二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜
日時: 2020/05/17 00:38
名前: 紅茶 (ID: 6Q1uGoC5)

はじめまして紅茶です

本作品はゲームダンガンロンパのオリジナル小説です。

この小説の舞台は希望ヶ峰学園ならぬ勝ち組ヶ丘学園です。
本作に原作のキャラクターを登場させるつもりはありませんが、紅茶の都合の勝手で出てくる可能性がありますがお許しください。

ストーリーに関してはまだまだわかりにくり部分があります(特に学級裁判です)。修正したら良い場所などコメントしてくださると嬉しいです。

ストーリー中に登場する落ち武者というキャラクターは原作で言うモノクマです。本作にモノクマが出てくることはありません。

小説は不定期更新です、遅くなったりすることはあると思います。どうかご理解ください。


episode1 士導瑠香編

登場人物紹介 >>2
prologue 〜旅立ち〜 >>1 >>7
chapter1 アンラッキーリフレイン >>8-17
chapter2 超高校級のドM伝説に栄光あれ! >>18-30
chapter3 精神暗転 >>31-41
chapter4 落ち武者式ソナタ第36楽章〜敗北 >>42-50 >>53-56
chapter5 負け組に咲く悲しみの花 >>57-68
chapter6 絆の旋律と負の不協和音の調べ >>69-78

番外編
一話>>80 二話>>81 三話>>82 四話 >>83


episode0 士導静流編

prologue 「ようこそ勝ち組ヶ丘学園」>>85-87 >>91-92
登場人物紹介 >>88-90
chapter1 ほうき星のように闇に消えて >>93-96 >>98-105 >>107-108
chapter2 負け組より生まれた漆黒の怨念 >>109-116 >>117-125
chapter3 人類史上最もロマンなのは絶対的絶望ではなく絶対的爆発 >>126-134 >>135-139
chapter4 絶望の深淵 >>140-154
chapter5 死と恋のバラード >>155-170

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Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 ( No.142 )
日時: 2020/03/14 04:02
名前: 紅茶 ◆VvOwwpM9GA (ID: 6Q1uGoC5)

コロシアイ学園生活残り18日



ピンポンパンポーン
「お前たちグッモーニン!朝が来ました。目覚めの時間ですよ。それと本日はお前たちに素敵なプレゼントを用意していますので、用意ができ次第食堂に集まってください」

ー食堂ー
「士導君が来ましたね。やっと全員揃いましたか。それでは発表します」
そう言って落ち武者はテーブルクロスを引っ張るとそこには俺たちの数分のスマートフォンが置かれていた。
「スマートフォン?」
「ただのスマートフォンではありません。一度しか使えないスマートフォンです。生き残っているお前たち全員分用意していますので一つずつ手に取ってください。それでは使い方の説明を」
と落ち武者が言い出した瞬間に食堂に愉快な効果音が響く。それと同時に俺の持っているスマートフォンが振動しだした。
俺が画面を確認すると「差出人 清水華狗也」と書かれたメッセージを一件受信していた。内容はおはようと一言書かれただけだった。それをのぞき込むようにして華狗也は頷く。
「なるほど。一度きりと言っても送信するのが一回ってだけでスマートフォン自体まだ使えるところを見るに受信は何回でも可能みたいだね。それに、最初の画面で差出人の名前が出てきたけどそれ以降は一切表示されないみたいだね。つまり、持っている本人は最初の画面で差出人を確認できるけど、他の人は送信先の人間を確認できないと」
「清水君。我の説明を横取りしないでいただけますか」
「いやぁ悪いね。こういうのって実際使ってみるのが一番分かりやすいと思うんだよね。で、これからが本題なんだよね?君が理由も無しにプレゼントをするわけないはずだからさ」
「清水君の予想通りに物事が進むことが少々不本意ですが、お前たちにもう一つ発表です。次の動機ですが、残り16日の夜までにコロシアイが起きなかった場合、残り日数のカウントを15日減らすことにします!」
「!?」
「何ですかその顔は?お前たち忘れていたとは言わせませんよ。この学園生活のもう一つのルールをね」
この学園生活もう一つのルール。俺たちの中にいる内通者をカウントが終わるまでに見つけ出さなければ全員処刑される。俺たちの脳から抹消されていた内通者の存在が再び現れる。しかし、以前から考えていたことではあるが、内通者を見つけたとしてもこのコロシアイは終わらない。だとしたらその内通者が殺されている場合はどうなるんだ。内通者が自らの手で殺人を犯すとは考えにくい。ただ、今までのコロシアイでその内通者が被害者になっている可能性も完全にないとは言えないはずだ。それをわざわざこのタイミングで動機にするってことは何か裏があるとしか思えない。
「お前たち安心してくださいよ。内通者はまだ生きています」
俺の推理を根底から覆すような落ち武者の発言に俺はもて遊ばれた気分になる。
しばらくして落ち武者が食堂から出ていき、俺たちだけの空間になると司翼が初めに口を開いた。
「今回の動機はどうするんだ?俺はコロシアイをする気はないが、今まで通りだとこのままでは全員処刑になるぞ」
「どういうこと?内通者を見つけ出せばコロシアイは終わるんじゃないの?」
「ルールをもう一度確認してみなよ。確かに期限以内に内通者を見つけなければ全員処刑だけど、内通者を見つけたからと言ってコロシアイは終わらないんだ。結局今回の動機はコロシアイが起きなければ内通者のルールで全員処刑、内通者を見つけたとしても学園生活の期限が来てどっちみちアウト。つまり、俺たちは絶対コロシアイをしないといけない状況を強いられてるんだ」
俺も薄々感じていたことではあったが、全て司翼の言う通りだ。
「司翼君の言う通りなのは間違いないよ。ただ、今すぐに話し合っても僕らの混乱している今の頭じゃ良い答えは出ないと思うんだ。タイムリミットまではまだ時間があるわけだし、しっかり一日考えて明日の朝もう一度食堂に集まってそこで話し合おうよ」
「そうだね」

