二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 艦これ! ~黒い雨と夜明け〜
- 日時: 2016/11/30 19:55
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
【読者の方へ】
とまあ、どうもタクです。今回は、艦これの小説を書くに至りました。
ただ、この小説は他の版で書いているようながっつりとした長編ではなく、作者自身が好きなときに好きなだけ更新できる、をコンセプトにした短編集のようなものにするつもりです。
そして、脳内鎮守府要素が多々あるので、その辺はご了承ください。自分が所持していている艦娘が中心になると思います。
後、作者の元の作品の作風上、コメディ、シリアス、どっちもあるのでお楽しみに。
追記。
イベントの開始に伴い、こちらもイベント路線に変更。
——20XX年、深海より数多の侵略者・深海棲艦が現れた。世界各地の海が蹂躙される中、希望が現れる。それは、かつて大海原を舞台に戦った軍艦の魂を少女という器に宿した、人と似て非なる者、艦娘だった——
- プロローグ ( No.1 )
- 日時: 2016/11/30 19:55
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
20XX年。人類は、突如現れた侵略者・深海棲艦に制海権を奪われた。
軍艦の力を持ち、破壊と殺戮を海で繰り返す彼女達にはあらゆる兵器が通用しない。
物資の輸送経路を絶たれ、文明は既にゆっくりと崩壊していくと思われた——はずだった。
希望が現れたのだ。人類の味方となる希望が。
まるで、絶望の対になるように。
影のあるところには、当たり前のように光があるように。
かつて、大海原を舞台に戦った軍艦の魂を少女の器に宿した、人と似て非なる存在。
その名は——艦娘。
この物語は、そんな艦娘達のそれぞれの生き様を描いた記録譚である——。
***
「——此処にはもう、誰も居ないよ」
「……」
実に酷い有様であった。
そして、彼女の言葉通り、蛻の殻であった。
話に聞いていたブイン基地は、確かに立派なものではなかったかもしれない。
しかし。それは今、完全に原形を留めていなかった。
男は、その様に口を閉ざさざるを得なかった。
「皆、空襲を受けた時に散り散りになった。どこかの鎮守府に保護して貰った艦も居れば、海に沈んだ艦もいる。僕も逃がされて生き残った。僕には、もう力が無かったから」
「で、お前はここで何をしているんだ」
「……僕は……戻ってきた。そして、待っている」
「待っている?」
「ああ」
くるり、とこちらを向いたその”艦”は、どこか寂しそうで儚そうな表情を浮かべた。
「沈んだ皆が——戻ってくるのを待ってる。でも、もしも誰も戻ってこないなら——僕も海に還る」
顔は微笑んでいるように見える。
だが、瞳は昏い。
押し寄せる絶望を耐え忍ぶかのように。
知っているはずだ。
沈んだ艦は戻ってこないということは、彼女が一番わかっているはずだ。
しかし。そうでもしなければ、もう正気を保っていられなかった。
基地の残骸に座り、やせ細った身体でただ一人、待ち続けていたのだ。
彼女には傷がたくさんあった。しかし。空襲によるものではないだろう。
最早、枯れてしまった心の叫びを、今度は自分自身を虐める事で表していた。
しばらく、押し黙っていた男だったが、ふっ、と息を漏らした。
「いや、もう待つ必要はない」
「……?」
きょとん、としたその艦の表情は、少女のそれだった。
男は手を差し伸べる。
司令官も、僚艦も失い、今や只の少女でしかない彼女に、再び艦としての命を吹き込ませるために。
「”探しにいこう”。俺と一緒に——奪われたなら、取り返しに行くんだ。やられっぱなしじゃ、つまらないだろう?」
***
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