複雑・ファジー小説
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- 右腕へ転生、背負うは大罪(5/22更新)
- 日時: 2017/05/22 19:53
- 名前: うたかた ◆wr23E0BYk6 (ID: memccPfd)
ある日、不幸な事故によって死んでしまった主人公である犀川 幸太(さいかわ こうた)。
ここまではよくある異世界転生のテンプレであった。
だが、転生先はなんと『右腕』。
テンパるところを一周回って落ち着いてしまった主人公は、あることに気付く。
もう一度死んでしまうことになると。
しかしそこで物語は終わらない。主人公は全く身に覚えのないスキルというものによりゴブリンとして蘇ることが出来る。
これによりどこか吹っ切れてしまった主人公は、何故か持ち越した前世の記憶や異能、そして謎のスキルを使い、異世界で生き抜くことを決意する。
だが、彼はまだ知らない。
彼が何故右腕に転生したのか、何者が異世界に呼び込んだのかを。
________________
初めましてうたかたと申すものです。
今回は、異世界転生の成り上がりものみたいなものを書いていきたいと思います。
これが初投稿なので、至らない点が数多くあると思いますが、温かい目で見守って頂けるか、ご指摘があると幸いです。
更新スペースは不定期ですが、週一度を心掛けていきたいと思います。
第1章
>>01、>>02、>>03、>>04、>>08、>>10、>>11
第2章
>>15、>>16、>>17
- Re: 右腕へ転生、背負うは大罪 ( No.9 )
- 日時: 2017/04/07 02:28
- 名前: うたかた ◆wr23E0BYk6 (ID: memccPfd)
こんばんは、うたかたです。
一週間に一度の投稿を目標にしていたのですが、楽しみにしていた方本当にすみません。
最近、生活の方でやるべき事が増えてしまい、更新できずにいました。
来週には落ち着くと思うので、更新していきたいと思います。
これからも「右腕へ転生、背負うは大罪」をよろしくお願いいたします。
- Re: 右腕へ転生、背負うは大罪 ( No.10 )
- 日時: 2017/04/28 21:37
- 名前: うたかた ◆wr23E0BYk6 (ID: memccPfd)
- 参照: 閲覧100感謝です!
「おとぉ・・さん・・・」
これが狐娘が目覚めてからの第一声だった。
声にはとろんとした眠気が混じっており、表情にはまだ幼さが残っている。
しかしそれらが見れたのは一瞬だけ。
俺の姿を見て声も表情も恐怖しているものに変わる。
確かに、殺した筈なのに蘇ってたら何ハザードって感じだし、そもそも俺は怪物だしな。
うーん、警戒を解くにはどうするべきだろう。
まずは、優しく話し掛けるべきか。それとも下手に刺激せず、放って置くべきか。
あれ、何か焦げ臭い。
「やべっ!焼き兎が!?」
しかし気付いた時には、もう既に遅し。
殆どのものが炭と化していた。
「くそぅ・・・俺の飯・・・」
あぁ、テンション上がってただけに、なんか目から液体が・・・。
そんな風に落ち込んでいる俺の姿を笑って何処からか笑い声が聞こえる。
勿論それは、狐娘からなんだけどな。
笑った顔可愛いじゃん。
はぁ・・・なんか落ち込んでるのが馬鹿らしくなってきた。
まだ兎肉はあるしな。
「よし、二弾目やるとしますか!」
俺の声に驚いている狐娘がいるが、その顔にさっきまでと恐怖は浮かんでいない。
■ □ ■ □ ■
「はぁ、旨かった・・・」
焼き兎で膨れたさすりながら、ごちそうさまと生き物に感謝を唱える。
あぁ、なんかすげぇ眠い。
きっと満腹感とゴブリンになってから初の対人戦の所為だろうな。
こんまま眠れたら気持ちいいだろうが、そうする訳にはいかない。
俺は、小さく伸びをし眠気を払う。
「なぁ、狐娘」
そう呼び掛けると、狐娘は少しビクッとしながらも
「その・・・クロナです」と答えた。
一瞬、なに言ってるんだとなったが、「あぁ、こいつの名前のことか」と納得する。
気を取り直して
「じゃあ、クロナ。お前に幾つか聞きたいことがある」
と言い、取り敢えず俺は二つ質問した。
一つは、この世界のこと。もう一つは魔法についてだ。
一つ目の質問は、満足な答えを得る事が出来なかった。