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 ( No.143 )
日時: 2020/03/17 05:56
名前: 紅茶 ◆VvOwwpM9GA (ID: 6Q1uGoC5)

俺たちの誰かがコロシアイを起こすとは考えられない、と思いたい。しかし、コロシアイが起きなければ俺たち全員が処刑されてしまう。華狗也は一日考えようと言ったけど、たかが一日で俺たち全員が納得できる方法を用意できるとは思えない。ゲームが終わらない限り…。
自室に戻ってからベッドの上でずっと天井ばかり見ている。何かしようにも体に力が湧いてこない。聞こえるのは俺の呼吸音と時計の音だけだ。完璧な防音のせいで外の音も一切聞こえない閉鎖的な空間がさらに俺を苦しめる。
俺たち全員の命がかかってるんだ。何もしないのはわけにはいかない。ただ、考える脳が今は活動を停止している。
「お茶でも飲みに行こう」
誰も聞いていない部屋で俺は呟くとドアを開けた。
「士導君?どうしたの?」

「そっか。士導君も悩んでたんだ。ちょっと安心するな」
「安心する?」
部屋を出た後、図川と共に食堂でお茶を飲んでいた。
「士導君ってさ、僕らを引っ張ってくれるリーダーみたいとずっと思ってたんだよ。だって士導君が学級裁判にいなかったら僕らはもうここにはいないと思うんだ。僕は同じ勝ち組ヶ丘学園の生徒として士導君を尊敬しているんだ」
思わぬ言葉に赤面してしまう。俺は自己紹介の時に語ったように普通の学生だ。他のみんなと違って今のところ超高校級の才能すらない。
「だから、今回も士導君ならなんとかしてくれんじゃないかと思ってたけど、そう考えてしまう自分が嫌だったんだ。士導君も同じように悩んでるのを見て、士導君でも悩むんだと安心したけど、それじゃやっぱり駄目なんだね。士導君僕らはどうすれば助かるんだろう。一緒に考えない?」
「俺なんか頼られる存在じゃないよ。だけど、今のところは俺も何も思いついてないんだよな」
「実はね。僕ちょっと思ってることがあるんだけど」

