二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜
- 日時: 2016/08/05 23:17
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
どもども。今回から書かせていただきます、777mと申します。
この小説は、バハムートラグーンというSFCのゲームの二次創作となります。…といっても、バハムートラグーンって何よ?という方のほうが多いと思うので、軽く説明をさせていただきます。
バハムートラグーンとは、さっきも書いた通り、SFCのゲームです。ジャンルはシミュレーションRPGで、スクウェア(現・スクウェアエニックス)が1996年に発売しました。このゲームの特徴として、ドラゴンの育成システムというものがあります。このゲームのドラゴンは、武器だろうが防具だろうが何でも食べ、そして、与えたエサによって姿やステータスが変わります。実際やってみると面白いですよ。あとは、何と言ってもキャラ1人1人の個性が濃く、見てて笑えたり泣けたりします。そのキャラの中でも、ヒロインは一部で有名になっていますが…(笑)。
と、こんな感じです。この小説について、ご感想やご要望などはご自由にどうぞ(^ ^)
なお、この小説については以下の要素が含まれます。
・4(オリジナル要素):6(原作要素)
・筆者の性格上、1話1話が結構長くなってしまいます。
・原作についての解説をたまにやっていきたいと思います(これからバハムートラグーンをやろうと思う人にとってはネタバレの可能性がありますが悪しからず)。
・荒らしや誹謗中傷は絶対にお控えくださいお願いします。
以上についてご理解いただける方は、この小説をお楽しみくださいませ!
- Re: バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜 ( No.6 )
- 日時: 2016/08/06 11:25
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
第二話 (後編)
ビュウ達は無事に旗艦の甲板へとたどり着いた。
ビュウ「よーし、着いたな」
マテライト「うむ。だが、帝国軍が残っているようじゃ!さっさと蹴散らし、カーナ旗艦を取り戻すのじゃ!!」
オオオオオーーーーー!!!!!反帝国軍の皆が雄叫びをあげる。
帝国兵A「敵接近!!!反乱軍の襲撃だー!!」
帝国兵B「た、大変です司令官!遂に奴らが動き出しました!!」
すると、槍を手に携えたフルフェイスの男が出てきた。
司令官「フッフッフ、心配いらん。何故なら、槍投げ一つでボスの座にのし上がった俺様がいるのだからな!それに、どうせ奴らは烏合の衆…」
と、その時であった。
帝国兵C「し、司令か…グハッ!!」
司令官「何だ!?…だ、誰だお前は!?」
ビュウ「俺か?俺の名は…ビュウ」
司令官「お、お前か!カーナ戦竜隊隊長というのは!ヘッ、ならば俺様自慢の攻撃を喰らえ!スロウランサー!!」
自分の背丈よりも長い槍を一直線に投げる!そしてそれは…
ビュウ「残念だったな」
…見事に避けられたのだった。
司令官「な、何ィーー!い、今まで避けられたことの無かった俺のスロウランサーががが!…!し、しまった!武器が無いィーー!!!」
あまりの予想外な事態に、司令官は酷く慌てふためいていた。
ビュウ「そんなのろい攻撃じゃ、この俺は倒せないぜ?さて、だいぶ隙ができたようだな…これで決めるッ!!フレイムヒットォー!!!」
ゴオオオッ!!!炎を纏った刃が司令官を切り裂く!
司令官「ぐ、ええ……こんな船はくれてやる…!!だが、グランベロス帝国は…滅び…ぬ……グエッ」
ビュウ「…やったか」
マテライト「ふう…敵兵共はあらかた倒し終えたわい…さて、あとは敵の…!おおビュウ!もう敵将を討ち取ったというのか、よくやったぞ!!」
タイチョー「すごいでアリマース!さすがは戦竜隊隊長でアリマス!!」
マテライト「さあみんな!!乗り込もう!!」
こうして、ビュウ達はカーナ旗艦を取り戻すことに成功したのである…
〜カーナ旗艦艦内〜
マテライト「誰かおらんかー!!ワシじゃ!!マテライトじゃ!!」
タイチョー「自分はタイチョーでアリマス!!ただ今到着でアリマス!!」
しかし、艦内はひどく静かだった。
マテライト「誰も出迎えんとは、無礼な!!タイチョー、ワシに続け!」
タイチョー「了解でアリマス!!」
そしてその後ビュウ達がやって来た。
センダック「ああ…ああ…懐かしきワシのカーナ旗艦…。こいつも、まだまだ元気…」
センダックはヨヨの教育係であると同時に、この船の艦長も務めていた。
ビュウ「へー、これがカーナ旗艦の内部…」
ラッシュ「おー、これが俺達の空の城か…ワクワクしてきたぜ!」
ビッケバッケ「そして、僕達の新しい家でもある…そうか、揺れるなぁ…モグモグ…」
トゥルース「ところで隊長、あの扉の奥から人の気配がするのですが…」
ビュウ「…さては」
ラッシュ「おーいビュウ!そろそろブリッジへ行こうぜ!!」
ビュウ「ん、ああ、そうだな。よし、行くぞ!」
?「ちょっと待ちな!」
ビュウ達が行こうとしたその時、謎の声とともに、見慣れない格好の男達が出てきた。
ビュウ「あんたは?」
ホーネット「俺の名はホーネット!この船の新航空士を務める男だ!ところで、お前が反乱軍のリーダーか?」
ビュウ「そうだ。名前はビュウ」
ホーネット「!!ほう…お前が噂の戦竜隊隊長か。なら丁度いい。帝国との戦いで逃げたお前さんの仲間が待ってるぞ」
