らないし!
「え、いや、いないけど…」
とりあえず曖昧に答えておいた。居るなんて答えたらめんどくさくなる。
今俺は友邪先輩と天先輩に部屋案内をされている。
「ちぇー。つまんないのー。…あっそうだ!独って呼び捨てで呼んでもいい?」
「えっ…いいよ。」
「やったぁ!よろしく独!」
なんか呼び捨てにされた…。いやいいよって言ったのは俺だけど…。
「ほら!天もなんか喋りなよ!」
「は?喋って何の得があるの…。」
何かこの人は逆の意味でめんどくさそう…。
「喋らなきゃ仲良くなれないよー?まぁ天はそんなにペラペラ喋らないけどね…。」
「…」
あ、なんか地雷踏んでないか…?
「あー黙っちゃった…。ごめんね?天はいつもあんな感じだから…。あ、ここが独の部屋だよ!」
気づいたら部屋の前に到着していたようで、友邪先輩はドアを開ける。
そこにはベッド、机、棚というシンプルな物が揃っていた。
「ここが独の部屋だよ。今ある家具は少ないけど、自由に何かおいたりしていいからね。」
「あ、うん。」
「暁が言ってたけど、12時までは自由に過ごしていいって。12時になったらリビングに集合ね。それじゃ。」
「分かった。」
友邪先輩と天先輩は部屋から出ていった。
とりあえず、荷物を片付けるか。
- Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.5 )
- 日時: 2016/09/15 19:53
- 名前: のあ ◆8DJG7S.Zq. (ID: RQnYSNUe)
4/4 AM10:30
渚side
今日やって来た入学生は、独君と遥瑠ちゃんというらしい。
私は今その遥瑠ちゃんを部屋へ案内している。
「遥瑠ちゃんって友達いる方?」
「んー…今は離れちゃったからいないけど…中学ではそこそこいたかな。」
こういう子でもちゃんと友達いるんだなー。失礼だけど…。
てことは!天も頑張れば友達作れるんじゃない!?
「…渚先輩?」
私が少し黙っていたせいか、心配そうに此方の表情を疑う遥瑠ちゃん。
「あぁごめん何でもないよ!…あっ、ここが遥瑠ちゃんの部屋ね。」
「うわっ…意外と広い…」
意外とは…。
まぁ、家具は少ないから広く見えるのは仕方ないかな。
と、脳内ツッコミ(?)をしていると、遥瑠ちゃんの服のポケットから何かが落ちた。
「あ、遥瑠ちゃん、写真落ちたよ!」
「あっ…」
落ちたもの、それは写真だった。
私はそれを拾ってあげようとするが、写ってる物に少し固まってしまった。
そこには遥瑠ちゃんと、遥瑠ちゃんの黒髪バージョンの遥瑠ちゃんがいた。
「あ、ありがとう。……先輩?」
「遥瑠ちゃんって、二人いるの!?」
「へっ?…あぁ、私には双子の姉がいるんだ。もう会えないけど…。」
なんと。双子でしたか…。
それよりも!もう会えないって…ひょっとしてお姉さんはお亡くなりに…いや、生き別れってこともあるかな…。
「あ、死んだとかそういうのじゃなくて…入院というか…」
「入院?それならいつでも会えるんじゃ…」
「なんというか、ちょうど4年前にいろいろあって。植物状態に…。生きているのは聴力だけで…一応聞こえているんだけど…脳も鈍いから…言ってることの理解は出来ないって…それでっ…」
「…もういいよ。」
「え…?」
私は泣きそうになっている遥瑠ちゃんに笑顔を見せる。ちゃんと笑えてるかは分からないけど…。
「私もね、昔、そういう経験が会ったんだ。だからそんなに一生懸命話さなくていいんだよ。私だってその気持ちは充分分かるから。」
「…先輩っ!」
とうとう遥瑠ちゃんは泣き出してしまった。
きっとこの子は精神的な症状があるのだろう。だってさっき、遥瑠ちゃんの袖の下から、見えたんだ。
…手首に巻かれた包帯が。
******
「それじゃあ、12時になったらリビングに来てね!それまでは自由にしてていいから。」
「うん。さっきは突然…ごめん…。」
「いいよ全然。人間が泣かないなんて可笑しいでしょ?それじゃ!」
遥瑠ちゃんが泣き止んだ所で、私は部屋を出た。
遥瑠ちゃんは、どうして自傷行為をしているのだろう。
そんなこと、私は聞かない。
だって、そんなこと聞いたらあの子は壊れちゃうだろうし、聞いちゃいけないってことは、私が一番分かっている。
何て、私はちゃんと「先輩」として生きていますか?…ねぇ、雷…。
もう会えない彼の名を、そっと心の中で呟いた。