複雑・ファジー小説
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- シルキー&フェイのアトリエ【オリキャラ募集中】
- 日時: 2020/04/12 23:50
- 名前: L ◆zWpDOhpQ2s (ID: 1JjPbNpp)
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はじめまして、本作品はかの有名な某RPG風の異世界ファンタジーを舞台とした
笑いあり涙ありの冒険と錬金術が世界を救う王道ストーリー(?)ノベルです。
小説ではなくライトノベルです一応。
物語の流れは主人公二人が大陸を回って錬金術を用いて困ってる人を助ける
……という感じです。
過度な期待は禁物ですが、どうぞあたたかくお見守りください。
更新は亀ペースでやろうと思ってます。
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◇あらすじ
ティラール大陸。
神々に見捨てられたと言われるその大陸では、ある土地では日照りが続いて干ばつに、ある土地では大雨洪水などで流され、ある土地では地震が続いて壊れいき、ある土地では日々の暴風で植物が育たなかった。
そんな時代に生まれたシルキーとフェイは、絵本で読んだ錬金術師に憧れ、錬金術を学ぶ。
錬金術で人々の役に立つものを作り、人々のためにありたい……それらを胸に抱いて。
だが、その大陸は着実に滅びへと向かっている。
困っている人がいたら助ける。……という信条を教わった二人は、大陸を回ることに。
だが、二人に待ち受ける運命は、やがてとんでもない事件へと変貌していくことを、誰も知る由もない
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◇参考資料
登場人物 >>1 >>6 >>9
専門用語 >>2
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オリキャラ募集>>3
応募者様
>>4>>7>>12 siyaruden様
>>13 A2様
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◇目次
断章「欲張りな竜と精霊と勇者」 >>10
序章「走り出す運命」 >>18-23
第一章「少年エミール」 >>24
【随時更新】
- Re: シルキー&フェイのアトリエ【オリキャラ募集中】 ( No.15 )
- 日時: 2020/02/17 00:25
- 名前: L ◆zWpDOhpQ2s (ID: AfHZgVrd)
>>12 siyaruden様
3人目、ありがとうございます〜!
ジャクスとユニサスやシルキーフェイと対立した後和解しそうなポジションですね!
見た目も結構好きです!
登場させるのが楽しみです!
>>13 A2様
キャラシありがとうございます!
シルキーフェイのライバル的存在にしようか、協力関係にしようか悩ましい子ですね。
どう登場させようか、考えていきたいと思います!
- Re: シルキー&フェイのアトリエ【オリキャラ募集中】 ( No.16 )
- 日時: 2020/02/17 23:11
- 名前: siyaruden (ID: NhgkHXib)
アリゼ、エルヴィーラの設定を追記しました
- Re: シルキー&フェイのアトリエ【オリキャラ募集中】 ( No.17 )
- 日時: 2020/02/18 22:59
- 名前: L ◆zWpDOhpQ2s (ID: AfHZgVrd)
>>16 siyaruden様
確認しました、ありがとうございます!
- Re: シルキー&フェイのアトリエ【オリキャラ募集中】 ( No.18 )
- 日時: 2020/02/20 23:20
- 名前: L ◆zWpDOhpQ2s (ID: AfHZgVrd)
序章 走り出す運命
どこまでも広がる真っ青な空。そして、そよ風に吹かれて流れる白い綿雲。
一人の少年と少女がその空を見上げ、空の色が瞳に映りこんで青く染まっていた。
「あの空って、どこまで続いてるのかな〜?」
少女は空を見上げてふとそんな言葉をこぼす。少女の無意識に近い問いに、少年は腕を組んで頭を垂れて唸った。
「わかんない。きっと、世界の果てまで続いてるんじゃないかな……」
「ふぅん……そっか」
少女はそういうと、空を見上げるのをやめて地上へと顔をやる。
地上は広い草原だ。草が青々と茂り、風に揺られて静かに揺れる。森や山が遠くの方で見えていた。森の奥の方に、森の木の何十倍もの巨大な一本の大樹が聳え立っている。川も水が岩に当たって飛沫の音を立てながら、緩やかに流れて……この瞬間のこの周辺だけ見れば、世のどこにも争いがないと錯覚してしまう程、のどかで平和な風景だった。