ビュウ「えっ!?それは本当か!?」
ホーネット「本当だ。俺は嘘はつかん。さあ、ついてきな!!」
トゥルース「意外でした…まさか我々の仲間がここにいたなんて」
ラッシュ「そういやディアナとかフレデリカとかテードには来てなかったから…もしかしたら」
ビッケバッケ「…ここに」
ラッシュ「よし、そうと決まればついていこうぜ!」
ビュウ「ああ。(…トゥルース、お前がさっき言っていた人の気配って…)」
トゥルース「(いや、私が感じたのは…)」
ビュウ達が正面の大扉を開けると…
「どこじゃー!!タイチョー!!」
「マテライトどのー!!狭いでアリマース!!」
入ってすぐの左右の扉の向こうからそれぞれ一つずつ大声が鳴り響いてた。
ビュウ「…あの声の主か?」
トゥルース「そうです…」
ホーネット「おーいお前ら、ついてきな!!」
ビュウ「ああ、分かった」
センダック「おーい…ビュウ。ちょっと待って。わし、相談があるの」
途中でセンダックの呼び声がした。
ビュウ「どうしたセンダック」
センダック「実は…まだなの。…船の新しい名前」
ビュウ「え?この船って名前ついてないのか?」
センダック「いや、ついてたんだけど…この船、帝国に奪われてから何年も経つわ艦長であるワシは覚えていないわで名前はすっかり忘れ去られてしまったの。んで、新しい名前をつけたいんだけれど、わし、そういうの苦手なの…ビュウなら…きっと…かっこいい名前をつけてくれるよね。ヤングゴーゴーなやつをお願い!」
ビュウ「んー…それなら俺に任せた。えーと…………………それじゃ、ファーレンハイト、ってのはどうだ?」
ラッシュ「どういう意味なんだそれ」
ビュウ「意味?特に無いな(笑)(※)」
※…一応補足しておくと、ファーレンハイトは華氏(カ氏とも)の英語読み。まあ、ビュウ達の世界には華氏なんて単語、存在していないと思うので…(笑)
ラッシュ「ええっ?それじゃ、適当、ってことになるのかよ!」
ビュウ「大方そんな感じだな」
ラッシュ「そんなのアリか…」
センダック「ウ〜ン…ビュウ…でも、とってもす・て・き…」
マテライト「ムムム!!ファーレンハイト!!!なかなかイカす名前じゃ!!!」
と、閉じ込められていたはずのマテライトが出てきた。
ホーネット「おーい、何やってんだ!!この上がブリッジだから早くついてきな!!」
ビュウ「お、おう、すっかり忘れてたぜ…」
一方その頃、船のブリッジでは…
フレデリカ「ねえディアナさん。ビュウさん達はまだかしら?」
フレデリカはビュウと同じカーナ出身のプリースト(FFでいうところの白魔導士)で、薬の知識に詳しい。
ホーネット「お待ちかねのようだな。お前達の仲間はちゃんとついてきたぜ。センダック老艦長も一緒だ」
フレデリカ「ええっ!?センダック老師も!?」
ディアナ「みんなー!ビュウが来たよ!!」
同じくカーナ出身のディアナは、噂が好きな女性である。
レーヴェ「おおっ、とうとうみんなの憧れがお出ましだよフルンゼ!」
フルンゼ「そりゃあ嬉しい!僕達のランランランサーも高鳴るなぁ!ヤリヤリ!」
…少し騒がしいこの二人、レーヴェとフルンゼは息の合う槍コンビだが、先述のとおり騒がしいのが問題である。
その時、ビュウがやって来た。
ビュウ「これがブリッジ……!!ディアナ!フレデリカ!フルンゼ!レーヴェ!」
フレデリカ「ビュウ!!待ってたんだよ!!本当に会いたかった……」
ビュウ「俺もだフレデリカ。まさかこんなところで再会を果たせるとは…」
ディアナ「ビュウ!久しぶりだね!遅かったから心配してたよ!」
ビュウ「ディアナも無事で良かった。俺もお前の事を心配してたぜ」
ホーネット「おーいお前達、土産話は後にしてもらおうか!戦いの旅は、これからはじまるんだからな!さぁ、センダック艦長!出撃の合図を…と、その前に…新しい船の名前を決めてきただろうな」
センダック「ああ、それならもちろん。では発表します…。船の名は…」
と、センダックが言おうとした時…
マテライト「うおーい!!待つのじゃ!!ワシを忘れるとは何事じゃ!!」
タイチョー「マテライト殿ー!待ってでアリマース!!そして、このタイチョーも忘れるなでアリマス!!」
旗艦のクルーだと思われる男を持ち上げて、マテライトとタイチョーが出てきた。
ホーネット「おい!!船の中では静かにしてもらおうか!!」
マテライト「ぬわんだとう…おい貴様!ワシを誰だと思っとるか!!ワシはマテライトじゃー!!」
ホーネット「黙りな!!」
怒号を怒号で返され、さらにそれを怒号で返したホーネットは、思いっきりマテライトの顔を拳で殴った。
ゴスッ。そんな生々しい音が、静寂な空間の中で響いた。
ホーネット「…さて、センダック艦長、船の名前の発表を」
何食わぬ顔で話を再会するホーネット。
センダック「…えー…オホン!ゲホゲホ!では、気を取り直して…新しい船の名前は…カーナ旗艦ファーレンハイト!!!!!」
オオーー!!艦内に、歓声が響き渡る。
しかし、タイチョーはあることに気が付いた。
タイチョー「皆さん待つでアリマス!カーナ旗艦…何かが足りんでアリマス!!」
と、タイチョーが言うと…
マテライト「タ…タイチョー…こ…これを頼む…」
先程殴られたマテライトがか細い声で言う。
タイチョー「!こ、これは…マテライト殿ー!!……マテライト殿の思い、受け止めるでアリマス!!行くでアリマス!!」
そして、タイチョーは重たいものでも持っているのだろうか、まるで亀のようにヨロヨロと歩く。
そして、操縦席の上の台座に乗り、重い鎧をつけたまま降りてきた。
他の者達が台座を見上げると…そこには、カーナの国旗が!!
