二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜
- 日時: 2016/08/05 23:17
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
どもども。今回から書かせていただきます、777mと申します。
この小説は、バハムートラグーンというSFCのゲームの二次創作となります。…といっても、バハムートラグーンって何よ?という方のほうが多いと思うので、軽く説明をさせていただきます。
バハムートラグーンとは、さっきも書いた通り、SFCのゲームです。ジャンルはシミュレーションRPGで、スクウェア(現・スクウェアエニックス)が1996年に発売しました。このゲームの特徴として、ドラゴンの育成システムというものがあります。このゲームのドラゴンは、武器だろうが防具だろうが何でも食べ、そして、与えたエサによって姿やステータスが変わります。実際やってみると面白いですよ。あとは、何と言ってもキャラ1人1人の個性が濃く、見てて笑えたり泣けたりします。そのキャラの中でも、ヒロインは一部で有名になっていますが…(笑)。
と、こんな感じです。この小説について、ご感想やご要望などはご自由にどうぞ(^ ^)
なお、この小説については以下の要素が含まれます。
・4(オリジナル要素):6(原作要素)
・筆者の性格上、1話1話が結構長くなってしまいます。
・原作についての解説をたまにやっていきたいと思います(これからバハムートラグーンをやろうと思う人にとってはネタバレの可能性がありますが悪しからず)。
・荒らしや誹謗中傷は絶対にお控えくださいお願いします。
以上についてご理解いただける方は、この小説をお楽しみくださいませ!
- Re: バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜 ( No.1 )
- 日時: 2016/08/06 07:49
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
…オレルス…どこまでも果てしなく空が続くこの世界には、大きさも気候も異なる、ラグーンとよばれる島々があちこちに浮いている。グランベロス、カーナ、ダフィラ、マハール、ゴドランド、キャンベル…人々は、これらのラグーンにおいて平和に暮らしていた。
しかし…そんなオレルスにおいて、今、大きな異変が起きているのである…
第1話 オレルスの黄昏(前編)
オレルスに起きている異変…それは、グランベロス・ラグーンにある、グランベロス帝国に端を発する。
グランベロス帝国は、元々ベロス王国という国だった。しかし、土地が痩せているラグーンに立地していた為に、作物を育てることが困難だった。そこで、人々は傭兵稼業で生活することを選んだのだ。しかしそれは、同じ国の人間同士が殺し合いをするという事態まで生むようになった。このような国の現状に不満を持った傭兵・サウザーは、国に対してクーデターを起こし、権力を掌握することに成功。そして皇帝となり、グランベロス帝国の樹立を宣言。サウザーはオレルス統一の野望を抱き、他のラグーンに対しての侵攻を宣言した。彼は、自身のカリスマの高さと戦術を武器に次々と他のラグーンを落としていき、領土を広げていった。
そしてサウザーは、オレルス統一に対しての最後の壁である、カーナ・ラグーンにあるカーナ聖王国へ目を向けたのだった…
〜カーナ聖王国〜
古の時代、竜の上の竜である『神竜』を操るとされた『ドラグナー』がいた。その血を引き継ぐ王家が治めるカーナ聖王国は、グランベロス帝国からの侵攻という危機にさらされていた。
