複雑・ファジー小説

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トーキョー・フェアリテイル
日時: 2017/05/12 21:51
名前: 水海月 (ID: sWaVmrWQ)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode=view&no=11628

さぁ、始めよう。
『トーキョー』が舞台の御伽噺を。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



どうも、水海月みずくらげと申します。どうぞくらげとお呼びください。

ガチめの初心者ですが、日々くらげのぬいぐるみをポフポフしながら精進したいと思います……!

■目次 (#はイラスト付き)

01.開幕 >>1 >>3 >>4 >>5 >>9# >>10 >>11 >>12 >>13


番外編
・年の瀬編 >>8


□アテンション
・フェアリテイルと銘打ちながら内容は少しダークな予定です。
・童話、昔話など、御伽噺おとぎばなしのパロディ(?)を多々含みます。というかそれで成り立ってます。
・R-15くらいのエログロナンセンスにお覚悟お願いします。

■お客様
・柚子雪みかん 様

□Special thanks
・神瀬 参 様





……それじゃ、奇怪なお噺のはじまり、はじまり____

Re:開幕 [3] ( No.4 )
日時: 2016/12/04 23:58
名前: 水海月 (ID: sWaVmrWQ)



「そう、『脅威』は、御伽噺の怪物達が具現化したものなんだよ。例外もあるけど」
「……何で、そんな事が」

 御伽噺から、何故か自然に怪物が創り出された、という説明では物足りない。
 ……そう。

「……誰かが、意図的に生み出した、とか?」

 そうじゃなきゃ、どう説明するんだ。どうやって創ったかは置いといて、だけど。そうじゃないと不自然過ぎる。もしあんなのが自然現象で生み出されたものだったら、この世界の摂理はちょっとどうかしている。

 頭の中にぱっと浮かんだことを言うと、笛吹は少し瞳を開き、前屈みだった体を起こした。

「君って鋭いなぁ……その通りかな。誰かは判明していないけど」
「どうして……」
「解らない。でも、そいつ等は俺達にとって倒すべき敵だ。それは確定事項だね」

 笛吹の目がきらりと光を放つ。

「それと、種について。説明が長くなるけど、いいかな?」

 種。笛吹は、それを埋め込まれた、と言っていた。凪紗の、あの竜と関係があるんだろうか? 何の事かはさっぱり分からないが、ここまで聞いたらもう聞かなければいけないという思いに駆られ、頷く。それを見て、笛吹は話し始めた。

「……『脅威』がオクタマに現れ、周囲の地区を侵していった。一つだけ奇妙なところは、その領域はどれだけ広がろうと、絶対に東京を出ないこと。……政府は焦った。都の中心部まで来られたら、日本の政治が崩壊してしまうと。しかし、どんなに強力な最新兵器でも、奴等を倒すことは出来なかった。しかし、政府が四苦八苦している間に、ある人々が動いていたんだ」
「……ある人々?」
「そう。それは、『脅威』と御伽噺の関係性に気付いた科学者達。まあ、いわばマッドサイエンティストってやつかな。そしてその人々は、『脅威』に対抗すべく、新たな策を練った。初めは悪戦苦闘しっぱなしだったが……一人の、狂った天才によって開発は驚異的な速さで進んだ」
「…………」

 読めてきた。その人々が開発したのが種、という訳だ。
 それじゃあ、種、とは?

「……目には目を、歯には歯を……御伽噺には?」
「御伽噺を……」
「そうだ」

 ……まさか、そんな訳のわからない理屈で行動していたのか。普通、もっと強力な兵器とか、絶対に崩れない防壁とか、そういうのを考える。それでいて研究を完成させるなんて、マッドっていうものは恐ろしい。

「……それぞれの御伽噺の力を溜め込んだ種を、まだ小さな幼児や新生児に埋め込む。年月をかけるごとに種が体に適合していき、青年期に入ると、種に応じた力を使えるようになる……という代物さ」
「そんな事が」

 あり得ない。そんなの、漫画やゲームの世界の話じゃないか。完全に異能力バトルものだろ。俺が好きなジャンルでは無いけど。
 なんにせよ、面倒な事に巻き込まれたには違いない。種、というのも信じ難い。渋い顔をしているであろう俺の顔を覗き、笛吹が言う。