オオーー!!こちらにも歓声があがる。
そして、マテライトが操縦席の隣のテラスに上がる。
マテライト「我が祖国カーナ…。ヨヨ様…。センダック老師!!ビュウ!!いつの日か…もっともっと…沢山の旗を掲げるのじゃ!!タイチョー!!お前の祖国マハールにも必ずや旗を掲げる日が来るぞ!!その日の為にも我らは戦うのじゃ!!戦いは今…始まったばかりなのじゃ!!ワシはマテライトじゃー!!」
こうして、ビュウ達反帝国軍と帝国軍の戦いは今、始まりを告げた。
第二話・目覚めたる臥龍達 完
- Re: バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜 ( No.7 )
- 日時: 2016/08/06 11:32
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
第三話 奪還への進撃(前編)
青い大陸と呼ばれるキャンベル・ラグーン…その理由は、鮮やかな緑色をした草が立ち並ぶ草原と手つかずの森林が、広い範囲に亘って存在するからだ。
ここにはキャンベル王国があり、その国王は故・カーナ王の妹兼ヨヨの叔母である。グランベロス帝国侵攻の際、女王は真っ先に無条件降伏を選んだ。その理由は、後で説明することにしよう。
そんなキャンベルに一つの砦が建ってあった。そこにヨヨは囚われていた。夜…寝ているヨヨのもとに、クロスナイトの帝国将軍・サスァ=パルパレオスが来た。
パルパレオス「眠ったのか…」
そして、水色の髪をした、グランベロス皇帝サウザーも来た。サウザーとパルパレオスはお互いが傭兵時代だった頃からの友人関係であり、身分が変わった今でもその関係は変わっていない。
サウザー「…パルパレオス。やはりここにいたのか。お前も、眠れないのだろう?」
パルパレオス「…ああ」
サウザー「無理もないな……パルパレオスよ。感じるか?夢見た伝説が今、ここにある」
パルパレオス「この青い大陸キャンベルに…」
サウザー「そうだ…。この少女が、最高の夢を…伝説を果たすのだ。…いや、少女と呼んでは失礼だな。ヨヨ王女は…すっかり美しくなられた。…パルパレオスよ、出発の日は近い。ゆっくり休んでおけよ」
パルパレオス「そうだな。お前も、ゆっくり休むのだぞ」
サウザー「ああ。それでは、また明日会おう」
サウザーは砦から去っていく。
パルパレオス「…俺達の夢見た伝説…か」
…………………………
サウザー「パルパレオス…。見ろ、この空を……私達は空を手にした。だが、まだ完全ではない」
パルパレオス「サウザー…」
サウザー「パルパレオスよ、カーナには…ある伝説が伝わっている。覚えているか?」
パルパレオス「…神竜の伝説か?」
サウザー「そうだ。パルパレオスよ、私にできるとは思わんか?伝説の男となることが」
パルパレオス「うむ。お前ならば、きっとできるさ」
サウザー「フッ、そう言ってくれると思ったぞ。そうさ、私は空の全てを手にした男だ。だが、私の前に残された戦いがあるならばそれに挑みたい。そして、勝利を!共に新しき勝利を!いつも私の側にいてくれ、パルパレオス…」
パルパレオス「フッ、言われずとも分かっているさ。全力で、お前を守ってやる」
…………………………
パルパレオス「フッ、サウザーよ…その伝説、ともに叶えようぞ…」
- Re: バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜 ( No.8 )
- 日時: 2016/08/05 08:05
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
第三話 (中編)
所変わって、場所はファーレンハイトのブリッジに移る。
ラッシュ「ビュウ。マテライトが、俺達に戦いの基本とか教えるんだってさ。『並んで、待ってるのじゃ!!』なんて、偉そうに言ってたぜ…」
ビュウ「フッ、マテライトは相変わらずだな。それじゃ、言われたとおりにしてやるか…」
と、タイチョーが出てきた。
タイチョー「皆さん!静かにするでアリマス!!マテライト殿の有り難いお話を黙って聞くでアリマス!!」
タイチョーがそう言うと、ガシャ、ガシャ、と音を立てながらマテライトが重い足取りで歩いてきた。
マテライト「(皆を前にするとさすがに緊張するのう……いかんいかん…練習通りに…)えー、オホン。ワシらの戦いは始まったばかりじゃ!よいか、皆の者!!ワシらはグランベロス帝国に反旗を翻すのじゃぞ!!このオレルスの世界のラグーンを、帝国の支配から解放していくオレルス解放軍なのじゃ!!じゃが…所詮は反乱軍と呼ばれてしまう卑しい身分じゃ…その事を忘れんように、ワシはワシらを解放軍では無く反乱軍と呼ぶのじゃ!!よいか!!皆の者!!今、ワシらに必要なのは、軍隊内の規律と秩序なのじゃ!!ところが…」