「シルキーちゃん、今日の目的ってなんだっけ?」
少年が、シルキーと呼ぶ少女に向かって尋ねながら、肩から下げるカバンから紙束を取り出す。紙束には、「狂暴な魔獣を退治してほしい」という文字が大きく書かれ、猪や狼のような動物の絵が描かれていた。紙束の内容を見たフェイは、再びカバンにそれをしまいこむ。
シルキーは腰に手を当ててふんっと鼻を鳴らす。
「とーぜん! 魔獣退治だよフェイ。最近増えてる魔獣をやっつけないと、皆安心して暮らせないもん!」
フェイはそんなシルキーを見て、くすっと笑い、口元に手をやった。
「うん、正解。シルキーちゃんってば無鉄砲だから、確認しないとすぐ目的忘れちゃうもん」
「ぶぅ、そんな頻繁に忘れるわけじゃないし!」
シルキーは口を尖らせてフェイに顔を向けて抗議する。
フェイはというと、何かに気づいて腰に下げている剣の柄を右手で握る。その表情は、先ほど見せていた柔らかい笑顔とは一変、鋭い目つきで遠くを見つめる——まるで獲物を狙う獣のような目つきだ。
「シルキーちゃん、きたよ」
「だいじょーぶ。あの辺にあらかじめ、トラップを仕掛けておいたから!」
シルキーはそういうとにやりと笑う。フェイとは違い、余裕がありげな表情だ。
「もう、そういう油断が危ないって師匠も言ってたじゃない」
「ん……まあ、なんとかなるでしょ!」
「相変わらず無鉄砲なんだから……」
フェイはシルキーの言葉に呆れて肩をすくめる。
フェイの言う通り、彼らからかなり離れた場所に、狼の群れが横断している様子が見えていた。何の警戒もなく、十数体の狼が走っている。
フェイとシルキーはその場に俯せになって息をひそめた。狼たちの様子がギリギリ見えるか見えないかぐらい、頭を低くして様子を伺う。フェイはいつでも動けるように剣を握り、シルキーは肩から下げているバッグに手を突っ込んでいる。狼たちは何の疑いもなく走っていた。
その瞬間——
ボンッという大きな破裂音と共に、狼の群れが吹き飛んだ。破裂音がした場所には大きな穴が開き、狼の群れが半分以上それに巻き込まれたようだ。
シルキーはその様子を見て「よしっ!」と叫んでこぶしを握り締めてガッツポーズ。フェイはその場からすぐさま立ち上がって、狼の群れに向かって駆け出した。
その手には剣を構え、フラフラと立っている狼たちに向かって突進、両手で剣を大きく振り下ろした。突然の出来事に狼たちはうまく対応できない様子で、混乱しているようだ。
「フェイ!」
背後からシルキーの声が聞こえる。
フェイはその声に呼応するように、その場から離れた。
一方、シルキーはいつの間にか両手で、シルキーの身体の半分くらいはありそうな大きな樽を持ち上げ、苦悶の表情で狼たちを睨む。
そして、持っている樽を力いっぱい、狼たちに向かって投げた。
「どっっっせぇぇぇーーーーーいっ!!」
シルキーの腹から出る力強い叫びと共に樽は宙に放り出され、狼たちに直撃する。
フェイはシルキーに突進した。
二人は地面を滑って倒れこみ、ほぼ同時に爆風と爆音、そして熱が辺りを包んだ。その後は黒い煙が立ち上り、狼たちは焼き焦げていた。
二人がその様子を見て、歓喜の声を上げた。
「やったぁ、大成功!」
「やったねシルキーちゃん、まずは狼退治、成功だよ!」
二人が喜び合っていると、ふとシルキーが遠くを見る。その視線の先に、茶色の塊がこちらを睨んでいる。フェイもそれに気づいて鞘に納めた剣を構えた。
「喜んでる場合じゃないよフェイ。大ボスがいるみたい」
「まあ、そうだよね。もう一仕事、頑張ろう」
「うん」
フェイとシルキーが互いの顔を見合わせ、頷くと同時に、茶色の塊——いや、大きな猪が地面を蹴ってこちらに突進してきた。
物凄いスピードだが二人はひるまず、フェイは剣を構え、シルキーはバッグに手を突っ込んでいた。
- Re: シルキー&フェイのアトリエ【オリキャラ募集中】 ( No.19 )
- 日時: 2020/02/23 22:46
- 名前: L ◆zWpDOhpQ2s (ID: AfHZgVrd)
シルキーとフェイがなぜ平原で魔獣狩りを行っているか……
それはこの日の朝に遡る。
「何? 冒険者になるのか、お前達」
とある街の宿の部屋。木製の床と白い壁、ベッドが二つ並び、テーブルと椅子が置いてあるシンプルな部屋だ。そこに三人の人物がいる。
黒髪の青年が驚いた声を上げ、目を丸くして、二人の少年と少女を見る。
青年は触角のようなくせ毛が特徴の黒い短髪で、焦げ茶色のコート、黄色のシャツ、黒いズボンと見た目はどこにでもいる普通の傭兵のように見える、背の高い男で、目の前の二人を見下ろす形で腰に手を当てている。