俺と図川が出ていった後、黒薔薇は食堂に入り椅子に腰をかけた。別にお茶を飲むわけでも、誰かと待ち合わせをしているわけでもない。ただ、時間をつぶすための場所に食堂を選んだだけだ。
周りから見れば何かを考えているようにも見えるし、気持ちよさそうに寝ているようにも見える。他の生徒たちが必死に考えている中、彼女は偽りの才能である「超高校級のキャプテン」を一切生かそうとしていない。そもそも、彼女にとってコロシアイは大事ではない。別の目的があってコロシアイに参加している。目的は順調に進むはずだった。
彼女は視線を感じて厨房の方に目を向ける。厨房の入り口からこちらを除く彼女の唯一の誤算がある。
「やぁ黒薔薇さん。どう?僕と少しお喋りでもしない?」
黒薔薇は清水が近づいてくるのを見ると席を立ちあがった。勝ち組ヶ丘学園の生徒の記憶は消したのにも関わらず彼女という存在に感づいている。
流石に食堂を出た後もついてくることはなかったが、いつもの笑顔でこちらを扉から覗いている。
清水が何を言おうと関係ない、たかだか一日考えただけであの動機を回避する方法はない。だからこそ、コロシアイは必ず起きる。彼女の目的はコロシアイを続けさせることにある。コロシアイが終わっては都合が悪いのだ。全員が即座に死んでいくのもあまりよろしくはない。

「目障りな勝ち組の芽はここで刈り取っておかなければな」

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 ( No.144 )
日時: 2020/04/01 05:00
名前: 紅茶 ◆VvOwwpM9GA (ID: 6Q1uGoC5)

コロシアイ学園生活残り17日



ピンポンパンポーン
「お前たちグッモーニン!朝が来ました。目覚めの時間ですよ。さて、いつも通り過ごしてもらうのは結構ですが、期限を忘れないでください」



俺たちに与えられた最後の希望。それはこのコロシアイ学園生活の首謀者を見つけ出すこと。昨日、図川が俺に持ち掛けてきた提案がまさにそれだった。
「なるほど。考えたことなかったな。だけど、首謀者を見つけるってのは内通者を見つけ出すことより困難だと思うぞ。そもそも俺たちの中に首謀者がいるのかどうかもわからない。外の人間が首謀者かもしれない」
「だが、私たち全員が助かるにはそれしかないとも言える。まずは私たちの中にそいつがいるのかどうかを考えてみるのはどうだ?」
俺たちは周りを見渡してお互いの顔を見つめ合う。コロシアイ学園生活から抜け出そうと協力してきた俺たちの中に事件の首謀者がいる?そんなことはないはずだ。いや、そういう風に思いたくないだけかもしれない。
「僕の予想だとこの中に首謀者もしくは、首謀者と関わりのある人間のどちらかはいると思うね」
華狗也の一声で一斉に目線の焦点が移動する。
「俺たちの中に首謀者がいる?その根拠はどこにあるってんだ?」
「みんなはこんな言葉を聞いたことはある?”超高校級の負け組”」
「超高校級の負け組?そんな言葉聞いたことないぞ」
「まぁ簡単に言うと世界を壊した張本人たちの総称なんだ。そいつら…」
「ちょっと待てよ。なんだよ世界を壊したって。俺の記憶にはそんなやつら」
「静流君落ち着きなよ。僕らの記憶は落ち武者によって奪われているんだよ。覚えていなくて当然だよ。僕はなぜかその記憶が存在しているけどね。本題はここからだよ。その超高校級の負け組の人間がこの中にいると僕は思ってる。人間と呼ぶのも躊躇ってしまうほどの人道を外れた行為ばかりする超高校級の負け組の人間ならコロシアイ学園生活なんてゲームを仕組んでも可笑しくないと僕は思う」
誰もが聞いたこともない言葉の前に絶句する。そんなバカげた理由に反論したいが、反論する言葉も見当たらない。
みんなが各々思うことがある中に初めに口を開いたのは黒薔薇だった。
「もし、清水の言う通りその超高校級の負け組とやらの仕業として、そいつらをどうやって見つけるんだ?」
「この前人を見たんだ。夜だったからよくは見えなかったけど、あれは僕らの誰かではない誰かだった。コロシアイに参加してないのに学校の中にいるなんて首謀者と関係あるとしか考えられない」
そんな都合の良い話があるわけがない。俺以外もそう思っていただろう。しかし、行動を起こさなければ俺たちは全員死ぬ。バカげた話だけどきっと俺たちは華狗也の話に賭けているんだと思う。
「それで、もしそいつを見つけた場合はどうするんだ?」
「僕もそれがまだ思いついていないんだ」
「こういうのはどうだ。落ち武者が動機として配ったギガントハンマーで見つけ次第殺す」
黒薔薇が怪しい笑顔を見せながら言う。流石の華狗也でも少し引いているように見えるがしばらくして華狗也も頷いた。