と、マテライトは一瞬立ち止まり黙った。そして…
マテライト「全然分かっとらん者がいるようじゃ!!まずは、規律と秩序というものをみっちり教えねばならん!!反乱軍を指揮していくのは…このワシじゃ!!何と言っても…ワシはカーナのマテライトなのだ!!戦いでは、誰もワシにかなわん!!」
ビュウ「(…たのむから、いちいちこっちを見ないでくれ…分かってるんだからさ)」
自分の近くでフフン、とドヤ顔をしまくるマテライトに、ビュウは内心呆れ気味であった。
マテライト「戦いの指揮をとるのがワシならば…カーナの…いや…反乱軍の旗艦ファーレンハイトの艦長は…センダック老師じゃ!!」
半ば強引に連れ出されるセンダック。
センダック「はわわ、服を引っぱらないでマテライト…」
マテライト「で、操縦はそこのお前…えー、誰だったかな?」
ホーネット「…ホーネットだ」
マテライト「おお、そうじゃ!!ホーネットじゃ!!」
ホーネット「ファーレンハイトの出発は俺に伝えてくれ!!目的地も頼むぜ!!」
マテライト「それと、タイチョーは隊長だ!!」
タイチョーは隣で、そうでアリマスと頷いていた。
マテライト「よいか!!!皆の者!!これからは規律と秩序に従って行動するように!!今から、早速訓練じゃ!!ワシの指示に従うのだ!!それでは、いくぞ!!」
…数分後…
マテライト「ガハハ!!ビュウ!!規律と秩序というものがまだ分かっとらんようじゃな!!リーダー気取りか何か知らんが、お前はせいぜい軍の雑用係じゃ!!修業せい!!…タイチョー!ワシは疲れたから、後を頼む!!」
タイチョー「はいでアリマス!!」
ビュウ「………」
よほど落ち込んでいるのだろうか、ビュウはただただ黙っていた。
ラッシュ「…な、なあトゥルース…ビュウから凄まじい程の負のオーラが出てるんだけど…」
トゥルース「困りましたね……隊長、そんなに落ち込まないでくださいよ。誰にだって失敗はありますよ。それに、私達はこれからも隊長を信頼してますから」
ビュウ「トゥルース…ありがとよ。お前にそう言われると嬉しいぜ…」
ビッケバッケ「ささ、アニキ。マテライト団長なんて気にしないで頑張ろうよ。後で僕のお菓子あげるからさ」
ビュウ「…サンキュー、ビッケバッケ」
タイチョー「ビュウ殿ー、大丈夫でアリマスかー?」
ビュウ「ん、ああ。俺は大丈夫だぞタイチョー」
タイチョー「そうでアリマスか。それはよかったでアリマス」
と、センダックの呼ぶ声がした。
センダック「おーいビュウ。わし…打ち明けたいことがあるの …艦長室まで来てくれる?」
ビュウ「ああ、いいぞ。今行くから待っててくれ」
〜艦長室〜
ビュウ「で、用件は何だセンダック?」
センダック「…わし……実は…アレなの……昔っから方向音痴なのよ…だから、どうも目的地というのがさっぱり…ビュウ…頼むよ。ホーネットに目的地と出発の合図をしてやってくれる…?」
ビュウ「なーんだ、そんな事なら別に引き受けてやってもいいぜ?大丈夫、安心しておけ!」
センダック「(!!幸せ…わしは幸せジジイ…)ああ…引き受けてくれるの。やっぱり、ビュウは優しいね。それじゃあ頼むよ。じゃあ、わしはクルー達の給料とか決めなんなきゃなんないからまたね。…ああそうだ。…今日の約束はみんなには内緒にしてね」
ビュウ「OK、センダック。それじゃ。…さて、気分転換に外にでも行ってくるか…」
〜ファーレンハイト艦内入り口〜
扉の前に誰かがいる。見ると、老人の姿をしていた。
ビュウ「あんたは?」
?「うむ。ワシの名は…そうだな…ドラゴン親父と呼んでおくれ。ま、それはともかく、お前さんを待っとったぞ。そして、ドラゴン達もお待ちかねぢゃ。さささ!!こっちへ!!」
ビュウ「う、うわっ!ちょっと待ってくれじーさん!!」
ビュウは腕を掴まれながら外へ連れていかれた。
〜ファーレンハイト甲板〜
ビュウ「あっ、俺のドラゴンだ!ここにいたのか!」
ドラゴン親父「うむ。ワシが手配しておいたのぢゃ。…ではでは!!ドラゴン達の世話の仕方を教えよう…と思ったのぢゃが、ビュウは既に知っておるかな?」
ビュウ「もちろんだ。大体は知っているさ」
ドラゴン親父「そうかそうか。さすが、戦竜隊の隊長を務めていただけのことはあるのう。…なら、お前さんにはこいつを託しても良いかもの…おいで!!」
ドラゴン親父がそう言うと、深い紫色のボディーをした、双頭のドラゴンが現れた。
ビュウ「お?こいつは変わった姿をしているな」
ドラゴン親父「そうぢゃ。こいつは照れ屋さんだけど…お前さんになら心を開くはずぢゃ。それぢゃ!!あとはご自由に!!」
ビュウ「ああ。ありがとなじーさん!…そうだ、名前はどうしようか。それじゃ……よし、来い!ツインヘッド!!」