今、カーナの王は、神竜のうちの一匹であるバハムートが封印されてある神殿にいた。
カーナ王「バハムートよ…これで、これでよいのか?私にはお前を目覚めさせることができない……我が国カーナは…グランベロスに滅ぼされる命運なのか…」
一方その頃…カーナ上空にある、カーナ戦竜隊(ドラゴンを操る精鋭部隊)が所有する要塞では…
ラッシュ「よーし、始まるぜ!!」
鉄の鎧を身につけた金髪の少年・ラッシュが声高に叫ぶ。
トゥルース「ビュウ隊長!!出撃の合図を!!」
茶色の兜と青の軽い鎧を装置したトゥルースがそう言うと…
ビュウ「よし分かった。先発隊、出撃を開始せよ!これより、敵の空中要塞を足止めする!!」
ドラゴン好きの戦竜隊隊長であり、剣を二刀流にして操るクロスナイトのビュウが命令を出し、様々な色や姿をしたドラゴンとその騎手達が次々と大空へ飛び立った。
トゥルース「さあ隊長、我々も後に続きましょう。グランベロス帝国との最終決戦、絶対に敗れるわけにはいきません!!」
ビッケバッケ「そうだよ。頑張ろうよアニキ!」
この小太りの少年はビッケバッケ。食いしん坊だが、戦闘力が無いわけではない。
ラッシュ「さあ!!いこうぜ!!」
ビュウ「ああ、そうだな。よし、来い!サラマンダー、アイスドラゴン、モルテン!!」
ビュウの呼びかけに応えたのは、3匹のドラゴンだった。サラマンダーはビュウの相棒ともいえる存在で、その外見はまるで鳥。アイスドラゴンは臆病な性格だが、その鱗は水晶のように硬く、東洋の龍のような姿をしている。モルテンは回復に長けているドラゴンで、白い体に緑色の翼を生やした姿をしている。
ビュウ「よし、みんな!俺達も先発隊に続くぞ!!」
そして彼らは厚い雲を突き抜け、敵の空中要塞へと飛び立ったのである…。
- Re: バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜 ( No.2 )
- 日時: 2016/08/06 08:06
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
第1話(中編)
その頃、バハムート神殿では…
カーナ王「どうだヨヨよ…バハムートを感じられるか?」
ヨヨ「…お父様…」
この少女・ヨヨは、カーナ聖王国の王女にして、王国唯一の子息でもある。彼女にもまた、ドラグナーの血が通っている。
カーナ王「おお…ヨヨ…わかるのだな?バハムートの想いが…」
ゴゴゴゴ…
カーナ王「!?ムッ…帝国の奴らめ、来おったか…城へ戻るぞ!」
センダック「は はい、王様…さあ姫、行きましょう…」
老人センダック。古くからカーナに仕えており、ヨヨの教育係を務めている。
ヨヨ「ええ、分かったわセンダック………バハムート…カーナを…ビュウを守って…」
〜カーナ城・玉座の間〜
カーナ王の前には、多くの兵士や将軍らが集っていた。
ミスト「王様!帝国の大軍勢が迫っています!このままでは…」
軽装備をした女戦士・ミストは焦っていた。
マテライト「ぬう…戦竜隊の連中め…こんな時に何をしておるのじゃ!!」
金色のフルアーマーに身をつつんだカーナ重装兵団団長・マテライトは苛立っていた。
一方、カーナ王はただ黙っていた。
ミスト「王様!!バハムートは…カーナの守護竜バハムートはどうしたのでしょうか?」
その問いに、センダックが答えた。
センダック「…神竜の目覚めるとき…今がそのときでは…バハムートは…カーナを…」
カーナ王「…言うでない。我らにはまだ、ビュウ率いる戦竜隊がおる…」
遂にカーナ王がその口を開いた。
「ビュウ…」
誰かがそう言った、その時だった。
ラッシュ「み、みんな…遅くなったぜ…!」
