複雑・ファジー小説
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- __________巡り__________
- 日時: 2020/03/12 12:09
- 名前: 公爵 (ID: lBubOowT)
架空の日本。次期国王の座を狙う輩によって国王である布王は命を狙われ続けていた…。布王は危機を逃れる為に六人の息子の中から太子を選ぶ事になる…。
潘皇子《ばんおうじ》
…………布王の第二皇子。正義感が強く幼い頃は重臣の信頼を集めていたが…ある日謀反の濡れ衣を父に着せられ天満山に追放される。細柄である。
骨皇子《こつおうじ》
…………布王の弟。野心が強く皇子の中から例外ながらも王位を狙う。怪力を持つ潘皇子を手下にしようとする…。
尹皇子《いんおうじ》
…………布王の第三皇子。骨皇子と前々から対立するもう一人の野心家。逆乱鎮圧隊の長である。
梶原吉忠《かじわらよしただ》
…………大雄党の信者。布王に反旗を覆し五年前に逆乱を起こす。
翼皇子《よくおうじ》/翼《よく》
…………布王の第一皇子。父を殺そうと逆乱を起こす野心家。潘皇子を手下にしようと目論む…。後に逆乱に失敗し配流になる。
布王《ぬおう》
…………日本の国王。皇子らの熾烈な争いに呆れる日々。朝鮮との接触を密かに繰り返し朝鮮に逃げようと画作する。
知念今久《ちねんいまひさ》
…………朝廷の若官僚。布王に徹底的に仕える。影で潘皇子に仕える。。。
浜由利氏勝《はまよしりうじかつ》
…………軍事隊長。布王を支える若武士である。知念今久の友人。
- Re: 巡り ( No.2 )
- 日時: 2020/03/12 12:01
- 名前: 公爵 (ID: lBubOowT)
一端が折れた軍刀を捨てて潘皇子は拳を力強く握り締め吉忠の腹を思いっきり殴り判白城の城壁に突き飛ばした…。
『わ、わ、私は何を見ているのだ…一体…私は何を見ているのだ…』
白満は目を擦って吉忠の様子を二度見して確認した…白馬に跨りそこから立ち去る潘皇子の背後姿…白満はその姿を見て黙考する。
白満は真面に動けぬ吉忠を生け捕りにしてたった一人で帰城した…。布王は吉忠が持っていた『死神将軍』という渾名を白満に授けた。しかし大雄党の残党により吉忠は脱獄するのであった…。
『王様。どうか私の口述を信じて下さい…。第二皇子は怪力の持ち主です…このまま王宮闕で過して頂くわけにはいきませぬ。どうか第二皇子に別居令をお下し下さいませ。』
『潘が怪力を持っている証拠でもあるのか?まさか…梶原吉忠を倒したのは…其方ではなく潘であったのか?』
『…』
白満は布王の質問に答えられず固まっていた…。布王は王刃を抜き白満の雁首に矛先を向けた…。
『答えるのだ。第二皇子の潘が怪力を使って梶原吉忠を倒したのか!答えよ!』
- Re: 巡り ( No.3 )
- 日時: 2020/03/12 12:02
- 名前: 公爵 (ID: lBubOowT)
白満は言い渋り無言を貫いていた…布王はそれに憤懣し王刃を振り降ろそうとした瞬刻…白満はついに口を開けて宣った。
『はい。私は功勲を詐り王様より高級席(高い序列席)を頂きました…。梶原吉忠は第二皇子の栄螺殻によって倒れましたのです。決して私の軍刀によって倒れたのではありません…王様。どうかこの愚かな私をお許し下さい…。』
布王は大きな溜息を吐き刀を下ろした…
『軍事隊長はそこへ控えておるか!白満を今すぐ投獄するのだ!』
布王の言葉で軍事隊長・浜由利氏勝《はまよしりうじかつ》は白満を連れて行った…。
白満が連れて行かれた瞬間…布王は背中から倒れて泣き笑った…。
『余はもう既に疲れた…王妃…天の国は楽しいのか?楽しいならば余もそこに行きたい…』
ー翌日ー
布王は群臣らを前にして下命書を読み進めた。
『昨夜、第二皇子と領崖俗《りょうがいそく》(高級職位)は謀反を謀ったと密告があった。故に第二皇子を天満山《てんまんざん》へ…領崖俗を明月島《みょうがとう》へ其々配流とする。』
布王は下命書を閉じた…。
第一話『怪力を持った皇子』終
- Re: 巡り ( No.4 )