俺たちは部屋に戻りギガントハンマーを手に取ると、華狗也の言う通り校舎内を探すことにした。人を殺さなけばならない状況になった時、俺は果たしてハンマーを振れるだろうか。今やってる行為自体も落ち武者の想定内だとしたら俺たちは思惑通りに動かされていることになる。
閑散とした校舎内がいつもよりさらに静かに感じる。自分の鼓動が脈打つ感覚がはっきりとわかるのだ。それはきっと恐怖だと俺は思う。だが、もしうまくいけば外に出られるという期待もあるのかもしれない。
自分の足音だけが聞こえるはずの校舎内を歩いていると少し先から話声が聞こえた。それは華狗也の言う人物ではなく、海土と捕鷹だった。
「何してるんだ?」
「ああ。今から実験しようと思ってな」
「実験?」



ー理科室ー
海土が言うにかけられれば身体が麻痺する液体を作ろうとしているらしい。人を殺すことに抵抗のある俺たちでもそれなら使いやすいのは確かだ。
「けど、そんな液体本当に作れるのか?時間が足りないんじゃ」
「俺を誰だと思ってるんだ?超高校級のマッドサイエンティストだぞ。不可能はない!」
と決め顔で言い切ったその時だった。棚から半分身を乗り出していた瓶が落ち、その衝撃で瓶が割れ、中に入っていた液体が海土を襲った。
「大丈夫か?」
海土は割れた瓶を手に取るとそのラベルを眺めた。
「これだ。俺が探していた薬品は。これを混ぜれば」
その液体は水と混ざり合うことで次第にと変色し黒っぽい色に仕上がった。
「できたぞ。名付けて『パラズン』だ」
「何だそのネーミングセンス」

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 ( No.145 )
日時: 2020/04/02 05:07
名前: 紅茶 ◆VvOwwpM9GA (ID: 6Q1uGoC5)

俺と捕鷹は二手に分かれて全員を呼びに行った。俺が今手に持っている最初の一つは保健室にいる柴白に渡すことにした。保健室にいる柴白には今日の朝のことはもう既に伝えている。『パラズン』を制作した意図もきっと話せば察してくれると思っていたのだが、生憎俺が保健室に着いた時には柴白は眠っていた。俺は『パラズン』が入った瓶と置手紙だけ置いて集合場所の食堂に向かった。

ー食堂ー
俺と捕鷹が『パラズン』についてみんなに一通り説明した後、遅れてきた海土が全員に『パラズン』の入った瓶を渡すと使用上の注意だけ軽く説明した。
「流石は海土君だね。これがあればギガントハンマーなんて物騒なものを持たなくても大丈夫だし、首謀者を生かしたままにできるのも素晴らしい。それで肝心の首謀者の方は誰か手掛かりになるようなものはあった?」
「そっちに関してさっぱりだな。まず私たちの会話を相手が聞いているならのこのこと出てきたりしないと思うが」
「いや隙は必ずあるよ。理由はちょっとここでは言えないけどね。それを聞かれると僕らに勝機はなくなると思ってる。だけど、夜は僕らも寝ないといけないし、交代制にしようか。僕は3日くらいなら寝なくても大丈夫だから僕以外は二時間ごとに二人ずつ交代でいいんじゃないかな」
あまり情報を与えすぎると首謀者も俺たちの動きに合わせてくるかもしれない。そのうえ夜時間帯は人数が減るからこそ首謀者側も動きやすいのだろう。
しかし、変なのは華狗也の方だ。いつもなら自ら動くことはしないはずだ。それなのにここまで具体的な提案をするのは少なくとも俺が知っている華狗也ではない。もはや、みんな後がない状況なだけに華狗也の提案を受け入れているがよく考えてみれば華狗也にそう仕向けられているとしても可笑しくない。華狗也が何を考えているかは今のところ全く理解できないが、きっと何らかの策があるんだろう。華狗也を信じて俺は華狗也の案に乗っかった。
「明日は起き次第食堂に集合でそれまでに見つかったら呼びに行くから鍵は閉めてて大丈夫だけど出てこれるようにはしててほしいな」


