複雑・ファジー小説
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- トライアングル
- 日時: 2017/03/05 00:11
- 名前: あさがお (ID: XWukg9h6)
複雑な気持ちを描いた学園もの&恋愛もの小説です。
主人公
高山広臣
新入生で同じクラス、同じ学年、同じ寮、同室の相手を好きになるが…
相手
朝比奈歩
正真正銘男だが、時折体に住むもう一人の女が出てくる時がある。どちからが、活動すれば、どちらかが不活動中。主人公と初めて話したのが女性の方で、女性の方が主人公に一目惚れ。
- Re: トライアングル ( No.4 )
- 日時: 2017/03/10 18:21
- 名前: あさがお (ID: qMXr7W56)
「は?」
何言ってんだ彼女は。いきなり何なんだ?意味が分からない。どこを見てどの瞬間好きになったんだ?何故今それを言ったんだ?疑問符が頭をかき回す。
「うーん、一目惚れ?うふふっ、好きだよっ」
黙っているとまた勝手に喋り出す。自分でもおかしな事だと自覚しているのか頬をほんのり赤らめながら笑い、二度目の告白をしてくる。
「キミの遊びに付き合ってる暇はない。用が済んだら出て行け」
「キミじゃないし、あゆみ!あ、ちゃん付けでも全然いいよ!」
「…俺はもう寝る。邪魔するなよ」
「えー…」
駄々こねるような口調でブーブー言ってる彼女を無視して上のベッドに寝転がれば、ベッドが軋む。天井が近い気がして片手を伸ばしてみるが天井に手は届かない。案外距離はあるようで安心する。飛び起きても頭をぶつける心配は無さそうだ。
掛け時計の秒針が動く音がする。目を閉じてそれに聞き入っていればいつの間にか意識を手放していた。
- Re: トライアングル ( No.5 )
- 日時: 2017/03/10 19:04
- 名前: あさがお (ID: qMXr7W56)
ふっと目が覚めると、辺りは真っ暗で驚く。何も見えない。電気をつけようと、ベッドから恐る恐る階段に足をかけて降りる。昼に入ってきた時、電気はヒモじゃなかったことを思い出し、スイッチであるボタンのようなものがあるはずだと出入口付近の壁をひたすら触るがそれらしきものが無い。
仕方無く、部屋を開けて出ると、廊下の電気はついていて、その明るさに眩しくて目を細める。
目が慣れれば、辺りを見渡す。何人かの寮生らしき人が廊下で楽しそうに会話をしてたり、物の貸し借りをしている。
「どうした?なんか困ってることでもあるか?」
誰に助けてもらおうかと困っていると、後ろから声をかけられた。
振り返れば赤毛の癖毛に特徴がある俺と同じぐらいの身長の男子が立っていて、丁度よかったと呟いてから、部屋の電気の話をすれば、彼は堂々と部屋へ入ってきて、暗い部屋の中、何かを探すようにキョロキョロする。
「おー!あったあった!ほい。部屋の電気はリモコン操作だから、これ無いとつけれねぇから気をつけろよ?ま。今回は、朝比奈が悪いけどな」
リモコンを彼が見つけると、電気までつけてくれて、俺にリモコンを手渡す。感謝しながら受け取ると、彼は苦笑いして話を続ける。
「朝比奈?…誰だ?」
「え?知らない?お前と同室の男」
そこで出てきた名前に誰だと思い首を傾げれば、彼は呆れたように言う。この部屋に来てから女は見たが男は見てないなと思い、知らないなと首を横に振る。
「まぁ、今は部屋に戻ってないみたいだし、どっか遊びに行ってるのかもな。同室なんだし、すぐわかると思うぜ」
「どんな奴か聞いていいか?」
「ちょっと変わってて、ムカつくこと言うけど憎めないような感じのヤツ…かなー?」
「そうだ、キミの名前聞いてなかった。俺は高山広臣」
「おお、俺は立花一木。よろしくな!高山!」
「よろしく、立花」
挨拶を交わせば立花は早々にやる事があったことを思い出したようで走り去ってしまった。
それから、岩倉さんに教えてもらった風呂へ向かい、風呂に入り、部屋へ戻って、髪を乾かして、横になる。
「静かだ…」
二人部屋なのに俺1人で部屋で自由にしてる。これじゃあ一人部屋となんら変わりない。そういえば目が覚めた時には彼女がいなかった事を思い出す。俺が相手をしなかったから退屈で自分の寮へ戻ったのだろう。
ふと、疑問符が浮かぶ。あの教材は本当に彼女の物だったのかという点。でもきっと、俺と同室の彼のことを知ってて俺が転入することも知ってて悪戯仕掛けてきただけなのかもしれない。彼女の告白は真に受けない方がいいな。
同室の彼がどんな奴なのか想像していると、いつの間にかまた眠ってしまった。
- Re: トライアングル ( No.6 )
- 日時: 2017/03/13 22:12
- 名前: あさがお (ID: qMXr7W56)
ーーぃ……ーーぉい…おい!
