複雑・ファジー小説
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- ボクらの病気は治らない。
- 日時: 2023/08/08 15:24
- 名前: sumo (ID: 2cE7k4GX)
自分の趣味で適当に上げているものです。
文の構成が変であっても許してください。
読者様からのコメントも取り入れたいので、
感想ください(*´꒳`*)待ってますっ
- Re: ボクらの病気は治らない。 ( No.1 )
- 日時: 2023/07/22 12:33
- 名前: sumo (ID: 8kWkLzD1)
「ましろくーん、朝ですよー」
カーテンが開いて、窓の隙間からそよそよと風が入ってきた。
差しこんでくる光が眩しくて、目を開けた。
「おっはようございまーす。今日も暑いですねー」
そのまま目覚めなくても良かったのに~、と
患者の目の前でにこやかに囁く看護士は、偽物だ。
外見は他の看護師と同じで、桃色のワンピース、白い帽子をまとい、銀色のワゴンを押して歩く。
[杉本 幸]と名前のタグには記載されているのだが、れっきとした人外だ。
「ほらほら起きてー朝ですよー」
看護士(偽)は布団を無理矢理剥がして、大声で朝の挨拶をする。
「おっはよーございまーす!」
寝床から起き上がり、顔を洗って歯を磨いていると、
看護士(偽)は、ワゴンを運んできて、机に朝食を置き始めた。
ご丁寧に、わざわざバターが入ったカップを開けて、ロールパンの上にこれでもかという量をたっぷり塗りつけた。
そして、ポットに入ったお茶をマグカップに勢いよく注いで、「さー準備できましたよぉ」と妖しく微笑むのだ。
机にはさっき勢い良く注いだ時に飛び跳ねたお茶と、お皿にはバターでベタベタのパン。
本人は"患者に優しい働き者の看護師"を演じたいようだが、不器用すぎて成り立っていない。
不器用な看護士(偽)は「早く食べないとバターが冷めますよ」と意味不明な日本語で急かしてくる。
いただきます、
バターでベタベタのロールパンにかぶりついた。
「行儀の悪いくそやろうですね、ちゃんとちぎって食べるんですよー」
看護士とは思えないフレーズで注意するので、腹が立った。
「オマエの方がくそ野郎だと思う。バターでベッタベタのパンをどうやって食べろって言うんだよ」
「いやぁ、バターたっぷりで不健康にしてちょっとでも寿命が縮めばなぁ、と思って。」
看護士(偽)は(褒めてないのに)てへへ、と照れて、ニタァと笑った。
彼女は死神だ。
"ましろ"の寿命を縮めるのに毎日必死なご様子。
そんなことしなくてもいずれ死ぬのだと毎回言っているのに、本当せっかちで学習しないバカな死神。
そんな彼女にあきれて、「はぁ」とため息をついたことも知らず、お気楽そうにヤツは言う。
「じゃ、頑張って食べてね、言っとくけど残したらダメだからね。」
気分が悪くなったら言ってね、あの世に送ってあげるから、と手を振って、
死神はそそくさとその場を立ち去った。
“ましろ”は彼女が居なくなった静かで平穏な病室で、
マグカップに入った生ぬるいお茶を飲み干した。
そのすぐ後だろうか。
「失礼します」
透き通ったような綺麗な声が、廊下に響いた。
- Re: ボクらの病気は治らない。 ( No.2 )
- 日時: 2023/07/20 21:24
- 名前: sumo (ID: 2cE7k4GX)
静かに開いたドアの隙から、見知らぬ少女が顔を覗かせた。
「え…」
顔をしかめて少女を見ると、少女も顔をしかめてぎょっとした。
驚いた様子だった。
「あっ...。ごめんなさい..」
ドアの隙間から覗く少女の目は透き通っていて、
髪の毛が窓から差し込む太陽の光に反射し、キラキラと光っていて綺麗なだった。
キラキラ輝くので眩しくて目を細めてしまった。
最初は部屋を間違えてしまったのかと思っていたが、そうではないようなのだ。
少女が「あ、、し、失礼しましたー」と扉を閉めようとすると、間もなく「こはるちゃーーん」という声が聞こえた。
遠くの方から看護師が誰かを呼んでいる。
その声に気がついた少女は目を見開いて、慌てて部屋の中に足を踏み入れると、そのまま扉をぴしゃりとしめた。
「え」
なぜこちら側に入ってくるのか理解できず、真白はぽかんとした。
「え、え、え」
すたすたと静かに近くまで寄ってきて、いきなり視界から外れた。
「ああのやっぱり、すみませんが、入れてください。」
「」
声のした方へ目線を動かし、下を見ると少女が頭を床につけて、綺麗にぺたんと土下座をしていた。