夜時間も後半になり俺は食堂の前に向かった。俺の担当の時間は俺以外にも地近とずっと寝ていない華狗也の3人だった。『パラズン』を片手に俺たちは探索場所だけ決めると静かにその場を去った。
保健室の前を通りかかった時にふと柴白のことを思い出し俺は保健室を覗いてみたがそこに柴白の姿はなかった。『パラズン』が入った瓶と置手紙がなくなってるところを見ると自室に帰ったのだろう。確かに首謀者がうろついている校舎内にいるよりかは自室で安静にする方が良いというのはある。
首謀者の姿どころか声すら聞こえない校舎の中で一息つく。俺の中の恐怖と不安を体現しているかのような暗い廊下がそれらをさらに加速させる。しかし、恐怖にも不安にも打ち勝たなければならないことが人生にもあるならそれはきっと今だ。
俺の担当時間が朝のチャイムと同時に終わりを告げる。いつもなら部屋に設置されているモニター越しに見たくもない落ち武者の姿を拝みながら起床する。ある意味平和なチャイムを迎えた俺は約束通り食堂に向かった。
まだチャイムが鳴ってまもなくのせいか俺が一番乗りだった。その後すぐに担当時間が同じだった華狗也と司翼が集まりそれからも人が集まったがいつもより集まりが悪かった。
「夜時間に起きてたからかもしれないけれど今日は集まりが悪いな。来てないのは図川と柴白か。俺呼んで来るよ」
「柴白なら保健室にいるはずだろ。結局昨日だって1日中寝ていたんだし」
「俺がさっき保健室に寄った時はそこにはいなかったんだ。もしかしたら自室に戻ってるのかも」
「じゃあ私が柴白を呼びに行く。お前は図川の方を頼む」
俺は了解とだけ言うと図川を呼びに図川の自室に行くがインターホンを鳴らしても返事がない。試しにドアノブに手を伸ばしてみる。
「!?」
何ら可笑しくないドアノブが回ることに驚愕する。
華狗也の指示では鍵は閉めて良いはずだった。それなのに鍵が開いている?
部屋に少し入ってみるもそこに図川の姿は見当たらない。そこに背後から柴白を呼びに行ったはずの鍵村が現れる。慌てている様子から大体察することができるが。
「柴白がいなかったのか?」
鍵村手を震えさせながら頷く。
「二人を探そう!」
俺と鍵村は食堂にいるみんなに図川と柴白を探すように促した後、各自二人を探すため校舎内を走り回った。しかし、思い当たる場所は探しつくしたがその二人の姿はなかった。後探していない場所と言えば。
「全部探したよな。後は俺たちの自室と浴場くらいか」
「浴場に行こう!」
その場にいた俺と海土と司翼と華狗也の4人で浴場に足を運ぶがそこにも姿はない。が、サウナへ繋がる階段の扉が開いている。俺たちは扉をくぐりサウナへと駆け込んだ。


ピンポンパンポーン
「死体が発見されました!」

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 ( No.146 )
日時: 2020/04/05 02:24
名前: 紅茶 ◆VvOwwpM9GA (ID: 6Q1uGoC5)