ハッと目が覚める。
辺りが明るくて、近くにある物もハッキリ見える。慌てて上体を起こし状況を把握しようと腕時計を見ると6時半。朝がきたのかと思い、いつの間にか寝ていたと自覚する。
「やっと起きたかよ」
中性的な声が聞こえて、誰かいる事に気づき、反射的に声のする方を見れば、サッパリした明るい茶髪で左分け右寄りに斜めにカットされた前髪、爽やかな顔つきの男が立っていた。夏が近いこともあって流石にブレザーは着ていないけど、制服姿で俺の方を呆れたように見上げている。
「…なんだよ」
「……いや…え、誰だ」
不覚にもその整った顔に綺麗な顔をしているなと思い見蕩れていた。眉を寄せて不快な顔をした彼が聞いてきてハッとする。そこで、彼が誰なのかと問えば、彼は鞄を肩にかけて応えながら応え終わると同時に部屋を出て行った。
「朝比奈だ。同室なら覚えとけ。先行ってるなー」
ガッチャリとゆっくり閉まった扉の音が鳴って部屋が静けさに包まれる。
彼の言葉を頭で繰り返すと、学校だったことを思い出す。7時半に校長室へ、8時には教室だ。スケジュールを確認し終えれば、支度を始める。ネクタイを締め、ビシッと制服をしっかり着て、部屋の隅にある等身大の映る鏡でチェックする。
自分の姿を見ていると先程会った朝比奈が細身で男にしては華奢な方だったなと思う。同室の人がまさかあそこまで顔やスタイルが良いとは思わなかった。殆ど男子校のこの学校にイケメンがいるとは思わないだろ?と鏡に脳内で問いかける。
「…俺もイケメンな方だよな…?」
確認するように呟く。同室の朝比奈には負けるかもしれないと思うと気が落ちてため息が漏れた。ふと腕時計を見れば7時を少し過ぎていた。
急いで鞄を片手に部屋を飛び出せば、校長室へ向かって走った。寮長の岩倉さんに校長室だけは教えてもらっていたから、校長室の場所はわかる。7時半までには間に合えと願いながら走った。
- Re: トライアングル ( No.7 )
- 日時: 2017/03/20 23:48
- 名前: あさがお (ID: qMXr7W56)
「今日から一名このクラスに加わることになった」
「高山広臣です。しぁっす…」
担任の紹介後に名前を言って軽く会釈すれば、生徒は俺を見てぽかーん。一瞬の沈黙が俺は嫌だ、特にこういうの。担任から席に着くように言われ、席へ向かう途中、話しかけてくる生徒やヒソヒソ話してる生徒、バカでかい声でふざけて笑いをとるやつがいる、ウンザリだ。こういうのはあまり好きじゃない。耳だけ傾けつつ席に向かっていれば聞いたような名前が聞こえた。
「どう思う?朝比奈」
「はー?どーもしねーし」
「…あ」
「あ?」
「ああああー!!お、お前!朝の!」
聞き覚えのある名前に顔を向ければ、退屈そうに後ろの席の男子と会話をしている様子の朝比奈がいた。朝会ったばかりの同室の彼がまさか同じクラスだとは思わず、驚きのあまり大声を出して、朝比奈を指差す。クラス全員の視線が朝比奈に向いた。
俺と目線を合わせた朝比奈は久しぶりに再会した友人のような顔をして、軽く片手をあげる。担任が俺に早く席に着くように言ってきたおかげで自分が今は何をすべきか思い出し、大人しく席に着いた。
一番廊下側の席後ろから三番目の朝比奈。俺は一番ベランダ側の一番後ろ。席に着いて、体ごと朝比奈の方へ向けて、彼を見る。彼はもう俺を見てなくて、後ろのヤツが話しかけてるようでそれに度々振り向いては返事をしているようだった。
朝比奈の顔を眺める。他のクラスメイトを考えるとやっぱり俺の思った通り、俺がイケメンじゃないんじゃなく、朝比奈が良い容姿の持ち主なだけなんだ、と。他の生徒を見ても、平凡な顔のヤツが多い。
俺は朝比奈の顔をどこかで見たことがあるような気がして朝比奈を見つめながら考えた。
- Re: トライアングル ( No.8 )
- 日時: 2017/03/27 21:27
- 名前: あさがお (ID: qMXr7W56)
「じゃー高山は朝比奈と同室だし、何かと都合が良いから校内案内は朝比奈にしてもらえ」
「あ、はい」
「はあ!?いやいやいや、そんなめんどーなこと」
「朝比奈ぁー、先生はお前を信用してるから任せるんだぞー?」
「いや、俺そんな手に引っかかりませんから!」
キーンコーンカーンコーン
「じゃ、頼んだぞー」
ガララッ…ピシャ
担任と席から立った朝比奈の言い合いは朝のHRの終了時間の鐘によって終わったようだ。負けたのは朝比奈で、クラスメイトは笑い、朝比奈を元気づける者やからかう者もいた。朝比奈はクラスメイトから好かれているみたいだな。
一方で、俺にもクラスメイトが数名寄ってきて質問攻めが始まった。出身、この高校に来た理由、来た時期の訳、趣味、好みの話等が一般的。答えられるものは応えた。そんな中、気になる質問があった。
「朝比奈と同室なんだって?」
「そうだ。それがなんだ」
「アイツに似たヤツ見かけなかった?」
「……ああ、そういえばどこかで見たことがある気がするんだよなー」
やけにニヤニヤした顔で話を進める彼に疑心暗鬼になりながらも正直に答えれば、衝撃な言葉が告げられた。
「アイツ、二重人格って噂だぜ?」
「……は?」
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