「見せてあげようか」
「……え?」

 とくん、と心臓が一瞬だけ跳ねた。
 顔を上げた俺に彼は笑ってみせ、右手を無造作に空中に上げた。乾いた空間に声が通る。

「【エコー・オブ・ホーン】」






「……っ!?」

 突然、彼の右手に眩しい光が集まった。思わず目を細める。そして光の粒が舞い散った後、笛吹の手の中には、黄金の角笛があった。

「な……」

 椅子からずり落ちそうになっている俺に構わず、笛吹は、角笛の尖った方を口許に持っていく。ゆっくりと、唇が触れた。その瞬間、部屋いっぱいに、豊かな音が流れ出した。穏やかな旋律。音楽の事はよく分からない。だけど、美しい。それは分かった。何か、引き込まれてしまいそうな雰囲気がある。椅子から若干落っこち、口を阿呆のように開けたままの体勢で、俺はただひたすら聴き惚れていた。

 ふと、足元に違和感を感じる。複数の何かが、足元で動いていた。若干呆けたまま下を向き、そいつの正体を確かめた瞬間、背筋に鳥肌がぶわっと立った。一気に意識が醒める。

「……ネズミ……!?」
「全く、しばらく放っておいただけなのに……こんなに潜んでいたのかい」

 緩やかな口調だが、目は笑っていない。
 動き回るネズミに近付いたかと思うと、笛吹は、華奢な脚を上げ、目にも止まらぬ速さで振り下ろした。そいつらを踏み潰したのだ。しかし、ネズミは潰れていない。笛吹の足元に残る、僅かな銀色の砂となった。俺は訳が分からず、ただぼうっと見ているだけだったが、その間にもネズミは彼によって次々に砂と化す。いつの間にか、あの曲は止み、笛も消えていた。
 そして最後の一匹を笛吹は掴み、俺の顔に近付けた。思わず少し体を引く。

「ほら、目」
「あ……」

 紫。つまり、このネズミも『脅威』なのだ。

「こいつらはとにかく数が多くてね。しかも、害は無いように思えるけど、吐く息に微量の毒を含んでる。だから、定期的に集めて、殺してるんだけど……ちょっと最近サボってたなー……」

 そう言い、ネズミを握り潰す。俺はびくっと肩を震わせたが、現れたのは血でも何でもなく、また砂だ。さらさらと、白い指の間から銀色がこぼれ落ちる。だけど、まだ心臓の鼓動が速い。ほっと息をついた俺を見て、笛吹は口角を上げ、座るように促した。そう言えば椅子から落ちたままだ。少し恥ずかしい。俺が座り直すと、彼は同じく椅子に腰掛けた。面白がるような顔で問いかけてくる。

「……で、分かってくれたかな?」
「……何を」
「俺の中の種は、『ハーメルンの笛吹き』だって言ったよね?」
「あ……それで、笛が」
「そう。俺の種の具体的な力は、生きた物を意のまま操る……そういう能力だ。まぁ、相手が強くなったり、数が多かったりすると、効果は弱まるけどね」

 はっきり言って、凄い。
 こんなものが現実に存在すると思っていなかった。アニメやゲームの中の話かと、そう決めつけていた。でも、目の前で起こったことは現実だ。さっきとは違う意味で、胸の音が高まる。

「はは、好奇心の塊みたいな顔をしてるね。……あ、そう言えばさ、種を持つ人間には、体の色彩の遺伝子異常が起こりやすいみたいなんだよね」

 確かに、笛吹は日本人にはあまり見られない、透き通った黄金の目をしている。しかし、それが、どうしたというのだろう。

「晴くんも、種を持っているかもしれないよ? ほら、君の目とか____」

 ……耳の奥で、鼓動が、力強く音を立てた。




「____深紅、だろう? とびきり綺麗な、ね」

Re:開幕 [4] ( No.5 )
日時: 2016/12/20 23:44
名前: 水海月 (ID: sWaVmrWQ)

 深紅。

 深……紅。

 しんく。

 ……赤。

 赤……?



「っつ……!」
「あれ、どうかした? 大丈夫?」
「あ……いや、なんでも……っ」

 頭の奥を突き刺されるような痛み。何かをねじこまれてるみたいに、違和感が凄い。ああ、また来たか。と、考える間もなく、痛みは襲ってきた。こめかみを押さえ、顔を歪ませる。痛さはちっとも鎮まらない。
 笛吹が心配そうな顔をして身を乗り出し、俺の背中をさすってくれた。ため息をついて、呟く。

