複雑・ファジー小説

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ロッカールームオバケ
日時: 2016/12/22 12:06
名前: ネルシャツクン (ID: 1Nlxg6y3)

僕が1人で漫画喫茶を出ようとした時に、店員から声をかけられた。
「もしかして、誠?」
振り向くと、その店員は、どこかで見覚えのある顔だった。記憶が脳内で遡る感覚と共に、その凛とした雰囲気から、すぐに中学時代の同級生、柊マリカだと分かった。
「あっ、マリカ?」
「うん、そうだよ、久しぶり!」
マリカは、大人びていた。中学生だったあのころと比べ、髪も伸び、化粧もしていて、綺麗になっていた。僕は少しその佇まいに驚いたが、別に同級生というだけの関係性だったので、滑らかに会話を成立させようと緊張をしてないふうにして見せた。
「本当、久しぶりだね、ああ、ここでバイトしてるんだ」
「うん、ここにはよく来るの?私、週末だけしか来ないんだけど」
「ああ、うん、まあ、たまに来る程度かな。そうか、頑張ってね、じゃあ」
マリカは笑顔で手を振り、僕も手を振り返すと、店内を後にした。
柊マリカ。懐かしい。2年ぶりの再会だったが、あんなに変わるものなんだろうか、女子というのは。僕はスマホをジーンズのポケットから取り出すと、SNSのページに飛び、書き込んだ。
『同級生と2年ぶりの再会。元々綺麗だったのに、段違いに綺麗になっていた・・・半端ない』





Re: ロッカールームオバケ ( No.4 )
日時: 2017/01/10 10:43
名前: ネルシャツクン (ID: Di8TedTz)

山を下りる事になった。山に詳しい山田先輩はこう言う。
「ヘイメン、トカゲはどう考えても山に強い、山に弱いのは人類やRO?ROCKET。だからこそ、我々はコンクリートでできた建物の中にいることが安全に違いないはずNE。NESMITH」
「プワァーーーーーーーーーーーーーーー!!部長流石ッス!!流石ッスマジハンパねえっすわあ!!誠ちゃんが山でっていうから、山来ちゃいましたけど、やっぱり間違ってたんすね」
2年のトモナガが言う。細身の、長身でメガネをかけた、イケメンではあるものの、この喋りの為、色々アレである。
「ヘイメン・・・まだ3人か。あとの3人はどうしたんDA?メンタリストDAIGO」
「あとの3人は、魔法で遭遇したトカゲ星人を10体倒したそうです。どうやらトカゲ集団とはちあわせちゃったみたいで。少し時間がかかるかと」


「プワァーーーーーーーーーーーーーー!!ここでッス!!」
トモナガの家?いや、トモナガの家に前に来たことがある。たしかアパートだったはず。目の前にそびえたつのは、2階建ての一軒家だった。
「ここはワタスィの、イトコォの、家どぅえッス!!事情を話したら、どうせ独り暮らスィですスィ、6人ぐらいどうにかなるYO!ってことらしいですYO!」
そうか、ここが、基地になるのか。


夜。腕時計を確認すると、2時を回っていた。寒空の中、後ろから爬虫類らしき鳴き声がする。

Re: ロッカールームオバケ ( No.5 )
日時: 2016/12/22 13:39
名前: ネルシャツクン (ID: 1Nlxg6y3)

「みんな、後ろから来るYO−−−−−−!!YOKOHAMA!!」
住宅街の電柱の後ろにある曲がり角から、20体ほどのトカゲ星人が顔をだした。僕らを見つけると、2足歩行から4足歩行に切り替え、威嚇だろうか、挑発的な鳴き声を発した。
「奴等を倒すYO!!YODELYODEL!!魔導書1ページにある、『プリズム』行くYO!YO−ROPPA!!」
「はい!!」
僕とトモナガが同時に応答すると、トカゲ星人たちは前方へ走って来た。そのスピードは、全速力の自転車といったところだろうか。
山田先輩が左手を前にかざすと、プリズムと唱えた。すると薄暗い辺りが明るくなるくらいの光線がほとばしり、5メートルほど離れたトカゲ星人の5体に貫通した。一発で仕留めたらしい。すぐに力尽き、一斉に倒れた。後ろにいる他のトカゲ星人たちが、少しひるんでいる。
「プリズム!」
僕も呪文を唱えた。山田先輩ほどではないが、勢いのあるその赤い閃光は、2体のトカゲを捉えた。すぐに燃え上がった。
トモナガも、プリズムで他のトカゲたちと応戦した。おそらくトカゲの攻撃は一発でもくらえば致命傷だ。一回手のひらを返しただけで、内臓を突き破るほどの力を持っている。街中にはびこる死体は、どれも一回の切り裂いた傷だけを負っていた。
20体いた最後のトカゲ星人を倒したのは、山田先輩だった。赤い閃光がほとばしると、その一体が倒れた。どうやら全て倒したようだ。しかし、まだ安心はできない。奴等は、今の数の数千倍は地球にやって来ている。

Re: ロッカールームオバケ ( No.6 )
日時: 2017/01/10 11:05
名前: ネルシャツクン (ID: Di8TedTz)