敵の要塞に向かったはずの戦竜隊が帰ってきた。
ビュウ「王様…ただ今、我らカーナ戦竜隊、帰還して参りました…。グッ!」
カーナ王「ビュウ!どうしたのじゃ!」
ビュウ「クッ…敵の罠にはめられました…トゥルース」
トゥルース「は、はい…あの空中要塞は…おとりでした…こんなはずでは…ッ…」
マテライト「ええい弱音を吐くでないわ!敵を止められなかったらまた止めればよいじゃろう!グダグダ言い訳を言うよりもワシに続くのじゃ!!城門で敵を食い止める!行くぞ皆の者よ!」
カーナ王・ヨヨ除く一同「了解!!!」
〜カーナ城門前〜
外には帝国の軍が大勢集まっていた。
マテライト「ムッ!!帝国軍…ここまで迫っておるとは…今は時間を稼がねばじゃ!!行くぞ…インスパイア!!!」
マテライトがそう高らかに叫び、雷を纏った斧を振りかざすと、あっという間に橋は粉々に破壊されてしまった。
帝国兵「こ、こしゃくな…これでは橋を渡れんぞ!」
マテライト「よし、まずは敵の進路を妨げたな…ウィザード(FFで例えるなら黒魔道士)隊!遠くから魔法をばんばん撃つのじゃ!」
対岸より魔法を撃ちまくるカーナ軍に、帝国軍はパニックに陥っていた。
マテライト「ようし、敵は混乱しとるな…再びウィザード隊!川を凍らせて足場を作るのじゃ!そしてこのまま奴らを正面から一気に蹴散らす!!」
そしてカーナ軍は突撃を開始し、帝国軍を退けることに成功した…ように思えたが…
バルクレイ「た、大変ですマテライト団長!敵が…」
敵の援軍だ。それに驚いたのは、群青色の重い鎧を着ているバルクレイだった。
マテライト「何!?皆の者、体制を整えよ!敵の増援じゃー!!」
マテライトがそう指示したその時だった。彼らの後ろでとてつもない爆音が響いた。その音源は…カーナ城から響いた!
カーナ兵「も、申し上げます…帝国軍が…それも皇帝と将軍を連れた軍が城の中に…!」
兵士が息絶え絶えに伝えた突然の知らせに、カーナ軍全軍に衝撃が走った。まずい、王様が。誰もがそう思った。
ビュウ「マテライト団長!今すぐ城内へ!王様をお守りしなければ!」
マテライト「分かっておる!おのれ下衆な帝国軍め…全軍、城内へ退去せよ!」
- Re: バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜 ( No.3 )
- 日時: 2016/08/06 11:14
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
第1話(後編)
しかし、時すでに遅し。城に戻ったカーナ軍が見た光景は、無数の兵士の死体と割れたガラスが散乱した、変わり果てた玉座の間の姿だった。そこには、特徴的な格好をした…帝国の将軍と思われる人物がちらほらおり、ヨヨとカーナ王は敵に取り囲まれていた。
マテライト「おのれ帝国め!今すぐ王様とヨヨ様を放さんかー!!」
激昂し、斧を振りかざすマテライト。と、その時!一人の男がマテライトの斧を止めた。帝国の将軍の一人、剣の達人アーバインだ。
アーバイン「…残念だが、これ以上行かせるわけにはいかぬ。ハアッ!」
マテライト「ぬおッ…こ、こいつ…何という強さじゃ…」
その隣でセンダックは、将軍の一人レスタットと戦っていた。
センダック「ひ、姫は渡さない…フレイムゲイズ!」
レスタット「ヒッヒッヒッ!老いぼれは引っ込んでいな!」
狡猾な印象のレスタットは魔法を躱し、センダックを難なく吹き飛ばした。
センダック「うわ…ッ!ひ、姫…王様…」
一方その頃、ビュウはミストに体を支えてもらいながらも、なんとか城に到着した。
ミスト「…ッ……ビュウ、ここまでくれば大丈夫よ…」
ビュウ「…ありがとう、ミスト……クッ…ああも敵に深追いされると…さすがにこたえるな……!ラッシュ!!」