「……深紅の、目……何か、思い出したのかい? 辛いことでもあった?」
「…………」

 辛いこと。あった……かもしれない。でも……

「あの、俺」



「やっほ〜、ただいまぁー! 凛、卵一割引だったよ……ってあれ、お取り込み中だったかな?」

 威勢よく向こうのドアを開けて、外から男が入ってきた。朱のブーツとマフラーがやたらと目立っている、黄色い髪の猫目の男だ。なんかもう見た目から騒がしい。一瞬頭痛が酷くなったのは気のせいだろうか。一人おろおろするその男を苦笑してたしなめ、笛吹は言う。

「お帰り、猫宮。ちょっとさ、水を持ってきてくれるかな?」

 猫宮と呼ばれた男は、俺と笛吹の間に視線を行き来させ、そして慌てた表情で駆けていった。

「あいあいさー!」

 ……変な叫び声を上げながら。

「……あの、今の人は……」
「ああ、うちの隊員だよ。買い物を頼んでてね。あれでも結構古参なんだ」
「えぇ……?」

 騒がしい人だ。お陰で頭痛も一瞬強くなりかけたがいつの間にか消えた。何なんだ一体。なんだか、凪紗と同じように手がかかる人なのかもしれない。穏やかな笛吹とは正反対のような性格だ。古参というのは本当だろうか。そんな風にぐたぐた考えていると、どたばた音がして、猫宮が走ってきた。手にはコップを持っている。

「はい、水お待ちどお!」
「あ、ありがとう……ござい、ます」

 そばに来た猫宮から水を受け取り、一気に飲み干す。水道水だろう、しかしうまい。冷たい物が体を通っているのが分かる。ぷは、と、コップを置いた。意外と派手な音がしたから少し焦る。

「お、いい飲みっぷりだねぇ」
「……猫宮、肩に体重かけないで」
「おっと失礼お爺様!」

 ぱっと猫宮が腕を離した。ただでさえ肩凝ってるのに、と、笛吹が猫宮を睨む。何だろう、猫宮が現れてから、笛吹の表情が豊かになった気がする。不思議に思って見ていると、笛吹が気付き、ごめんごめん、と笑った。

「ほら、猫宮。自己紹介は?」
「ああそうだね、忘れてたよ」

 すると猫宮はいきなり俺の椅子のそばに来て、ひざまずいた。思わず「え?」と声を漏らしてしまう。なんだこいつ、胡散臭さマックスだぞ。という俺の胸中なんて知らない、というふうに猫宮は大袈裟に片手を胸に当て、芝居がかったよく通る声で朗らかに話し始めた。

「ようこそおいで下さいました、我々の根城へ! 我が名は猫宮 弥生。この肩凝り男と同じ、『駆逐隊』の一員でございます。どうか、お忘れなきよう」
「う、ウゼぇ……」

 あぁ、こういうの苦手なタイプだ……
 思わず思ったことを正直に呟くと、にこにこ微笑んでいた笛吹が声を上げて笑い出した。俺はそれを見て少し驚く。どことなく冷たい印象があったが、こんな笑い方するんだ。

 猫宮は俺と笛吹の顔を見ると、頬を膨らませて立ち上がり、腰に手を当てた。なんだいなんだい、と口を尖らせる。さっきの二流芝居のような声とは打って変わった、親しみやすい声だ。

「ちょっと、笑いすぎだよ凛! 失礼じゃないか。それにいきなりウザいはないだろ、少年!」
「あっ、悪い。あと、俺少年って名前じゃないから……桃瀬 晴だ。よろしく」

 ウザいと思ったのは本当だが、ストレートに言い過ぎたかもしれない。素直に謝って、片手を差し出す。すると、猫宮はふふん、と言って手を差し出してきた。俺はその手を握り、握手を交わす。

「すぐ謝るとはよい心がけだ、少年……じゃないや、晴。よろしく頼むよ!」
「ああ……ところで、お前もその……『種』とやらを持ってるのか?」
「うん? 勿論そうさ! 凛、晴に披露してあげてもいいかい?」

 猫宮が言うと、笑っていた笛吹はさっと真顔になり、「駄目だ」と即答した。

「えぇー! 何でだい!?」
「駄目だ。基地を破壊しかねないからなぁ……ごめんよ、晴くん」
「そうか……まぁいいか、晴! 僕っちの種は『長靴を履いた猫』。覚えておくようにね!」
「へぇ……ってか、一人称それで恥ずかしくないのか?」
「全くもう! 晴は一々嫌な所を突っ込んでくるなぁ……個性だよ、こ・せ・い!」