ツインヘッド「グワウー(……お前が新しいマスター…か?…いや、そうだな。…今後ともよろしく頼むぜ、マスター!!)」
ビュウ「おう。こちらこそよろしく頼むぞ!」
サラマンダー「ピエー(おっ、新入りかい?やったね兄貴!)」
ビュウ「ああ、サラマンダー。と、お前達!ツインヘッドと仲良くしてろよー!」
サラマンダー「ピエー(はーい!かしこまりましたー!)」
アイスドラゴン「ピヤーッ(…了解した)」
モルテン「ピロロロロッ(任せてよ!)」
サンダーホーク「ゴギャーッ(おうッ!!)」
〜ブリッジ〜
ビュウ「よーし、そろそろ行くか。ホーネット!準備のほうはどうだ?」
ホーネット「準備ならもう整ったぞ!!…あ、そういや…まだ目的地を聞いてなかったな。ヨヨ王女はどこにいるんだい?」
ラッシュ「ヨヨ様はキャンベルにいるぜ!!なあ、ビュウ!」
ビュウ「そうだ。確かにヨヨ様はそこにおられる」
ホーネット「よし!!詳しい話は後だな!!いくぜ!!ファーレンハイト発進!!」
こうして、反乱軍の乗るファーレンハイトは、その進路をキャンベルに向けた。王女奪還への進撃は、これより始まったのである…。
- Re: バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜 ( No.9 )
- 日時: 2016/08/05 23:01
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
第三話 (後編)
〜キャンベル・ラグーンのとある森〜
マテライト「さて、皆の者!この先の砦にヨヨ様がおられる!そうじゃな、ビュウよ!」
ビュウ「ああ。しかし見ての通り、この森には帝国の守備隊がいる。まずは何としても、あの連中にどいてもらわなくてはな」
マテライト「そうじゃ。ヨヨ様ー!!マテライトはここですぞー!!…いくぞ皆の者!訓練の成果を見せるのじゃ!いざ、出撃じゃー!!」
ウォオオオオ!!!!反乱軍に気合いの声が入る。
センダック「(青い大陸キャンベル…ここには一体何があるのか…?)」
そして、戦いは始まった。
ラッシュ「うらあ!!サンダーパルスッ!!」
ルキア「喰らいなさい!フレイムタワー!!」
タイチョー「パワー全開でアリマース!アイスブース!!」
アナスタシア「行くわよエカテリーナ!」
小柄なウィザード・アナスタシアと、
エカテリーナ「…ええ、アナスタシア」
金髪のウィザード・エカテリーナが、息を合わせ魔法を唱える!
アナスタシア&エカテリーナ「アイスマジック!!」
反乱軍から巻き起こる技と魔法の嵐が、帝国兵達を呑み込む!!
帝国兵A「ひ、ひぃ!何て強さだ〜」
帝国兵B「こ、ここは後退、後退だー!」
その凄まじさに、帝国兵達は尻込みするばかりであった。
ビュウ「よし、そろそろだな。行け!戦竜達よ!お前達の力、見せてやれ!!」
サラマンダー「ピエー!(了解!!ヘルファイア!!)」
アイスドラゴン「ピヤーッ!(遠方より敵を…狙い撃つ!アイスブレス!!)」
サンダーホーク「ゴギャーッ!(おらァ!喰らいやがれ、エレクトロン!!)」
モルテン「ピロロロロッ(あまり攻撃は得意じゃないけど…噛み付くくらいならできる!)」
ツインヘッド「グヮウー(見せてやる…我が二撃…ヘルファイア&アイスブレス!)」
炎、氷、雷…これら戦竜達の攻撃が入り乱れ、技と魔法の嵐に拍車をかける!!
帝国兵C「ボ、ボスー!このままでは勝てません!撤退しましょう!」
ボス「何ー?て っ た いだと?バカモノー!!グランベロスに忠誠を誓ったなら、命を捨ててでも戦うのだー!よいな!」
帝国兵C「は、はいぃー!!」
ボス「よーし、俺も行くか……!グハッ!な、何だこれは…?」
ビュウ「…フレイムヒットだ」
ボス「ば、馬鹿な…お前はカーナの……こ、こうなれば…グロイエルに…後を託…し……」
ビュウ「ふう、今回も何とか決めたか」
それから間もなくして…守備隊は全滅し、ビュウ達は敵の前線を突破した。そして彼らは、一気に砦へ向けて進軍する。
〜砦前〜
ヨヨのいる砦の前で、鈍く鉄が輝く巨大な刀を携えた一人の大男が鎮座していた。
グロイエル「ムムム…無性に斬りたい、斬りたい!大根が斬りたいぞ…!!……ムッ!あれは反乱軍……ヘヘヘ、こうなりゃ奴らをぶった斬り…ゾンベルド様に報告だ」
と、グロイエルがそうつぶやいたその時。
グロイエル「ククク、早速獲物が近くに来たようだな…」
マテライト「フゥ、敵兵を蹴散らし蹴散らし…とうとうここまで来た。よし!最後に、目の前のあいつを倒さねばな!ヨヨ様ーっ!しばしのご辛抱ですぞー!!うおおおお!!」
グロイエル「ヘヘヘ、来な!そして喰らいな!大根斬り!!」
ガキインッ!!金属と金属がぶつかり合う音がこだました!