- 日時: 2020/03/12 12:02
- 名前: 公爵 (ID: lBubOowT)
第二話『始まり』
ー五年後ー
布王が眠るその寝室に跫音が響く………。布王は何かを感じ王刀を抜刀し構える。気配のする方に刀を強く握り締め音を殺して近づいていく…すると背後に黒い覆いを顔に被った細身の男が刀を自らの雁首に向けている事に気付いた。
『父上………何故私を追放したのですか…私は悪い事しておりません。決して望んで怪力を持った訳ではないのです!』
潘は黒い覆いを片手で外して荒れ狂った様子で布王に言った…
『潘よ…許してくれ…どうか…許すしてくれ…仕方なかったのだ…私はお前を追放する他方法はなかったのだ…怪力のお前がこの宮闕が住んでいたら誰もが王室を案ずるであろう…余と其方は別居したのだ…』
布王は王刀を自ら手放し必至に泣きながら命乞いした。。。
『私はこの復讐の為に準備して来たのです…ここで父上を殺さない訳には行きませぬ…』
潘は刀を思いっきり布王に向かって振り下ろす…
- Re: 巡り ( No.5 )
- 日時: 2020/03/12 12:03
- 名前: 公爵 (ID: lBubOowT)
その瞬間…布王は目覚め…周りを見渡す…夢であったと気づいた様子。浜由利氏勝は心配して急ぎ布王の元に駆け寄る。
『王様。不吉な夢でお見になられておられたのですか?長い間魘《うな》されておいででした…。』
『冷たい水を持って来てくれぬか?』
布王は汗を拭い氏勝から渡された水を飲む。短い間に数十合のバケツの様なものに入った水を飲み終えてしまう。
『王様…今日は潘皇子の様子を見に行って参ります、、、。』
ー天満山ー
そこには狼の首の部分を握り…絞め殺す潘皇子の姿があった。
『この狼の肉は…抜群だなぁ…麓のジジイのところに持っていってやったら喜ぶだろうなぁ…』
見ていた知念今久と浜由利氏勝が潘を見る目は決して人が人間を見る目ではなかった。。。
『おい…軍事隊長…誠に…あれが…皇子様なのか?誠に…宮闕で過ごしていた皇子様なのか?信じられない…狼の肉を食うなど……野人じゃあるまいし…。』
『知念…聞こえたらどうするんだよ…俺らも狼の様に一掴みで絞め殺されるかもしれないぞ…』
二人が冗談気に話していると潘皇子は二人を鋭く睨み…狼を吐き出し立ち上がる…少しずつ二人に近づいてくる潘皇子を二人は恐れ後退りをする。すると…潘皇子は二人に向かって口を開けた。
- Re: 巡り ( No.6 )
- 日時: 2020/03/12 12:03
- 名前: 公爵 (ID: lBubOowT)
『お二人方は御役人さんか?俺になんか用か?俺に会いに行けと王命でも下ったのか?』
潘皇子は口には発していないがが面貌は『行かない』と語っている…。それを察した二人は大人しく離れ後を去ろうとして潘皇子に背中を向けた時…後ろからバッタンッと大きな音がした。
ふと二人が後ろを振り向くと…一発殴っただけで縦にも横にも長い太い木を倒す潘皇子の姿があった。。。
『誠にあれが人間なのだろうか…誠に…あれが………人間なのだろうか……………。』
ー宮闕 華庭園ー
第一皇子の翼と布王が盤上遊戯を行っていた…。翼は飛車駒で布王の歩駒を取る。
『どうした…?この歩駒を取ればこの角駒に取られてしまう…。何故だ…?』
すると布王は飛車駒を角駒で取る…次の瞬間布王の角は歩駒に囲まれている事に気づく…。
『一人の歩兵の犠牲で敵の将軍を倒せるのです。犠牲なくば勝利は掴めぬ…それが戦いなのです…。』
『我が息子の戦略はすごいなぁ』と布王は翼の戦略に思わず手を叩き笑った
ー五年前ー
同じ庭園で布王と潘皇子は盤上遊戯を行っていた…。その時潘皇子は父・布王に言った。
『父上。戦は只々どうやったら勝てるかを考えるのではなく…どうやったら軍兵の犠牲を減らし勝てるかを考えるのです。』
潘との思い出が布王の頭の中を遮った…。
『翼よ…今回は其方の勝ちで良い故休ませてくれぬか?』
『分かりました父上。ゆっくり休んで下さい。』
第二話『始まり』終
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