「トゥカゲのくせに、人間に刃向かってんじゃねえYO!っていう感じっすねマジパネェわぁトゥカゲっち」
「噂には聞いていたが、とんでもない化け物だNA、NAPPA・・・よし、さすが我が呪術部、よくやってくれた。さあ、アジトへ入ろう」


ドアをノックすると、一人の女性が出てきた。僕は一瞬たじろいだ。目を疑った。嘘だろ。トモナガのいとこって、柊マリカ!?
「・・・!誠!トモナガの友達だったの?」
僕はがく然とした。いや、ここが今日からアジトになることを素直に喜ぶべきはずなのだが、まさか、同級生の柊マリカと一緒の屋根の下で暮らすことになるという、思ってもみなかったエキセントリックな展開に、頭が真っ白になる、という経験を生まれて初めてした。
「なんだマコッちゃぁん、この子と知り合いだったのKA?KATSUO。世界は狭いNE、NEKO」


しばらくして、残りの呪術メンバー3人も合流し、部活メンバー5人が全員そろった。

酢手符亜似輝夫(ステファニーテルオ)、2年生。僕とトモナガを含め同級生組だ。攻撃魔法のパワーは誰よりも劣るが、防御魔法は部員の中でも群を抜いて一番強い。
霧義理須翔平(キリギリスショウヘイ)、3年生。山田先輩と並び、魔法全般において強力な力を発揮する。父親家系が元々エスパーのため、その力を受け継いでいる。好きな食べ物・シシカバブ。
藻露平夜渚(モロヘイヤナギサ)、3年生。俗にいう変態である。

5人そろえば、本当に強い、と僕は個人的に考えている。それぞれ特性も違うし、魔法のバランスもとれている。これなら、トカゲの襲来にも安心して応戦できる。
しかし、新たな問題が僕にはある。


柊マリカの家に来て、1週間が経った。僕はいまだに、マリカとは視線すら合わすことなく、会話もほぼゼロに近い状態だった。正直、居心地が悪い。どうせなら、トモナガのいとこっていうくらいなんだから、ブスでよかったのに、何故よりによってマリカなのだろう。

Re: ロッカールームオバケ ( No.7 )
日時: 2017/01/10 11:23
名前: ネルシャツクン (ID: Di8TedTz)

まず、魔法で生活の糧となるエネルギーは全て補うことができた。
電気、ガス、水道。ネット回線も、機械に詳しいトモナガが一夜でアクセス困難だった回路を修復させることに成功し、ネットもできるようになった。相変わらず、テレビとラジオは、どの番組もやってなかった。
食糧はテルオの実家が野菜全般を育てている農家を経営していたため、そこの畑で野菜等を育てる事にした。肉は食べれなかった。これから長い旅にはなるが、ほうきにまたがり空を飛び、牛や鳥をかっさらおうという計画をしている。魚は簡単に釣りで得ることができた。本当に、呪術部でよかったと心から思った。でなければ、もう既にトカゲにやられていただろうから。

「ぁあ、マリカたんマジいいよね。最高だよ。本当。ありがとうな、トモナガ」
ナギサ先輩がおもむろに言う。
「彼女がいるからこそ、俺はこんな汚らしい男だらけの奴等と生活できているんだ。クソだよ、マジで。でもなあ、マリカたんがいるから、頑張れる☆」
僕はトモナガ、ナギサ先輩とトランプをしていた。
「プワァーーーーーーーーーーーーー!!僕たちのことをそんなふうに言わないでくさだいYO!YOYOYO」
「まあ、確かに、そうだよね。これからどうなるかもわからない世界に放り込まれて、自給自足の生活を5人でってのもね・・・。本当、これから大丈夫なのかな」
僕はどっちかというと悲観的なタイプなので、こう考えてしまう。
「魔法が使えるってことが最大の武器だ。おそらく人類は俺たち以外生き残ることは難しいだろう。軍隊ぐらいか?まあ、魔法使いが俺たちだけとも限らないけどな」

Re: ロッカールームオバケ ( No.8 )
日時: 2017/01/10 11:33
名前: ネルシャツクン (ID: Di8TedTz)

夜。涼しい風を受けながら、ベランダに出て音楽を聴いていると、ふいに後ろから肩を叩かれた。振り返ると、マリカだった。
「まさか、一緒に住むことになるとはね」
本当に、その通りだ。2年ぶりの再会が、こんな発展をとげるなんて。
「・・・そういえば、中学2年の時に、急に転校したけど、何かあったの?」
「ああ、それは東京に引っ越すことになって。本当、急だったよね」
夜風が帯びる。街中は遠方で煙が上がっている様子も見受けられたが、この一帯は、僕たちが奴等を蹴散らしているためか、いたって安全な景色が広がっていた。こんな日常が、少しでも長く続いてほしい。
「でも、これじゃあ大学生にもなれそうもないよね。将来の夢とか、誠はあった?」
「いや、特には。何かあった?」
「将来はアメリカに留学して、英語を活かした仕事がしたいと思っていたけどね。まさかアメリカが無くなっちゃううなんてね、夢にも思わなかった」


考えてみれば、この家に来て、まともにマリカと初めてしゃべったかもしれない。



1か月後。
喜ばしい一報が突然入って来た。


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