 あ、やっぱりちょっとウザいかもしれない。

「ほらまた冷たい顔した〜……ところで凛、もちろん晴も『種』を持っているんだろう?」
「あー、それについては微妙だなぁ。晴くん、君は小さい頃に、研究所のような施設で暮らしていなかったかい? 灰色で、暗くて、ひたすら気の滅入る所なんだけど」
「研究所……?」

 研究所は、研究をする施設。つまりそこで、『種』が埋め込まれるのだろう。どんな場所なのか。少なくとも、俺は知らない。暮らした記憶はない。知らないという事は、俺は『種』を埋め込まれてもいないという訳だ。しかし……

「……さっき……猫宮が来る前……言いかけてたんだけど、俺は」





「俺、昔の記憶が無いんだ」

 たどたどしいながらも、ゆっくり話す。また、頭の奥が疼き出してきた。痛い。さっきより明らかに話す速さは遅いけど、笛吹も猫宮もさっきとは全然違う、じっと真剣な顔をして聞いてくれた。

「俺は今まで、凪紗とずっと暮らしてて……でも、その前の事は、全く覚えてなくて。大雨の日に、倒れてたって凪紗は言ってた。自分の名前は思い出せる。覚えてるのはそれだけで、それより前の事は全然。だから、研究所にいたかもしれないし、いなかったかも……あと、関係あるのか分からないけど、凪紗と出会った頃、赤系統の色が何故かすごく苦手だった。特に、その……目の色、の話は今も苦手」

 猫宮は人が変わったような神妙な顔で頷き、腕を組んだ。笛吹も目を伏せて何か考えている。ちょっと居心地が悪い。でも、話したことは本当だ。嘘は吐いていない。二人の重い雰囲気に引きずられるようにしてうつ向くと、笛吹の固い声が聞こえてきた。

「研究所では、実験対象者の記憶は残したままにしている。余程の事がない限り、消されないはずなんだよ。その『余程の事』が晴くんにあったのか、はたまた本当に研究所に関係ない人生を送ってきて、ある日何かの弾みで記憶を喪失したか、のどちらかだとは思うんだけどね……あと、目の件に関してはごめんね、謝るよ」
「ああ、いや、だって初対面でそんなの分からないし……大丈夫」
「あ、ねぇ、君が赤いピンをしているのは、もしかして?」

 猫宮が首をかしげる。流石猫、察しがいい。

「……そ、克服するために。嫌い嫌い言ってたら、凪紗にも迷惑かかるし。今は大丈夫だけど、外すのもなんか名残惜しいから……」

 実は、このピンをくれたのは凪紗だ。謎の赤嫌いを克服するため、何かしようと悩んでいたら、凪紗がこれを渡してきた。「いっそ、体の一部にしたらいいんじゃね?」と。恥ずかしいから公言しないが。でも、それから毎日自分の手で付けるようになってから、自然と赤が気にならなくなった。しかし、目の色の話を持ち出されるたびに、酷い頭痛がするのには参る。治そうとはしたのだが、そもそも解決法が全く浮かばなかったのだ。だから、これだけは今も続いている。とても迷惑だが、過去に何かあったのなら、それはそれで知りたい。研究所、というのも何か関連しているのだろうか。

「まあ、そうかもしれないしそうじゃないかもしれない……けどね」
「でも凛、晴は凪紗の友達なんだろう? 僕っちもさっきまで出掛けてたけど、凪紗が晴を担いでここに来たのは見たよ」
「あぁ、そうだ」
「だったら、入隊してもらうしかないんじゃないかい? 住む場所追われたみたいだし……」

 猫宮はそう言い、椅子の背もたれに寄りかかり、両腕で体を支える。ぐらつく朱色のブーツ。整った唇から飛び出した「入隊」という言葉に、俺は少々驚いた。素質があるかなんて分からない、下手したらただの一般人。自分で言うのも気恥ずかしいが、凪紗の親友、ってだけなのに。というか凪紗が俺を担いできた、と言っていたが本当だろうか。意外と体力あるんだ、あいつ。
 笛吹はその言葉に「うーん」と唸り、腕を組む。

「原則、この隊への入隊は『駆逐者』じゃないと出来ないんだよね。あ、『駆逐者』ってのは『種』を埋め込まれた人の事だよ。……でもまあ、仮入隊って名目ならいいんじゃないかな? どう? 入隊してくれるかな?」
「あの、凪紗は……もう?」
「うん。数年前に入隊してる」
「そっか……」