「えええな何でですか、てか誰ですか」
いきなりの出来事にパニック状態の真白は後ずさりした。
「107号室の二神(ふたがみ)です。」
少女はぺたんと座ったまま丁寧にお辞儀をした。
「よろしくおねがいします」
少女は立ち上がると辺りをキョロキョロ見渡した。
いきなりの乱入者に、困惑の顔を浮かべて「何しに来たの」と聞くと、
少女はくるりと顔をこちらに向けた。「えと..秘密..です。」
「は?」
「...あなたに言う必要ないです」
少女は急に強きになってふいと顔をそらした。
「はぁ..?」
扉の外の廊下では、まだ看護師が誰かを呼んでいる。
「こはるちゃーん」「出てきてー」と。
(..もしかして)
- Re: ボクらの病気は治らない。 ( No.3 )
- 日時: 2023/07/22 12:33
- 名前: sumo (ID: 8kWkLzD1)
「..下の名前は?」
二神と名乗る少女に、真白は尋ねた。
「え?」少女は顔をしかめた。
「下の名前なんて言うのか、教えて」
「..こはる..です。」
困惑した表情を見せながら、少女は正直に答えた。
やっぱりだ。
看護士はこいつを探してる。
「外で、さっきからこはるちゃんって何回も呼んでたよ」
「知ってます」少女はそっけなく答えた。
「え、じゃあ」「あなたは?」
少女が真白の質問に被せてきた。
「え?」
「あなたの名前を教えてください」
「え、あ、ましろですけど」
ふぅんと言って少女は真白をじろじろと見た。
「へぇ、確かに。まっしろ」少女は笑った。
「は?」
「肌。真っ白だから、ましろ。」ずっと無表情だった少女はくすくす笑った。
全く冷めてしまう冗談に苦笑いすると、さっきよりも勢いよくドアが開き、またあいつがやってきた。
「どーもー生きてるかな?あははやっほー」
死神は異常なテンションでひょっこり顔を出した。
「あ、なんか一人増えてるー。あ、彼女..」「違う」
「誰ですか、ご友人?」少女は真白に聞いた。
「こんなやつがご友人なわけな..」「おともだちだよねー」
ねーと言いながら死神ははたきで乱暴に窓を叩き始める。
「割れるよ」
- Re: ボクらの病気は治らない。 ( No.4 )
- 日時: 2023/07/22 12:35
- 名前: sumo (ID: 8kWkLzD1)
死神の偽オーラは隠しきれないようで、
少女は興味津々な様子ではたきで窓を破壊寸前の死神に近づいた。
「おばさん誰ですか?」
今まで敬語だったわりには急に失礼だな、と苦笑したが、いいざまだ。
死神の顔が歪んだ。
「はぁ゛ぁ゛ぁ?」
どうやら、地雷を踏んだようなのだ。
「あたしがおばさんなわけないでしょ?どこからどう見ても看護師のお姉さんじゃない!あもしかしていいまちがえちゃった?そぅだよねぇ?間違えちゃったんだね?それともおめめが悪いのかなぁ?そーなんだねぇ?そゆことにしといてあげるねぇ?」死神は一息でねちねちと少女に向かって言い返した。
死神はものすごい迫力で少女を睨み上げるが、少女の無表情は変わらず、ケロッとしていた。
「看護士の人か。ごめんなさい。私、目はいい方ですけど」
どうやらこの2人は相性抜群なようだ。
「看護士…へぇ、本当かなぁ」
どうやら、勘が鋭いのかなんなのか、少女は死神のことを疑っているようだ。
「..てかさぁ。何でここにいるの?帰ってくんない?」真白は少女をぎろりと睨んでみた。
が、
「嫌です。」
少女は一向に自室に戻る気が無いようだ。
ふざけんな、と内心思った。
理由もないのに勝手に入ってくるとか犯罪者の思考だろ。
「嫌って、どうゆう....」聞こうと思ったら、大きな声が響いた。
「こはるちゃーーーん?どこに居るのー?」
「サボってんのバレる」死神が焦った様子で顔をしかめる。
それは置いといて。
「そろそろ行った方がいいんじゃない?」コハルに近づくと、
「ほっといてください。」とそっけなく言った。
「あっそ..」
「それと」コハルはましろの手を掴んだ。
「え」
ましろの手を引っ張りながら、扉に近づいて「ここ、押さえてください」と言うのだ。
「なんで」
「なんでもいいので。それと」
コハルは側にあったブランケットをかぶって、ベットの下の隙間に小さい体を忍ばせた。
まるでかくれんぼのように、目をぎゅっとつぶって。
「私がここに居ることは誰にも言わないでください。絶対に」
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