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プリンセスプリキュア〜一番星は孤独じゃない〜
日時: 2016/07/30 22:35
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

いつも一番に輝いて、そのまま一人で輝き続ける星、一番星
あたしは、そんな孤高の存在に、憧れたんだと思う
強く、やさしく、美しく。そして、気高く。
世界で一番のトップモデルになりたくて
でも、本当は・・・・・・———。

−−−

うーん。何が言いたいのかよくわっかんねーや☆
はい、みなさんおはこんばんにちは、春太郎です!
先ほどプリンセスプリキュアの最終回を見て、号泣し、そして夢小説を書きたい衝動に駆られ、こうしてスレを立てさせていただきました!
プリンセスプリキュアのきららちゃんが大好きなんですよー!僕!

内容は、天ノ川きららちゃんとの恋愛小説です
皆さんを楽しませられるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします
暇つぶし程度に読んでやってください
それでは、よろしくお願いします。

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Re: プリンセスプリキュア〜一番星は孤独じゃない〜 ( No.3 )
日時: 2016/08/01 15:01
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

 その日あたしは、夢を見た。幼少の頃の夢だった。
 今日はママが仕事に出ているので、あたしは隣の家に遊びに行っている。
 そこでは、ママの友達の女の人と、あたしと同い年くらいの男の子が住んでいる。
 彼は体が弱いので、家から遠出はできないので、彼の家の中や、庭で遊んだりすることが多い。

『じゃーん』

 あたしはいつものように、私服を完璧に着こなし、彼の前でポーズを決めて見せた。
 彼は、それを見て笑顔を浮かべ、手を叩いた。

『きららちゃんすごく似合ってる!』
『へっへーん。当たり前でしょ!だって、あたしはいつか、ママみたいなすごいモデルになるんだから!』

 あたしは空を指さして言い放つ。それを見た彼はクスッと笑った。
 その笑顔に、あたしの顔は熱くなる。
 モデルの夢はもちろん叶えたい。でも、もう一つ叶えたい夢があるとすれば、それは・・・・・・———。

−−−

「ん・・・・・・夢、か・・・・・・」

 朝日が差し込む部屋で、あたしは目を覚ます。
 手探りで時計に手を伸ばし、時間を見る。
 朝六時。よし、いつも通りだ。
 あたしはベッドを抜け出すと、顔を洗うために部屋を出た。

「それにしても、懐かしいなぁ、あの頃・・・・・・」

 もう、彼と別れてから十年も経つ。
 声も、顔も、名前もよく覚えてないけど、思い出だけは心の中にある。
 あたしは自分の胸に手を当てると、深呼吸をした。
 もう、ずっと昔のこと。パリに来ちゃったんだし、もう彼に会うことなんてほぼ不可能なんだから。
 洗面所に着き、鏡を見ると、そこには寝癖がついた髪のあたしが映っていた。
 あたしは自分の顔を軽く叩き、笑みを浮かべた。

「よしっ。今日も頑張りますか!」

−−−

 撮影会場に着くと、そこでは壁に凭れ掛かる形であさぴーがボーッとしていた。
 あたしは鞄を置くと、中から手帳を取り出し、彼に近づいた。
 指で軽く肩をつついてやると、彼はビクッと肩を震わせた後であたしの顔を見た。

「ごきげんよー。あさぴー」
「あっ・・・・・・おはよう、きららさん・・・・・・」

 どんだけボーっとしていたのやら、彼はしばらくおどおどとした様子で、それでもあたしに返答する。

「えっと、僕に何か用・・・・・・?」
「いやー、大した用ではないんだけどさー」

 あたしが手帳を見せると、彼は首を傾げた。

「あたしの友達があさぴーのファンみたいで、昨日あさぴーと一緒に仕事することになったって言ったら、サイン欲しいって」
「だから、サインをこれに書いてほしい、と?」
「あ、もしかして迷惑、だったかな・・・・・・?」

