複雑・ファジー小説

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器用貧乏の異世界探訪録(仮題)
日時: 2022/06/21 09:23
名前: 鳴門海峡 (ID: dAt4xoZB)

はじめまして、鳴門海峡と申します。
不定期更新の上、遅筆ですが、ゆくゆくは定期更新を目指していきたいと思っています。
お付き合いのほど、よろしくお願い致します。

リク依頼・相談掲示板にてキャラ募集行ってます。
よろしければ。

Re: 器用貧乏の異世界探訪録(仮題) ( No.1 )
日時: 2022/06/21 09:26
名前: 鳴門海峡 (ID: dAt4xoZB)

序幕

ざぶん、と水に落ちた音がする。目を開くと、たゆたう水面の向こうに光が見える。彼は、暗い水底に沈んでしまう前に、水面を目指し泳ぎ始めた。しかしどうしたことだろう。泳げども泳げども水面にたどり着かない。だんだんと息が続かなくなり、必死に水面に手を伸ばす。その水面もついに霞み、目を閉じた彼はまた、闇に呑まれるかに思われた。

刹那、水面を割り伸びてきた手が彼の手を掴み、彼の姿は、その向こうに消えた。

Re: 器用貧乏の異世界探訪録(仮題) ( No.2 )
日時: 2022/06/21 09:36
名前: 鳴門海峡 (ID: dAt4xoZB)

ぽた、ぽた、ぽた、と額に水が垂らされるのを、暗闇の中で感じた。
男───安藤夏樹はそっと目を開く。そこには、たくさんの簡素なベットが並び、その間を修道服の人々が忙しそうに歩きまわっていた。彼は慎重に起き上がる。衣服の乱れなし、体に痛みなし、財布とスマホは……なし、と頭の中のチェックリストにチェックを付けていき、頭の回転を確認するため、素数を97まで数えたところで、
「あれ、 起きたんすか?」
 不意にかけられた声に思考を中断する。振り返ると、そこにはタライを抱えた少女が立っていた。歳は10代後半といったところだろうか。腰辺りまでの髪を2つに束ねており、その瞳は好奇満面である。何者なのかは分からなかったが、ともあれ、何も返さないわけにもいかず、
「はあ、どうも、おはようございます。起きて早々なんですけど、ここは?」
 彼は挨拶と質問を一緒に投げかけた。少女はベットの脇のテーブルにタライを置き、中のタオルを絞る。
「ここは救貧院。漂流者ギルドの隣の建物ッスよ、安藤先輩」
 少女の言葉に安藤は目を丸くする。ヒョウリュウシャギルド、という聞き慣れない言葉にも驚いたが、なにより、
「……なんで俺の名前知ってんだ。知り合いだったなら謝るけど」
 目を丸くし、そして悲しそうに眉を寄せ、少女は頬を膨らませる。
「そんなぁっ!? あたしのこと忘れちゃうなんてひどいッスよぉっ! 先輩ぃぃ!!」
 やけに芝居がかっている。安藤は胡乱な目で、
「……マジで会ったことあんのか? 俺たち。俺、わりと顔覚え良い方なんだが」
 と、再度問う。その瞬間、少女は吹き出し、げらげらと笑いだした。
「あはははははは、ちょっ、そ、 そんなマジになんないでくださいよぉ先輩ぃ!初対面でそのキメ顔、う、ふふ、 あーはっはっはっは」
「やっぱ初対面かよ! どっから出てくんだ、その気安さは」
 憤慨する安藤に少女は涙を拭きながら詫びる。
「あはは、すいません。同じ漂流者と会うのだいぶ久しぶりで。からかいたくなっちゃったんすよ」
 存外に素直に謝られ、安藤は仕方なく矛を納めることにした。
「言いたいことありすぎてまとまらねえよ……」
「じゃあ、道すがら聞いてあげるッス」
 絞ったタオルを差し出す少女。受け取りながら、
「道すがら?」
 と、聞き返す安藤。
「はい。まずは預かってる荷物を返すのでついてきてくださいッス」
 にっこり笑う少女に安藤は苦笑いを浮かべる。つまり、目の前の少女は俺の身分証を見たのだろう。だから名前を知っていた。身元不明者への対応としては間違っては……恐らくないのだろうが、こうして何事もなく目覚めた身としては、なんとも居心地が悪い。安藤は、心の中でそうひとりごちるとため息をつき言う。
「他に選択肢もなさそうだし、わかった。よろしく頼む……えっと……君、名前は?」
 はっとする少女。
「あっ、そうすね。今更ッスけど、あたしの名前は篝梓かがりあずさッス。……特別に『アズ』って呼んでも良いッスよ」
 そう言うと、少女、改め、篝は悪戯っぽくウインクをした。


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