マテライト「ぬう…っ!なんというパワーじゃ…しかし!もうワシには時間が無い!ヨヨ様をお救いするためにも、これで決めるのじゃ!敵を砕けい、インスパイアー!!!」
マテライトが放つ破壊の衝撃!それは見事、刀ごと大男の身体を砕く!!
グロイエル「な、何ィ!?グアアアアーー!!」
マテライト「よし!!これで、やっとヨヨ様に会える…」
と、マテライトは安堵したが…
グロイエル「…ク、ククク……残念…だったなァ…ヨヨとかいう小娘なら…皇帝陛下が連れていかれた」
マテライト「…何?今、何と言った?サウザーがヨヨ様を連れて行った、だと?」
マテライトの顔に驚愕がはしる。
グロイエル「そうさ……これで、俺の仕事は終わり………だ」
グロイエルはそう言い残すと、息絶えてしまった。
マテライト「…嘘じゃ!!ワシは信じんぞ!ヨヨ様が…ここにおられないなど!!」
タイチョー「マテライト殿ー!」
マテライト「…タイチョーか……お前は信じられるか?」
タイチョー「何をでアリマスか? 」
マテライト「…そこに、死んでいる男がいるじゃろ。ワシが倒したそいつは…サウザーがヨヨ様を連れて行った、と言いおった」
タイチョー「!!!そ、そんな馬鹿なでアリマス!ヨヨ様はここにはおられないというのでアリマスか!?自分は信じられないでアリマス!!」
マテライト「そうじゃろう!?タイチョー!!今すぐ砦へ行くぞ!!」
〜砦内部〜
マテライトとタイチョーは、大急ぎで砦を走った。
マテライト「ヨヨ様ーっ!カーナ聖王国重装兵団団長のマテライトがお迎えに参りました!!」
タイチョー「マハール王国騎士団団長のタイチョーも一緒でアリマース!」
その頃、ビュウ達も砦へとやって来た。
ビュウ「着いたか…」
センダック「おーい、ビュウ…。ゼェゼェ…わしここで待ってる…」
ルキア「私もここで待ってるわビュウ。センダック老師、張り切りすぎて疲れちゃったみたいだから」
ビュウ「分かった。さあ行くぞ!ラッシュ、トゥルース、ビッケバッケ!」
ラッシュ「おう!」
トゥルース「はい!」
ビッケバッケ「うん!」
〜砦3階〜
ビュウ「ヨヨ様!ビュウが参り……!!」
マテライト「…ビュウ、残念なことじゃ…ヨヨ様はサウザーに連れて行かれてしまったのじゃ…」
ラッシュ「何だと!?何故、サウザーなんかが…」
マテライト「ワシにも分からん!クソッ、帝国め…絶対に許さんぞ!!」
タイチョー「マテライト殿、どうか落ち着くでアリマス……あ、そうでアリマス。ヨヨ様が寝ていたと思われるベッドに、この帝国兵がいたでアリマス」
見ると、その帝国兵は恐怖で顔を歪めていた。
帝国兵「ひ、ひぃ…わ、私はどうなるのでしょう?も、もしかして拷問!?」
よほど怖がっているのだろうか、その兵士はかなりどもっていた。
ビュウ「拷問…か。確かに、その通りだ。敵を知るうえでの逸材が、ここにいるんだからな」
帝国兵「ひっ!いやだー!イタイのやだー!」
まるで子供のような叫び方をする帝国兵。情けない。これが、誇り高いグランベロスの軍人なのか?と、その場にいるビュウ達反乱軍のメンバーは皆、内心でそう思っていた。
タイチョー「拷問とは、よい考えでアリマス!」
マテライト「よーし、ビュウ!ガンガンいけーい!」
ビュウ「よし。…まずは…」
帝国兵「や、やめてください!言います!喋ります!!」
ビュウ「何?それは本当か?」
帝国兵「ほ、本当です!ヨヨ王女はサウザー皇帝が連れて行きました!」
マテライト「それは知っておる!それより、サウザーめは何処へ行きおったんじゃ!」
帝国兵「ず、ず〜っと北にある森です!詳しくは知りませんです!!」
マテライト「詳しく知らないだと?嘘はためにならんぞ…よーし。ビュウよ、そこをどけい。このワシが、じきじきに拷問を見せてやる!」
すると、帝国兵はまた子供みたいな声を張り上げた。
帝国兵「ひっ……ああっ!!いやだー!!!イタイのやだー!!!!」
マテライト「ヌウウ、うるさい奴め…」
と、マテライト達が気を取られていたその時。
ラッシュ「…おい待て!やばいぞ、あいつ逃げやがった!仲間を呼びに行くつもりだ!俺が捕まえてくるぜ!!」
ビュウ「お、おいラッシュ!!…クソッ、俺たちも追うぞ!!」
〜砦1階〜
ビュウ「ラッシュ!!どこだ!!どこに……ラッシュ!」
ラッシュ「す、すまないビュウ…あいつに逃げられちまった」
ビュウ「そうか…… なに、気にすることはないさ。あちらが何か策を仕掛けてくるならば、それを破ればいいしな。よし、それならば早速…。マテライト!!タイチョー!!みんな!もうすぐ敵がこの砦を目掛けてやってくる!今すぐ行くぞ!!」