 あたしが恐る恐る聞くと、彼は首を横に振り、「そんなことないよ」と白い歯を見せ笑った。
 その笑顔に、何か懐かしいものを感じるのと同時に、ドキッと心臓が音を立てた。
 慌てて手帳を彼に渡し、「じゃ、じゃあ、これ書いといてね!」と言いつつ、あたしは逃げるようにその場を立ち去った。

「何なのよこの気持ち・・・・・・ッ!」

 小さく、呟いた。

Re: プリンセスプリキュア〜一番星は孤独じゃない〜 ( No.4 )
日時: 2016/08/01 21:59
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

 結局、あの感情は何だったのだろうか・・・・・・。
 あたしはカメラの前でポーズを決めながらなんとなく考えた。

「ちょっときららちゃん?心ここにあらずって顔してるじゃん。笑顔笑顔」
「あ、すいません!」

 カメラマンさんの言葉に、あたしは慌ててさっきまでの考えを振り払い、改めてポーズを決める。
 ちなみに、今はエッフェル塔を背景に、あさぴーとのデート風景のようなものを撮っている。
 歩いているような動きから、手を繋いだりしている様子まで。
 正直、こういうのは日本でも何度も撮っているのに、なぜか今は終始緊張して仕方がない。

「じゃあ、きららちゃん。ちょっとそのネックレスが目立つようにしてもらえないかな」
「あ、じゃあ、ちょっとリボンを・・・・・・」

 あたしは髪をまとめるためにリボンを取ろうと鞄の所まで駆け寄った。
 その時、少し気が抜けていたせいか、地面が凍っていたところを踏んでしまい、転んでしま・・・・・・———

「やばっ・・・・・・」
「きららちゃッ・・・・・・ッ!」

 ———う寸前で、誰かに抱き止められていた。
 恐る恐る目を開けると、そこにはあさぴーの顔があった。
 しかも、超近く。

「あ、あさ・・・・・・ッ!?」
「おおー!今のそのポーズいいよー!」

 カメラマンさんは、そう言うとカメラであたしたちを撮り始めた。
 数枚撮り終えて、「じゃあ、一回休憩ね」と言われたので、あさぴーはあたしを立たせた。

「大丈夫?きららさん」
「う、うん・・・・・・大丈夫。ありがとね、あさぴー」

 あたしが言うと、あさぴーはなぜか悲しそうな表情を浮かべた。

「えっ。どうしたの!?もしかしてさっき、どこか打った?」
「ち、がう・・・・・・これは、えっと・・・・・・」

 あさぴーは、先ほどの逞しさとは一転、オロオロとした後で、キュッと顔を引き締めると、まっすぐあたしの目を見る。
 突然のことだったので、あたしもどうすればいいか分からず、彼の目を見つめ返すことしかできなかった。

「あさ、ぴー・・・・・・?」
「あのさ・・・・・・きらら、ちゃん。僕のこと、どこかで・・・・・・ッ!」
「へ・・・・・・?」

 あさぴーを、どこかで?会ったのって、昨日が初めてなんだけど?
 ていうか、今きららちゃんって、呼ばなかった?あたしのこと。

「いや、ごめん、覚えてない・・・・・・それよりさっき・・・・・・ッ!」
「それじゃあ、次の撮影行ってみようか!」

 笑顔で言うカメラマンさんの声に、あたしの言葉は遮られた。
 あたしはそれに、口をパクパクとさせることしかできなかった。
 あさぴーは一度口を開き、少し考えると、「ごめん・・・・・・忘れて」とだけ言った。

−−−

「じゃあ今日の撮影はここまで!二人とも、良かったよ〜!」
「ハイ。ありがとうございました」

 僕はカメラマンさんに挨拶しつつ、チラリと眼球だけ動かして隣にいる少女に目を向けた。
 彼女も僕と同じように挨拶をすると、僕に何も言わずに鞄の所まで行ってしまう。
 僕は彼女の背中に手を伸ばそうとして、止めた。