ラッシュ「う……ビュウ…帝国将軍…こんなに強いとは…オレ…初めてだ…こんな気持ち…」
ビュウ「もういい喋るなラッシュ!」
ミスト「…!!ビュウ…!あれを…!」
ビュウがミストの指差す方向を見ると…
マテライト「ぬおおおっ!!」
ビュウ「!やめるんだ、マテライト団長!!」
マテライト「何を言う!今、目の前で王様とヨヨ様が危険な目に遭っているというのに…やめろなどと抜かすでないわ!!」
アーバイン「お前、マテライトというのか。どうやら、この国における重装兵共のリーダーらしいが…この程度の実力とはな。無駄なあがきはやめておけ。命だけは助けてやるぞ」
マテライト「黙れぇッ!!貴様ら帝国だけは、絶対に許してはおけんぞ!!うおおおおッ!!!」
アーバイン「…そこまで死にたいのなら仕方あるまい。では覚悟せよ!」
サウザー「待て!!!」
突然のサウザーの一声に、一瞬にして周囲に沈黙がおとずれた。
サウザー「もうやめろアーバイン。これ以上戦う必要は無い」
アーバイン「は…わかりました、陛下」
サウザー「ゾンベルド。ヨヨ王女をお連れするのだ」
ヨヨ「ビュウー!!マテライトー!!」
ゾンベルド「はい、皇帝陛下。ヨヨ王女…痛いかもしれんが失礼するぜ!」
筋骨隆々とした体型の将軍・ゾンベルドの拳により気絶したヨヨは、何処かへ連れ去られてしまった。
ビュウ「ヨヨ様!!」
マテライト「ヨヨ様ーッ!!」
カーナ軍から悲鳴があがる。
カーナ王「ヨヨ!!おのれ貴様ら、我が娘をどうするつもりだ…うっ!?」
サウザー「黙ってもらおうかカーナ王。お前の知るところではない」
カーナ王「き、貴様…」
サウザーの巨大なオーラの前に、カーナ王はただ圧倒されるばかりだった。
サウザー「カーナ王よ…ドラグナーの力、神竜バハムートの力とはこの程度のものなのか…?もしそうならば…伝説は、伝説にすぎぬということか…」
カーナ王「!!…伝説…!!なぜ伝説を…お前が…」
カーナ王は動揺していた。というのも、その伝説…神竜の伝説はカーナ王家の者にしか知らないものだったからだ。
サウザー「フッ、驚いているようだな。カーナ王よ…時代とは、常に一人の人間を選ぶものだ。そして選ばれた人間はこう呼ばれるのだ…『英雄』とな」
カーナ王「何を企んでいる?…サウザー!神竜は目覚めぬ!!お前に神竜の力…渡すわけにはいかん!!!」
サウザー「…神竜は目覚めぬ…か」
サウザーは一瞬黙った。そして…
サウザー「いや……目覚めのとき…それはこれからだ!!私が世界をこの手に奪う…いま、この時からはじまるのだ!!」
サウザーが剣を抜いた。その時、ビュウは…
ビュウ「!王様!!やめろー!!!」
剣を二刀流にしてサウザーに襲いかかる!しかし…
ガキインッ!!
ビュウ「なッ…!?」
ビュウの剣は何かに遮られた。その何かとは…彼と同じクロスナイトにしてサウザーの右腕ともいえる男、帝国将軍サスァ=パルパレオスの剣だった!
パルパレオス「…お前が噂に聞くビュウか」
ビュウ「誰だてめえ!そこをどけぇ!!」
パルパレオス「フッ、血気盛んな奴だな…だが、そのボロボロの体では俺は倒せんぞ!せいッ!!」
パルパレオスの蹴りを受けたビュウは、勢いよく壁へ吹き飛ばされた。
ビュウ「ぐあああッ!!」
ラッシュ「ビ、ビュウ…!」
ビュウ「うう…く、くそ…ッ…」
ビュウはその場に倒れこんでしまった。
パルパレオス「大丈夫ですか陛下」
サウザー「うむ。何ともないぞパルパレオス。さて…」
再びサウザーが剣を抜く。
マテライト「お、王様!」
もはやカーナ軍には、立ち上がれる者はいなかった。そして…
サウザー「さらばカーナ王よ!そして来たれ、新たなる時代よ!!」
ドスッ…!!