マテライト「分かった!!」
タイチョー「OKでアリマース!」
ルキア「でもビュウ。きっと、外は敵でいっぱいよ。どうやってそれを突破するの?」
ビュウ「それなら、俺に考えがある。皆、俺の作戦に従ってくれ!そうすれば、今迫り来る危機を乗り切れる!」
マテライト「どうやってじゃ?」
ビュウ「俺が敵の本隊に対してフェイントを仕掛ける。その間に、皆は北の森に向かってくれ。そこに、サウザーとヨヨ様がいるはずだ」
タイチョー「ビュウ!その作戦は危険すぎるでアリマス!万が一ビュウに何かあったら…」
ビュウ「ああ、分かっているさ。でも、俺を信じてくれ!!」
タイチョー「ビュウ……分かったでアリマス!」
ビュウ「よし、敵が近づいて来る前に急いで戦闘準備を整えるんだ!!行くぞ!!」
一方、敵側では…
ゾンベルド「ヘッ、馬鹿な反乱軍どもめ。何を企んでるかは知らんが、このゾンベルド様の棍棒と軍隊でひねり潰してやる!」
帝国兵「し、将軍!敵の襲来です!」
ゾンベルド「何?…なんだ、1人だけじゃないか、下らん。すぐに叩き潰せ!!」
ウォーーーー!!!ゾンベルドの周りにいた帝国兵達が一斉に襲い掛かる。しかし…
ビュウ「フレイムヒット!!」
…それらは全て、炎の刃の前に倒れた。
ゾンベルド「!!成る程…お前が、あのカーナ戦竜隊の隊長か」
ビュウ「…だからどうした」
ゾンベルド「ヘッ、ならばこれは絶好の機会だぜ!クリーンヒット!!」
ドゴオッ!!巨大な棍棒の一振りを、ビュウは紙一重でかわした。そして…
ビュウ「ふう…全く危ないぜ……来い、サラマンダー!!このまま逃げるぞ!!」
ゾンベルド「なっ!?ま、待ちやがれ!!」
サラマンダーに乗るビュウをゾンベルドは慌てて追うが、サラマンダーの速さはそれを上回った。
こうして反乱軍は計画通り、サウザーとヨヨがいる北の森へと向かった。
第三話 奪還への進撃 完
- Re: バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜 ( No.10 )
- 日時: 2016/08/07 09:35
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
第四話 王女と神竜 (前編)
ビュウは、帝国将軍ゾンベルド率いる軍隊を振り払い、サラマンダーで北の森に到着した。森には反乱軍のメンバー全員が来ており、ビュウは安堵していた。
マテライト「おお、ビュウ!無事に帰ってこれたか!!」
ビュウ「ただいま。ふう、正直言って大変だったな…」
タイチョー「みんな心配していたでアリマスが…とりあえずこれで不安が一つ消えたでアリマース!」
マテライト「…それにしてもサウザーめ!こんな不気味な森にヨヨ様を連れこんだというのか!」
…確かにマテライトの言うとおりである。この森…辺りに立ち込める怪しい雰囲気に加え、ほんの少しではあるが瘴気も漂っていた。しかも…
タイチョー「敵が沢山でアリマス!…!!人間じゃないでアリマス!魔物でアリマス!」
魔物。それは、常識では考えられないような異形の者ども。これらの存在が、ここの妖しさを一層引き立てている。
ルキア「どうしてこんな危険なところへ…」
センダック「うーん……あ!思い出した!ここの空気の感じ…カーナのバハムート神殿と同じ!この森には、神竜がいる!」
ビュウ「こんなところに神竜が…?…成る程。サウザーがヨヨ様をここに連れてきた理由が…」
マテライト「ビュウ!!理由など何でもいい!こうしてる間にもヨヨ様が危険にさらされてらっしゃるかもしれないのに……帝国の奴らが何を考えようと関係ない!ワシらはヨヨ様を取り返すんじゃ!!さあ、行くぞ!続くのじゃ!!」
ビュウ「あ、おい待てマテライト!!…ったく、人の話は最後まで聞けっつーの、あの短気ジジイが…」
ビュウは小声で愚痴をもらした。
ルキア「気にしない気にしない」
ルキアは苦笑を交えつつ、ビュウをフォローした。
ルキア「でもビュウ、今度こそヨヨ様に会えるといいけど…」
ビュウ「そうだな」
と、その時、マテライトとタイチョーが大慌てで帰ってきた。
マテライト「ゼェゼェ…」
タイチョー「急ぐでアリマス!敵は手強いでアリマス!」
センダック「!そんなに…?ビュウ、これは気を抜けないよ」
ビュウ「ああ(ヨヨ様…大丈夫だろうか)」
タイチョーの話を聞いて、ヨヨの事で不安に思っていた。と、その矢先!
「キシャーッ!!」
こちらへ、鳥の魔物スカイホークが群れをなして襲来してきた!