『いや、ごめん、覚えてない・・・・・・』

「なんで・・・・・・?」

 いや、本当は分かってるんだ。覚えてないのが普通なんだって。
 むしろ、こうやって未練がましく覚えている方が異常なんだって。でも・・・・・・———。

「そんなの、認められるかよ・・・・・・ッ!」

 僕は悔しくて、唇を噛みしめ、拳を握り締めた。
 しかし、やはり仕方がないのだろう。それなら、また一から彼女との距離を詰めれば良いだけのこと。
 僕は手の力を抜き、両手をダランと垂らした。その時、ポケットに入った、何か固いものの感触に気付く。
 取り出してみるとそれは、黄色の手帳だった。

「これは・・・・・・きららちゃんの・・・・・・」

 まずは、一歩から。僕は手帳の一ページにサインを書くと、一歩、きららちゃんに駆け寄った。

「きららさん!これ、頼まれてたサインなんだけど」

 一歩ずつで良い。
 これからまた、思い出してもらえば良いだけなのだから。

Re: プリンセスプリキュア〜一番星は孤独じゃない〜 ( No.5 )
日時: 2016/08/02 22:28
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

 窓の外を眺めながら、あたしは何度目かになるため息をついた。
 その時、肩を叩かれた。見ると、あたしと友達のクラリスことクラクラとユニスことユニっちが立っていた。
 フランス人にこういうあだ名付けると、最初はちょっと不思議がられていたが、あだ名の付け方なんて変えようと思って変えられるわけじゃないし、日本人だから仕方がないかと少し微笑まれるくらいになった。

「きらら。どうしたの?そんなため息なんて吐いて」
「え?あぁ、いやいや。なんでもないよ!」
「あ、確か前にきらら言ってなかったっけ。恋煩い、とか」
「こ、恋煩い!?」

 ユニっちの言葉に、あたしはつい驚いてしまった。
 なんていうか、図星を突かれたような感覚。
 このまま本音を吐けばいいのだろうけど、気付けばあたしの口は、誤魔化しの言葉を吐いていた。

「恋煩いって、そんな相手この学校にいる?」
「そうだよね〜・・・・・・じゃあ何?きららが悩むことなんて、思いつかないなぁ。仕事だって順調だろうし、今更ホームシックにはならないでしょ?」
「あ、はは・・・・・・ただちょっと息を吐いただけだってば」

 なんとなく誤魔化してはみたが、実際は恋煩いで間違ってはいないような気がする。
 というか、もしかしたら正解。だって、あたしの頭の中では一人の少年の姿だけが浮かんでいるのだ。

「きらら、顔赤いけど、どうしたの?熱?」
「へ!?」

 突然言われて、あたしはつい大きな声を出してしまう。
 言われて顔を触ってみると、確かに少し熱い。

「なんでもないよ!それより、クラクラとユニっちにはいないの〜?想い人」
「え!?い、いないよ私には・・・・・・」

 クラクラは顔を真っ赤にして俯いた。
 はっはーん。この顔は好きな人いるな〜?クラクラの好きな人というと、誰だろう?
 クラス1のイケメンと言われてるアルフレッドことアルルンか、はたまたスポーツ万能なダニエルことだっちーか。

「私は、実はこの前彼氏できた・・・・・・」

 クラクラの好きな人考察をしていた時、突然ユニっちが爆弾発言をした。
 それに、あたしはつい、日本語で「なんだって!?」と叫んでしまった。
 久しぶりに異国の言葉を発したおかげか、少女二人は不思議なものを見る目であたしを見る。

「きらら・・・・・・今なんて言ったの?」
「あ、いやいや、なんでもないっ!でも、彼氏なんて、誰々?」
「えっとね・・・・・・」
「ハイ、それじゃあ席に着いて〜」

 ユニっちの言葉を遮るように、先生の声が教室に木霊する。
 外国に行っても、なんだかんだでこういう部分は変わらないので、少しだけ安心する。
 あたしは二人と別れ、席につく。
 あたしの席は、一番後ろの窓側。いわゆる主人公席だ。
 隣はいないので、少し寂しいけど。

「それじゃあ、HRを始めるわよ。今日は日本から転校生が来てくれました」
「えっ・・・・・・日本、から・・・・・・?」

 あたしは小さく呟き、誰もいない席にチラリと視線を向けた。
 というか、日本からフランスに来た人って、一人心当たりがあるんだけど?