 あの野郎。隠してたな。

 でも正直、こんな凄い力を持っている人達と仲良くやっていけるかどうか不安だ。自分には十中八九特別な力は無いだろうし、ついていけないかもしれない。でも凪紗がいるなら、多少は心強い。もう住むところも無くなったし、どちらかと言うと入隊したいのだが……

「大丈夫大丈夫! 食事も三食しっかり当番が用意するし、水回りも完備してるし、部屋も二人で一部屋だけどベッドあるし!」
「他の皆はまぁバリバリ戦うけど、晴くんにはそんなに難しい仕事は頼まないよ。安心して」

 三食部屋付きなのは大変有難いが、それより興味のあるのは、他の人達だ。どんな力を持っていて、どんな戦い方をするのだろう。どんな『種』を持っているんだろうか。とても気になる。
 それに、本当にもしかしたらだけど……俺にも何かが、眠っているかもしれないんだ。

 入るっきゃない。

「俺、ここに入りたいです。入隊させて下さい」

Re: トーキョー・フェアリテイル ( No.6 )
日時: 2016/12/19 22:09
名前: 柚子雪みかん ◆ERZNJWqIeE (ID: 0dFK.yJT)

はじめまして。
展開が早くて描写量もちょうどよく読みやすい作品ですね^^
晴くんの能力、そして頭痛の原因はなんなのでしょう、気になります……!
これからどうなっていくのか楽しみです。
更新頑張ってくださいね!

Re: トーキョー・フェアリテイル【[4]更新しました】 ( No.7 )
日時: 2016/12/21 00:14
名前: 水海月 (ID: sWaVmrWQ)

>>5 柚子雪みかん様

コメ返遅くなってすみません……!

はじめまして、お読み下さりありがとうございました!
まさか自分の小説にコメントがつくなんて……本当に嬉しいです。

そうですね、描写量には気を遣っています……申し訳程度ですが。そして、逆に展開が早過ぎる時もあるのが私の文の至らない所なのです……精進できるよう、頑張ります!

柚子雪みかん様の小説も目に留まりましたので、ある程度進んだらお邪魔しようかと思っています。楽しみにしています……!

これからも暖かい目で見守って下さると嬉しいです。
ありがとうございました!



開幕 [4] 追加更新しました。
さすがにあれだと短いですもんね。お手数おかけしてすみません。
新たにキャラも登場しましたので、ここで一旦おさらいです。私は基本文章は見てくれ重視なので、キャラに読み仮名はあえて振りません。なので本編の外でまとめます。


桃瀬 晴/ももせ はる 種→??

七海 凪紗/ななみ なぎさ 種→??

笛吹 凛/ふえふき りん 種→ハーメルンの笛吹き

猫宮 弥生/こみや やよい 種→長靴を履いた猫

猫宮「ねこみやじゃなくてこみやだからね。注意だよ!」

↓↓更にここから需要が低くなります↓↓

登場するかもしれない『種』(あくまで仮)
・ジャックと豆の木
・不思議の国のアリス
・マッチ売りの少女
・ヘンゼルとグレーテル
・ピーター・パン
・オズの魔法使い
・みにくいアヒルの子
・西遊記
・千夜一夜物語
・花咲か爺
・ナイチンゲール
・赤ずきん
・ピノキオ
・ライオンの眼鏡

桃瀬「調べておくと分かりやすいかも」


これは御伽話じゃねえ! という意見がありましたらよろしくお願いします。

以上、茶番でした。

Re:年の瀬、番外編にて ( No.8 )
日時: 2016/12/30 20:31
名前: 水海月 (ID: sWaVmrWQ)

※パロディ、はちゃめちゃ、支離滅裂注意








いつかの、二人の話____






「あー寒いっ、やってらんねぇ!」
「お、お疲れさん」

 見事なくらい真っ赤な鼻。思わず口角が上がってしまう。何笑ってんだよ、と靴を脱ぎながら膨れる凪紗に、ちょうど蓋を開けかけた甘酒を差し出した。それを受け取りながら、凪紗はどっかと腰を下ろす。そして、ビニール袋をやや乱暴にテーブルの上に置いた。一体何にキレているんだ。不思議に思いながらビニール袋を覗くと、出てきたのは大量の簡易鏡餅。使い終わった後に食べれるヤツだ。古きよき……って感じだな。