分かったのは、ここが「プロムーグ魔森林」と、言う場所でかなり大きな森で強い魔物が多いとのこと。
そして魔法についてだが、案外簡単に使えるものらしい。
が、種族によって差違があり、そのなかでもゴブリンは使えない種族の筆頭だと言う。
マジかよ、これは選択を間違えたかもな。と落ち込んでいると『存在進化』を重ねることで使えるようになりますってクロナが慰めるようにそう言ってくれた。
これは、何が何でも進化せねば。
だけど、一番聞きたいのは最後なんだよな。
それと同時に一番聞きにくいものなんだが、後ろに回しても良いことないし、絶対ズルズル引き摺るだろうしな。
もうやるしかない。
「最後に、お前に何があった」
- Re: 右腕へ転生、背負うは大罪(4/11更新) ( No.11 )
- 日時: 2017/05/28 19:25
- 名前: うたかた ◆wr23E0BYk6 (ID: memccPfd)
- 参照: 第1章 終了
クロナの話を要約するとこんな感じだった。
この森から少し離れた村に住んでいたクロナ達、妖狐族。
その村は主に、農業や狩りなどをしてほぼ自給自足のような暮らしをしており、平和なところであった。
しかしその平和は、何者かによって奪われた。
分かるのは、略奪者は十字架を背負っていたこと位。
そこから逃れてきたは良いが、さっきの二人組に捕まり、今に至るらしい。
そこまで言い切ったところで、クロナは耐えきれなくなったのか、声を上げながら泣き出した。
俺はその姿を見てが思わず、手を伸ばしてしまう。が、思い留まった。
こんなこと昔にも・・・いや、今更思い出したって意味無い。
俺は目の前こと、これからのことを考えるべきだ。
俺は意識を切り替え、「よく、頑張ったな」と呟く。
そしてクロナの背中を宥めるように優しく撫でることにした。
しかし十字って・・・。
さっきの二人組から拝借した胸当てにも描かれていたあるような。
似たような奴らが他にも数十かそれを越す人数がいるってことか。
なんか、面倒なことに巻き込まれた気がする。
まぁ、成るようになるだろう。
そこまで思考を回していたら、クロナが寝ていることに気付いた。
色々と疲れたんだろうな。
優しくゆっくりとクロナを下ろし、布を掛ける。
そして俺は、クロナが眠っている間、見張りを兼ねて魔法の練習をすることにした。
かなり物になってきたなと思っていたところに丁度いい的。スライムがやってきた。
個人的にスライムは、アメーバのような単細胞生物だと思っていたが、全くの別物であることが見ていて分かった。
言うなれば、魔法生命体である。
何となく仕組みが解ったから出来ないかなぁ。と試行錯誤してみたが案外出来るものであった。
楽しくなって身体をスライム化してみたり、戻したり、幾度かやっていると
_______________
ホブ幸は、スキル〈形状変化〉を会得しました。
_______________
なんてアナウンスが脳内に流れ、もう一度やってみた。すると、先程よりも簡単に出来た。
うーむ。<形状変化>が会得が出来て、魔法が出来ないのは熟練度でもあるからなのか。はたまた・・・。
別に熟練度があるなら時間が解決してくれるし、仮にそうでなくても練習すればいいかと思い、再び魔法の練習を始めた。
そう言えば、俺の異能の発動条件も変わっているようだ。
前は相手が異能を使ったときだけ見えたのだが、スライムのときは常に見えたんだ。
それでクロナが目を覚ましたのは、太陽が頂点にくる少し前であった。
クロナが起きてからは、適当に取ってきた果実を食べながら、これからどうするかと話した。
話によるとこの森の深部で亜人が村を作っており、そこに向かいたいんだと。
俺は、助けた責任というか途中で死なれては後味が悪くなるので付いていくことにした。
それにこの世界を知るために、知識ある人に会いたいと言う理由でもある。
そうと決めると、俺らは更に森の深くへ歩み始めた。
- Re: 右腕へ転生、背負うは大罪(4/15更新) ( No.12 )
- 日時: 2017/04/20 21:34
- 名前: うたかた ◆wr23E0BYk6 (ID: memccPfd)
- 参照: お知らせです。
今週の更新は、休ませて頂きます。
理由としましては、感想を頂いて直したい点が見つかったからです。
楽しみにしていた方、本当にごめんなさい。
来週はしっかりと更新します!