「それじゃあ、入って来て」

 先生に呼ばれて、教室の前の扉が開く。
 教室に入って来た彼の顔を見た瞬間、あたしの目はカッと見開く。
 なんで、よりによって彼が・・・・・・?

「じゃあ、今日からこのクラスで一緒に勉強する・・・・・・」
「月宮 麻人です。今日からよろしくお願いします」

 礼儀正しくお辞儀をするその姿に、あたしの目は奪われた。
 なんで・・・・・・あなたがここにいるのよ!?

Re: プリンセスプリキュア〜一番星は孤独じゃない〜 ( No.6 )
日時: 2016/08/03 17:36
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

「な・・・・・・?」

 なんで彼がいるの!?
 あたしは驚きに口を開けたまま固まってしまう。
 その時、彼があたしの方に歩いてくるのが見えた。
 え?ちょ、待って!?彼はそのままあたしに笑いかけると、あたしの隣の席に座った。

「きららさん。今日からよろしく」
「あぁ・・・・・・えっと、よろしく・・・・・・?」
「天ノ川。もしかしてお前ボーっとしてたのか〜?お前の隣が空いてるから、座らせただけなんだが」
「あ、いやいや!大丈夫です!」

 先生の言葉に、あたしは顔の前で手を振り答える。
 確かにそうだ。隣の席が空いてるのはあたしの席くらい。おまけに、あたしもあさぴーも日本人。
 ほぼ確実に、転校生はあたしの隣の席になるだろう。

「それじゃあ、一時間目の準備をしてから休憩するように」

 先生はそう言うと教室を出ていく。
 それとほぼ同時に、クラスメイト達は授業準備もそこそこにあさぴーの周りを囲み始めた。
 ここの机は二人で一つの長い机を使うタイプなので、必然的にあたしも囲まれる形になる。

「麻人君ってかっこいいよね〜。アイドルとかやってるの?」
「あ、一応モデルを・・・・・・」
「そうなんだぁ。そういえばね、麻人君の隣の席のきららちゃんもモデルなんだよ」
「それは知ってます。同じ仕事をしたこともあるので・・・・・・」
「ねぇねぇ、日本人って・・・・・・」
「日本の奈良って・・・・・・」
「・・・・・・があるって本当?」

 徐々に皆の質問が多くなるのを感じた。
 それに困惑したあさぴーが困ったように眉をハの字にして、苦笑いしているのが分かった。

「はいはいみんな一回ストーップ!」

 咄嗟にあたしが制止させた。それを見た皆が、訝しむようにあたしの顔を見る。
 あたしは立ち上がると、全員の顔を言った。

「あさぴーは来たばかりだから、フランス語で一度に話されると困ると思う。だから、一人ずつ質問してあげて。あさぴーも分からない言葉があったら言ってね。あたしが日本語に訳してあげるから」

 あたしの言葉に、他の皆は納得した様子で頷く。
 ハッキリ言えば、あたしも体験者だしね。やっぱり外国人は珍しいのかな。
 あたしが一人で自己満足に浸っていると、制服の上着を引っ張られる感触があった。
 見ると、あさぴーが照れた様子で微かに笑顔を浮かべていた。

「ありがとね、きららさん。おかげで助かったよ」

 笑顔のままそういうので、あたしはつい固まってしまった。

「い、いや・・・・・・あたしも同じ日本からの転校生だからね。やっぱり質問攻めはきついから・・・・・・」
「でも、助けてくれる人はそういないよ。ありがとう」

 白い歯を見せて笑う彼に、あたしの顔は熱くなる。
 気付けば、彼の手を離させ、すぐにクラスの皆の方を向く。

「そ、それじゃあ!あさぴーへの質問どうぞ〜!」

 なぜか緊張してしまい、声が裏返ってしまった。
 ただでさえ高めの声なので、かなり高い声になってしまい、あたしは恥ずかしくて俯いた。
 見れば、あさぴーも笑っていたので、なんか、もう、穴があったら入りたい気分になった。