カーナ王「ぐ…おお…カ、カーナは…不滅…な…り………」
カーナ軍一同「王様ァァァァァァッ!!!!」
カーナ王は胸を貫かれ死亡。それは、カーナ聖王国の滅亡をも意味した。こうして、サウザーのオレルス統一は果たされ、新たな歴史が始まりを告げたのであった…。
第1話・オレルスの黄昏 完
- Re: バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜 ( No.4 )
- 日時: 2016/08/06 11:17
- 名前: 777m (ID: 3w9Tjbf7)
第二話 目覚めたる臥龍達(前編)
カーナ聖王国の滅亡によって、グランベロス帝国の世界統一は成されてしまった。カーナ王の死後、ビュウ達カーナ軍の生き残りは敗走し、その殆どは帝国の目の届かない辺境のラグーン・孤島テードへと身を落とした。しかし、テードへと逃れたのはカーナだけではなく、他のラグーンからの敗走兵や脱走者もいる。そして彼らは、ここで帝国への反撃の機会を伺っていた。その際、戦竜隊隊長のビュウと、彼の部下であるラッシュ、トゥルース、ビッケバッケの三人は、帝国との戦争の際に逃げてしまったドラゴン達を探す旅に出かけてしまった。
それから数年後の冬のテード…吹雪の中、1人物思いにふけているセンダックがいた。
センダック「『親愛なるビュウへ お元気ですか?今頃はどこの旅の空ですか?あの戦争から…何度目の冬を迎えたのでしょう。祖国カーナは滅び…グランベロスが世界を統一。そんな戦争も今は過去の話…。亡くなられたカーナ王のご遺志を継ぐべく結成された反乱軍も名ばかり…。ビュウがいないとみんなも元気が出ないみたいです。そうそう…こちらではもう雪が降り始めました。今年も寒い冬になりそうです。では、体に気をつけて。 センダックより』ふう、ビュウ宛の手紙はこんな感じで良いかな…うう、家に戻りましょ…」
マテライト「老師!こっちじゃ!ささ、早く中へ…」
それから数ヶ月後…冬が過ぎ去り春がやってきた頃、ビュウ達が長旅から帰ってくるという知らせが届いた。当然、テードの者達は皆喜んでいた。
島の岬に3人の女性がいた。
ゾラ「いよいよだね…」
壮年を迎えたキャンベル出身のゾラ。
ルキア「あの子が帰ってくる…」
金色の髪、高身長の女戦士ルキア。
メロディア「楽しみ楽しみ♪」
2人よりずっと年が小さい、団子頭のメロディア。
そんな彼女らの目の前に、4匹のドラゴンが姿を現した。このうちの3匹、赤色のドラゴン・サラマンダー、青色のドラゴン・アイスドラゴン、白色のドラゴン・モルテンは戦竜隊のドラゴンで、もう1匹は見なれない姿をしており、色は黄色だった。
ゾラ「!あれは!!」
メロディア「サラマンダー!!ビュウ!!」
ドラゴン達は近くに降り立ち、そこからラッシュとトゥルースが、そしてモルテンに放り出されるようにビッケバッケが出てきた。
ビッケバッケ「いたた…ラフな降ろし方をするなあ……まあ、それは置いといて…みんな、ただいま!そして…ビュウのアニキのおかえりだよー!!」
それを聞いたゾラは、猛ダッシュで家に入った。
ゾラ「ちょっとあんたら!ビュウが帰ったよ!!」
マテライト「う〜ん…どうしたんじゃゾラ…。ビュウがどうかし……!な、何じゃと!?おい皆の者、ビュウが来たぞ!!」
「ええっ!?ビュウさんが!?」「それは朗報でアリマス!今すぐ急いで行くでアリマース!」
マテライト達は大慌てで外へ出た。