「聞けよ! スーパー行ったらもう餅が売り切れてて! そしたら……」
「はいはい。いつものおせっかいおばちゃんにそれを持たされたんだろ」
「当たり!」

 俺たちの行きつけのスーパーには、とてつもなくおせっかいなおばちゃんがいる。とにかくよく喋る。どうでもいい話題が出るわ出るわ。そして喋ってる途中で右手をパタパタさせる癖のあるおばちゃんだ。「お」の発音が「も」に、「ん」の発音が「ぬ」に聞こえるという特徴もある。そしたら「おばちゃん」は「もばちゃぬ」じゃねえか。あ、ちょっとウケる。

「普通大晦日に鏡餅なんか食うかっつの。まぁ、その分金が浮いたのは良しとするけど……」
「ホント懲りねえな、あのもばちゃぬ」

 しまった。
 と思ったが、凪紗が「似てる」と言って吹き出した。な? 言ってるよな、そんな感じで。



「まだ夕飯には早いし、ほら、ゲームしようぜ」

 凪紗の提案に、俺は乗った。バイトも休みだし、暇すぎてやることがない。意外と凪紗はこう見えて、超絶コアなレトロゲーマーでもある。一世紀以上昔のハードをどこからか仕入れてくる手腕には感服する。なんでも、レトロゲームのハードを自分で再現して作っている技術人がこの世にはいるそうだ。恐れ多い。そんな俺もすっかり感化されて、「好きなゲームソフトはファイターエムブレムシリーズです」なんて言えるようになった。いいじゃん、好きなものは好きで。カッコいいじゃんマルフとクオム。ちなみに作者はロンクーが一番萌えたって。同志いたら連絡くれって叫んでる。

 一方の凪紗は、オールラウンドでいける。しかし例えばマニオブラザーズとか、ポケモノとか、ファイナルファンタズィーとか、そこそこ有名なものしかやらない。勿体ない。
 話は逸れたが、凪紗はとても強い。しかし、俺には唯一あいつに勝てるゲームがある。
 それが「太鼓の超人」だ。
 凪紗はやっぱり嫌そうな顔をした。

「だってさ、それ絶対お前勝つだろ?」
「いいじゃねぇか、たまには勝っても! 選曲全部お前でいいから!」
「んー……まあ、リベンジも兼ねて、やってやるか」

 何回目のリベンジ戦だろうか。凪紗は無難な選曲で、無難にプレイしたが、結局負けていた。いつもポケモノで、俺のフシギダナをボコボコにしてる報いだ。

「晴この野郎……! 次はスマヴラで勝負だ!」





 楽しい時間はあっという間に過ぎ。すっかり日も落ちた頃に、二人の腹の虫が鳴った。

「……もうこんな時間か」
「あー、鏡餅だ……」

 もういっそ縁起など関係無い。飾る分を残して、鏡餅を大晦日に食い尽くしてしまおうと、俺は立ち上がった。ビニール袋を持ち、台所へと向かう。餅の袋を開けながら、凪紗の方を振り向いた。しかし、どう答えるかは予想できている。

「凪紗ー。何餅がいい……」
「あんこ」
「……はいはい。この甘党が」

 時々心配になる。糖尿病にならないかとか、虫歯にならないかとか。医者は脅威の被害が多い地区に優先的に行っているため、近くにかかれる病院は無い。結構遠くにしか無いのだ。決して凪紗を心配しているんじゃない、交通費、医療費の問題だ。しかしそういう俺も、醤油のいそべ餅が大好きで。ここの家では、餅となるとこの二つしか出てこない。それを言うと、「塩分過多で死ぬぞ」と言われるのだが、お互い様だ。

「おい、手伝えよ」
「はーい奥様」
「ふざけんな」

 冗談でもやめてほしい。鳥肌が立つ。なんで俺が女役なんだよ。

「だって俺より身長低いしさ?」
「はい新年の抱負今決めた。『打倒凪紗の身長』」
「っはは」

 行く年、来る年。あんこの缶詰を開けながら、凪紗は呟いた。随分知的な言葉を知っているものだ。俺を見て目を細め、凪紗は微笑む。

「来年も宜しく頼むぜ、奥様」



「……あんこ没収確定」

 俺からあんこを守りながら、凪紗は大きな声で笑った。凪紗にはその表情が一番合っている。大人びた調子は似合わない。そして、そばでも食ってろ、と俺はあんこをもぎ取った。そうだ、そばを忘れていた。ここは凪紗の出番だ。

「凪紗。あんこが欲しかったら、そばを……」
「……ん? なんだよ」

買ってこい、といいかけてやめた。









「……一緒に、買いに行くぞ」

 俺は凪紗の腕を掴んだ。











 新しい年。それはただの節目に過ぎない。
 けれど、楽しんだっていいじゃないか____




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