Re: プリンセスプリキュア〜一番星は孤独じゃない〜 ( No.7 )
日時: 2016/08/03 22:22
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

 今日はいつもより学校生活で疲れたような気がする。
 いや、ノーブル学園でトワっちの世話をしていた時期や、こっちに転校してきたばかりの頃に比べればマシだが、それはあくまで肉体面でも疲労の方だ。

「精神面は疲れたっての・・・・・・」
「あっ、きららさん」

 後ろから聴こえた声に、あたしの体はビクッと震えた。
 振り返ると、あたしを精神面で疲れさせた張本人、あさぴーが立っていた。

「あ、あさぴー・・・・・・」
「これからすぐに行くよね?仕事。確か、一緒の仕事は今日まで、だっけ・・・・・・?」
「そ、そうだね!」

 あたしは返事をしつつ、学校の玄関から外に出た。
 すると、外では大粒の雨が降り注いできていた。

「なんでよりによって・・・・・・」
「にわか雨かな?それならすぐに止むだろうから、撮影はできるんだろうけど・・・・・・きららさんは傘って持ってきてる?」

 あさぴーの言葉に、あたしは首を横に振る。
 傘なんて、持ってきているわけがなかった。
 だって、朝は快晴だったじゃない!
 あたしが困っているとき、あさぴーがあたしの手を握った。

「へ?」
「僕は折りたたみ傘持ってきていたから、多少は濡れるかもしれないけど大丈夫。行こうか」

 え?急に何?これってあれ?相合傘ってやつ?
 困惑するあたしにあさぴーは、クスッと笑った。

「覚えてない?昔こうやって、よく一緒に帰ったじゃない」
「へ?なん・・・・・・?え?」

 昔?さらに混乱してしまったあたしを見て、あさぴーは頬をポリポリと掻いて困ったように笑った。

「あー・・・・・・ははは。やっぱり、覚えてないか。ごめん、忘れて」
「え?あ、うん・・・・・・」

 そう言われてあぁはいそうですかと忘れられるほど、あたしは淡白な人間じゃない。
 どういうことなの?昔とか、サッパリ分からないし・・・・・・。
 小さな傘の下で、身を寄せ合いながら、あたしは思考を巡らせた。
 あたしより大きな手。あたしより少し大きな体。
 しばらく考えていた時、あたしの記憶に引っ掛かるものがあった。
 それに気づいた瞬間、あたしの足は止まってしまう。
 そうすると、必然的に彼の歩も止まる。

「っと・・・・・・どうしたの?きららさん。速く行かないと、撮影に遅れて・・・・・・」
「あーくん!」

 気付けばあたしは、あさぴー・・・・・・いや、あーくんの体を抱きしめていた。
 あーくんはしばらく驚いた顔であたしのことを見下ろしていたが、やがて、その目に雨とは違う液体が浮かび上がり始める。

「思い出して・・・・・・くれたの・・・・・・?」
「ごめん・・・・・・ッ!忘れてて、ごめんなさい・・・・・・ッ!」

 あたしは何度も謝った。
 その時、あたしの体は優しく包み込まれるのを感じた。
 顔を上げると、あーくんが泣きながら笑っていた。

「嬉しい・・・・・・思い出してもらえて・・・・・・嬉しい・・・・・・ッ!」

 昔から泣き虫なんだね、と笑おうとした時、さらに強く抱きしめられる。
 そして耳元で、呟かれた。

「小さい頃からずっと・・・・・・きららちゃんのことが好きです・・・・・・ッ!」

 その言葉に、あたしの肩は震えた。
 あたしはそれに、頷く。

「あたしもだよ・・・・・・あーくん」

 しばらくの間、あたしとあーくんは抱きしめ合っていた。


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