タイチョー「ビュウ殿ー!自分はマハール騎士団のタイチョーでアリマス!!」
変な名前と、それに不相応な口癖を持った男・タイチョーは、帝国に征服されたマハール王国の騎士団団長だった人物だ。
センダック「ゼェゼェ…ビュウ…帰ってきたの?相談事が、山積みだよ…」
マテライト「ふぁぁあ…それにしてもよく寝たのじゃ!!」
バルクレイ「ビュウさん!久しぶりです!バルクレイです!」
グンソー「いやはや、かの戦竜隊隊長にお会いできるとは光栄であります!」
このグンソーもタイチョー同様変わった名前だが、タイチョーの優秀な部下である。
ゾラ「ホラ!!あんた!!早くビュウを呼んでよ!!」
ビッケバッケ「モグモグ…今来るよ。ほら!」
そうビッケバッケが言うと…
ビュウ「シュタッ…カーナ戦竜隊隊長ビュウ、ただ今参上!!…なんてな!待たせたな、みんな!!」
オオオーーー!!!その場にいた者は皆、若い戦士の帰還に喜んでいた。
ビュウ「さて、皆にドラゴン達を紹介しよう。こいつは俺の相棒にして炎を操る竜、サラマンダーだ」
サラマンダー「ピエッ(よろしく!)」
ビュウ「こいつは少々内気だが、実力はとても高い。名はアイスドラゴンだ!」
アイスドラゴン「ピヤーッ(…はじめまして)」
ビュウ「こいつは人懐っこい性格だから優しいんだ。モルテン、って呼んでくれ」
モルテン「ピロロロロッ(みんな、仲良くしてね!)」
ビュウ「こいつは新入りのサンダーホーク。攻撃的な性格だが、根は優しいから気にしないでくれ」
サンダーホーク「ゴギャーッ(ヘッ、俺様が来たからには安心しな!)」
ビュウ「よし、次はヨヨ様を取り戻すための作戦を発表する。トゥルース」
トゥルース「はい。まずは、帝国に奪われたカーナの旗艦を取り戻します。その後、それを使ってキャンベルを目指し、ヨヨ様が囚われている砦を攻略。これが作戦の全てです」
ビュウ「というわけだ。だから今すぐ行きたい…ところだが、みんなのほうはまだ準備が出来てないと思うから、これから少しの間休憩をとる。それまでに準備を済ませてくれ」
- Re: バハムートラグーン 〜空を駆ける、竜と人〜 ( No.5 )
- 日時: 2016/08/02 19:26
- 名前: 777m (ID: yLoR1.nb)
第二話 (中編)
〜休憩中〜
センダック「ビュウ…おかえりなさい。ドラゴン探しの長旅ご苦労様」
ビュウ「ありがとう、センダック」
センダック「ねぇ…旅立ちの日の事…覚えとる?」
ビュウ「あー……すまない、ドラゴン探しに夢中で忘れてしまった…教えてくれ」
センダック「いいよ。えーと、確かあれは…わしらがこのテードに逃れてから一ヶ月経ったか経ってなかった時くらいの頃…」
…時は数年前に遡る…
ビュウ「……………」
ラッシュ「なぁ…ビュウ!!そろそろ行こうぜ…もう会えなくなるってわけじゃ無いんだし。決めたのは、ビュウだぜ!!カーナ戦竜隊をもう一度結成しよう…って」
ビュウ「…ああ……」
トゥルース「そんなに落ち込まないでくださいよ隊長。ラッシュの言うとおり、またみんなと会える日が来ますよ。そのためにも、帝国との戦争で逃げてしまったドラゴン達を集めないと」
ビッケバッケ「今度はドラゴンをしっかり世話して最強の戦竜に育てあげるんだよね。モグモグ…だから頑張ろうよアニキ!!」
ビュウ「ラッシュ…トゥルース…ビッケバッケ……ああ、そうだな!隊長の俺がしっかりしなくてはな!!」