- Re: 右腕へ転生、背負うは大罪(4/15更新) ( No.13 )
- 日時: 2017/04/23 19:43
- 名前: うたかた ◆wr23E0BYk6 (ID: memccPfd)
- 参照: 更新しないしない詐欺
赤く燃え上がる家々。度重なる親しかった人の悲鳴。そして周りに漂う死の香り。
私はこれを地獄と呼ばずになんと呼ぶべきか知りませんでした。
▽ ▼ ▽
私の村はプロムーグ魔森林から少し離れたところにある小さな村です。
この村にはこれと言った特徴は無く、たまに魔森林の方から来るワータヌキのおじさんの行商に毛皮や小麦を売るだけのほぼ自給自足のどこにでもある村でした。
そのため私たちは支え合い、助け合い、みんな仲が良かったと思います。
争いの「あ」の字も無いような本当に平和な村でした。
その平和が奪われたのつい一昨日のことです。
大人も寝静まった真夜中に彼ら_背に赤い十字の描かれた鎧を身にしていました_は、まず村の周りに鼻の曲がるような臭い水を撒きました。
それらを指示していたのは、まるで妖精【フェアリー】のように美しい、【聖女】と呼ばれる女性です。
もちろん、私のお父さん_この村の長です_たちはそんなことをされて黙っていません。
お父さんたちは得意の炎熱系妖術で彼らを追い返そうとしました。
妖狐族のみんなは、その妖術が他の種族が頭二つ、三つ抜いて上手いからです。
私だけ水氷系が得意だったりするのですが。
話を戻します。
しかしみんなが放った炎は彼らには届きません。それどころか私たちに牙を剥きました。
私たちの知らない何かを燃やすことに執着した恐ろしい炎。
それに息も出来ないほど苦しくなります。
どうにか大人たちは一矢報いようとしますが、業火の前に成す術はありませんでした。
ジリジリと、死が近寄ります。
このままではみんな死ぬことになるでしょう。
そんなことがあって良いのでしょうか。いいえ、ありません。
私は出来る限りの力を込め、自分の今最高の妖術『不香の花』を詠唱しました。
そのお陰で一筋の光、あの業火か逃れる道が出来ました。
私たちはその道を全力で走り抜けます。
ですが、当然彼らはその先で待ち構えていました。
炎の道から抜け出した私は、再び妖力を込め、妖術を放とうとしました。
しかしそれは、叶いません。
撃てなかったのは、妖力枯渇でも敵に妨害されたわけでもないです。
止めたのは私のお母さんでした。
お母さんは私に囁きました。
ここから逃げなさいと、あなたが最後の希望なのだと。
そして最後に・・・。
お母さんは今までに見たこともない優しい笑みを浮かべると、囲んでいる彼らに飛び込み隙を作りました。
私は溢れ出しそうになる感情を抑えながら走りました。
ただ走りました。
足の皮が剥げても、爪が割れても走りました。
ただひたすらに走りました。
母の願いを叶えるために。
いつか彼らを倒すために。