ビュウ「チッ!サンダーヒット!!」
飛ぶ鳥を落とす勢い。まさにその言葉通りに、ビュウはスカイホーク達を斬り裂いていき、そして奴らは灰になっていった。
ビュウ「急ぐぞセンダック!モタモタしてると奴らに喰われる!」
センダック「わ、分かったよビュウ」
そして、反乱軍のメンバーは魔物をなぎ倒しながら進んでいく。花の化け物、吸血コウモリ…それらの死体から出るにおいは鼻が曲がるほどの悪臭を放ち、中には体調不良を訴える者まで出てくるほどだった。
そんな彼らの行く手を、1匹の巨大な魔物が阻んだ。獅子、山羊、竜、蛇の複合生物キマイラだ。
マテライト「こ、こやつは何というデカさじゃ…今までのとは比べ物にならんぞ!」
マテライトがそう驚くと、キマイラはいきなり大きな炎を吐いてきた。
ビュウ「!マテライトが危ない!行け、アイスドラゴン!ここは任せたぞ!!」
アイスドラゴン「ピヤーッ!!(…承知!)」
ビュウはとっさにアイスドラゴンを呼び出した。アイスドラゴンの吐くブレスが、キマイラの炎を凍らせる。もしあのときアイスドラゴンが来なければ、自分はどうなっていただろうか。マテライトは、恐怖を感じると同時に、ビュウに助けられたと感謝していた。
ビュウ「みんな!アイスドラゴンが敵を引きつけている間に、俺達は向こうへ逃げるぞ!」
こうして、反乱軍はただ、神竜のいるところを目指し進んだ。
ラッシュ「ビュウ!アイスは大丈夫なのかよ!?」
ビュウ「心配ない。あいつはどの戦竜よりも賢いからな」
ルキア「!!みんな!あれを!」
ルキアが指差す方向を見ると、そこには緑色の巨大な竜が、寝ているかのように伏せた格好をしていた。神竜だ。しかし、彼らがそれ以上に注目するものがあった。彼らが長年追い求めていた、カーナ聖王国王女ヨヨ。そして…グランベロス皇帝サウザーと、それを取り巻く親衛隊らしき者達の姿。
マテライト「ヨヨ様…」
タイチョー「…あれが…皇帝サウザー、でアリマスか…」
ラッシュ「!あいつは…確か、パルパレオス!」
ルキア「…それにしても、遠くにいるというのに、なんという大きさの威圧感……勝てないかも…」
と、ルキアが弱音を吐くと、
マテライト「何じゃと?なーぜ、諦めるのじゃ!勝てないかも?たとえ命尽きるともヨヨ様を取り戻すのがワシらの務めじゃろ!!」
マテライトは声高に反論する。しかし、一変して落ち着いた様子で、
マテライト「…いや、ちょっと待て。センダック老師、何か言っておくことはあるか?」
と、問う。
センダック「…無いことは無い。わし、考えた…。あの日、カーナ最後の日…サウザーはどうして姫を連れて行ったのか?そして今、神竜の前に姫を連れてきている…。それは何のため?」
トゥルース「老師、私にも分かるような気がします…。ヨヨ様は亡きカーナ王のご子息。王様と同じ、ドラグナーの力を持っている…」
センダックの問いに、トゥルースはこう答えた。
ラッシュ「ということは、ヨヨ様も神竜と話すことができる!…だな」
ラッシュは相づちを打ち、トゥルースに続けるように答えた。
センダック「そうだと思う。きっと、サウザーはその力が欲しくてたまらないんだ。あの日、サウザーも神竜の伝説を知っていたから…」
そこにマテライトがフォローを入れる。
マテライト「老師!大丈夫、心配いらんのじゃ!何故なら、ヨヨ様は間も無く我らのもとにお戻りになられるからじゃ!サウザーが何を企もうともう、関係無いんじゃ!さーて、出撃じゃ……老師のウダウダ話が聞きたくなってな、さっきワシは問うたのじゃ…」
センダック「マテライト…」
タイチョー「あっ!待ってでアリマス、マテライト殿ー!何故『続くのじゃ!』と一言…」
猛ダッシュでサウザーのところへ向かうマテライトを追う、タイチョー。
ラッシュ「ヤバイ!おっさん達に先を越されるぜ!」
トゥルース「ラッシュ!!一人じゃ危ないです!!」
ビッケバッケ「トゥルース!君こそ待ってよ〜」
それに続くように、ラッシュ、トゥルース、ビッケバッケが走る。
ビュウ「ち、ちょっと待て!!サウザーはお前達が勝てる相手では…」
ビュウはそう注意を呼びかけるが、既に彼らは行ってしまった。
ビュウ「…あいつらは何て愚かなんだ!!サウザーはかつては歴戦の傭兵と呼ばれていて、一個隊の隊長を務めていた。なのに…あれでは自ら命を投げ捨ててるようなものだ!」
取り返しのつかない状況に、ビュウは激怒していた。
ルキア「落ち着いてビュウ…」
それをなだめるルキア。
センダック「マテライト達は分かっていないよ…。わしが言ってるのはサウザーのこと。姫の力で神竜と話をする、そしてその先は…グランベロス帝国皇帝サウザー。オレルスの支配者サウザー。これ以上の何が望み?」
と、その時であった。ドゴオオオオン!!!!神竜のいる方角から爆発音が響いた!
マテライト「老師ー!!!ドラッグ(回復アイテム)を頼む!!!若造どもが大変じゃ!!!」
センダック「マテライト!!今すぐ行くよ!!」
ビュウ「…言わんこっちゃないぜ!ルキア!急いで行くぞ!!」
ルキア「ええ、分かったわビュウ!!」
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