ラッシュ「お、いつもの元気な隊長に戻った、ってか!…よし、いくぜ!!」
ルキア「…ビュウ、でもさ…寂しくなるね」
ビュウ「ルキア…確かにそうだな。でも、俺も頑張るからお前も頑張ってくれよ!」
ゾラ「全くその通りだよ。でもビュウ、体には気をつけるんだよ…頑張りすぎて倒れたらこのあたしが許さないよ!」
ビュウ「…はは、ゾラは相変わらず少し怖いな…でも心配はするな。俺は倒れたりしないさ」
ゾラ「ははは、そうかいそうかい!なら、お前さんのその言葉、信じてみるよ!」
メロディア「……」
ゾラ「…ん?おーい、メロディア!いいのかい!!ビュウ…行っちゃうよ!!」
メロディア「…う、うん!ビュウ!応援してるよー!!」
ビュウ「サンキュー、メロディア!」
センダック「…ビュウ…わし…わし…」
ビュウ「おいおいセンダック、俺の事がそんなに心配かよ?あんた爺さんなんだからもう少し元気を出せよ、な!」
センダック「ビュウ…ありがとう。わし、幸せジジイ…」
ラッシュ「おーいビュウ、急ごうぜー!!」
ビュウ「あ、ああ!今行くぞー!」
マテライト「…ビュウ!!早く戻るのじゃぞー!!ヨヨ様がご無事なうちにもどるのじゃぞー!!」
ビュウ「分かってるさマテライトー!!それじゃみんな、また数年後に会おうぜー!」
…こうして、ビュウ達は大空へと旅立ったのであった…
センダック「…と、こんな感じだったかな……ビュウ、あの頃より大人びたね…わしも見習わなきゃ…」
ビュウ「いやいや、センダックは今のままが良いと思うぜ?なんせ、お前は優しいからな!」
センダック「…ビュウ…うん!なんだかワシ、少し自信を持てた気がするよ。ありがとう…それじゃ、先にドラゴンに乗ってることにするよ」
ビュウ「ああ、了解した!…さて、マテライト達が住んでいた家の中を見てみることにするか…」
一方その頃マテライトは…
マテライト「(……ヨヨ様…思い出は、たくさんあっても辛いだけじゃ…)…ん?誰じゃ」
ビュウ「マテライト!俺だよ俺」
マテライト「おお、ビュウか!ってちょっと待てお前…今ワシを呼び捨てで…」
ビュウ「だって、いつまでも『団長』だと堅苦しいだろ?」
マテライト「う、うむ、確かにそうじゃがな…まあ、それはいいわい。……それよりビュウ…お前は思い出さんか?ヨヨ様のことを…お前にも、ヨヨ様の思い出があるじゃろ?」
ビュウ「ああ、もちろん無いわけがないさ…なんせ、俺とヨヨ様は幼い頃から付き合ってたからな」
マテライト「そうかそうか。…なあ…ビュウ。早く、ヨヨ様を助け出したいのう…」
ビュウ「そうだな。しかし、無事だと良いけれどなあ、ヨヨ様…」
マテライト「うむ。…さて、ビュウよ。ワシはドラゴンに乗って待っておるぞ」
ビュウ「OK、マテライト。…さてと、俺もそろそろ行くか……ん?なんだこの箱は………お?何だか厳重に封印されてるぜ?…ん…っと!…!?うっ…頭が…」
…………………………
…ん、これは…ああ、そうだ…俺がまだガキだった頃だったかな…あの日、俺はヨヨ様を思い出の教会へ連れて行ったんだっけ…
ヨヨ「ビュウ…はやく、こっちへ!」
ビュウ「はい、ヨヨさま!」
マテライト「こらー!待たんかビュウー!ヨヨ様ー!!なりませんぞー!」
ビュウ「ざんねんだったなマテライトー!さあ、ヨヨさま!こっちですよ!サラマンダーにのってー!……よし、いくぞサラマンダー!!」
サラマンダー「ピエッ!!」
マテライト「待たんかー!!ビュウー!!」
そして俺は幼いヨヨ様を連れて空へ…