目の前の赤い髪の少女と金髪の少年は彼——「ジャクス・イクスブロンド」を見上げて大きく頷いていた。
少女は赤い髪、前髪はくるんと渦を巻いて、頭のてっぺんには立派に立って、渦巻いた所謂アホ毛がピーンっと背を伸ばしている。ピンク色の魔女が被るような大きなツバ付き三角帽子をかぶり、同じ色のかわいらしいドレスを着こんでいて、スカートはまるでチューリップを逆さにしたような大きなものだ。まるで絵本などに登場する魔女そのものだ。
一方、少年は、金髪のボサボサ髪だが、前髪を三つ編みにしている。黄色のフードがついた黒い袖のない上衣、黄色の腰巻、黒いズボンと、とても動きやすそうな格好だ。
少女はジャクスに向かって胸を張って腰に手を当てながら言う。
「あたしたち、もう16歳なんだよ! 二人で冒険者やりながら、大陸を回りたいの」
「あのなぁ……」
ジャクスは頭を抱え、大きくため息をついた。
「大陸を回るって言ったって、どういう目的で回るんだ? まさか、ノープランじゃないだろうな?」
「むぅ、流石にノープランなわけないよ、バカにし過ぎだし!」
少女は頬をぷくぅと膨らませ、しかめ面をする。
「大体、子供二人だけだと、間違いなく大人にナメられるぞ」
「16歳だよ!? もうそろそろ独り立ちすべきだと思うの!」
「俺からすりゃまだまだガキだっつの」
「大人はそうやってすぐ屁理屈こねる〜! そうやって否定ばっかしてると視野が狭くなるんだよ!」
「視野の問題じゃないだろう? 俺は保護者としてだなぁ——」
「保護者なら子供の巣立ちぐらい理解してよ! 私たちだってもう自分で考えて自分の足で行動できるの!」
「だからといってだなぁ——!」
二人はお互い譲らずに言い合う。そこを少年が慌てた様子で口を開いた。
「え、えっと、師匠……ちゃんとした理由はあるんだよ」
少年はそういうと、深呼吸をして一息ついた後、再び口を開く。
「今、ティラール大陸は「魔導具」の行使で「マナ」が不足して、精霊たちがマナを求めて暴走していて、各地で荒れてるっていう状況だよね。僕達、「ユニサス先生」と師匠が教えてくれた大切な事を生かして、大陸で困ってる人たちを助けたいんだ。さっきシルキーちゃんが言ったように、僕らはもう自分で考えて自分で行動できる。……僕達は、師匠や先生から受けた恩は忘れてないし、忘れない。でも、師匠言ってたよね。「俺やユニサスから受けた恩は、社会に貢献することで返すんだぞ」って。今がその時だって、僕は思う」
少年がそう言った後、シルキーは腕を組んでうんうんと頷いた。
「それに、「イクスブロンドの誓い」、第二条! 「平和な世の中になるように努力しよう」だよ。今やらないでいつやるの!」
少女が真剣な眼差しでジャクスを見据える。少年も同じく、だ。
ジャクスは二人の話を黙って聞いた後、しばしの沈黙。そして、二人の思いが真剣そのものだと悟ると、大きなため息をついて、頭をぼりぼりと掻き始めた。
「確かに、お前たちは俺が思ってるほど、もう子供じゃあなさそうだしなぁ……。いやはや、なんというか。お前たちが成長して俺から離れるとなると、途端に寂しくなるもんだな。わかった。お前達が出る事を認めよう。どこへ行って、何をするか、自分で考えられるだろうしな」
それを聞くと、少女も少年も両手を上げて歓喜の声を上げた。
「ところで、どこで何をすれば冒険者になれるのか、わかってるんだろうな?」
「んもう、バカにして。そんなの、各領地にある「冒険者ギルド」に行けばいいんでしょ!」
「わかってるならいいんだ」
ジャクスはシルキーの返答に大きく頷くと、自身のコートのポケットに手を突っ込み、何かを取り出す。
「もし、本気で困ったときは俺か「ユニサス」を頼れ。それから、これを持っていけ」
ジャクスは少年に手を出すよう言い、その手の上に黒い紐が通った白い角笛を渡す。二人はそれをまじまじと見つめ、首を傾げた。
「それは「竜笛」。それを吹けば竜人にしか聞こえない音が俺に届くから、俺を呼びたいときはそれを使うといい」
「この白いの……竜のツノ?」
「俺のだ」
それを聞くと、少女は驚いてジャクスの頭をまじまじと見つめる。「へぇ〜」などと声を上げながら。
「ありがとう、師匠」
少年は竜笛の紐を首にかけ、首から下に下げる。
ジャクスはそれを見ると、うんうんと頷いた。
「それじゃ師匠、いってきまーす!」
「いってきます、師匠」
二人がそう言うと、部屋から出ようと入り口まで歩いて行った。
「「シルキー」、「フェイ」。気をつけてな」
ジャクスがどこか寂し気にそういうと、二人は振り返ってにこりと笑顔を浮かべる。そして、ジャクスに向かって親指をビシッと立てた。
それを見たジャクスも同じく親指を立て、二人を見送った。