ピンポンパンポーン
「死体が発見されました!全員校舎一階浴場のサウナまで集合してください」

落ち武者のアナウンスが俺たちの絶望をさらに加速させる。
サウナを開けた俺たちの目の前に現れたのは図川と柴白の死体だった。お互いが手に持った剣でお互いの身体を刺している。
「嘘…だろ…」
滅多に険しい顔を見せない華狗也でさえも目の前の出来事を受け入れることができないようだ。華狗也は地面に膝をつく。死体を見ても動揺しなかった華狗也がここまで落ち込むのは本当に珍しい。
そういう俺も目の前の出来事を直視できないでいた。昨日までの俺たちは外に出ることができるかもしれないと希望をもっていたはずだった。しかし、少し経てばまた絶望に引きずり戻される。今までもそうだったが、一度希望を抱いただけにその絶望はいつもより強大だった。
「柴白!!」
後からサウナに着いた女子たちがまた先に着いた俺たちと同じような状態になる。その中でも鍵村は柴白の前で崩れ落ち涙を零していた。
「既に死んでいる人間の前で何をしても死人は生き返りませんよ。お前たちが今すべきなのは学級裁判のための捜査なのです」
そう言うと落ち武者はいつものように落ち武者ファイルを配ると、
「では、学級裁判でまたお会いいたしましょう」
それだけ残して煙とともに消えた。
鍵村の泣く声だけが響き渡るサウナ。
仲間が死んだことは何よりも悲しい。できれば寄り添っていたい。だが、その大切な仲間を俺たちの誰かが殺したのならばそいつを放っておくことはできない。今すべきことは事件の解決だ。俺はそう心に決め落ち武者ファイルを開いた。


ザ・落ち武者ファイル4


死者  超高校級の奏者 柴白未瑠
    超高校級のマスコット 図川泰大


死因  二人とも落ち武者ソードによる刺殺


死亡時刻 不明


死亡場所  サウナ




落ち武者ソード?と疑問に思ったが柄を見るなりその疑問は解決された。柄には落ち武者ソートと書かれている。死因が刺殺ならば、おそらく凶器は柴白と図川が手に持っているもの落ち武者ソードで間違いないだろう。それ自体は落ち武者が以前配った殺人用具にあったはずだし入手自体はすぐできるはずだ。


『落ち武者ソード』
今回の事件の凶器となった剣。殺人用具の中にあったことから誰でも入手できる。


俺はより手がかりを求めるために二人の死体に近づき捜査をすることにした。
気になる点と言えば死因は落ち武者ソードによる刺殺なのが確定している割には図川の顔面にはいくつかアザがあることだ。図川は犯人に不意に殺されたわけではなく犯人ともみ合った後剣で刺されたということになる。
さらに、サウナにいるにも関わらずシャツを着ているのも不自然だ。このサウナに来るためには浴場を必ず通らなければならず基本的にはサウナだけ利用することはできない。服を着ている理由は分からないが浴場を利用していたのだろうか。
その服自体も血が付着していることを除いても決して綺麗な状態ではなく、少し黒ずんでいるようにも見える。


『顔面のアザ』
図川の顔面にはアザがある。そのため、犯人ともみ合った可能性がある。

『変色したシャツ』
原因は不明だが、シャツが黒ずんでいるように見える。


一方で柴白にはアザは見当たらない。アザはないが、全体的に傷がある。図川のようにもみあってできた傷でもない。そもそも柴白はなぜサウナに来たんだ?昨日は風邪を引いて一日中保健室にいたはずだしわざわざサウナに来る理由なんてなかったはずだ。誰かに呼ばれた可能性もあるからまだ理由がないは断定できないが。
図川と柴白の死体を見比べると図川は犯人に付けられた傷が多い。一方で柴白の傷は犯人に付けられたものではない可能性が高い。
大体外から見た感じはこんなところか。
「大体は落ち武者ファイルに書かれている通りか。僕なら次は死体の持ち物を確認するけど静流君は?」
「お前に言われなくてもそうするつもりだ」
華狗也の野次を無視して再び図川の死体に近づき今度は屈んで持ち物を確認する。図川のポケットから出てきたのは落ち武者から配布されたスマートフォンだけだった。
中を確認すると受信件数は一件で「今日は危ないから戻りな」とだけ書かれていただけだった。


『図川のスマートフォン』
「今日は危ないから戻りな」と書かれたメッセージを受信していた。


次に女子の身体を触ることに申し訳なさを感じながらポケットに手を入れるとこちらもスマートフォンが出てきただけだった。同じようにしてメッセージを確認するとこっちのスマートフォンも受信件数は一件で「今日は疲れたし一緒に風呂でもどうだ?」と書かれていた。


『柴白のスマートフォン』
「今日は疲れたし一緒に風呂でもどうだ?」と書かれたメッセージを受信していた。


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