ヨヨ「サラマンダー…とってもはやいね!!」
ビュウ「へへっ。だって、おれのサラマンダーはカーナでいちばんはやいドラゴンですから!」
ヨヨ「ふふっ。…でもわたし、なんだかこわい…ねえビュウ…もっとつよく、つかまってもいい?」
ビュウ「いいですよ!」
ヨヨ「うん…ギュッって…つかまるね。…ねえ、ビュウ…そらはどこまでつづいてるのかしら…そらをこえて…つたわるきもちってあるのかな…」
ビュウ「んー…おれには、よくわからないですね。…あ、ヨヨさま!もうすぐつきますよ!」
ヨヨ「あっ、ほんとだ!さあビュウ、おりよう!」
そして、教会の前をサラマンダーで降りて…
ビュウ「へー、ここ、なんだかふるくさいですね…」
ヨヨ「うふふ…たしかにね…でもねビュウ、このきょうかいね…おもいでのきょうかい、ってよばれてるの。なぜだかしってる?」
ビュウ「なぜでしょう…おしえてください」
ヨヨ「このきょうかいにはね…すてきないいつたえがあるの。きょうかいをふたりきりでおとずれたおとこのひととおんなのひとは…しょうらいかならずむすばれるんだって…」
ビュウ「へえー、そんなすてきなことが…」
ヨヨ「ふたりではいってみる?うふふ…なんてね…。まだ…はやいよね…わたしたち…マテライトもつれてくればよかったね」
ビュウ「いやいやヨヨさま、あんながんこじじいなんてつれていかなくてせいかいですよ」
ヨヨ「ふふふ…たしかにね…………ねえビュウ。もうすこしおとなになって…そのときもヨヨがいまとおなじきもちで…おもいでのきょうかいにさそったら…またいっしょにきてくれる?」
ビュウ「え!?いやいやヨヨさま、おれはただのせんしですよ。おひめさまなヨヨさまとけっこんなんてとんでもないですよ!」
ヨヨ「そうだよね、ビュウのいうとおりだよね…でもね…ビュウ…わたしとみぶんがちがっても…うそでもいいからやくそくして…」
ビュウ「え、ええ。わかりましたヨヨさま」
…あの後マテライトにこっぴどく叱られてたっけなあ…ああ、あの頃が懐かしい……そうだな。昔みたいな平和なオレルスを取り戻すために、全力で戦おう俺!そして、待っててくださいよ…ヨヨ様!!
ビュウ「…ハッ!!休憩時間終了まであと1分!急いでドラゴンへ乗り込もう!」
トゥルース「あっ、隊長!今までどちらに?」
ビュウ「ごめんごめん、向こうのほうで少し考え事をしていたんだ。…よし、休憩時間は終了だな。みんな、これから作戦を実行するぞ!!」
メロディア「あっ、待ってビュウ!プチデビル達も連れてこないと!」
ビュウ「プチデビル?あのプチデビルか?」
メロディア「そうそう!でも私の友達だから安心して!さ、おいで、モニョ!マニョ!」
メロディアがそう言うと、ピエロのような姿をした謎の生物がこちらへ来た。
モニョ「もにょー!!(おうよメロディア!おい人間共、俺達プチデビも戦うぜ!!)」
マニョ「まにょー!!(死ぬときはいっしょだぜ!!)」
ラッシュ「ビ、ビュウ…。あの『小さい死神』と呼ばれるプチデビルを連れて行くというのかよ?」
ビュウ「何だ嫌か。でも、メロディアがああ言ってたから心配することは無いぞ」
ラッシュ「あ、ああそうだな(余計に心配だっつーの…)」
ビュウ「よし、今度こそOKだな…それじゃ、出発だー!!」
こうして、ビュウ達は元カーナ旗艦へ向かうべく、ドラゴンで空を突き進む…。
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